kitsunedai
(*写真は、片桐絵梨子『きつね大回転』より)


つづきまして、またまたCHIN-GO!さんによる、レビューです。

今度は、「桃まつり presents 真夜中の宴」で上映されたもののなかから、片桐絵梨子監督『きつね大回転』です。

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片桐絵梨子『きつね大回転』について


そのエンターテインな潜在能力から上映時最も観客に受けそうな1本だが、これはおそらくずいずい右上がりに技量をあげてきた彼女の最新の場所、最高到達地点です。独特の「時代(混交)劇」とでもいうようなものの脚本を西山洋市監督に提供してきて、そこで培ったものを本作に投入したと見える。これらの事実は彼女が継続して研鑽を重ねる種類の才能を持っていることの証となるはずだ。まあそれはともかく、便利屋の男女コンビが狐を捕まえようとして、男は生肉、女は油揚げを罠の餌にする、これは男はリアルな狐、女はファンタジックな狐を待ち受けるということですが、かかったのが油揚げくわえた和服美人というモロにファンタジックな狐で、いざそれに対すると女はリアルに対決し、男はファンタジーに耽溺するという、この構成の展開・転回が巧み。化かされた男がある乗り物に変化させられ、和服美人女狐に乗り回されるのだが、そのビジュアルはかなりの衝撃。いいですね! 見たことのないものを見るよろこび! むかし『温泉スッポン芸者』(1972年/鈴木則文)というイカす映画を見たときに、杉本美樹扮する温泉芸者が着物の裾どころか大股ひろげてバイクに跨り、島田のヅラをスッ飛ばしそうな勢いで温泉街をローリングするシーンがあり、なんかもー発狂するかと思ったのだが今作の前述の“乗り”のシーンは、ちょっとそれに近いものがあった。狐の嫁入り姿に焦る女主人公、やはりこれは男には思いつかない。幾つかの瞬間で黒澤明の『夢』(1990年)に勝ってた、と思う。『きつね大回転』は、まさに怪作、快作。

*「桃まつり presents 真夜中の宴」パンフレットより


CHIN-GO!(チン・ゴー!)
1975年生まれ。映画感想家・自主映画作家。映写技師で糊口をしのぐかたわら、雑誌「映画芸術」周辺で映画評を書いている。

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『きつね大回転』は、1月26日(火)16h30より、上映いたします。
http://www.mirai-kyosho.kitanaka-school.net/program/index.html

『きつね大回転』
「狐を退治してください」という指令を受けた、間抜けな文子としっかり者の遠藤。狐が出そうもない都心の町で狐捕りの罠にかかったものとは……。幻想と現実のあいだをさまよう、男と女と狐(?)の恋愛劇。
監督・脚本:片桐絵梨子
撮影:鈴木昭彦
出演:松元夢子、圓若創、石川美帆
2008年/DV/22分
http://www.mirai-kyosho.kitanaka-school.net/films/momo.html

「桃まつり presents 真夜中の宴」ウェブサイト

http://www.momomatsuri.com/2008/index.html