料理
2009年10月13日
スローライフ2
前回に引き続き、スローフード、タンシチューのお話です。
1.8kgもある牛一匹分のタンを自然解凍させるにはそれなりの時間がかかります。
この間に、まだまだ続く色々な行程を少しずつ進めていくことにしました。
目に楽しい料理本
今回私が参考にしたレシピは、
東京神楽坂でフレンチレストランを開いている斉藤元四郎さんのレシピ。
もう随分前のものですが、彼の著で「お箸でフレンチ」という料理本があります。
今でこそ、当たり前のになりましたが、
和の食材とフレンチをうまく調和させた
ヌーベルクイジーヌが美しく紹介されている本です。
ざっと目を通す限り、面倒くさそう・・・なんて思いがちです。そして、確かにとっても手と時間とお金がかかるお料理が多いかも。
それでも、当時、とても美しい写真とおいしそうな料理に惹かれ、この本を購入。その後、“うっとり”と眺めるだけに留まっていたある意味秘蔵本。
この本を久しぶりにひっぱりだし、気合を入れて調理にとりかかります。
スープストックは2種類
材料にぱっと目を通す限り、
“これなら、それほどでもない”なんて思ったらとんでもない!
ヌーベルドミグラス??
フレンチ万能だし??
なんていうオリジナルのスープやソースがさらっと書かれているのです。
フレンチ万能だしは・・・パス!
そこで、ページを繰りフレンチ万能だしのページを見ると・・・
“こんぶはガーゼにつつみ、一日水につけておく”と・・・。
いやいや、いくらスローフードに挑戦、と言っても、明日食べたいのですからこっからスタートしたのでは明日に間に合いません。
そこで、頭に浮かんだものは、瓶詰めのフォンド(出汁)。
ドイツでもフォンドの出番は多く、スーパーに行くと、野菜はもちろん、チキン、子牛、成牛、ラム、フィッシュ、野生動物、透明なもの、茶色いもの、などなどがずらっと並んでいます。
いずれも、400mlで2.5〜4ユーロと消して安いものではありませんが、これの野菜の透明タイプを購入。
名前だけでもおいしそう
ヌーベルドミグラスと銘銘されたスープは、市販のドミグラスソースも使用するものの、
先は長い・・・
やっとオリジナルソースを完成させる頃、大きな牛タンの塊もいい具合に解けています。
これを強火で焼き色がつくまでしっかりと焼き、
野菜のスープストック、ヌーベルドミグラスをあわせたものに
更に、
新しいにんじんやら玉ねぎ、赤ワイン、そして八丁味噌を結構な量加え、そこへ、牛タンの塊もどぼんと入れてあげるのです。
絶対に沸騰させないように、つねに火の加減を見、お肉を何度もひっくり返しながら4,5時間の観察時間スタートです。
この経過観察、1日目は1時間程度にとどめ、一度冷まして味をしみこませた後、2日目にじっくり、と相成りました。
なぜ、観察かと言いますと
ドイツの家は大半が電磁調理器。ワット数が220vと日本よりずっと高いこちらでは、電磁調理器の弱火管理がくせもの。
鍋類も発達しており熱伝導率が異常に高く、一番弱い火でもフタをしていると、ブクブクと沸騰してしまうのです。
この4,5時間、私は火のそばにつききりで、
“おっと、危ない!”
“フタを開けなきゃ〜”
“火を止めなきゃ〜〜!!”
を繰り返したわけです。
ゴールは目前
さてさて、この緊張の時間が通り過ぎると間もなくゴールが見えてきます。
驚くほどふるふるに柔らかく煮あがった牛タンを取り出し、これをカット。ソースを漉して煮立たせ、ポルト酒を煮詰めたものにこのソースを足して行きます。
あらためて、にんじん、長ネギ(こちらでは長ネギがないので、ポロネギを使用)、カブを加えて、もう一煮立ち。
最後に味を調えて、カットした牛タンを鍋に戻し、やっと、やっと完成の雄たけびを上げることができました!
語り継がれる味!
八丁味噌や、カブ、長ネギなどが入った和風アレンジの牛タンシチューはまさにヌーベルクイジーヌ。
炊き立てのご飯と合わせて、言葉もないくらいの感激で30分で完食でした・・・。
“あんなに時間かかったのに、食べるのはスローじゃないよね・・・”
なんて言いながら。
しかし、この手間をかけたおいしさの感動はこの後、3日間うちで語り継がれることになりました。
3日間?ん?ちょっと短い・・・ですか?
語らなくても思い出は永久に・・・です。
それにしても、スローフードとは、行程をたくさん踏む「複雑さ」で作られるものと実感しました。
でも、この複雑な行程を踏むから、味に奥行きが出て、何とも語りがたい美しい味ができあがるのでしょうね。
手間がかかって大変ですが、スローフードは確実に生活を豊かにしてくれる物のひとつです。
1.8kgもある牛一匹分のタンを自然解凍させるにはそれなりの時間がかかります。
この間に、まだまだ続く色々な行程を少しずつ進めていくことにしました。
目に楽しい料理本
今回私が参考にしたレシピは、
東京神楽坂でフレンチレストランを開いている斉藤元四郎さんのレシピ。
もう随分前のものですが、彼の著で「お箸でフレンチ」という料理本があります。
今でこそ、当たり前のになりましたが、
和の食材とフレンチをうまく調和させた
ヌーベルクイジーヌが美しく紹介されている本です。
ざっと目を通す限り、面倒くさそう・・・なんて思いがちです。そして、確かにとっても手と時間とお金がかかるお料理が多いかも。
それでも、当時、とても美しい写真とおいしそうな料理に惹かれ、この本を購入。その後、“うっとり”と眺めるだけに留まっていたある意味秘蔵本。
この本を久しぶりにひっぱりだし、気合を入れて調理にとりかかります。
スープストックは2種類
材料にぱっと目を通す限り、
“これなら、それほどでもない”なんて思ったらとんでもない!
ヌーベルドミグラス??
フレンチ万能だし??
なんていうオリジナルのスープやソースがさらっと書かれているのです。
フレンチ万能だしは・・・パス!
そこで、ページを繰りフレンチ万能だしのページを見ると・・・
“こんぶはガーゼにつつみ、一日水につけておく”と・・・。
いやいや、いくらスローフードに挑戦、と言っても、明日食べたいのですからこっからスタートしたのでは明日に間に合いません。
そこで、頭に浮かんだものは、瓶詰めのフォンド(出汁)。
ドイツでもフォンドの出番は多く、スーパーに行くと、野菜はもちろん、チキン、子牛、成牛、ラム、フィッシュ、野生動物、透明なもの、茶色いもの、などなどがずらっと並んでいます。
いずれも、400mlで2.5〜4ユーロと消して安いものではありませんが、これの野菜の透明タイプを購入。
名前だけでもおいしそう
ヌーベルドミグラスと銘銘されたスープは、市販のドミグラスソースも使用するものの、
たまねぎ、にんじん、セロリ、ホールトマト、牛筋、パセリの茎、ハーブ類、ポルト酒、赤ワイン、フォンド・ボー(牛肉のフォンド)などなどを煮たり、漉したりしながら2時間以上の時間をかけて作り上げます。
先は長い・・・
やっとオリジナルソースを完成させる頃、大きな牛タンの塊もいい具合に解けています。
これを強火で焼き色がつくまでしっかりと焼き、
野菜のスープストック、ヌーベルドミグラスをあわせたものに
更に、
新しいにんじんやら玉ねぎ、赤ワイン、そして八丁味噌を結構な量加え、そこへ、牛タンの塊もどぼんと入れてあげるのです。
絶対に沸騰させないように、つねに火の加減を見、お肉を何度もひっくり返しながら4,5時間の観察時間スタートです。
この経過観察、1日目は1時間程度にとどめ、一度冷まして味をしみこませた後、2日目にじっくり、と相成りました。
なぜ、観察かと言いますと
ドイツの家は大半が電磁調理器。ワット数が220vと日本よりずっと高いこちらでは、電磁調理器の弱火管理がくせもの。
鍋類も発達しており熱伝導率が異常に高く、一番弱い火でもフタをしていると、ブクブクと沸騰してしまうのです。
この4,5時間、私は火のそばにつききりで、
“おっと、危ない!”
“フタを開けなきゃ〜”
“火を止めなきゃ〜〜!!”
を繰り返したわけです。
ゴールは目前
さてさて、この緊張の時間が通り過ぎると間もなくゴールが見えてきます。
驚くほどふるふるに柔らかく煮あがった牛タンを取り出し、これをカット。ソースを漉して煮立たせ、ポルト酒を煮詰めたものにこのソースを足して行きます。
あらためて、にんじん、長ネギ(こちらでは長ネギがないので、ポロネギを使用)、カブを加えて、もう一煮立ち。
最後に味を調えて、カットした牛タンを鍋に戻し、やっと、やっと完成の雄たけびを上げることができました!
語り継がれる味!
八丁味噌や、カブ、長ネギなどが入った和風アレンジの牛タンシチューはまさにヌーベルクイジーヌ。
炊き立てのご飯と合わせて、言葉もないくらいの感激で30分で完食でした・・・。
“あんなに時間かかったのに、食べるのはスローじゃないよね・・・”
なんて言いながら。
しかし、この手間をかけたおいしさの感動はこの後、3日間うちで語り継がれることになりました。
3日間?ん?ちょっと短い・・・ですか?
語らなくても思い出は永久に・・・です。
それにしても、スローフードとは、行程をたくさん踏む「複雑さ」で作られるものと実感しました。
でも、この複雑な行程を踏むから、味に奥行きが出て、何とも語りがたい美しい味ができあがるのでしょうね。
手間がかかって大変ですが、スローフードは確実に生活を豊かにしてくれる物のひとつです。
2009年10月12日
スローライフ
ここデュッセルドルフでは、
連日しとしとと冷たい雨が降り続き、
“もうすぐ冬が来るんだね。”
なんて言う会話を頻繁に耳にするようになりました。
夏の間、11時近くまで明るかった日々ははるか後方で、
夕方6時を回ると、家々の窓からオレンジ色の光が漏れ出します。
家の季節
徐々に家の中で過ごす時間が増えてくるこの季節、
夏の間ずっと外に向いていたドイツ人の目も次第に“家回帰”します。
あちらこちらのお店では家の中のデコレーション売り場が広がり、
ドイツの暗い冬を癒してくれるキャンドルも店の前面へ。
寒く、暗く、長い冬を明るく快適に過ごすための準備が始まります。
スローフード
さてさて、うすネズミ色の雲に覆われた空から音もないような
静かな雨が木々を濡らす日曜日、忙しい日常をリセットするいい時間です。
我が家の家滞在時間もグンと伸び、手間と時間をかけるスローフードを楽しむ事となりました。
今回のスローフードはタンシチュー。
牛タンは凍ったままで!
“牛タンありますか?”
土曜日の昼間、間もなくお肉屋さんが閉まろうとするときに、
慌ててお店の扉を開きました。
“牛タン??ないかもしれないわ。ちょっと見てくるから。”
と奥へ入って行ったお店のおばさんが、大きな固まりを手に
再び私たちの前へ現れます。
こちらでは、牛タンをまるまる一匹分買うのは案外普通のこと。
“今日は冷凍しかないよ。”
“あ、冷凍の方がいいんです。”
牛タンの皮むきは半解凍がいい、と友人から教わっていた私は、そう答えながら、1.8kgもある、固まりを20ユーロ程度で購入。
“牛タンの表面が解けたかな、ぐらいのタイミングで、皮を剥ぎ落とすのがいいよ。”
との友人のアドバイス通り、冷凍牛タンをしばらくほったらかし、
しゃりしゃりの状態になったところで、調理開始です。
“お〜、本当だ。きれいに皮が取れる!”
なんて感激しながら、大きな舌の固まりを処理しました。
どうなるの??
完成までに2日間をかけた我が家のタンシチュー。
お肉を解凍している間にも、数種類の作業が続きます。
手と時間の両方をかけるスローフード、まずい訳がありません!
感激の一口までのご報告は・・・次の会で。
つづく。
連日しとしとと冷たい雨が降り続き、
“もうすぐ冬が来るんだね。”
なんて言う会話を頻繁に耳にするようになりました。
夏の間、11時近くまで明るかった日々ははるか後方で、
夕方6時を回ると、家々の窓からオレンジ色の光が漏れ出します。
家の季節
徐々に家の中で過ごす時間が増えてくるこの季節、
夏の間ずっと外に向いていたドイツ人の目も次第に“家回帰”します。
あちらこちらのお店では家の中のデコレーション売り場が広がり、
ドイツの暗い冬を癒してくれるキャンドルも店の前面へ。
寒く、暗く、長い冬を明るく快適に過ごすための準備が始まります。
スローフード
さてさて、うすネズミ色の雲に覆われた空から音もないような
静かな雨が木々を濡らす日曜日、忙しい日常をリセットするいい時間です。
我が家の家滞在時間もグンと伸び、手間と時間をかけるスローフードを楽しむ事となりました。
今回のスローフードはタンシチュー。
牛タンは凍ったままで!
“牛タンありますか?”
土曜日の昼間、間もなくお肉屋さんが閉まろうとするときに、
慌ててお店の扉を開きました。
“牛タン??ないかもしれないわ。ちょっと見てくるから。”
と奥へ入って行ったお店のおばさんが、大きな固まりを手に
再び私たちの前へ現れます。
こちらでは、牛タンをまるまる一匹分買うのは案外普通のこと。
“今日は冷凍しかないよ。”
“あ、冷凍の方がいいんです。”
牛タンの皮むきは半解凍がいい、と友人から教わっていた私は、そう答えながら、1.8kgもある、固まりを20ユーロ程度で購入。
“牛タンの表面が解けたかな、ぐらいのタイミングで、皮を剥ぎ落とすのがいいよ。”
との友人のアドバイス通り、冷凍牛タンをしばらくほったらかし、
しゃりしゃりの状態になったところで、調理開始です。
“お〜、本当だ。きれいに皮が取れる!”
なんて感激しながら、大きな舌の固まりを処理しました。
どうなるの??
完成までに2日間をかけた我が家のタンシチュー。
お肉を解凍している間にも、数種類の作業が続きます。
手と時間の両方をかけるスローフード、まずい訳がありません!
感激の一口までのご報告は・・・次の会で。
つづく。
2009年08月28日
気長に待ちます!手作りピクルス
“Weckの瓶がたくさんいるの。”
と真空になるWeckの瓶を沢山購入した友人のA子ちゃんは、ドイツ料理の教室でピクルス作りをしました。
話を聞いていると、なんだかディルの花を入れたり、ピクルスをつけ込んだ瓶をお湯に入れ真空にするとか・・・。
手作りピクルスに関心をもった私と友人Mちゃんの質問攻めから、
’じゃ、一緒に作ろうか’、
と話は発展し今日の午後がピクルス作りの日となりました。
おうちCafe
私たちが集まると、まずは“お茶”からスタート。
気持ちよく晴れた今日は、Mちゃん宅のベランダでMちゃん、A子ちゃんが焼いてくれたマフィンとシュークリムを前にして、世間話が始まります。
ハッと気がつくと、もう5時・・・。
“そろそろ始めない?”のかけ声で、ようやっと腰を上げた私たちでした。
至って簡単
準備するものは、
真空にできる瓶(私たちはWeckの瓶を使用)
キュウリ(長さ12cm程度、色が少し黄みがかったようなもの)
小さめのタマネギ
ローリエ
エストラゴン
スパイス類(写真参照)
あればディルの花
中身は至ってシンプル。
3kgのキュウリを用意し、前日にちゃんとA子ちゃんが洗ってくれていたおかげで、これらを瓶の大きさに合わせて切り、瓶に隙間なくギュウギュウと詰めて行きます。
上にスパイス類を乗せると、なんだかかわいらしい!
ピクルス用のお酢
ドイツには、緑色の瓶に入った“酢漬けキュウリ”用のお酢があるのです。私は初見でしたが、Mちゃんはドイツへ来たばかりのころ、普通のお酢と間違えて購入したことがあるとか。
お酢のつんとくる匂いはそれほどでもなく、嗅ぐとかなり甘くマイルドな匂いがします。
さて、今回のピクルス作りにこれはかかせません。
酢漬けキュウリ用のお酢に1.5倍ほどの水を足し入れ、塩、砂糖を加えて一煮立ちさせたものがマリネ用の液体となります。
隙間はNG
マリネ用の液体を、キュウリやらタマネギを詰めた瓶にそそぐのですが、瓶の中に隙間があると詰めたキュウリやタマネギが上にぷかぷかと浮いてしまいます。
実はこれNG。
瓶を真空にする際に、ふたにこれらの中身がくっついてしまっているとうまく真空にならないそうです。
そこで、私とMちゃんのキュウリの詰めようと言ったら・・・。
“あ、今グニョっていったよ” ぐらいに中身を押し込んでみました。
詰めたものがかぶる程度に液体をそそいだら、
瓶の口についた水分もよ〜く拭き取り、
ふたをしてガチャンと金具を掛けます。
さぁ、いよいよ真空にする時がやってきました。
専用鍋!?
’ピクルス作りには専用の鍋がある’そうです。
これは、ピクルスを仕込んだ瓶を真空にするため。
鍋のそこに網がはってあり、鍋底に瓶がくっつかない仕組みだそうです。さらに、温度管理がとても重要なため蓋には温度計を挿せる口がついているらしいのです。
A子ちゃんのお料理教室とは異なり、そんな専門の道具を当然持っていない私たちは、色々思案の上、苦肉の策を取りました。
大きなフライパンの上にステンレス蒸し器をのせお湯をたっぷり湯を張り温め開始です。
煮立ててはダメ!
水温は常に80度〜85度を保ち、その状態で20分間加熱します。
瓶の中の空気があたたまり、
その後それを冷ますことによって瓶の中を真空にする要領です。
もし沸騰させてしまったりすると、
中のキュウリに歯ごたえがなくなり
ふにゃふにゃのものが出来上がってしまうかも!
この20分間は鍋に付ききり、温度計とにらめっこしながら
管理することになります。
そしてしっかりと加熱された私たちの手作りピクルス瓶は
完全に冷めるまで今日一晩Mちゃんのおうちでお休みです。
気長に待って
“これ、いつ食べられるようになるの?”
との質問にA子ちゃんから帰って来た答えは、
“3ヶ月後”でした。
案外簡単に作れてしまった手作りピクルスですが、
マリネ液がゆっくりとキュウリへしみ込み、
キュウリが大人になるまで気長に気長に待ってみたいと思います。
と真空になるWeckの瓶を沢山購入した友人のA子ちゃんは、ドイツ料理の教室でピクルス作りをしました。
話を聞いていると、なんだかディルの花を入れたり、ピクルスをつけ込んだ瓶をお湯に入れ真空にするとか・・・。
手作りピクルスに関心をもった私と友人Mちゃんの質問攻めから、
’じゃ、一緒に作ろうか’、
と話は発展し今日の午後がピクルス作りの日となりました。
おうちCafe
私たちが集まると、まずは“お茶”からスタート。
気持ちよく晴れた今日は、Mちゃん宅のベランダでMちゃん、A子ちゃんが焼いてくれたマフィンとシュークリムを前にして、世間話が始まります。
ハッと気がつくと、もう5時・・・。
“そろそろ始めない?”のかけ声で、ようやっと腰を上げた私たちでした。
至って簡単
準備するものは、
真空にできる瓶(私たちはWeckの瓶を使用)
キュウリ(長さ12cm程度、色が少し黄みがかったようなもの)
小さめのタマネギ
ローリエ
エストラゴン
スパイス類(写真参照)
あればディルの花
中身は至ってシンプル。
3kgのキュウリを用意し、前日にちゃんとA子ちゃんが洗ってくれていたおかげで、これらを瓶の大きさに合わせて切り、瓶に隙間なくギュウギュウと詰めて行きます。
上にスパイス類を乗せると、なんだかかわいらしい!
ピクルス用のお酢
ドイツには、緑色の瓶に入った“酢漬けキュウリ”用のお酢があるのです。私は初見でしたが、Mちゃんはドイツへ来たばかりのころ、普通のお酢と間違えて購入したことがあるとか。
お酢のつんとくる匂いはそれほどでもなく、嗅ぐとかなり甘くマイルドな匂いがします。
さて、今回のピクルス作りにこれはかかせません。
酢漬けキュウリ用のお酢に1.5倍ほどの水を足し入れ、塩、砂糖を加えて一煮立ちさせたものがマリネ用の液体となります。
隙間はNG
マリネ用の液体を、キュウリやらタマネギを詰めた瓶にそそぐのですが、瓶の中に隙間があると詰めたキュウリやタマネギが上にぷかぷかと浮いてしまいます。
実はこれNG。
瓶を真空にする際に、ふたにこれらの中身がくっついてしまっているとうまく真空にならないそうです。
そこで、私とMちゃんのキュウリの詰めようと言ったら・・・。
“あ、今グニョっていったよ” ぐらいに中身を押し込んでみました。
詰めたものがかぶる程度に液体をそそいだら、
瓶の口についた水分もよ〜く拭き取り、
ふたをしてガチャンと金具を掛けます。
さぁ、いよいよ真空にする時がやってきました。
専用鍋!?
’ピクルス作りには専用の鍋がある’そうです。
これは、ピクルスを仕込んだ瓶を真空にするため。
鍋のそこに網がはってあり、鍋底に瓶がくっつかない仕組みだそうです。さらに、温度管理がとても重要なため蓋には温度計を挿せる口がついているらしいのです。
A子ちゃんのお料理教室とは異なり、そんな専門の道具を当然持っていない私たちは、色々思案の上、苦肉の策を取りました。
大きなフライパンの上にステンレス蒸し器をのせお湯をたっぷり湯を張り温め開始です。
煮立ててはダメ!
水温は常に80度〜85度を保ち、その状態で20分間加熱します。
瓶の中の空気があたたまり、
その後それを冷ますことによって瓶の中を真空にする要領です。
もし沸騰させてしまったりすると、
中のキュウリに歯ごたえがなくなり
ふにゃふにゃのものが出来上がってしまうかも!
この20分間は鍋に付ききり、温度計とにらめっこしながら
管理することになります。
そしてしっかりと加熱された私たちの手作りピクルス瓶は
完全に冷めるまで今日一晩Mちゃんのおうちでお休みです。
気長に待って
“これ、いつ食べられるようになるの?”
との質問にA子ちゃんから帰って来た答えは、
“3ヶ月後”でした。
案外簡単に作れてしまった手作りピクルスですが、
マリネ液がゆっくりとキュウリへしみ込み、
キュウリが大人になるまで気長に気長に待ってみたいと思います。