
2013年、社会保険労務士法制定45周年を迎えました。そこで2014年の正月は、各都道府県の社労士会で記念事業が行われています。私の所属する埼玉県社会保険労務士会川越支部でも、きのう1月16日に記念講演が行われ、また川越市の「時の鐘」を蒔絵でデザインした多機能ペンを頂きました。そのような中、社会保険労務士制度について改めて考えてみました。
社労士は労務改善のアルゴリズム
労働社会保険諸法令は、改正が多く、専門知識が必要とされてきました。社会保険労務士は行政と企業、あるいは行政と国民の間の橋渡し役として、その役割を担ってきました。
しかし、こういった専門知識が一般常識になりつつあります。これは、我々社労士が努力したことも多少は寄与していますが、それよりも、インターネットの普及の成果の方がずっと大きいと感じます。グーグルで検索すれば、大方の労働基準は出ています。シロかクロか、誰でもすぐにチェックできるのです。社労士の出る幕ではありません。
こういった状況を踏まえると、今後社労士に期待される役割は、「優先順位を付けて、労務改善を提案できること」なのではないかと考えられます。特に遵法が難しい各中小企業において、「どこから手をつけるべきなのか」を提案する力、これは社労士の専門知識が大いに役立つところです。
また、どちらかと言えば企業寄りの役回りが多かった社労士ですが、徐々に、労働者寄りの役割も果たせるようになりました。「特定」社会保険労務士がその代表です。
「特定」社労士とは
過去10年くらいを振り返ると、社会保険労務士の新しい職域として、「紛争解決手続代理業務の獲得」が強調されます。この業務は、研修と試験をクリアし、「特定社会保険労務士」として付記登録を行った社労士だけが、実施できます。
紛争解決手続代理業務とは、労働者または使用者、どちらかの代理人となり、労働局によるあっせんや調停、民間ADR機関等に出席し、意見陳述することができます。一定の範囲ではありますが、業として報酬を得て、和解交渉を進めることもできます。
思えば、社会保険労務士法第1条に、社労士の目的の一つとして「労働者等の福祉の向上」の文言が見えます。この観点では、これまでは企業の労務管理を改善することで、労働者へメリットを間接的に提供するのが一般的なありかたでした。労働者個人に対しては、労働相談に応じることはできても、その事件にマッチした行政機関を紹介することぐらいしかできませんでした。
しかし、特定社労士は、もっと具体的な行動が起こせます。労働者の代理人となり、依頼人たる労働者の権利を守ることができます。解雇の金銭解決、労働者としての地位確認請求、不当な不利益条件変更の無効確認と金銭解決など、自主的な和解を促進することができます。
労働審判や裁判判決とは異なり、強制力が弱いと言われます。しかし、迅速・安価・非公開で解決できる制度ですので、企業にとっても火種を大きくしないことができます。近年はブラック企業報道が過熱していますから、このメリットは小さくないはずです。もしあっせん等を断れば、民事訴訟や労働組合案件に発展する可能性があります。会社としては恥部をさらすことになりますし、また対個人の案件が対従業員全体となってしまうことで、もっと大きなリスクを抱え、解決が難しくなります。
現状、特定社労士があっせん等に関与するのは発展途上の段階です。しかし、労働者が頼ることのできる存在として、今後、確実に活躍の場を広げることができると感じます。
アニメ「サザエさん」も45周年
45周年と言えば、「サザエさん」もテレビアニメ放映開始から45周年とのこと。年末に「サザエさん」を見ていると、なんとサザエさんが百貨店でエレベーターガールとしてアルバイトをしていたことが確認されました。非正規労働が彼女の設定にも及んだのは、時代を反映してのことではないか、と思います。
非正規労働歴に留まらず、そのうち、サザエさんが正社員として共稼ぎになるかもしれません。また家庭環境も変化し、核家族化、つまり、フグ田家と磯野家の別居もあるかもしれません。
解雇の金銭解決、ホワイトカラーエグゼンプション、同一労働同一賃金等、労働分野の懸案事項はたくさんあります。労働環境の変化は、少なからず家庭のありかたも変化させますし、その逆も然りです。社労士は「サザエさん」を良いお手本とし、生活に一部として認知されるよう、努力が求められているのではないかと感じます。私の一人の社労士として、労働分野でお悩みの方のお役に立てるよう、いっそう努力してまいります。
みんなの社労士高橋事務所
特定社会保険労務士 高橋広和
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