愛の妙薬

第19回 神奈川オペラフェスティバル '09
G・ドニゼッティ 『愛の妙薬』

指揮:小崎 雅弘
管弦楽:神奈川フィルハーモニー管弦楽団

アディーナ ●高橋 薫子
ネモリーノ ●倉石 真
ベルコーレ ●宮本 益光
ドゥルカマーラ●高橋 啓三
ジャンネッタ ●加藤千春

於:神奈川県民ホール

最近出かけたオペラはというと、今年2月のリゲティ《グラン・マカブル》。その前は昨年二期会が取り上げたヤナーチェク《マクロプロス家の事》 。
要は滅多に行かないのである。しかも行くとしても、20世紀に作曲された所謂『現代音楽』オペラばかり観ている。
ワーグナーは《恋愛禁制》から《ニーベルングの指輪》全曲、《ニュルンベルクのマイスタージンガー》までは観た。R.シュトラウスの《サロメ》《エレクトラ》《ナクソス島のアリアドネ》までは観てはいる。ただし、リピーターになるには至らず、当分行かないなあと思ったのだが、知り合いのソプラノ歌手加藤千春さんが登場するというので出かけることに。
イタリア・オペラに至っては、ヴェルディの《アイーダ》《オテロ》くらいしか観たことはないが、オペラ・ブッファたる《愛の妙薬》なら堪えられるだろうと考えてのこと(汗)。

今更プロットを書くまでもないし、書くのも馬鹿馬鹿しい(失礼)。これはドラマを云々するような作品ではなく、出てくるアリアとメロディを楽しむ作品。ネットで調べても、多かれ少なかれそういう意見が多い。主人公のネモリーノが歌うアリアは特に美しいものが多く、パバロッティが得意にしていたのも首肯できる。難しいことをする必要がなく、美声を思う存分披露すればいいのだから当然だ。観客も小難しいことは言わず、美声とメロディを楽しめばいい。
だが、こんな曲ばかり聴いていたら、交響曲なんかは辛気臭くて聴けなくなる筈だよなあ。。。とイタリアの現状に納得もするが。


下敷きになっている『トリスタンとイゾルデ』はワーグナーのオペラでも有名だが、元々はケルトに伝わる説話。その後アーサー王伝説に取り込まれ、中世に大流行した。ドイツ語では『トリスタンとイゾルデ』だが、フランス語では『トリスタンとイズー』となる。
私は小生意気にも、岩波文庫に収録されているベティエ編の『トリスタン・イズー物語』を高校時代に読んだので、こちらのほうが馴染みがある。
媚薬によって「望まぬ」愛に落ちる王妃と騎士。日本にはない愛の形だろう。

ということで、出来不出来も考えず、歌を楽しむことに(名誉のために、オーケストラをはじめ、特に不満はなかった)。周りの観客もアリアが終わるたびに拍手をしていたので、同じ考えだったのだろう。

出演者も表情豊かで、楽しい土曜の午後のひとときであった。