ある日突然、カオルから電話が入った。
「ヤッホー、メンソール。どこにおるん」
「仕事中やでやで」
「大事な話があんねん。今から行ってもええかな」
「別れ話やったら、20年前に終わってるはずやで」
「....。また付き合われへんかな....、思て....」
「判った。待ってる」
「ヤッホー、メンソール。どこにおるん」
「仕事中やでやで」
「大事な話があんねん。今から行ってもええかな」
「別れ話やったら、20年前に終わってるはずやで」
「....。また付き合われへんかな....、思て....」
「判った。待ってる」
メンソールは、カオルを連れて『前菜屋』へ。店構えはワイン&イタリアンの店と言うよりは、なんか町屋風。言い方を変えれば、奇怪とまでは言わないが怪しげ。カウンターがメインの店で、カウンターの奥がキッチンになってるが、さらに奥にもキッチンがある。客席の方は奥には大人数用のテーブルがあって、半個室状態になってる。まずはトリビーで乾杯していると、隣にサラリーマンらしき二人組がやってきた。お勧めメニューに聞き耳を立てながら、カウンターバックにある大きな黒板に書かれているメニューを吟味する。
なぜか本能的にオーダーしまったのがシシャモのマリネとサーモン。他にはフランスパンとモツァレラとアンチョビのグラタン、鶏せせりのスパイシー串焼き、イチジクの刺身西洋ワサビ添え。
「メンソール、アコと付き合うてたんか」
「デートしたことはあるけど、アコはメンソールのこと、単なるメッシーやと思てたんとちゃうかな」
「アコとはSicksでよう会うけど、彼氏ができた言うて喜んどったで」
「そうか....。せやけど最近は忙しい言うて会うてくれへんで」
サーモンは脂がのって良い感じなんだけど、添えられているディルが風味を添えて独特な一品になってる。
「アコは、アメリカ行くんやて」
「そうか、それで忙しかったんやな」
「ごめん、メンソール。アコに、メンソールは私と付き合うてる言うてん」
「なんやそれ。付き合うてたことがありますやろ。かなわんなぁ」
「せやから、アコはアメリカ行くんとちゃうやろか」
「アコは、そんな神経の細いやつとはちゃうで。それに、自分で確認してみたらええやんか」
「電話かけてもでてくれへんし、メールにも返事返してくれへん」
「それは、こっちも同じや。もう、人の恋路をじゃましてどないすんねん」
グラタンは一口サイズのものだったけど、これがどえりゃーセクシーな一品。料理的にはハウスの「パンでグラタン」なんだけど、モツァレラ&アンチョビのソースが最高にキュート&セクシー。ソースはフランスパンでぬぐい取れるんで手間も省けて効率的。
「今さら、カオルの作り話です言うても、よけいに裏読みされそうな気がするな。ま、しゃーない。あきらめるわ。カオルも、もう忘れ」
「ごめん、メンソール」
鶏せせりスパイシー串焼きは、タンドリーチキンと同じような色をしてる。味の方はというと、鮮烈だった。スパイシーでそのあとから酸味が跳ね返ってくる。タンドリーチキンの酸味はヨーグルトだったと思うけど、もう少しはっきりとした酸味なんで、ワインビネガーかな。ものすごく良い感じ。
ラストはイチジクの刺身西洋ワサビ添え。半分にカットして、皮もむかれたイチジクがきれいに並べられており、その上に淡い緑色のホースラディッシュが乗せられている。小皿には醤油が入れられており、お好みでということだろう。フォークですくい上げて口へ運ぶ。口の中で、イチジクはとろけて崩れていき、それと同時にほのかな酸味と甘みが広がる。それと同時にホースラディッシュの優
しくて心地よい辛みが二重奏を奏でる。そしてほんのり軽く、ツーンと鼻に抜ける。もうクセになりそ。
そのあと、カオルをマンションまで送っていった。一階の駐車場でカオルが言った。
「ね、メンソール。キスして....」
軽いキスのあとカオルが言った。
「メンソールは、やっぱりキスが上手やわ。私がしてほしいと思ってるとおりのキスしてくれる」
カオルと別れたあと、メンソールはSicksへ。速攻でアコにメール打った。返事は返ってこないかもしれないけど....。
前後して、メンソールは顔見知りの常連から嗅ぎたばこを勧められた。嗅ぎたばこも何種類かあるんだけど、メンソールが受け取ったのは、仁丹のケースみたいなサイズで、穴が空いてて、そこから片方の鼻孔をふさいで一気に吸い込む感じで楽しむタイプのもの。横で見てるとコカインやってるみたいに見えないではない。吸い込んだとたんに、鼻孔から脳天まで刺激が突き抜け、刺激的なんだけど癖になるというか、深みがあるというか味があるというか....。その常連さんによると、ワサビで鼻がツンとなる感覚に似てるので、外国人で嗅ぎたばこ好きな人はワサビも好きになるらしい。ほんとかなぁ....。
帰り際に、メールの着信音が鳴った。アコからだった。
「カオルの話は、うそだってわかってたよ。アメリカ行きは元から決まってた出張だったんだけど、ちょっとカオルには意地悪しただけ。11月には帰るから、心配しないで....」
(店 名) 前菜屋
(ジャンル) ワイン&イタリアン
(住 所) 大阪市北区天神橋5-4-11 豊岡ビル一階
(電 話) 06-6135-2126
(営業時間) 11:30-22:00
(定 休 日) 第1、3火曜日
なぜか本能的にオーダーしまったのがシシャモのマリネとサーモン。他にはフランスパンとモツァレラとアンチョビのグラタン、鶏せせりのスパイシー串焼き、イチジクの刺身西洋ワサビ添え。
「メンソール、アコと付き合うてたんか」
「デートしたことはあるけど、アコはメンソールのこと、単なるメッシーやと思てたんとちゃうかな」
「アコとはSicksでよう会うけど、彼氏ができた言うて喜んどったで」
「そうか....。せやけど最近は忙しい言うて会うてくれへんで」
サーモンは脂がのって良い感じなんだけど、添えられているディルが風味を添えて独特な一品になってる。
「アコは、アメリカ行くんやて」
「そうか、それで忙しかったんやな」
「ごめん、メンソール。アコに、メンソールは私と付き合うてる言うてん」
「なんやそれ。付き合うてたことがありますやろ。かなわんなぁ」
「せやから、アコはアメリカ行くんとちゃうやろか」
「アコは、そんな神経の細いやつとはちゃうで。それに、自分で確認してみたらええやんか」
「電話かけてもでてくれへんし、メールにも返事返してくれへん」
「それは、こっちも同じや。もう、人の恋路をじゃましてどないすんねん」
グラタンは一口サイズのものだったけど、これがどえりゃーセクシーな一品。料理的にはハウスの「パンでグラタン」なんだけど、モツァレラ&アンチョビのソースが最高にキュート&セクシー。ソースはフランスパンでぬぐい取れるんで手間も省けて効率的。
「今さら、カオルの作り話です言うても、よけいに裏読みされそうな気がするな。ま、しゃーない。あきらめるわ。カオルも、もう忘れ」
「ごめん、メンソール」
鶏せせりスパイシー串焼きは、タンドリーチキンと同じような色をしてる。味の方はというと、鮮烈だった。スパイシーでそのあとから酸味が跳ね返ってくる。タンドリーチキンの酸味はヨーグルトだったと思うけど、もう少しはっきりとした酸味なんで、ワインビネガーかな。ものすごく良い感じ。
ラストはイチジクの刺身西洋ワサビ添え。半分にカットして、皮もむかれたイチジクがきれいに並べられており、その上に淡い緑色のホースラディッシュが乗せられている。小皿には醤油が入れられており、お好みでということだろう。フォークですくい上げて口へ運ぶ。口の中で、イチジクはとろけて崩れていき、それと同時にほのかな酸味と甘みが広がる。それと同時にホースラディッシュの優
しくて心地よい辛みが二重奏を奏でる。そしてほんのり軽く、ツーンと鼻に抜ける。もうクセになりそ。
そのあと、カオルをマンションまで送っていった。一階の駐車場でカオルが言った。
「ね、メンソール。キスして....」
軽いキスのあとカオルが言った。
「メンソールは、やっぱりキスが上手やわ。私がしてほしいと思ってるとおりのキスしてくれる」
カオルと別れたあと、メンソールはSicksへ。速攻でアコにメール打った。返事は返ってこないかもしれないけど....。
前後して、メンソールは顔見知りの常連から嗅ぎたばこを勧められた。嗅ぎたばこも何種類かあるんだけど、メンソールが受け取ったのは、仁丹のケースみたいなサイズで、穴が空いてて、そこから片方の鼻孔をふさいで一気に吸い込む感じで楽しむタイプのもの。横で見てるとコカインやってるみたいに見えないではない。吸い込んだとたんに、鼻孔から脳天まで刺激が突き抜け、刺激的なんだけど癖になるというか、深みがあるというか味があるというか....。その常連さんによると、ワサビで鼻がツンとなる感覚に似てるので、外国人で嗅ぎたばこ好きな人はワサビも好きになるらしい。ほんとかなぁ....。
帰り際に、メールの着信音が鳴った。アコからだった。
「カオルの話は、うそだってわかってたよ。アメリカ行きは元から決まってた出張だったんだけど、ちょっとカオルには意地悪しただけ。11月には帰るから、心配しないで....」
(店 名) 前菜屋
(ジャンル) ワイン&イタリアン
(住 所) 大阪市北区天神橋5-4-11 豊岡ビル一階
(電 話) 06-6135-2126
(営業時間) 11:30-22:00
(定 休 日) 第1、3火曜日