
(写真は、瀬田なつき『彼方からの手紙』より)
若き自主映画作家・松井一生さんより、瀬田なつき『彼方からの手紙』について、ご寄稿いただきました。
濱口竜介『PASSION』に続いて、こちらも読み応え十分です!
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瀬田なつき『彼方からの手紙』について
本作『彼方からの手紙』の物語をいざ誰かに伝えようとすれば、たちまち人は困惑する。聞く者も伝える者も、そういえば物語のなかの者たちだって、みな同じように“現在”を探すことになるのだが、観賞中にはそんなこと考えている暇、まったくなかったのだから仕方ない。まるで小さな商店に、置かれたネックレスの連なりのよう、その煌びやかでもどこか儚げで、アンバランスでありながら共鳴する映像たちに魅了されるだけの贅沢な時間。映画を「観る」「聴く」という当たり前の行動が当たり前ではなくなりかけている現在にて、その体験の素晴らしさを、柔らかい感触を、思い出させてくれる素敵な仕掛けが用意されている。
東京タワー、エレベーターの数字、暗い朝も明るい夜も、観覧車もギターの音色も、そもそも瀬田なつきに撮ってもらおうと、ずっとそこで待ち構えていたかのような運命の出会いの連続。夢の内部を自由に散歩する天才映画作家・瀬田なつきの次回作を、僕もまた待ち侘びている。
松井一生(まつい・いっせい)
1987年生まれ。慶應義塾大学文学部在学中。卒業後も、引き続き自主映画制作に携わる予定。
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瀬田なつき『彼方からの手紙』は、1月23日(土)14時より、上映いたします。
その他の上映作品は、『とどまるか なくなるか』(2002年)、『港の話』(2006年)、『むずめごころ』(2007年)、『あとのまつり』(2009年)です。
http://www.mirai-kyosho.kitanaka-school.net/program/index.html
瀬田なつき(せた・なつき)
1979年大阪生まれ。2005年、横浜国立大学大学院を修了。在学中より、映画美学校フィクション科コースに通う。2008年、東京藝術大学大学院映像研究科(映画専攻・監督領域2期生)を修了。井口奈己『人のセックスを笑うな』(2007年)では、メイキングを担当した。
『彼方からの手紙』
吉永が働く不動産屋に訪れた少女。吉永は彼女の頼みで、彼女がかつて住んでいた家を一緒に訪れる。空き家には、まだ人の気配があり、そこにあったビデオテープに映っていたものを見た彼は奇想天外な出来事に飲まれていく。やがて吉永と彼女は再び日常に戻っていくのだが……。ポップでカラフル、若干切ない“彼方”へのロードムーヴィ。東京国際映画祭チェアマン特別奨励賞。
監督・脚本・編集:瀬田なつき
撮影:佐々木靖之
出演:スズキジュンペイ、朝倉あき、三村恭代
2007年/HD/85分
http://www.mirai-kyosho.kitanaka-school.net/films/seta.html

