日経産業新聞(8/8付け)に『地震の揺れ予測、計算1回、理研、AIとスパコン併用』という記事があった。
理化学研究所の上田修功チームリーダーらは人工知能(AI)を使って地盤の形状をもとに地震の揺れを予測する技術を開発した。従来はスーパーコンピューターを使った数千回のシミュレーション(模擬実験)が必要だったが、わずか1回で同等の精度を出せる。地震による被害の出やすい地域を割り出し、危険エリアの設定や建物の補強などに役立てる。
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地震が発生した際の各地域の揺れを予測する研究として、地盤をもとにスパコンでシミュレーションをする手法がある。正確な予測には、密度や地震の伝わりやすさなどの地盤の特徴を細かく知ることが必要だが、ビルなどが建っている場所の特徴を調べるのは難しい。このため、従来は地盤の特徴を変えて数千回シミュレーションをして、その地域の揺れの傾向をつかんでいた。

研究グループはまず地盤の特徴を細かく定めた上で、1回シミュレーションをした。各地点ごとに地震の揺れが算出され、これらの相関データをAIの一種、ディープラーニング(深層学習)で学ばせた。こうすることで、地盤の特徴と揺れの関係性が分かるようになり、AIで地震の揺れを予測できるようにした。

具体的には地震発生時、1平方キロメートルの地域の揺れ方を1回シミュレーションする際に5メートルごとに区切って、揺れを割り出した。計算で得た地盤の特徴と揺れに関する数万のデータをAIに学習させた。これをもとにAIで地震の揺れを再び予測すると、数千回のシミュレーションと同等の精度になったという。

スパコンによるシミュレーションの時間を大幅に減らせるため、様々な震源を想定して、地震の揺れを予測できるようになる。地震で建物被害の出やすい地域などが詳細に分かるようになり、建物の修繕計画や避難経路の選定などに使える。

理研ではスパコン「京」の後継機「ポスト京」の2021年ごろの稼働を目指している。今回の研究では1平方キロメートルの揺れの予測だったが、これを首都圏全域に広げることで、想定される首都直下地震などの大規模災害に備える。

AIを活用することで、計算時間を短縮できるということか。すごいね。

首都圏全域を対象に計算するためには、どれくらいの時間がかかるのだろうか。たくさんの情報が提供されることは、ある意味いいことかもしれないものの、実際に建物の設計をするとなると、設計用地震動をどのように設定すればいいのか、悩ましくもなろう。

さらに計算で予測された地震動の精度はどうなのだろうか。この点については、実際に観測された地震動との相関などを検証しつつ、解析モデルの精度を高めていくしかない、のかな。