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日経新聞(7/26付け)に『やはりFEMAが必要だ』という記事があった。
西日本豪雨は文字通り深い爪痕を残した。いまだ災害対応の途上であり、総括するのは時期尚早ではある。それでも、今後に生かすべきいくつかの教訓を引き出すことができる。

これまで防災インフラの整備などに力を入れてきたにもかかわらず、わが国は近年、大規模な土砂災害や水害に頻繁に見舞われるようになっている。堤防やダム、放水路などのインフラ整備のあり方を考え直す必要があるかもしれない。

日本が震災リスクを抱えていることを考えればインフラ全体の強靱(きょうじん)化が課題である。ただし、地方を中心に人口減少が進む中で、日本全土をコンクリートで固めるような公共事業はあまりに非効率で、無駄も多い。

これまでの大規模災害の教訓を踏まえれば、ハードのインフラ整備には限界がある。防災訓練、避難や災害対応などソフト面を組み合わせることで、被害とりわけ人的被害は大幅に減らせる。復旧スピードも上げることができよう。

今回の西日本豪雨では、自治体の対応力や発信力、調整力にかなりの差がみられた。甚大な水没被害に遭いながらも、日ごろの防災訓練の成果で人的被害を免れた町がある。ボランティアの受け入れがスムーズに進んでいる地域がある一方で、ボランティアが入れずにがれきが無秩序に積み上がったままの地域もある。

ただし、そもそも小さな自治体の体力やボランティア頼みのがれき撤去には限界がある。大規模災害では市町村ではなく、県レベルでがれき処理やボランティアの受け入れ、送り出しの調整が必要であろう。自衛隊派遣ともなれば、国レベルで派遣の必要性や規模の見極めが必要になる。

これまでも国は防災の観点から様々な取り組みを進めてきたが、実際の災害発生時にも国レベルで迅速に対応できる体制をつくる必要があるのではないか。

米国には連邦緊急事態管理局(FEMA)がある。かつて日本版FEMAの創設が検討されたことがあるが「積極的な必要性は直ちに見出しがたい」として、創設は見送られた。しかし、想定される災害は大規模化している。これまでの経験を適切に生かし、災害現場での対応力と調整力を高める必要があろう。FEMA創設を再検討すべきではないか。

大規模な災害は広域で発生した場合、市町村単位で対応するのは難しいだろう。今後予想されている南海トラフ巨大地震では、より広域の地域が被災することが指摘されている。そうした場合、市町村単位での対応では限界がある。

広域対応ができるような組織、もしくは体制の再検討が必要だろう。米国のFEMAは、単に災害対応をしているだけでなく、防災教育や啓発なども実施している。常に防災や災害対応を考える組織があってもいい。これだけ災害が発生する日本において、災害を抑制し、復興を早めるためにも、国レベルでの組織が必要ではないだろうか。