史絵

再会(ながほり/上町)

2008年09月10日23:28
e10e03ed.jpg 史絵とは、もう会わない方がいいんだろうな…。メンソールはそう思ったメンソールは、史絵への恋心を封印した。しばらく連絡も取らなかった。そしたら史絵から「メンソール、どうしたん?」と、メールが来た。「メンソールは、史絵が好きやから…」と、返すと、「お馬鹿さんね。誘って…」と、メールが来た。
 
 「昔みたいに誘ってええんか?」
 「うん、連れ出して…」
 「日本酒って、大丈夫やったか?」
 「日本酒は、大好き」
 
 地下鉄の玉造駅で史絵と待ち合わせた。そして、上町に移転したばかりの居酒屋、『ながほり』へ。エントランスから入り口まではそれほど距離はないんだけど、蹲があったりする。店に入ると長いカウンター(12席)があって、奥にはテーブル席(8席)がある。予約していたメンソールは、カウンターの中程に案内された。で、トリビー…。メニューはA4サイズの紙に書かれていて2枚あった。
 
 「私、タコ、大好き。タコが食べたい」と、はしゃいだ。「今日の造りは?」とメンソールが聞くと「盛り合わせにしましょう」と返されたので、そのまま盛り合わせに…。プラスお勧めの箱雲丹。『手羽先だ』と言うメニューがあって、気になったのでそれをオーダー。名前は忘れたけど、食べたことのない野菜の名前を見つけたので、それもオーダー。それ以外にも、店の人とあれこれ相談しながら何品かオーダーした。
 
 「メンソール、私ね。ビールが飲めるようになったの」と、史絵が言う。あら~、ビールあかんかったんか…、と思いながら、必死で話題を変える。
 
 「史絵って、前より可愛いくなってるし、きっと幸せなんだな」
 「そう?。うれしいわ」
 「メンソールは、史絵が大好きやし、大好きな史絵と、こんな素敵な店で食事ができて、ものすごく幸せや」
 「ふふっ、メンソールって相変わらずプレイボーイね。イタリア人なんかな?」
 「それはイタリア人に失礼やと思うで…」
 
 蓮根は、ほぼそのまま焼いたもの。メンソールは残っていた雲丹を乗せて食べてみた。「メンソール、それ、贅沢な食べ方やね」と、史絵が言い、「軽く醤油をつけた雲丹を乗せると、不思議な味がする」とも言った。
 
 水なすは、浅漬けとかで食べることが多いので、今回初体験の煮浸しはちょっと不思議な味わいだった。食感はそのままなんだけど、ダシの味が仄かに広がる感じ。手羽先も、普通の手羽先に見えるんだけど、焼き具合が絶妙というか、なぜか旨い。もちろん素材はよい物が使われている。
 
 「私ね、メンソールのエスコートががとってもきもちいいの」
 「メンソールが好きというわけとはちゃうのやな」
 「メンソールはね、下心のないプレイボーイかな。私にとっては…。本気で口説いてるとは思えないの」
 
 う~ん、不思議だ…。
 
 その後、つくねと、モツサラダをオーダーした。このつくねがめっちゃ旨いこと…。日本酒は6~7種類くらいなんだけど、店主の好みが揃えられてる。今回はやらなかったけど、どの酒も燗に応じてくれる。
 
 「あ、それからね。眼鏡をかけてる男の人に萌えるの。前に会ったときは眼鏡かけてなかったでしょ。今日は、眼鏡だから、ちょっと萌えてるの」
 「萌えてるんやったら、そのまま惚れたらええんとちゃうの?」
 「それはだめ。プレイボーイは恋愛対象にならないわ」
 
 それから、店を出たメンソールは、史絵を駅まで送っていく。実は、後半、どういう流れからか深刻な話になって、人気のない夜道で、献肘と頂肘を披露したりした。人気のない夜道でキスができなかったのが残念なような気もするが…。
 
 
 さて、『ながほり』と言えば最強の居酒屋という称号がふさわしいんじゃないかとも思ったりしてます。定義が明確ではないんですけど居酒屋であって割烹じゃないような気はします。なぜそう感じるのかは判らんのですけど…。アテはおなじみの居酒屋メニューから高級素材まで幅広い。値段にして450円くらいから5,000円くらいまで。メディアに露出したばかりなので、予約は必須。全席禁煙。で、一回転では店が維持できないとかで、二時間程度で次の客に席を譲ってほしいとのこと。メンソールも、電話予約したときに確認された。あと、ものすごく気持ちがいいのが、客を名前で呼ぶことかな。「料理上がったで。3番カウンターや」というのはよく聞くんだけど「料理上がったで。メンソールさんとこな」と、客を番号で呼んだりしない。考えてみれば当たり前のことのような気がするんだけど、すごいと思うな。
 
 


(店  名) ながほり
(ジャンル) 居酒屋
(所 在 地) 大阪市中央区上町1-3-9
(電  話) 06-6768-0515
(営業時間) 17:00-23:00
(定 休 日) 日祝

偶然会えたら(クゥー・ド・ヴァン/ワイン&ビストロ/天満橋)

2007年09月16日00:20
 偶然見つけて、チェックをいれていた店。外装はビストロのように見えなくもないけど、中をのぞき込んでみると、今流行のリュクスな感じのする店内。なので、バルのように気軽に使える店ではないようなイメージを持ってたんだけど、一度は行ってみるとバルのようにも使える。バルでカウンター席となると、ほぼ間違いなくメンソールはストゥールには座らずに立ったままなんだけど、バルと言うよりはビストロよりの、こちらの店ではしっかりと座ってしまうし、その方がしっくり来る。

 この日、店の前にはカラーが飾られていて、それを見た史絵が、「私、カラーも好きなんだ」と、言いながら、「それは良かった」と、言いながら、カラーの横の扉を開ける。そして、案内されるままカウンター席へ。入り口から見て左側には、大きな黒板があってそれがフードメニューになってる。店の中央にもテーブルがあって、そこには白ワインやスパークリングワインがクラッシュド・アイスにつっこまれている。ステンレス製のワインクーラーはもちろん磨き上げられているし、テーブルやカウンターも光沢が出るほどに磨き上げられている。可愛い感じに作られているビストロとかになれてると、違う雰囲気が味わえる。

 ワインリストを見ると、ほとんどが6,000円以下。グラスワインも30種類くらい用意されていて、だいたい1,200円くらい。ちなみにソムリエは、神戸の『オー・ベック・ファン』の出身。

 ワインの方は、好みを伝えてソムリエにお任せして、フードの方はチーズの盛り合わせをオーダーする。もちろん、ウォッシュや青カビが好きだと付け加えるのは忘れなかった。

 フードの方も、1,200〜2,000円くらいとリーズナブル。しかも、隣のフレンチレストラン『クゥー・ド・フランス』から運ばれてくるので味は確か。ちなみに、『クゥー・ド・フランス』は、以前『ポンテ・ヴェッキオ』があった場所にある。

 史絵は、ウォッシュチーズを食べて「うぁー、すごい」と言い。ワインを飲んで、「この前のとぜんぜん違う」と驚いてた。

 「今度また偶然に会えるとしたら、どこに行く?」と聞いてみたら、「えぇー、偶然なんだ…」と、笑いながら「メンソールの気になっている店に行こ。肥後橋の…」と、言った。「わかった、じゃ、偶然会えたら肥後橋ね」と言って、手を振った。


 さて、使い方が難しいと思う。いわゆる大人の店かな。とにかくデートで、フレンチかイタリアンをコースで…、と思ってるなら外した方がいい。逆に、フードを先に決めて、ワインはソムリエに下駄を預けてみるとか、お気に入りのワインをボトルでオーダーして、それに合わせてフードを選ぶとかの使い方ができるなら、かなり使いやすいし、気軽に行ける。語弊をおそれずに言うなら、客を選ぶ店だな。つきあいの長いカップルが、あれこれ相談しながらオーダーを決めていくのもいいだろうし、一人で立ち寄ってグラスワイン&アラカルトも良い。なんと言っても、グラスワインとフード類の充実度の高さが魅力。なお、ビオ度はそれほど高くなさそう。

 自信がある場合は別として、つきあい始めたばかりの彼女を連れて行く場所じゃないような気はする。大人の社交場というのは言い過ぎだけど、カジュアルでないことは確か。
度胸を決めていくか、彼女を連れて行くなら、一度下見しておきましょう。




(店  名) クゥー・ドゥ・ヴァン
(ジャンル) ビストロ・バー
(所 在 地) 大阪市北区天満1-5-2
(電  話) 06-6351-4088
(営業時間) 11:30-14:30、17:00-22:30
(定 休 日) 無休
(ウ ェ ブ) http://coeur-de-france.jp/vin/vin.html

奇跡(ビストロ・ド・ヨシモト/中津)

2007年09月03日15:32
ヨシモト


 かなり前に、初めて会ったときからメンソールの琴線を鳴らす娘がいた。ちなみに、琴線には触れるものであって鳴らすもんじゃないことはメンソールも知ってる。でも、『琴線に触れる』よりは『琴線を鳴らす』の方が直感的にイメージがわいたりしないか?。

 そんな史絵とつきあえたらいいなとか思ってて、ことある毎に「一緒に○○しないか?」とか「今度一緒に○○に行かないか?」とか誘ってたんだけど、けんもほろほろ鳥というか、全く興味はないと言うか、メンソールなんてアウト・オブ・眼中な感じだったので、半年間だったか一年間だったか、もっと長くだったかは忘れてしまったけど、史絵のことは考えないようにしてた。ところが何か、空気の違いというかフォースの乱れというかを感じ取ったので、「食事、一緒にどう?」と誘ってみたら、「行く行く。フレンチかイタリアンな気分」と、返事が返ってきた。返事が返ってきたのは良いが、居酒屋計ならともかくフレンチやイタリアンはちらり難しい。四点くらいリストを作って渡すと、彼女が選んだのは『ビストロ・ド・ヨシモト』だった。「ウェブで検索して調べてみた」と言うことで、検索しても出てこなかった店はオミットしたらしい。何度かやりとりする中で、ワイン好きらしいことが解ったので、ビオワインなら『キュイエール』か「DAIGAKU」と言うこともちらり頭をかすめたりしたけど、マキコレも取りそろえがある『ビストロ・ド・ヨシモト』へ。
 
 『ビストロ・ド・ヨシモト』については、特に説明の必要はないと思う。ないと思うけど書いとくと、吉本シェフは、『ラ・クロッシュ』の出身。外装&内装は、いかにも女性たちが好みそうなメルヘンチックな、『ビストロ』を絵に描いたような感じ。照明とかもやや薄暗い目に押さえてあるので、デートなんかに使うのもよさそう。店には行って右手側がカウンター席で、左手側に進むとテーブル席がある。カウンター席は、カウンター面がタイル様の素材でできているので、ワイングラスをクルクル回すときに、一瞬の躊躇と遠慮が入る。で、結局、グラスに傷が付かないようにグラスを持ち上げてしまう。フレンチやイタリアンの場合、和食とは異なり、いったん置かれた皿を異動させることはマナー違反なので、このあたりは全然気にならないが、持ち上げたり下ろしたりを繰り返すワイングラスは、気になる。あと、カウンターの正面に鏡が埋め込まれていることについては、メンソールはそれほど気にならなかった。口元が映る訳じゃないし、もっと楽しい物が映るので…。カウンターには、いろいろと小物が配してあったりするので、そのあたりも女性好みなのかもしれない。
 
 ディナーコースは3,500円のムニュ・ルポからあるけど、今宵のメンソールは、5,000円のムニュ・プレジールをオーダーした。他に、シェフお任せの7,000円のムニュ・デキスタシオンもある。もちろん、アラカルトでのオーダーも可能となっている。ワインの方は、ブルゴーニュ系にしようかランドック系にしようかを悩んだ末に、ボルドー系にするという大逆転なセレクトとなった。もちろん、マキコレを選んだことは言うまでもない。
 
 ムニュ・プレジールの方は、まずはアミューズで、生ハム&葡萄スライス。生ハムと言えば、判で押したように生ハム&メロンが出てきて、あまりおいしいという印象はなかったんだけど、生ハム&葡萄スライスは、意表をついた上に、葡萄スライスのみずみずしさが口いっぱいに広がって、しかも生ハムがそれをじゃましないという不思議な感覚があった。
 
 プレフィックスになっているので、オードブルはセレクトできる。メンソールはズワイガニとトマトを使ったものをオーダーした。続く魚料理は穴子。セルクルで固めて、下から穴子、麦、フォアグラがミルフィーユ仕立てになってたと思う。で、この穴子がどえりゃーうまい。上に乗せられているフォアグラもそれなりに脂分があるが、フォアグラの動物系とは異なる魚系の脂の旨味が主張してフォアグラに対抗してる。負けてない。さらに、フォアグラのさっくりと穴子のふんわりの微妙な食感の違い。それがまた心地よいハーモニーで溶け合い、穴子のワタを使ってあるのか軽い苦みが後から追いかけてきて、それが心地よいというか、次の一口を急がせるというか、セクシーでワンダフルな一品だった。もう、これだけで満足。
 
 続いての魚料理は、先の穴子料理ほどの感激はなかったけど、定番の一品という感じ。白身魚の皮をしっかりと焼いてあって、ザウワークラウト風な味付けの添え付けとが柔らかく調和する良い皿なんだけど、穴子が強烈すぎて…。
 
 肉料理も数品の中からセレクトできる。メンソールが選んだのは、カタルーニャ・ポークを使った料理。日本では、カタルーニャというよりやカタロニアというと思うが…。比較的素直なポークのグリル料理なんだけど、八角茴香の香りがありオレンジソースの味がする。添え付けの野菜も、ベビー・コーンとかブロッコリーとか、あまり手をかけてないもので、それが逆に素朴にストレートにポークの味をサポートしてるような感じ。ポーションは大きめだと思うけど、あっさり軽口なので、するっと食べれてしまう。
 
 続いてはデザートなんだけど、メンソールはチーズをオーダーしてみた。通常は、好みを聞かれるはずなんだけど、何も聞かれず。出てきたのはフレッシュと白カビだった。「わし、ウォッシュかブルー、食いたいんやけど…」とは思ったけど、ライト系のフレンチにはライトなチーズとライトなコーヒーが合うんだろうなとは思う。
 
 デザートのセレクトできて、メンソールが選んだのはバジルのアイスクリーム。いや、バジルなんだわ。本当に。バジルが主張するんだわ。
 
 パンは一種類のみ。追加すると200円かかる。クラストはパリパリで、クラムの色がやや灰色っぽく見えたので、ライ麦パンかと最初思ったんだけど、酸味はあるものの、それほどのもちもち感はなかった。と言うことは、天然酵母パンかな。フレンチやイタリアンを食べるときって、結構な量のパンを食べるメンソールとしては、加護のパンが少なくなったら補充してほしい気はする。あと、フロアは決して悪くないというより、言葉遣いも態度も良いんだけど、若干アウェアネスが低いような気がする。テーブル席に取られてしまうのか、カウンター席が盲点になってしまう時間が比較的長い。店の構造がテーブル席とカウンター席で分離されたような形になってるので、フロアとしてのアウェアネスが分断されてしまうようなところはあるんだと思う。ただ、チーズからデザートが出るまでの間が空いたのは、アウェアネスではないような気がする。何か考えるところがあったんだと思うけど、なんだろう?。しかし、厨房の人口密度は高いな。
 
 グランド・オープンは2006年3月。未だに週末は予約が取りにくい状態が続いているらしいので、週末に行くなら予約は必須と思って良い。若干ライト系だと思うけど、味の方は濃厚でセクシーな感じ。カウンター席でも、比較的余裕があるように思うので、隣の客のことはあまり気にならない。気になるなら正面にある鏡でチェックすればいいし…。
 
 
 「あのさ、史絵」と、メンソール。「今日のことは、奇跡みたいに感じてるんだけど、また奇跡は起こるのかな?」と、問いかけてみる。「奇跡とか偶然とかは、起きるもんじゃなくて起こすもんなんでしょ、メンソールとしては」と、史絵が返してきた。「奇跡、起きると思うよ。メンソールが、起こそうとすれば…。きっとね」
 
 史絵は、横断歩道を少し渡ったところで振り返って、「今度、連絡するね」と微笑んだ。しばらくしてから、メンソールの手には、シメイ(ホワイト)が握られていたりした。シメイの専用グラスを置いてない店だったので、普通のビア・グラスだったが…。やっぱり、こんな日は一人で乾杯しないとね。
 

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(店  名) ビストロ・ド・ヨシモト
(ジャンル) フレンチ
(所 在 地) 大阪市北区中津1-5-3
(電  話) 06-6377-5513
(営業時間) 11:30-14:00、17:00-21:30
(定 休 日) 月曜日
(ウ ェ ブ) http://yosimoto.nomaki.jp/
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P.S.1. マキコレ
 金井麻紀子がセレクトしたワインのこと。金井麻紀子コレクションを略してマキコレという。ワイン好きの間ではかなり有名らしい。メンソールは、ごく最近まで知らなかったが…。さらに詳しく知りたい場合は、http://r.gnavi.co.jp/k634300/menu6.htmなどを参照してください。
 
P.S.2 けんもホロホロ鳥
 けんもほろろが正しい日本語です。『ケーン』も『ホロホロ』もキジの鳴き声なので、ホロホロ鳥はなんの関係もありません。わけわかめのとろろ昆布とかと同じく言葉遊びですので、気にしないでください。



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