
私は2012年の春ごろ、「うつ状態」になりました。いわゆる「うつ病」ほど深刻ではありませんでしたが、それでもまともに働けない期間は半月、思い悩む期間は半年ほどに及びました。直接的な原因は家庭問題であったものの、労働環境や個人の趣味なども影響していたことがわかります。今回、うつを経験して実感したことを、改めてまとめてみたいと思います。「私はうつかも?」と思っている方にご覧いただければ、幸いです。
仕事・家庭・個人のバランス
よく新入社員研修で「仕事・家庭・個人、三者のバランスが大事」などと言います。私も新入社員研修の講師を担当していたため、この言葉は何度もお伝えしてきました。うつを経験すると、あらためてこの言葉の本質がわかります。
仮に仕事だけ過重になったとしても、個人や家庭に問題がなければ、なんとかなることが多いものです。しかし、仕事だけでなく家庭の負担も過重になり、さらにストレス発散の手段を失うと、加速度的に心のバランスが狂いはじめます。私のケースがそうでした。
私の場合、長時間労働となっていましたが、他の悩みがなかった時は、いくらでも頑張れました。しかし、家族サービスの時間を捻出するため、趣味の活動を休止しました。さらにその後、妻と不仲になりました。当然ですが、家庭にいづらくなるため、「仕事に打ち込めばよい」という選択肢になります。しかし、この直後にダメになりました。栄養ある食事はとらず、睡眠時間を削減し、仕事だけを行う生活など、持続するはずがありません。
意外と相談できる人がいない
私に限らず、うつになる原因として、仕事や家庭で問題を抱えるケースは多いのではないでしょうか。家庭問題の場合、まだ職場の同僚に相談できる場合もあるかもしれません。しかし仕事の問題は、家庭に持ち込むのは難しいでしょう。
仕事の問題は同僚にも相談しにくいものです。職場では常に「自分を評価する目」があり、あまりマイナス要素のある発言をしないように振舞うのが普通だからです。
学生時代の友人や知人など、利害関係のない第三者が話を聴いてくれればありがたいのですが、私の場合、自分から相談することはできませんでした。自らの問題を明かすことは、プライドを傷つけるものだと思い込んでいたからです。
結局、私の異変に気付いた大学時代のサークルの先輩が、私を救ってくれたのでした。同僚・家族以外に、利害関係なくグチをこぼせる仲間がいることは、救いとなります。
相談と言えば聞こえがいいですが、グチをこぼしたり、不満や泣き言を言ったり、その内実は非常にカッコ悪いものです。しかし、ネガティブな感情をしっかり吐き出すことが、早期改善につながったのは事実です。これは、「エモーショナル・ディスクロージャー」呼ばれる効果だと、後で知りました。
うつは、別の選択をする機会
うつになって相談にのってもらい、考えたのは、「このままでは、少なくとも自分自身は幸せになることができない」ということです。そこで、問題を一つずつ解決することにしました。
家庭問題は、妻との不仲が原因であったため、別居、離婚という選択肢を取りました。養子縁組した子もいたのですが、離縁しました。血縁関係がないとはいえ、一度は「養っていくんだ」と決めた子供たちとの別れは、本当に辛いものがありました。この事実を受け入れるための時間が、うつ状態でした。
職場復帰に当たっては、上司と協議して労働時間制限の取り決めを行いました。少なくとも労働時間が適正範囲であれば、休業を要しなかった可能性があります。
と同時に、私の中で「一企業に勤めるよりも、社労士として独立し、うつなど命に直結するような問題に対峙する方のお手伝いをできれば、その方が意義があるのではないか」という意識が大きくなっていることがわかりました。これも自分では意識していなかったことですが、相談し対話する中で、自然に出てきたことです。そこで、1年後をめどに独立を決め、現在、それを実現しています。
私にとっての「うつ状態」は、重要な人生の岐路に立たされたことだったのだとわかります。そういった意味では、私はうつを上手く利用できたのかもしれません。
改めて振り返ると、「相談」は重要なステップです。行政などの相談窓口は無料で相談できるところも多いようです。私も微力ながら、労働相談を無料で受け付けています。ぜひこういった利害関係ない窓口をうまく活用して、ネガティブな感情をしっかり吐き出してみて下さい。
みんなの社労士高橋事務所
特定社会保険労務士 高橋広和
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