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AIはミニスカートを思いつくか

日経新聞(10/4付け)の「大機小機」欄に『AIはミニスカートを思いつくか』という記事があった。
好評のうちに終了したNHKの連続テレビ小説「ひよっこ」に、主人公の幼なじみが「ツイッギーそっくりコンテスト」で優勝するエピソードがあった。

折れそうならい細身の英国モデルの来日は1967年10月、50年前のこと。「ミニスカートの女王」と呼ばれたツイッギーに背中を押され、日本女性のスカート丈も、あれよあれよという間に短くなった。
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ロンドンのストリートファッションに始まるミニスカートは、60年代後半に世界的ブームとなる。文化大革命中で男女とも人民服の中国や、宗教上の規制が厳しい国などは別にして。戦後の第1次ベビーブーム世代が20歳前後、反体制やウーマンリブの社会風潮を映したとの後講釈も聞くが、なぜミニスカートだったのか、今もって謎だ。

ケインズは、資本主義の原動力を企業家のアニマルスピリット(血気)に求めた。合理的な計算なしに不確実な未来に挑もうとする楽観的な衝動。その血気が衰え数学的期待値に頼るほかなくなれば、企業活動は死滅する、と書いた。

ミニスカートを商品化した西欧のデザイナーも、計算ずくではない動物的な勘に賭けたのだろう

ベルリンにある旧東ドイツの日常生活をテーマにした「DDR(東独)ミュージアム」で、計画経済下の東独のデザイナーは、西側のファッションを少し遅れてコピーするのが常だったとの説明を目にした。

小型車トラバント、標準的なリビングとキッチン、日用雑貨などの展示物は、計画経済に対する市場経済の優位を雄弁に物語る。だが最近、市場経済が最良のシステムという常識が変わると公言し物議を醸した人がいる。中国の電子商取引最大手、アリババ集団の馬雲(ジャック・マー)会長は、ビッグデータの時代に人工知能(AI)の力を借りれば、計画経済が機能する世が来ると言う。

国有企業改革にてこずり市場経済化を足踏みさせている共産党政権へのゴマすりなのか、本心なのか。中国の経済学者も含め反論が出ている。「過去のデータから未来は予見できず企業家の役割は消えない」「まだ存在していない商品への消費者の好みなどわかりっこない」などだ。

半世紀前にAIがあったなら、ミニスカートを思いついただろうか。

新しい発想とか創造性というものは、これまでのデータの新しい組み合わせによってもたらされることも多い。この場合、人間が思いつかないような組み合わせをAIが見いだすかもしれない。ファッションのデザインに関しても、これまでの膨大なデザインをデータとして蓄積し、どういうファッションデザインが流行したか、などを分析したら、ひょっとしたら、斬新なファッションを見いだすかもしれない。

まっ、それが受け入れられるかどうかは、別かもしれないが・・・

AIでビルの揺れ抑制

朝日新聞(8/31付け)に『AI ビルの揺れ抑制 長周期地震動学び対応』という記事があった。
NTTファシリティーズは、地震時に高層ビルをゆっくりと大きく揺らす「長周期地震動」を、人工知能(AI)で抑える世界初の技術を開発した。AIがビルの揺れを分析し、モーターで人工的にビルを揺らして地震の揺れを打ち消す仕組み。南海トラフ地震などで高層ビルに大きな被害が出るおそれが指摘され、対策が課題になっている。

長周期地震動は遠くまで届くことや、大きな建物ほど被害を受けやすいことが特徴だ。東日本大震災では東京のビルで1メートルを超える揺れ幅を記録したほか、震源から数百キロ離れた大阪市内のビルでも内部が損傷。2003年の十勝沖地震では大型石油タンクの火災を引き起こした。

通常の制震や免震の装置では防ぐのが難しい。従来の技術では、ビルの各階を支える梁に油圧式のダンパーを多数取り付けて揺れを少しずつ吸収するため、大規模な工事が必要だった。

NTTファシリティーズの新技術は、ビルの梁の一部にモーターで横揺れを生み出す装置を取り付ける。センサーがビルの揺れを感知すると、AIの指示で地面の動きを打ち消すようにビルを揺らし、揺れが上層階まで伝わらないようにする。完成済みのビルの耐震工事にも使える。

揺れ方はビルによって全く違うため、AIはビルの構造図面を元に様々な地震についてシミュレーションを繰り返し、揺れの抑えを自ら学習する。電動モーターには行きすぎた動きを吸収するダンパーも取り付け、AIが誤作動しても建物が壊れないようにする。

従来の技術に比べて揺れを半分以下に抑えられるうえ、工事が必要な梁の数が半分程度で済むため、コスト削減にもつながるという。近く、関西のビルの耐震工事で使われる予定だ。AIで地震の揺れを抑える技術が実用化されれば世界初とみられるという。

制御を学習したAIは建物に設置されるセンサーの計測データを使い、地震時にダンパーの減衰力を自律的に制御し、建物に生じる揺れを抑えるという。これによりパッシブ制振と同じ制振性能を半数程度のダンパーで実現し、工事量の削減と工事期間の短縮を通じて工事コストを最大30%削減することを目指している、という。

ニュースリリースには、ダンパーの有無による振動大実験の結果が示されている。これによれば、確かに応答は半分程度に抑制されている。しかし、パッシブダンパーとAIを使ったアクティブ制御との応答比較は示されておらず、制振効果ははっきりしない。
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イメージ図によれば、ダンパーを下層部に集中配置するようだが、変形をダンパー設置層に集中させることにならないだろうか。関西のビルに導入されるとのことなので、ぜひ実大実験もして欲しい。AIで強制的に建物を揺らさせて、それを自律的に抑制できるかどうか検証できるのではないだろうか。実際の地震動とは違うかもしれないけど・・・

東日本大震災から6年半が経過する。
こうした最新の制振・制御技術も必要だろうが、巨大地震後の生活再建やまちづくりというものをどう考えていくのかについても課題だ。こちらはAIではなかなか解決しそうにない。

AI時代の建築家

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建設通信新聞(5/22付け)の「建設論評」欄に『AI時代の建築家』という記事があった。
技術的特異点(シンギュラリティ)とはAI(人工知能)の発達により、人類の進化曲線が無限大になる特異点を示す言葉である。つまり進化の主役を担ってきた人類に代わってAIがその主導権を握り、爆発的な進化が始まるポイントであり、2045年をその時とする説もある。

コンピュータが、思考力や判断力、学習力をも高度に発達させて、文字通り人の能力を凌駕する時代が訪れる。さらにAIがより優秀なAIを開発するサイクルが指数関数的に早まり、まるでSF映画のような世界が現実的な未来の姿に重なるのである。

AIが社会を動かす主導権を握る時代を迎えた時、建築家はどのような使命を果たすことになるのだろうか。もちろん建築家を支える情報技術も飛躍的に発達する。設計図は与条件をAIに指示するだけで、あとは完璧な図面を作成してくれるだろう。幅広い協力業者や企業とのタイムラグのない情報共有は当然のことながら、ニーズに応じた商品や建材の開発も効果的に行われるに違いない。

そしてイメージデザインやコンセプトの立案にさえAIが能力を発揮するかもしれない。AIが提案したデザインの選択に、助言を与えることだけが建築家の役割として残るのだろうか。

専門外の経験や知識が希薄になるのは、分業が発達した社会の宿命であり、さまざまな専門家の存在価値が尊重される社会となる。AIがその役割の多くを担うことになっても、最後に人との橋渡しが残るに違いない。いや本当の課題はあらゆることをAIに託すことよりも、人間に何を残すかを考えることである。

効率性や便利さの追求だけでは、人は満足できないことは分かっている。生きがいや使命感が人の幸せに欠かせないからである。より多くの人たちが生きがいをもって生活できる社会をつくるために、AIをどう活用していくかが本当の課題となる。

人が生活する場を創造する建築家にとって、それは重要な課題である。どんなにVR(仮想現実)が発達しても、人間は自分の肉体や精神構造から離れることはできない。これはどんなに発達したAI社会を迎えても、絶対に逃れることのできない決定的な事実である。

さらに肉体や精神の進化はAIに追いつけないこともまた事実である。だからこそ生身の人間が快適に過ごすことのできる空間が大切になる。世界中が瞬時に情報を共有できても、それをリラックスして受け入れる空間が必要であり、その情報で幸せになるための装置こそが建築なのである。

誰よりもその人に寄り添い、最適な空間を提供する役割が、AI社会における建築家の使命となる。最先端技術や情報技術に臆することなく、その人のためになにが一番大切かを見極め、その課題に向き合うことから始めなければならない。それは奇しくも現代社会の建築家の課題とも重なっているのである。

今後、AIがどのように進化していくのか、まだよくわからない。SF映画に出てくるように、人類の能力を凌駕してしまうのだろうか。でもAIも人によって造られるものだとすれば、映画にあるようなことは考えにくいことではなるが・・・

しかし、今後もコンピュータは発達していくだろうし、さまざまな情報技術が提供されるだろう。そうしたときに、建築家の役割がどうあるべきかを考えることは重要だと思う。AIが発達し、与条件を与えれば完璧な図面ができあがるということもあるかもしれない。しかし、「与条件」を与えるのは人間であり、その与え方によって、答えも違ってくるだろう。

完璧な「与条件」を与えることはできない(はず)ので、やはり人間としての建築家の感性や経験などが必要とされるだろう。

では、そのとき構造設計者は・・・

AIにビールは飲めない

日経新聞(3/6付けの夕刊)の「あすへの話題」欄にアサヒグループホールディングス会長の泉谷直木氏が『AIにビールは飲めない』と題して書いている。
人工知能(AI)への注目がますます高まっている。昨年来、国内外で囲碁やポーカーのトッププレーヤーをAIが打ち負かしている。東大入試突破を目指した「東ロボくん」は長文読解は不得手だが数学、世界史で高得点をあげたらしい。自動車の完全自動運転も2025年には実現されると聞く。近い将来に人間の能力を超える「シンギュラリティ」(技術的特異点)が訪れるとも言われている。  

この先AIは我々にどのような影響をもたらすのだろうか。ある人はAIは人間の仕事を奪うと言う。ある人は人間の生活を豊かにすると言う。マキャベリは『君主論』で人間を、
  自分で考えることができる人間、
  人の言うことは理解できる人間、
  どちらもできない人間
に分類している。

AI時代には後二者はヤバイということになるのかもしれない。
いずれにしても我々は人間固有の能力に磨きをかけていくことが必要になる。

ギリシャ・ローマ時代の自由人(非奴隷)は基本的知識・技能として文法学、修辞学、論理学、算術、幾何学、天文学、音楽の自由7科を身につけることが求められたという。現代のビジネスパーソンは、これらに加えてロジックを基にしたアイデア創造力が今後磨くべき能力領域になるのだろう。おもてなしやホスピタリティといった情緒面も同じ領域だろう。

いずれビールづくりにもAIが活用されることになるだろうが、最終的に味を決めるのは人間である。なぜならばAIがいくら発達しても人間の代わりにビールを飲んで楽しむことはできないからだ。AIの助けを借りつつ、人間のもてる感性を総動員して、多くの人々に喜んでもらえるうまいビールづくりに邁進していきたい。

コンピュータ技術が今のスピードで発達し続けるとある地点で地球全人類の知能を超える究極のコンピューターが誕生し、そのコンピュータ「AI」がさらに優秀な「AI」を作りあげていくと、人間の頭脳ではもはや予測することができない未来が訪れる。これは「2045年問題」と呼ばれているそうだ。まるで映画ターミネーターの世界・・・

確かに、今のコンピュータ技術、インターネットの進歩はスゴイ。ほんの30年前にパソコンなるものが使えるようになってきたものの、その処理能力たるや記憶容量はキロバイト単位でしかなかった。これからどんな時代が訪れようとも、人間としての強みを発揮できるようにしておかなくては。

ビールも飲むぞ!!
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<写真はルーマニアに免震のセミナーに行かせてもらったときに飲んでいたビール>

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講義中・・・
著書など
『耐震・制震・免震が一番わかる』
共著ですが、このような本を技術評論社から出しました。数式などを使わずに耐震構造、制震構造、免震構造のことを、できるだけわかりやすく解説しています。
『免震構造−部材の基本から設計・施工まで−』
免震構造協会の委員会活動の成果として、このような本をオーム社から出しました。免震構造の基本をしっかり学べるような内容となっています。
『4秒免震への道−免震構造設計マニュアル−』
いまでは少し内容が古いかもしれませんが、免震構造の基本的な考えを述べています。初版は1997年に理工図書から出ていて、2007年に改訂版を出しました。
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