UnsplashのColin Maynardが撮影した写真
日経新聞(4/11付けの夕刊)に教育ジャーナリストの後藤健夫氏が『20年内に大学75校分の定員余剰』を題して寄稿している。
4月になり、高校を3月に卒業した生徒たちが大学に通い始めた。彼らはコロナ禍で高校の入学式もままならなかった世代だ。昨年は約113万人いた18歳人口は今年は111万人。2万人の減少だ。再来年は来年(107万人)よりいったん増えるものの、今後も減少傾向は続き、10年後には102万人と団塊ジュニア世代の半分以下になる。
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昨年の出生数は80万人を切った。この世代が大学に進学する頃は、大学進学率を60%としても大学進学者は48万人に満たない。現状の63万人余りの大学入学者から15万人の減。つまり、2千人規模の大学75校分の定員が空いてしまう道程が既に敷かれているのだ。
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世間では保育士が足りないと大騒ぎをするが、それは都市部の話にすぎない。出生数が減る地方では保育園の存続が危ぶまれる事態である。保育士は資格志向が強い高校生に根強い人気がある。しかし、地方で保育士を養成しても就職先に困る。保育士が足りない都会で仕事を見つければ地元を離れることになる。若者が減り、子どもが生まれなければ地域を支える住民は減る。やがて自治体の存続の危機が訪れる。
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一方で、少子化で選抜試験が緩和されると、これまでのような「受験」で引っ張る授業への生徒の関心は薄らぐ。教科の面白さを伝えなくては生徒の関心を引き出せない。高校教育も変わらなくてはならない。
いま行われている大学入試改革は、高校教育、大学教育とともに大学入試を変えようとするものである。さて、大学入試は変えられるのだろうか。
大学入試は、なかなか変わらない、変えられないのではないか。18歳人口が減るなかで、各大学は小さくなるパイの奪い合いがますます加速するだろう。入学生を確保できたとしても、今度は就職先が確保できるか、という課題も出てくる。
産業界が求める人材を育成できるかどうか。いま大学4年生は就活の真っ最中だが、すでに内定を得ている学生もいる。企業の採用活動は年々早くなってきているようで、大学教育に何を期待しているのか曖昧だ。しかし、日本の人口が大きく減少していく時代になると、これまでの採用でいいか疑問となる。大学の出口管理が厳格に求められるようになれば、新卒一括採用も変わっていくのではないか。
今後の20年間で日本の社会は大学だけにとどまらず大きな変革が求められるのではないだろうか・・・