一年ほど前に、ケンカしてそれから音信が不通というわけじゃないけど、疎遠になってたナッキーと連絡を取って、仲直りに食事しようということになった。メンソールがナッキーを連れて行ったのが、中崎町にある『オリビエ・ル・フランソワ』だった。中崎町といえば大阪の下町を絵に描いたような町で、この店の前にも銭湯があったりする。そのギャップが楽しかったりするので、メンソールはナッキーを案内する振りをして、できるだけ銭湯の方に注意を向けさせておいて、店の前に来てからいきなり「ここだよ」っと言って、ナッキーの手を引いて店に入った。ナッキーはちょっとびっくりしたような声を上げたので、たぶんメンソールの作戦は成功したんだと思う。

 ランチタイムは12:30からだと聞いていたので、12:40ごろに行ったんだけど、ほぼ満席で、二人がけのテーブルがかろうじて空いていたという感じ。食事中も何組かやってきて、あきらめて帰ったグループも何人かいたから、ランチタイムも結構流行ってるんだろうと思う。

 ランチタイムのメニューは、パスタがメインになるカフェランチ、前菜&メインのパリジャン・ランチの他に、コースランチもある。ナッキーとメンソールが選んだのは、1,800円のパリジャン・ランチ。前菜はセレクトできたので、メンソールはエスカルゴでナッキーはパテ。

 「良い雰囲気の店やん」とナッキーがいう。「メンソールと付き合うようになって、初めての正月は『海老蔵』行ったんやったな。二年目はお好み焼きの『白兎』やった」、そこでナッキーは少し間をおいて、「三年目は油そばやったな。あの時は、しばいたろか思たわ」

 メンソールがエスカルゴ食べるのは、ものすごく久しぶりのことだった。エスカルゴといえば、ガーリックバーターで調理されて、殻が熱くなるので、専用のエスカルゴばさみで殻を押さえながら細いフォークを使って食べる。殻に残ったガーリックバターは、もちろんパンに吸い込ませて食べ尽くす。でも、やっぱり時代は流れるんだな。この日食べたエスカルゴは、オリーブオイルがメインで、バターも控え目ガーリックも控え目になってた。そしてバジル&パセリがふんだんに使われている。メンソールが、殻に残ったオリーブオイルをパンに吸わせていると、ナッキーの瞳が急に輝いて、「メンソール、それええやん」といって、自分のパンでもオリーブオイルを吸い取りに来た。そして、そのパンを口に入れると、嬉しそうに笑って「やっぱ、美味しいわ」と言った。

 メインはポークステーキ。カレー味に炒められたライスがあって、その横にはやや酸味のあるスパイシーな白いソースがかけられていて、ライスの上にポークステーキが乗せられている。ポークは塩&胡椒の単純な味付けなんだけど、ソースの味が巧妙というか複雑というか…。「えらいスパイシーやな」とメンソールが言うと、ナッキーも「ほんまや」と相づちを打つ。「ちょっと酸味があるのはサワークリームとちゃうかな。それから粒胡椒の量がすごいね」と続ける。このコメントには、メンソールも圧倒されてしまい、「すごいやん」と言ってしまった。そしたらナッキーが、「メンソールが教えてくれたんやん、いろんなこと…。私のことを可愛いって言うてくれるのはメンソールだけやし、私のことを真剣に気にかけてくれてるのはメンソールだけや。私の彼氏はメンソールだけやねん…」と一気に、静かな口調で力強く続けた。

 メンソールのラストは、エスプレッソ。ナッキーは紅茶。砂糖が変わってて、角砂糖なんだけど二個をまとめて紙で包んであって、見た目は消しゴムのようになってる。たぶん間違えて紙ごと使う人がいるんじゃないかと思ったりもする。

 「もう一年間もほったらかしにせんとってな」、ナッキーが言い。「大丈夫だよ」とメンソールが答える。「じゃ、仲直りの記念にホテル行こか?」とメンソールが聞くと、「アホか、メンソール。そんなこと言うからケンカになるんやろ」と怒られてしまった。

 その後メンソールは、ナッキーをつれて新しくできたパン屋『Pan de Smile』に行き、ナッキーはパンドミーを、メンソールはバゲットとエピと紅茶パンのサンドイッチを買って帰ったのでありました。


(店 名) オリビエ・ル・フランソワ(Restaurant Olivier Le Francois)
(ジャンル) フレンチ
(所 在 地) 大阪市北区中崎西1丁目8-24 アインズビル梅田一階
(電 話) 06-6374-9994
(営業時間) 12:30-14:00(ランチ)
      14:00-17:00(カフェ)
      17:30-22:00(ディナー)
      22:00-24:00(バー)
(定 休 日) 日曜日
(ウ ェ ブ) http://www.geocities.jp/restaurant_olivier/