2007年08月

2007年08月29日

Brompton シリーズ  高嶺の花になった菩薩系女王

2aa24f64.jpg 自分にない魅力を発散し恋のかけひきにやきもきさせるようなフェロモン系に悩殺されるのも恋愛としては羨望ものだが、一方で人生観を共感できたり、ゆったりと落ち着く事ができたり、自分の弱い所を認めてくれる、そんなパートナーを人生の伴侶として多くの人が望むのではないだろうか?特に最後の部分は競争社会の中でストレスの多い現代人にとって重要なことのように思う。
 アイドル的な人気とは別の人を惹きつける部分がここにあっていわゆる菩薩系、癒し系というのがこれにあたるのだと思う。

 自転車の中にあって小径車はこの要素が大きい。小径車が好きだと仕事仲間に打ち明けたら癒し系自転車好きとされてしまった。少々不本意な所もあるが納得する部分も多い。無理をせずに楽しくいつも一緒にいられる存在、これが小径車の魅力の核心だと思う。

 小径車のキングがモールトン、ヒーローがBD-1とすれば、ヒロインはまちがいなくブロンちゃんである。これを取り上げるのが遅くなったのは単に機会を逸しただけで、間違いなくいい自転車である。この自転車は極端なスポーツ志向やデザイン志向には目もくれずに変わらないたたずまいを見せていて、どことなく女性的でのどかに映る。乗る人に全く緊張を与えないのが素晴らしい。

 同じ小径でも20インチと16インチとでは随分性格が違ってきて、前者が本格走行志向、後者が短距離、コンフォート、愛玩志向に向う。ブロンプトンもその傾向が色濃い。
 デザインは緩い曲線を基調とし、ハンドル回りや車輪回りなどかつてのミニサイクルの香りも残していて普段着やスカートにも似合う。その割には車格は大きくて大柄の男性でも十分乗れるし乗車姿勢は起ち気味でリラックスできる。基本は内装3段変速で泥よけ、ダイナモ、リアキャリアも用意されていて限りなく国内のママチャリ感覚だ。外装ギアなどのスポーツ志向を潔く排している。
 最大の特徴はその折り畳み機構にある。後輪がフレームの下部に回り込んでくる。フレームの微妙な曲線はこのためにあるようだ。ハンドルを倒し更にフレーム前方を折り込む。Dahon型よりもう1工程多く畳んでいる事になり、車輪より一回り大きいくらいのコンパクトな折り畳みサイズは驚異的だ。後輪部分とサドル部分は連結されておらず持ち上げると後輪部分が垂れ下がる形となり、簡単に畳み込める。スタンド代わりにもなるし狭い空間に駐輪できる。しかもこの状態でも、前の部分を折り畳んだ状態でもハンドルで押しながらリアキャリア部分で転がす事が可能なのだ。この折り畳み機構は輪行を前提とした場合非常に価値が高い。また狭いマンションなどで部屋に保管する場合などにも重宝するだろう。

 走りはその外観の印象通りで、一般車に近い感覚で初めてこういう自転車に乗る人でも全く違和感ないだろう。クロモリフレームに加え後輪のサスペンションも効いていて小径独特の乗り味の硬さも少ない。
 独自のパーツ類も多く、改造やパーツ交換に向いている部分も少なく、高速走行やスポーツ志向で乗る自転車ではない。あくまで快適に楽しく乗る自転車でありその事に関して非常に頑固につくっている。この辺はイギリスの職人魂が垣間見える。
 キャリアやバッグ関係のオプションが充実していて荷物運搬機能も高い。つまり通勤、輪行やツーリングも向いている。一台で毎日の通勤、買い物にも使え、ちょっとした遠出や輪行にも使えるので、一般車からいい自転車に買い替えようと思う人には非常に頼もしい万能自転車だ。

 この自転車が国内に出始めた頃は7万円台だったと思う。今は同レベルのが13万クラス、廉価版でも10万円台。いい自転車だが内容をよく見るとちょっと割高感がする。世界一物価の高いイギリス産の手作り品で輸入車、しかも強気のミズタニが代理店だからしょうがないけれど、その点だけがひっかかる。ここはぜひとも他社に頑張って欲しい。
 めだたず控えめな菩薩系ブロンちゃんも気がつくと人気が高くて手が出なかった。残ったのは後悔の念だけ…?

走行性 ★★★
携帯性 ★★★★★
汎用性 ★★★★★
デザイン★★★★
C/P   ★


2007年08月23日

Mu-C9 (Dahon)  憂国の騎士 帰還せる(ファンタジーノベル調)

22c97c7a.jpg  Muは憂いていた。母国の迷走に、動揺に。
 Muは嘆いていた。なぜ自分の存在はこのミラノに忘れ去られたままなのか。

 Dh共和国は質実な技術と思想で繁栄を築いていた。その技術と高いCPを武器に各国との貿易関係を深め、その信頼を背景に同盟関係に導いていく戦略は順調であった。一方で先進国と肩を並べられないジレンマも抱えていた。その要因のひとつがRM王国の攻勢であった。高額取引の市場を独占し、先進国との確固たる信頼を築いたこの国の切り崩しをしない限り、Dh共和国の繁栄はいつの日か減速するであろうことは首脳たちも自覚していた。
 Dh共和国は威信をかけてV大佐を前線に送り込んだ。V大佐は無骨なまでの技術至上主義を信条とし、開発されたばかりの新兵器で全身武装しRM王国との前線に赴いた。反転攻勢は当初功を奏したしたように見えたが、技術的な欠陥が露呈、撤退を余儀なくされた。大佐は退役した。
 Dh共和国は堅実で部隊の信頼も厚いヘリオス大佐を中心に結束を固め、地道な立て直しをはかった。技術を磨き上げ同盟による包囲網を固め、RM王国と対峙する構図に持ち込んだ。

 ---即日帰国せよ---

 長すぎる異国での休養の飽き飽きしてたMuは突然の帰国命令を手にしていた。同盟国との連合軍に身を置いていたがその同盟国がRM王国と同盟関係を結んだため前線から退いていた。
 Muの心は高揚した。ついに自分の存在に光が当たるのだと。
 Muは優雅な戦法を信条としていた。情報を駆使し勝つべくして勝つという状況を周到に準備するのだ。そして速攻をかける。スピードと身軽さが勝負を決める。
 Muは異国で様々な技術と文化を吸収した。軟弱なファッションをやめてブランドを意識した。最新の銃に持ち替えた。カリスマになるべく素養や教養が必要であると自覚し日々努力し身につけていた。Muは以前の彼ではない。成長したのだ。

 懐かしい埃臭さを抱く風が吹くある暑い朝、Muは特注した黒の制服を纏い愛機カプレオを携えて師団の前に立った。憂国の重みとこれからの闘いの困難を肩に感じて。




 ちゃんちゃん(笑)
 手もとに資料がないので記憶頼りだが、ビアンキのOEMモデルでミラノ(?)というフォールディングバイクがあった。緩いアーチ状のフレームは優雅でこれはもしやビアンキオリジナルかな?と思わせるものであった。価格の10万近くで高級車の風格も漂い密かに焦がれていた。
 これが実にあっさりとカタログから消えBDに変わったのだが、その後16インチNOVITA,SweetPea,などの姿を見るにつけ、あーあれはDAHON-OEMだったのかと気付いた。
 このまま消してしまうには惜しいよなと思っていたら今年あたりからその系列が突然復活し主力モデルになった。MUシリーズに加え16インチCURVEにも投入されこのタイプは新しいDAHONの顔となりそうだ。

 優雅な曲線は女性的でもありBDとの対照を生んでいる。C9は精悍なブラックでラインナップの中でも独特の風格を漂わせている。C9を際立たせているのがカプレオの搭載だ。Shimanoの小径車専用のコンポーネント(駆動変速ユニット)カプレオはリアに9Tというトップギアを配し高速化をはかるものだ。
 20インチ+シュワルベ1.5+カプレオは高速寄りの設定でかなりスピードがでる。一方で登坂性は9speedの割には平凡なので、優雅な外見とは裏腹にがんがん飛ばす志向の自転車だと思う。
 ハンドルはアジャスタブルだがそれほど低くならないので前傾姿勢は緩い。初めてスポーツ車に乗る人でも違和感はない。KHSとの志向の違いが見えこの辺は好みが別れるだろう。
 クイック感を嫌ってかハンドリングは固めに調整されている。これには少々戸惑うがどちらが優れているかは決め難い。

 サスをつけないスピード志向と優雅なデザインがこのモデルの特徴だ。ターゲットが見えにくいがBD購買層を意識しているのが透けて見える。車重も11kgと軽くこれで10万円、3拍子揃ったモデルとしてDahonの中でも光る存在でかなりお薦めだ。
このモデルが今後の同社を牽引できる騎士となるか。

走行性 ★★★★
携帯性 ★★★★
汎用性 ★★★★★
デザイン★★★★★
C/P   ★★★★

2007年08月16日

トランジットコンパクト(ブリジストン)ライバルはベビーカー?

b41fe8da.jpg おいおいここは小径車ブログじゃないのか?という声が聞こえてきそうなので小径車に帰還。

 自転車の軽量化は強度とコストの戦いだからなかなか難しい。畳んだ自転車を持ち続けるのは10kg以下でもつらい。ここが携帯自転車の壁なのだが、発想の転換でならば軽くする事を諦めて転がせばいいじゃないかという事を思いついたらしい。コメントにも書いたがこういう自転車は結構多い。転がす発想はどれが最も早いのかよくはわからないが、縦折り元祖のDiblasi、ストライダ、ブロンプトンあたりの順でないかと思う。はじめに考えた人は偉い。
 
 ベビーカーを畳んで乗せている親子を電車で時々見かけることがあるが、こんな風に自転車を持ち運べないだろうかと思う事が度々あった。おそらくトランジットコンパクトのアイディアの源にはこの情景があるのではないか。実用の神が宿る日本のエンジニア魂が実用化したとも言える。海外の元ネタを踏まえたとしてもX型に畳んでコロコロ転がすというのは、そこにも大胆な発想の飛躍があって充分にクリエティブだ。

 トランジットコンパクトは名車ピクニカを引き継ぐ形で発売されなかなかのロングセラーだ。こういう需要が根強いのとコンセプトがしっかりしている事の現れだと思う。基本的には一般車でスチールフレームにママチャリ的なパーツ構成でその辺がマニアにはもの足りないのだろうが、だからこそ3万円台で買えるのだからがまんしよう。

 サドルを下げてロックを外して上部を寄せるだけ。このまま転がせるし、一応スタンドで自立する。玄関の三和土にも置けるサイズだ。12kg強は重いけれどエスカレーター、エレベーターがあれば持ち上げる事はほとんどないだろうから一番楽な自転車ともいえる。都心に関して言えば古い路線の駅はまだまだ階段だけしかない所も多い。この自転車の活用度はそれぞれの環境にもよるだろう。
 決して速い自転車ではないが車径からの想像よりは走る。16インチの格安折り畳みより走る。買い物自転車としては充分だし、町中を巡るなら多少の距離は問題ない。小ささも魅力で可愛い自転車としての魅力も充分にある。

 実はストライダ購入の前にほとんどこれに決めかけていた。仕事仲間のアドバイスでこれをやめてストライダにしたのだが、自分の目のほうを信じても良かったように思う。一般的な自転車の価値観とは異なる価値の自転車なのだから自分の必要な思想を重視すべきだったのだと思う。
 いろいろ短所もある。この価格ではしょうがないがまずバンドブレーキである事。使い方が悪いとロック回りや畳みの軸部分のがたつきが出る事。空気圧管理が悪いとタイヤの損傷が起こり易くパンクしやすいこと。これはキャストホイールとファットタイヤの組み合わせからだ。組ホイールではスポーク折れの可能性があるためキャストホイールにしたのだろうし、そうすると乗り心地が硬いからファットタイヤで補うという事だろう。その設計思想は筋が通っていて理解できるし、乗る方がそれを受容するかどうかではないかと思う。

 ロングセラーのこのモデルにはその傑出した特性を見抜いたヘビーユーザーがたくさんいてカスタマイズ術も既にトラコン道と呼ぶにふさわしい充実を見せているようだ。ハンドルの折りた畳み化、ブルホーン化、ギアの多段化、クランク交換などその道は奥深く私など、うかつにたち入れない深い道…。
これもフレームや設計思想の良さが活きている証拠ではないか。そういう楽しみもある自転車だ。
 同列の高級車であるBDフロッグ装着の12インチタイヤを履くとスピードアップするそうだ。簡単なカスタマイズとしてはその辺りからどうだろう。
(なおカスタマイズが原因でフレーム損傷した例もあるようなので自己責任の元で慎重に行いましょう。私は決してカスタマイズを薦めているわけではありません)

 お金をかけずに自転車を持ち歩きたい人には最有力の自転車、いつの日かベビーカーのような簡便さに到達して欲しい。
 ウルトラミニもなくなったことだし、これもほしいなぁ。

走行性 ★★★
携帯性 ★★★★
汎用性 ★★
デザイン★★★★
C/P  ★★★★★

2007年08月08日

S17 (17bicycle)  買い物に行けるリカンベント ついに登場か!

8f823086.jpg ひとくちに走るといってもいろいろある。人類の極限速度に挑むオリンピック選手もいれば、自分の人生の為に完走を狙うマラソンランナーもいる。友人のために走り続けるメロスもいれば健康のためのジョギング派もいる。愛する人のために伴走する人もいれば高齢者の毎日のほんのわずかな散歩だって走るに値する事かもしれない。世の中は実に多様なのだ。
 自転車だって多様でいいじゃないか。早さを競う、性能を競う、安さを競うだけが能じゃない。色んな楽しみ方、使い方があるはずだ。

 リカンベントは高速走行にも利するが、乗車姿勢が面白いとか楽に乗れるとか、運動効果が高いとか一般的な自転車より優れた志向がある。遊びのサイクリングや旅の自転車に向いているし、風景を楽しむのにも向いている。この志向をもう少し日常利用にできないかというのが私の望みであった。のんびり風景をたのしみながら街を巡る事ができるリカンベント。タルタルーガ、クールライダー、リバイブもその有力候補だけど、まだどこかものたりなかったり大げさで本格的すぎるところがある。

 さて、ここまでのリカンベント連続掲載の流れで予想している読者もいるだろう。でました、真打ちが。下町の熱血社長がやってくれた。「S17」 下ハンドルの普及型リカンベント。
 まず乗車ポジションが起き気味でほとんど椅子に座るようなポジションのセミリカンベント、前輪が前にある操舵し易いタイプ、それでいながらなんと下ハンドル、一般車と変わらない車格と価格とこれまでありそうでなかったリカンベントだ。

 その乗り易さがまず素晴らしい。初めてのリカンベントでもほとんどの人がすぐに乗れるだろう。秘密は乗車ポジションとハンドルの位置のようだ。寝そべり度が強くなるとバランスを取るのに慣れが必要になるがこの姿勢では難しくない。またS17ではハンドル位置を一般の下ハンドル車よりもずっと後方に寄せている。これによってハンドルのバランスコントロールが有効になり、乗降も楽にしている。乗降の楽さは街乗りでは重要だ。単純な事だがこれがいままでなかった。
 下ハンドルながら前輪はペダルの前だから操舵は一般の自転車に近い感覚だ。視界が広くゆったりしたポジションは一般の自転車より優しいほど。下半身全体を使っての加速も想像以上で安定感も高い。急なカーブでの操舵は少々慣れが必要だが問題はない。

 14インチ+24インチのスタイルはなかなかチャーミングでいい線行っている。ポンションで採用されたカーブのついたサブフレームがサスペンション効果を持っているようでデザイン上の大きな特徴にもなっている。昔の町の食堂にあった椅子のような背もたれはご愛嬌だが下町らしさと思えばまあこれもユるくてかわいい。
 このままではバッグを背負えないので荷物を載せるリアキャリも用意される。

 ほかにもリカマニアからすれば、もの足りない所は多々あるだろう。一般車と同じブレーキ構成、後ろだけのギアなどだ。フレーム構成上後ろのVブレーキ化は難しそうだがローラーブレーキでも困る事はない。ギアは外装か内装か未定のようだが個人的には内装でもいいと思っている。リカンベントは走り出しに軽い段にする必要があって、外装だと停止してからのギアチェンジができないからだ。
 欲を言えばコンフォート向けとスポーツ向けとで2系列必要なのだろう、仕様での葛藤が見え隠れする。
 しかしこれで¥60000なのだから欲張ってはいけない。買い物に行けるリカンベントというコンセプトに私は共感している。第一弾は入手し易さと乗り易さでいいと思う。
 下町メーカーがトップランナーに躍り出たかのようなこの躍進!今後の成長に期待が高まってしまう。

 へへへ。実は一目惚れで予約してしまいました。ロングリポートもしますよ。長距離走行とか登坂能力とか試乗ではわからなかったところもお伝えしていくつもりで乞うご期待。

走行性 ★★★★
携帯性 ★
汎用性 ★★★★
デザイン★★★★
C/P  ★★★★★