菜穂子とはとっても長い間メールフレンドだった。OLらしいと言うことは判るんだけど、着付けとお茶の免状も持っているらしい。メール交換を初めてしばらくした頃、会ってみるかと聞いたんだけど、その時はにべもなくNGだった。それが、二ヶ月ほど前に誘ってみたらOKの返事が返ってきた。どういう心境の変化なんだろう。
最初は焼酎が飲みたいとか言ってたんで、心斎橋にある店にしようと思ってたんだけど、どうした訳か明日香鍋が食べたいと言うことになった。奈良に行けば明日香鍋が食べれる店も沢山あるんだろうけど、大阪で明日香鍋と言えば塚本にある『和庵』くらいしか知らない。明日香鍋というのは味噌仕立ての牛乳鍋で具としては鶏もも肉がメイン。
菜穂子とはJR塚本駅で待ち合わせした。茶色のリュックとジャケットが目印といわれていたので、すぐに見つけることが出来た。メンソールの目印はバラの花束だと伝えていたのに、メンソールがバラを手渡すととびっくりしてた。
『和庵』はJR駅を三和銀行側に降りるんだけど、商店街ではなくて一本東側の通り沿いにある。商店街に比べると暗い道なんだけど、そのくらい道がより一層暗くなったところに店がある。しかも階段を上がって二階に店があるので、余計に判りにくい。扉は奈良東大寺の千年杉。扉を開けて中に入って靴を脱ぐ。
出迎えてくれたのは細身で眼鏡をかけた、あまり色っぽくない女性(以下オリ
ーブ)だった。メンソールはどうも眼鏡をかけて色っぽくない女性に弱い....。
ううっ、ええなぁ〜、ぐふふっと想いながら、今日は菜穂子をエスコートしている身であることを思い出した。内装は昔と少し変わってた。照明は暗くなり、全体として落ち着いた雰囲気になっている。メンソールは一番奥の席に案内された。四人がけの広いテーブル。座布団は平たいものではなくて多少高さがあるもの。長時間座っていても足が痺れたりしないので良い感じだ。テーブルの上にはすでに鍋が用意してある。
オリーブがドリンクオーダーを聞きに来た。この店ではやっぱり庵主がセレクトした地酒を楽しむのが良い。「好みは?....」とオリーブが聞くので、「純米系で、しっかりどっしりしたやつ」と答える。出されたのは『常きげん』だった。石川県の銘酒『菊姫』の杜氏が菊姫を退職したのは知ってると思うけど、その人が作ったのが『常きげん』らしい。『上きげん』という似たような名前の酒もあるけど、メンソールが飲んだのは『常きげん』の方。いいお酒で、メンソール好み。
料理の方は先付け。出されたのは鶏の造りで、ささみのたたき風、ハツ、肝。小さい器に醤油が添えられていた。メンソールはまず何もつけずにたたき風を頂いた。白髪ねぎならぬ白髪ミョウガが乗せられていて、うっすらと味が付けられている。「私、初めてやからどうやって食べたらええかわかれへん」と、菜穂子が言うので、「好きなように食べたらええねん」とメンソール。「たたきは味が付いてるから醤油はつけへんほうがええで」と付け加えた。
続いてはしゃぶしゃぶ。薄切りにした鶏肉を鍋の中で泳がして食べる。鍋のだしは薄味で、牛乳が入っているにもかかわらず牛乳の匂いがしない。これなら牛乳嫌いの加護とかkeiとかも食べれるんじゃないかな。つけダレとしてはポン酢も用意されている。薬味は刻みねぎと紅葉おろし。結局メンソールは、最後まで薬味の刻みねぎと紅葉おろしを使わなかった。オリーブによると鶏肉は鍋のだしをそのまま、好みで柚胡椒をつけて、野菜類はポン酢で....、とのことだった。メンソール的にはポン酢はきつすぎるんじゃないかと思った。ポン酢は飲んじゃったけどね。ちょっと量が多かったような気がする。途中でちょっと飽きが来た。朝締めの大和地鶏だそうで、生でも食べれるということだったんで、メンソールはしゃぶしゃぶにせずに生でも食べさせてもらった。歯ごたえはばっちり、淡泊な中にも味わいがある。
続いて明日香鍋。もも肉、白菜、菊菜、シメジ、シイタケ、エノキ、油揚げなど....。日本酒は三種類目。こちらも石川お酒で、銘柄は忘れちゃったけど、肴はいらんので、酒だけ飲んどきたいようないい味だった。「メンソール、お茶の心得はあるの?」と菜穂子が聞いてきた。「ないよ。どうして」とメンソールが聞くと、「手の動きがとっても優雅だから」と言うことだった。「優雅だったら心得があるということか?」とメンソールが聞くと、「作法なんてどうでも良いの。心映えなんよ。メンソールの手の動きを見てると、器とかテーブルとか料理とかに対して優しいのよ」との事だった。ふーん、そうなのか。「じゃ、メンソールと付き合ってみる」と聞いてみたけど、「それとは話が違うでしょ」と言われてしまった。
最後は饂飩で締め。鶏の味が充分に出ただしで食べる饂飩は、なかなかのものだった。だしと塩とちょっと砂糖とそれから牛乳だけというけど、薄味なんで、鶏のだしがしっかりと聞いた塩ラーメンのスープ的感覚になって。塩辛いんだど、飲み始めると止まらないという感じ。水物が出て、お茶が出て、それでも何度かだしだけ飲んだ。
庵主はメンソールのことを覚えていてくれて、一年三カ月ぶりですね....、と言われてしまった。もちろん来客者のメモを取ってあるらしいだけどね。くつろいでいるとオリーブがやってきて、「席替えしません....」とカウンター席に誘ってくれた。カウンター席に座ったのは初めて。なかなかこだわりの庵主で、日本酒は面白いものが沢山ある。飲んだのは、石川県が三種類。大阪府交野市が一種類、高知県が一種類、福井県が一種類。菜穂子は「私飲めないですから....」とか言いながら、それなりに飲んでいたような気がする。
メンソール的には、今の『和庵』の方が好みではある。店を出てから、菜穂子にメールを打った。メール打つより電話の方が絶対早いし手軽だと思うけど、なぜかメール打つのが流行。プッチモニの影響か?....。
(店 名) 和庵(なごみあん)
(ジャンル) 創作系居酒屋
(住 所) 大阪市淀川区塚本2-24-4 伊藤ビル二階
(電 話) 06-6303-2707
(営業時間) 17:00-11:59、但、売り切れ次第閉店。
(定 休 日) 不定休(予約がないときは休み)
(交通機関) JR塚本駅を下車、三和銀行側に降りる。徒歩90秒くらい
メニューは下記の四種類のみ。
・和コース(先付、向付、炊合、焼物、揚物、酢物) \3,500-
・庵コース(和コースに、ご飯、汁物、香物、水物) \5,000-
・てっちりコース
(先付、てっさ、てっちり、唐揚、雑炊、香物、水物) \8,000〜
・地鶏コース
(先付、しゃぶしゃぶ、明日香鍋、饂飩、水物) \3,500-
菜穂子とはJR塚本駅で待ち合わせした。茶色のリュックとジャケットが目印といわれていたので、すぐに見つけることが出来た。メンソールの目印はバラの花束だと伝えていたのに、メンソールがバラを手渡すととびっくりしてた。
『和庵』はJR駅を三和銀行側に降りるんだけど、商店街ではなくて一本東側の通り沿いにある。商店街に比べると暗い道なんだけど、そのくらい道がより一層暗くなったところに店がある。しかも階段を上がって二階に店があるので、余計に判りにくい。扉は奈良東大寺の千年杉。扉を開けて中に入って靴を脱ぐ。
出迎えてくれたのは細身で眼鏡をかけた、あまり色っぽくない女性(以下オリ
ーブ)だった。メンソールはどうも眼鏡をかけて色っぽくない女性に弱い....。
ううっ、ええなぁ〜、ぐふふっと想いながら、今日は菜穂子をエスコートしている身であることを思い出した。内装は昔と少し変わってた。照明は暗くなり、全体として落ち着いた雰囲気になっている。メンソールは一番奥の席に案内された。四人がけの広いテーブル。座布団は平たいものではなくて多少高さがあるもの。長時間座っていても足が痺れたりしないので良い感じだ。テーブルの上にはすでに鍋が用意してある。
オリーブがドリンクオーダーを聞きに来た。この店ではやっぱり庵主がセレクトした地酒を楽しむのが良い。「好みは?....」とオリーブが聞くので、「純米系で、しっかりどっしりしたやつ」と答える。出されたのは『常きげん』だった。石川県の銘酒『菊姫』の杜氏が菊姫を退職したのは知ってると思うけど、その人が作ったのが『常きげん』らしい。『上きげん』という似たような名前の酒もあるけど、メンソールが飲んだのは『常きげん』の方。いいお酒で、メンソール好み。
料理の方は先付け。出されたのは鶏の造りで、ささみのたたき風、ハツ、肝。小さい器に醤油が添えられていた。メンソールはまず何もつけずにたたき風を頂いた。白髪ねぎならぬ白髪ミョウガが乗せられていて、うっすらと味が付けられている。「私、初めてやからどうやって食べたらええかわかれへん」と、菜穂子が言うので、「好きなように食べたらええねん」とメンソール。「たたきは味が付いてるから醤油はつけへんほうがええで」と付け加えた。
続いてはしゃぶしゃぶ。薄切りにした鶏肉を鍋の中で泳がして食べる。鍋のだしは薄味で、牛乳が入っているにもかかわらず牛乳の匂いがしない。これなら牛乳嫌いの加護とかkeiとかも食べれるんじゃないかな。つけダレとしてはポン酢も用意されている。薬味は刻みねぎと紅葉おろし。結局メンソールは、最後まで薬味の刻みねぎと紅葉おろしを使わなかった。オリーブによると鶏肉は鍋のだしをそのまま、好みで柚胡椒をつけて、野菜類はポン酢で....、とのことだった。メンソール的にはポン酢はきつすぎるんじゃないかと思った。ポン酢は飲んじゃったけどね。ちょっと量が多かったような気がする。途中でちょっと飽きが来た。朝締めの大和地鶏だそうで、生でも食べれるということだったんで、メンソールはしゃぶしゃぶにせずに生でも食べさせてもらった。歯ごたえはばっちり、淡泊な中にも味わいがある。
続いて明日香鍋。もも肉、白菜、菊菜、シメジ、シイタケ、エノキ、油揚げなど....。日本酒は三種類目。こちらも石川お酒で、銘柄は忘れちゃったけど、肴はいらんので、酒だけ飲んどきたいようないい味だった。「メンソール、お茶の心得はあるの?」と菜穂子が聞いてきた。「ないよ。どうして」とメンソールが聞くと、「手の動きがとっても優雅だから」と言うことだった。「優雅だったら心得があるということか?」とメンソールが聞くと、「作法なんてどうでも良いの。心映えなんよ。メンソールの手の動きを見てると、器とかテーブルとか料理とかに対して優しいのよ」との事だった。ふーん、そうなのか。「じゃ、メンソールと付き合ってみる」と聞いてみたけど、「それとは話が違うでしょ」と言われてしまった。
最後は饂飩で締め。鶏の味が充分に出ただしで食べる饂飩は、なかなかのものだった。だしと塩とちょっと砂糖とそれから牛乳だけというけど、薄味なんで、鶏のだしがしっかりと聞いた塩ラーメンのスープ的感覚になって。塩辛いんだど、飲み始めると止まらないという感じ。水物が出て、お茶が出て、それでも何度かだしだけ飲んだ。
庵主はメンソールのことを覚えていてくれて、一年三カ月ぶりですね....、と言われてしまった。もちろん来客者のメモを取ってあるらしいだけどね。くつろいでいるとオリーブがやってきて、「席替えしません....」とカウンター席に誘ってくれた。カウンター席に座ったのは初めて。なかなかこだわりの庵主で、日本酒は面白いものが沢山ある。飲んだのは、石川県が三種類。大阪府交野市が一種類、高知県が一種類、福井県が一種類。菜穂子は「私飲めないですから....」とか言いながら、それなりに飲んでいたような気がする。
メンソール的には、今の『和庵』の方が好みではある。店を出てから、菜穂子にメールを打った。メール打つより電話の方が絶対早いし手軽だと思うけど、なぜかメール打つのが流行。プッチモニの影響か?....。
(店 名) 和庵(なごみあん)
(ジャンル) 創作系居酒屋
(住 所) 大阪市淀川区塚本2-24-4 伊藤ビル二階
(電 話) 06-6303-2707
(営業時間) 17:00-11:59、但、売り切れ次第閉店。
(定 休 日) 不定休(予約がないときは休み)
(交通機関) JR塚本駅を下車、三和銀行側に降りる。徒歩90秒くらい
メニューは下記の四種類のみ。
・和コース(先付、向付、炊合、焼物、揚物、酢物) \3,500-
・庵コース(和コースに、ご飯、汁物、香物、水物) \5,000-
・てっちりコース
(先付、てっさ、てっちり、唐揚、雑炊、香物、水物) \8,000〜
・地鶏コース
(先付、しゃぶしゃぶ、明日香鍋、饂飩、水物) \3,500-