025d70ec.jpg 夏見から乃南を預かった直後くらいから、夏見と連絡が取れなくなった。たぶん、極秘の任務なんだろうと思ってた。そんな夏美から「メンソール、飲みに行こ」と、連絡が入った。だいたい夏見が飲みに行こうと誘ってくるときは、何か面倒なことを頼んでくるので、毅然とした態度で、断ろうと思ってはいた。
 
 待ち合わせ場所にやってきた夏見は、珍しく素面だった。夏見は、寝てるとき以外は飲んでるので、素面と言うことはよほどクリティカルな任務が入ってたんだろう。夏見に案内されて、裏路地にある隠れ家な店へ。「大将、熱燗ね」と、勝手にオーダーした。ま、夏見はメンソールを上回る飲み手なので、任せておいて間違いはないが…。
 
 「夏見、極秘任務とかやったんか?」
 「どうして?」
 「携帯がつながらなかったから…」
 「あっ、バッテリーが上がってたの。ごめんね」
 
 バッテリーが上がってたって、そんな言い訳があるわけないだろう。第一、携帯なしでは仕事にならんだろう…。
 
 「ところでメンソール、乃南に何したの?」
 「何って、別に…。ごく当たり前のことを教えただけやけど…」
 「ふ〜ん、そうなの…。あっ、大将、熱燗のお代わりね。で、乃南がね、えらくメンソールのことを気に入ったみたいなの」
 「へぇ、そう…」
 「呼んでいい?」
 「いいけど、呼ぶなら場所を変えよう」
 「そうなの…。あっ、その前に。大将、熱燗ね」
 
 と、いうことで、福島。2008年6月頃にグランドオープンした『森ん家』へ。、ママ、と言うよりは母もいるんだけど、美女三姉妹もいるので、ちまたではキャッツアイとか言われたりしてる。メンソールと夏見はカウンターへ。この日は年に一回だけの沖縄デーだったので、泡盛が安くなっていて、沖縄料理がメニューに加わっている。
 
 「メンソール、久しぶりね」と、長女が挨拶してくれる。
 「へぇ…、相変わらずいい店、知ってるのね…。私、残波ね。それから、豆腐ようとミミガー」と、夏見の方も相変わらず勝手にオーダーする。30分もたたないうちに残波のロックを2杯飲み干すと、「じゃ、私はこれで…。メンソール、のなみをよろしくね。それから、いつもごちそうさま。いつもありがと」と言って、帰ってしまった。をぃ、呼び出しといてメンソールが払うのか…、と思ったが、いきなりフックの逆襲を食らうのもいやなので、おとなしくしてた。
 
 そうこうするうちに、のなみがやってきてメンソールの横、ついさっきまで夏見がいた席に座った。
 
 「久しぶりやな、乃南…」
 「おひさしぶりです、メンソールさん。あの…、色々とありがとうございました」
 「まぁ、乾杯しょ」
 
 と、促すと、のなみは泡盛のロックをオーダーした。「それから、これとこれ、頼んでもいいですか?」と聞かれたので、メンソールは「いいよ」と答える。このあたり、夏見とはえらい違いだ。
 
 蓮根は、和風かと思ってオーダーしたらしいんだけど、なにげにイタリアンな味付けで、バルサミコ酢とかも使われてたりする。蓮根を輪切りにしてないところもグッド。
 
 「メンソールさんって、突然にいなくなっちゃうんだから…。連絡先も教えてもらえなかったし…」
 「夏見とは2週間の約束やったからな。それに、なんぼ夏見の紹介でも、簡単に素性を明かすわけにはいかんからな」と、メンソールが答える。「ハニーポットでないという確証もないし…」という言葉は飲み込んだが…。
 「あの…」と、いってのなみが言葉に詰まった。
 「また連絡するよ」と、メンソールが答えた。
 「ホントですか?、じゃ、連絡先を…」と、言おうとするのなみを、メンソールが遮った。
 「知ってるよ。さっき夏見が電話したときにディスプレイを盗み見たからな。ちゃんと頭に入ってる」
 
 で、メンソールはさらに焼酎のロックを2杯。のなみも2杯。「メンソールさん、ハイピッチですね。お連れの方も…」と言われたが、これだけとちゃうねん。夏見と熱燗四合も飲んでんねん。その前はワイン&チーズのセミナーやったし…。限界を超えてるような気もするし…。
 
 メンソールは、店の前でのなみと別れて帰宅。案の定、翌日はひどい二日酔いで、一日中伏せってた。
 
 
 
 
 さて、旬の素材を活かした日替わりメニューと、日本酒&焼酎がウリ。ちなみに、次女と三女を間違えると、次女は喜ぶが三女が膨れるので注意しよう。あと、三人とも熱狂的なタイガーズファンらしい。毎年11月1日は沖縄デーとなるらしい。
 

(店  名) 森ん家(もりんち)
(ジャンル) 居酒屋(旬彩料理)
(所 在 地) 大阪市福島区福島8-16-23
(電  話) 06-6451-7307
(営業時間) 17:00-23:00
(定 休 日) 日祝