1d79a6b6.jpg 心斎橋のカフェで、かをりと並んで座っていると、「よぉ、かおり。新しい彼氏ができたんか?」の声が後ろから聞こえた。こうした時に、振り返らないのが鉄則なんだけど、かをりの身体が、小さくけいれんするのが判った。もう一度後ろから、男の声がしたので、これはあかんなと思いながら立ち上がる。

 そこに立っていたのは、慎重190cmくらいはあるかと思える痩身の、阿部寛似の美男子だった。「俺の女に何か用か?」とか言いながら十分に距離をとる。十分に距離をとっておけば、ファイティングポーズとかとって、逆に相手を挑発してしまうこともないし…。そのまま、阿部寛似を中心にして90°くらい動いてみる。阿部寛似に仲間がいれば、メンソールに動きに合わせて動くヤツがおるはずなんだけど、そんな気配はなかった。で、詳しい経過は省くけど、阿部寛似には、穿山靠で飛んでもらった。

 先ほどと同じように、少し震えながら座っているかをりの肩に手を置いて、「串カツでも食べに行くか?」と、メンソールが聞いた。「ううん、イタリアンがいい」と、かをりが答えた。

 あっ、そう。イタリアンね。と思いながら、山本通にある『Bianchissima』へ。なぜ、いきなり心斎橋から神戸に飛ぶかについては、聞かないでほしい。この店は、コース料理なしのアラカルトのみ。そして売り物は大型ワゴンに15種類以上の料理を並べて登場するアンティパスタ。その中からセレクトできるんだけど、こういう出し方をされると、あれも、これも、それも、すべて食べたくなってしまうから不思議だ。もちろん、全種類を盛り合わせにすることも可能だと思うんだけど、それをやると、次のパスタとかメインとかに手が出なくなると言うか、胃の容量をオーバーしてしまう可能性が大なので、ペース配分を考えて、自家製ソーセージ、魚介類のマリネ、ムール貝など6種くらいをセレクトする。


 パスタは四種チーズのリゾットを選んで、ラストは猪の煮込み。猪肉は、しっかりと煮込まれていて、独特の獣肉臭さは全くない。言われなければ猪肉とは判らないと思う。

 で、圧巻は大型ワゴンで供される10種類以上のデザート。こちらも好みでセレクトできる。メンソールが選んだのが、リコッタチーズにサンブーカというリキュールをかけ、コーヒーパウダーをかけて仕上げたシンプルなもの。サンブーカは、メンソールや大橋巨泉が大好きなリキュールなんだけど、シンプルなんだけど、ものすごく癖になる一皿。盛り合わせたのが、パスタの生地にリンゴを巻き込んで焼いたデザートで、こちらも初めて食べる味で、アップルパイのようなんだけど、パイ生地のようにサクサクではなくてモチモチしてる。あとリンゴもシャキシャキ感が残っていて、不思議な感じがする。


 で、この店はカップルで行っちゃだめだ。4人以上で行って、ワゴンに乗せられたアンティパスタは全種目、デザートも全種目制覇すべきだと思う。もちろん、アンティパスタを全品制覇して、パスタとメインをスキップして、デザートを全品制覇という食べ方も面白いと思うけど、それでもかなりボリュームオーバーになるような気もする。



(店  名) Bianchissima(ビアンキッシマ)
(ジャンル) イタリアン
(所 在 地) 神戸市中央区山本通3-3-5
(電  話) 078-262-7717
(営業時間) 11:30-14:30、17:30-22:00
(定 休 日) 火曜日
(補  足) 全席禁煙