敏敏公主

趣味としての翻訳です,ご理解を~('ω')ノ

日本語&中国語の勉強にと始めた翻訳です。
当初は予想していなかったのだけれど,ありがたいことにたくさんの方に読んで頂き,リクエストを頂戴したので,仕事・育児の合間に細々と続けています。
更新が滞り気味ですが,気長にお付き合いくださいませ。

シンデレラはオンライン中/微微一笑 121

愚公は別の人をまた指さした,「彼の横にいるのは阿爽って言うんだ,A班のもう一人の達人だ,だけど,彼を見かけたら回り道した方がいいよ,できるだけ彼の前でうろうろしないように。」

 

不思議がる微微:「どうして?」

 

「三嫂,俺らの会社はお寺のようだって気がつかないか,フロントでさえ男だよ?ヤツのせいなんだよね!」愚公の顔には憤怒の色が表れた,歯ぎしりしながら言う,「ヤツは女を見るとシステムが組めないってことらしい。」

 

それほどに!微微は震撼した。

 

「だからって,彼が聖人君子だって決めつけるなよ,」愚公は自分の考えを発表し続けた,「俺が思うに,あやつはあまりにも女好きで,しかも自制心が弱いから,女を見ると頭がくらくらして脳が働かなくなる,だから見ないようにしているだけだろうな。」

 

微微は一時,まるで自分が江湖に生きているような感覚を覚えた,これらの人たちはまるで伝説に言われる奇怪な性癖を有する武道の達人ではないか。微微は思わず先を急いだ:「もう一人は?」

 

「もう一人・・・」愚公の視線が哀れみを帯び始めた,じっと隅の方を見つめた,「もう一人が,あそこの美男子。」

 

微微は彼の視線を追って見たが,不思議がって言った:「誰もいないよ。」

 

愚公:「もう少しじっくり見て。」

 

微微はもう一度細心の注意を払って見てみた,それでも見えず,「いないよ,ただ美女が一人・・・」

 

微微は瞬時に言葉を切った,振り向き驚いた顔で愚公を見た。

 

愚公は深いため息をついた:「君がこの現実を受け入れがたいと思う気持ちはわかるよ。だけどね,間違いない,彼だ。」

 

「確かに顔は美男子だけど,性格もよくはないが,頻繁に卑猥なことを言うし,だけどな,よく言うじゃないか,神様は君に欠点ばかりを与えたとしても,最後には申し訳程度に一つくらい長所を与えるって,あの男の,唯一の長所は頭が悪くないことだ。」

 

「以前,Z省の理系トップだったらしい。」

 

微微は衝撃を受けていた,美人先輩もまた大神の核心団員の一人であることに,伝説の中のシステム達人?OK,確かに本校は達人級の人がたくさんいるって知ってはいた,だけど,だけど,莫扎他・・・

 

想像し難すぎるよ!

 

普段明るく少しおバカなところがある隣家のお兄ちゃんが,突然武道の達人に変身するのを想像することができる?

 

愚公が聞く:「幻滅した?」

 

「まだ大丈夫・・・本当を言うと,美人先輩はそれなりに気質はあるし・・・」微微はつらそうに言う。

 

愚公が頷き同意する:「そうだな,気質がないときでもある種の達人気質があるし。」

 

「そうだ。」愚公が突然思い出すように言う,「会社にいる時でも愚公と呼んでいいから,皆もそう呼んでるし,だけど,郝眉は莫扎他と呼ばないように。」

 

「それじゃなんと呼ぶの?」まさか”好美”って呼ぶわけないし・・・

 

愚公は淡々と言った:「江湖人称眉哥。」(※江湖(=一般的)には眉兄貴と呼ばれた人。という意味かな。)

 

「・・・」

 

「どうした?」

 

「なんでもない。」微微も淡々と言った,「ただ,突然胸で石を砕く演技をしたくなっただけ。」

 

微微は麻痺状態のまま愚公に続いた。

 

行政部は特に紹介すべきことはあまりなく,愚公はただ丁重に一言だけ言った:「行政部の人には丁寧に接した方が良い,彼らに君に配られるお弁当のメインのおかずが3種類か1種類かを決定する権限があるから。」

 

微微は厳粛に頷き理解したことを示した。

 

最後がテスト部門だった,愚公が紹介する:「テスト部門はまだ人員不足な状況にあるんだ,おそらく9月には大規模な採用をすると思う。三嫂,まずはこちらにいてくださいね。」

 

テスト部門に着いて,テスト部長と所属メンバーに紹介すると,愚公は責務を全うしたので退出した。



シンデレラはオンライン中/微微一笑 120

愚公は皆の嫉妬する視線の下,得意気に微微をテスト部門に向かった,歩きながら致一科技の状況を彼女に説明する:「俺たちの会社は今開発に重点を置いているので,組織構造が比較的簡単だ,合計五つの部門に分かれている,企画部,システム部,美術部,テスト部,行政部だ。」

 

「美術部はそっち,」愚公は左を指した,「彼らたちが一番人数が多い,最も変態でもある,三嫂,絶対に彼らに近づいちゃだめだ。奴らは最近NPCの原型のために人を使っているんだ,俺のような顔でも見逃さないんだから,三嫂は絶対に気をつけてな。」

 

微微は興味津々に訪ねる:「貴方の姿をもとにNPCを作るってこと?」

 

愚公が頷く。

 

「それなら面白そうじゃないの。」

 

愚公は無表情に言う:「もしそのNPCが女衒でも?」

 

「・・・」

 

「しかも名前が如花。」

 

「・・・」

 

愚公が結論づける:「とにかく,奴らは最近妓楼のNPCを作っているから,君は・・・」

 

微微はこれ以上にないほどに意思が堅かった:「私は絶対に彼らから遠く離れているから!」

 

さらに数歩歩き,愚公が言う,「あっちが企画部だ,企画部長は君の旦那だ,他にはストーリー企画,数字企画とか,今後で実際やってみるとわかるから,中にはうちの学校の数学部の人が二人いるよ。」

 

微微は”旦那”という単語に寒気を感じた,突然疑問を思い出し,話題をそらした:「先ほど,誰かが大神のことを老大って呼ぶのを聞いたよ?」

 

「会社ではそう呼ぶ人もいる,肖哥(肖兄)って呼ぶ人もいるよ。」

 

「・・・やくざ社会?」

 

「はぁ,ネットゲームを作る俺たちはやくざ社会とそう変わらないかもな,朝は早いし夜は遅い,それに,皆年はまり変わらないのに,肖社長や総経理って呼ぶのはかっこうわるいじゃん。」

 

微微は昨日,彼が某状況下で呼んだあの”肖社長”という声を思い出し・・・思わず黙々と視線で愚公に向けてナイフを二本投げつけた。

 

愚公は厚顔だった,全く察せず,西の方を指して言った:「システム部はあっち,システム部は神級の人ばかりだよ,特にA班の人たち,我が社で三大神の手と呼ばれているんだ。」

 

神の手?

 

微微は目を輝かせていた:「大神?」

 

「彼は除外。」愚公は手を振った,「A班は四人,君の旦那以外,他の三人は三大神の手と呼ばれている,茶色骸骨のTシャツを着ている人が見える?」

 

微微は彼の視線を追って見た。

 

愚公は声を抑えて,謎めいた口調で言う:「伝説のハッカーKOって知ってるか?」

 

微微が頷く。KOという名前は,微微のようなハッカーに無頓着な人であっても耳にしたことがあった,国内で一二を争うハッカーだと言っても過言ではない。

 

「それが彼だ,うちの社内では,老Kってことになっている。」

 

「うっ,嘘でしょう,KO?」微微は口がうまく回らなくなっていた。

 

「老三が連れてきた,二人は何度かPKしたことがあるって話だ,とにかく今はうちの会社にいるってこと,彼がKOだって知っている人は多くないから,口外しないようにね,俺たちは身内だから教えてあげただけだからね。」

 

・・・本当はもうこんな風にたくさんの人に言ったでしょうね。

 

「そういえば,俺は未だにあの人の本当の名前が何かも知らないんだよな,給料は老三が直接彼に現金を渡しているし,プロ級に勿体ぶってるよな。」愚公は妬いているように言った,「だけど,俺が思うに,彼が本当の名前を言わない理由はな・・・」

 

微微は期待して彼を見た。

 

「名前があまりにもかっこう悪いからだ。」愚公は力強く頷き,信用度を加点しようとした。

 

「・・・」

 

微微は沈黙を貫いた。



シンデレラはオンライン中/微微一笑 119

Part 40

 

最終的に微微が色気を使って賄賂したかいなか,その過程がいかなるものだったか,とにかく,月曜日の朝,肖奈が時間通りに暁鈴のアパートの下に現れ,微微を迎えに来ていた。

 

今日の微微は白いブラウスに黒いスカートを合わせている,OLが着るような標準的な服装に聞こえるが,本当はそうではなかった。ブラウスは少し子供っぽいデザインで,スカートの両サイドにはヒダがあって,腰には細長い革ベルトを蝶結びしている姿は可愛いだけでなく,端正だった。

 

偶然にも,今日の肖奈もまた同じような簡単な白いシャツに黒いズボンを履いていた。二人が並んで歩くと,申し合わせたようにペアルックを着たように見え,さわやかで明るい雰囲気を発し,すれ違う人たちの目を引いた。

 

宝桂花園は肖奈のオフィスとそれほど距離はないため,二人は歩いて出勤した。微微は肖奈の腕に手を回し,道中うきうきしながらも緊張した,「出勤したら何をすればいい?」

 

「何をやりたい?」

 

「えっ,わからないけど,とにかく暇でやることがないことだけは避けたい。」ボーと座っているだけでは恥ずかしいからだ。

 

肖奈は少し考えてから言う,「先にテスト部門に数日行くと良い,夢遊2に慣れたら次は企画部に。愚公はこの二つの部署にそれぞれ業務を持っているから,彼につくと良い。」

 

「わかった。」微微は頷く,なんと言っても自分はまだ学生でしかない,社内の流れが全くわかっていないのだから,肖奈の言うとおりにすればいいのだ。

 

会社に着きそうになったとき,微微が思い出して言った:「貴方は先に入って行って,私は後で直接愚公を訪ねに行くから。」

 

肖奈が彼女を見下ろす:「どうして?」

 

「どうしても!」微微は自分の新しい口癖を引っ張り出してきて,開き直って言った,「恥ずかしいから。」

 

肖奈は突然,身から出たさびとはどういうことかを理解した。

 

しかし,微微計画は早くも流産した。

 

オフィスが入っている建物まで残り200メートル,微微が肖奈と別れようとしたところで,黒縁眼鏡をかけ,耳にはピアス,モード系の服装の青年が彼らの脇を走り抜けて行った。十数メートル走り過ぎたところで振り向き,また走って戻ってきた,視線は微微と肖奈の間を行ったり来たりと止まらない,驚いた様子で聞いてきた,「老大,見間違いじゃないっすよね・・・この人,まさか我が社の新人?」

 

肖奈が頷く:「実習生だ。」

 

微微は礼儀的に彼に微笑む,内心好奇心たっぷりに思っていた,この人,どうして大神のことを老大って呼ぶんだろう?まさかそれが大神の会社での呼び名?

 

今日の微微は少しおしゃれに気を遣っていた,いつも以上に美しく眩しかった,その笑顔の殺傷力が大きすぎて,モード系青年が彼女の笑顔に赤くなり,瞳がメラメラと揺れ動いた,しかし,すぐに,彼は美女の手を見つけた・・・

 

老大の腕の中に回されていた。

 

肖奈は彼を一瞥し,話すのも煩わしく感じられた。

 

青年はすぐにその意を汲み,大げさに二歩ほど後ずさりし,そして振り向き,飛ぶようにビルに向かって走り去った,微微は,彼が走りながら携帯を取り出すのを見た・・・そしてかすかに声も聞いた・・・

 

「・・・すっごい美人が来た・・・残念なことに老大の奥さんだ・・・来ない方がましだよ・・・」

 

微微の顔がこれ以上にないくらいに曇った,肖奈が慰める:「美術部だ,今後できるだけ遠く離れた方が良い。」

 

「・・・どう見ても演劇部なのに。」微微は小声でごちた。

 

モード系若者のおかげで,微微がオフィスに着く前には,肖奈が将来の女将を連れて出勤するニュースが致一をくまなく駆け巡った。微微のこっそり潜入計画が,見事に失敗に終わった。

 

 

肖奈は微微をオフィスまで連れて来たが,彼女に会社を案内するほど余裕はなかった,会社に着いたとたん呼ばれて行ってしまった。どうせ,微微の身には既に”肖氏所有”という見えない印が押されたのだから,彼としてはとっても安心できた。

 

彼とは反対に比較的余裕のある愚公が新人教育の任務に当たった。



シンデレラはオンライン中/微微一笑 118

三十分程後,チャイムが鳴った,微微が走ってドアを開ける,相手に全く話す時間を与えずに,微微は瞬時につま先立ちして作ったばかりの紙の帽子を彼の頭にかぶせ,それからキッチンまで押し込んで,雑巾を一枚手渡した。

 

「キッチンを掃除してね,終わるまで出てこないでよ。」

 

それからすぐに寝室の窓掃除に戻った。

 

肖奈は雑巾を手に,キッチンを見まわし,笑って首を振ってから,掃除に取り掛かった。

 

どうやら尻尾を踏んでしまったようだ,機嫌を取るべきか,取らざるべきか,もしくはもう少し踏んでみる?ぷんぷんと怒った様子の彼女は実に面白い。

 

某氏の千金に値する脳が,そうして,この不毛な問題について,真剣に動き始めてしまった。

 

五時過ぎになって,部屋は漸く人が住めるようになってきた,微微はきれいになった部屋を見まわし,達成感を感じてた。

 

ちょうどその時,肖奈もゴミ袋を手に客室から出てきた。キッチンを片付け終わった彼は,客室の掃除を微微にさせられていたのだ。二つの部屋の整理を終えて,いかに超然な肖奈であっても,顔にはいくらか汚れがついてしまっていた,微微が作った帽子も少し斜めになってしまっている,それでもなおイケメン気質が残っているのは少々しゃくだけれど~~~

 

微微は彼を見て,噴出さずにいられなかった,胸にあった少しのやるせなさも笑い声に合わせてすっかり消えてしまった。

 

微微は彼を洗面所に押し込んだ:「先に顔を洗って,後で北京ダックを奢るから。」

 

暁鈴の家のすぐ近くに桂記北京ダック店があった,安くて美味しいことで名を知られている,二十数元を払うだけで北京ダックのセットが食べられた。半羽分の北京ダック,皮が一皿,肉と野菜炒めで一皿,さらに骨で煮込んだスープがついてくる,追加で二つほどおかずと果物を頼めば,二人が食べるに余りあるほどだ。

 

微微は掃除で疲れていたので,食欲旺盛だった,勢いよくテーブルに並んだものをすべて完食してしまった。お腹いっぱいになってお店を出る,出口についたところで,空が厚い雲に覆われ,雷が鳴っていることに気づいた,すぐにザーと暴雨が降り出した。

 

仕方なしにお店の中で雨が止むまで待つことにした。

 

暴雨は長く降らず,十数分で止んだが,しかし日中の熱気を一掃してくれた。歩きながら,微微は爽快な気分を感じ,空気が異様に爽やかで可愛く感じられた。

 

肖奈が空を仰ぎ見て,突然笑った。

 

微微は今日の自分がなかなか恥ずかしかったことを自覚しているので,自分を笑っているのではないかと疑っていた,彼の手を揺すって,「何を笑っているの?」と尋ねた。

 

肖奈は彼女に顔を向け,瞳には笑いがますます濃くなるばかりだった:「別に,ただ,君が来るだけで,天気さえもよくなるんだなって感じただけだ。」

 

ちょっと!

 

あまり人を誘惑しないでくれるかな!

 

微微は赤ら顔になり,鼓動が早まった,彼を睨みつける,しかし瞳の揺れ動き様が睨んでいるよりも,むしろ誘惑しているようだ。肖奈は耐えきれず,俯き,彼女の唇にキスを落とした。

 

瞬時に,微微は,遠く行ってしまった雷の音がまた戻ってきたように感じられた。こっ,ここは公道なのよ,くらっ,人に見られたらどうしよう。まさに“人に見られたら”を考えている時,誰かに見られたように感じた。

 

無意識に振り向く,四,五歳ほどの全く顔が同じ小さな女の子が二人,ツインテールをした,指を咥えて,まさに好奇な大きな目を,瞬きもせずに彼らに向けているところだった。

 

神様!微微は低く唸り,肖奈の手を引いて全力疾走し始めた。

 

肖奈はこの世に生を受けてからこれほどになりふり構わずに人に引かれて走ったことがなかったので,笑っていいやら泣いていいやらと複雑な気分だった。

 

「微微。」

 

「早く行こう,恥ずかしいから。」

 

全力疾走を少し続けると,微微は力が尽きてしまった,しかし,それでも肖奈の手を放さず,息も絶え絶えに牛の歩みの如く彼を引っ張った。雨に降られずにきれいな芝生まで辿り着いて,漸く,微微は彼の手を放し,芝生に崩れるように座りこんで,動かなくなった。

 

肖奈は彼女の傍らに座る。

 

しばらく,二人とも何も話さなかった。

 

雷雨の後の夕風が草木の淡い香りを運んできた,爽やかな雰囲気が人を酔わせる,もしくは,その多くが横にいる人の雰囲気なのかもしれない。微微は彼の横に座り,もう少し彼に近づきたい衝動を持っていることに気が付く,慌てて顔を背け,脇にある草を弄び始めた。

 

少し経って,思い出して尋ねる:「どうして突然帰ってくることになったのかは聞かないの?」

 

聞く必要はある?肖奈は視線で質疑する。

 

自惚れしないでくれるかな,早く聞いて!微微は視線で攻める。

 

肖奈が妥協する:「わかった,微微,どうして突然帰って来たの?」

 

満足する微微は応える:「実習するためなのよ,実家の方では適当な会社が見つからなくて。あなたの会社は実習生を受け入れる?」

 

肖奈は真面目に言う:「我が社の求人基準は高いよ。」

 

「・・・実習生になりたいってだけで,給料も必要ないのに。」

 

「うん,タダの場合はさらに慎重になる必要があるな。」

 

微微は2,3本雑草を拾って彼にぶつけた:「・・・いったいどういうつもりなの?」

 

肖奈は低く唸った:「私を篭絡する?」

 

厚顔無恥な!

 

だけれど,低い軒下にいるのだから,微微は頭を下げなければならなかった:「それじゃ,後で夜食を奢るから?」

 

肖奈はとても紳士的に拒否した:「悪いけど,夫人の色気以外,私は他の如何なる賄賂も受けるつもりはない。」

 

微微:「・・・」



シンデレラはオンライン中/微微一笑 117

Part 39

 

彼は,服を整えて出て行った。

 

扉が閉まる,微微にはソファに座る力さえ残っていなかった,扉に沿って滑り落ち地べたに座り込んだ,膝を抱え,耳まで赤くなったり,魂が抜けてしまったり,はたまたひどく思い悩んだりと忙しかった・・・

 

これしたりあれしたりと,手足に力が入らず,脳に酸素が行き渡らない状態を漸く脱した時には,時間はかなりすぎてしまっていた。

 

微微はバッと立ち上がった。まさかこんな風にここで彼を待つなんて,そんな従順なことをしてはいけない!それはまずい!やっぱり逃げた方が良さそうだ。

 

だけれど,オフィスの出口まで行って,脚を止めてしまった。

 

こうして逃げるのはおかしいわ。こういうこと,こういうことって本当はとても当たり前なことだよね,自分だってこっそり想像したし・・・ただあまりにも突然で,全く心の準備ができていなかっただけで,だからおバカな反応をしてしまっただけだよね==

 

もしこんな風に逃げてしまったら,あまりにも大げさでおかしいと思われてしまわないだろうか・・・

 

微微はオフィスの出口であーでもない,こーでもないと考えていた,行くのも変,戻るのも変,頭を悩ませてしまった。

 

進退に困っていると,牛肉飯に救われた。

 

エレベーターの扉が音を立てて開き,キャップをかぶった若い男性がビニール袋を提げて出てきた,周りを見渡し,最後に微微の前に立ち止まった。

 

「貝さんですか?」

 

微微は少し驚いて,頷いた。

 

「こちらはご注文の牛肉飯です,どうぞ,毎度ありがとうございます,15元になります。」キャップ男はビニール袋を彼女に差し出した。

 

牛肉飯・・・

 

考えなくても誰が注文したがわかった,本当は,ちゃんと聞こえていたのね。微微はビニールを受け取り,再び,耳まで赤面し,全身脱力した状態が現れた。

 

キャップ男はまだ支払いを待っていた,微微はポケットを探って,彼に百元を手渡した。

 

キャップ男は受け取らず,困ったように言う:「細かいのはないですか?」

 

微微は頭を横に振る,細かいお金はタクシーに使い切ってしまった。

 

「あの,誰かに借りられませんか,お釣りがないんです。」

 

誰かに借りる・・・まさか大神に?その考えが頭に浮かんで,すぐに微微に人道的に抹殺された。逆に突然閃き,微微は目を輝かせた,キャップ男に親切に声かけた:「それじゃ,一緒にお店に行って支払うよ。」

 

「それは・・・あまりにもお手間をかけてしまわないかな。」

 

「大丈夫よ,全然平気よ。」

 

微微は明るく言い,考えれば考えるほどそれがいい考えに思えた,スーツケースを引きずってエレベーターに向かう,数歩歩いてから振り向いた。

 

「ちょっと待ってて,メモ残してくる。」

 

スーツケースを引きずってもう一度オフィスに戻る。

 

キャップ男は彼女の後姿を見て,口を開いたが,喉まで出かかった「本当は,次に払ってくれればいいけど」という言葉を飲み込んだ。

 

肖奈がオフィスに戻った時,中には誰もいなかったが,パソコンのモニターにメモが一枚増えた。

 

メモを取る。

 

牛肉飯のオーダーをありがとう,だけど,細かいお金を持っていなくて,支払いを待ってもらうこともできないので,支払いをするために一緒にお店まで行くことにした。

 

署名は大きな笑顔が描かれていた。

 

肖奈の口端が少し上がった。

 

逃げたければ逃げればいいのに,言い訳があまりにも誠意がない。メモをファイルに挟んで,肖奈はそばにあった電話を手に取った,最近になって慣れ親しんできた番号を押す。電話の向こうに繋がった,肖奈は直接訪ねた:「どこにいる?」

 

微微は掃除をしていた。

 

貝微微の性格上,もちろん備えのない戦はしないのだ,戻る前にはすべて手を打っていた。まずは住むところを確保する必要があった。夏休みの前に居残る申請をしなかった微微は,学校に泊まることはできなかった,幸いにして,暁鈴お嬢様は学校の近くに部屋を持っていて,それを借りることができた,鍵は数日前に宅配ですでに受け取っていた。

 

暁鈴の部屋はA大に合格した年にご褒美として両親が買い与えたものだった,一人暮らしがつまらなく物足りないと考えた暁鈴はほとんど部屋に行くことはなく,だから部屋の至るところに埃がたまっていた,掃除してみるとかなり骨の折れる仕事だった。

 

肖奈の電話を受け取った時,微微は顔にも頭にも埃をかぶった状態だった。

 

携帯は明るい国歌を歌っていた。

 

微微は数秒間見つめてから応答した,鼓動が早い,だけれど,話し方はいつもと変わらない様子だ:「暁鈴の家で掃除しているのよ,学校は住めないから,彼女の部屋を借りることにしたの。」

 

「住所。」

 

「えっ,来るつもりなの,後でいいわ,今掃除しているところだから,汚いよ。」

 

「手伝いに行く。」

 

「えっ,いいわよ,貴方様の手を煩わせられないわ・・・」微微は言葉を尽くして,とにかく彼に今来てほしくなかった。

 

肖奈は少し沈黙して,机に寄っかかって,長い足を投げ出す,淡々とした口調で言った:「微微,もしかして恥ずかしがってる?」

 

微微:「・・・」

 

「宝桂花園17棟A1601,来るとき食器用洗剤を買ってきてね。」

 

一気に言い終わると,微微は急いで電話を切った。




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