期待の若手映画監督たちが横浜黄金町に集結します!
★未来の批評キャンペーン実施中! 詳細はこちらまで

瀬田なつき

瀬田なつき特集のレポートが「OUTSIDE IN TOKYO」に!

outsidetop_logoおはようございます。

異常なほどの熱狂で迎えられた初日の瀬田なつき特集。

さっそくレポートが掲載されております!

ご来場いただけなかった方も、こちらから熱気を感じ取っていただけれるのではないかと思います。

http://outsideintokyo.jp/j/news/mirai_report.html

開幕!! 「未来の巨匠たち」初日

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(*写真はご来場の方々)

ついに開幕しました、「未来の巨匠たち」 !!

大勢の方々にご来場いたただき、スタッフ一同ホッと胸を撫で下ろしております。

皆さま、ありがとうございました。

皆さん、瀬田映画はいかがでしたでしょうか? 

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(*写真は瀬田なつき監督)

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(*写真は井口奈己監督)

本日会場には、桝井孝則監督、片桐絵梨子監督、矢部真弓監督もいらっしゃってくださいました。

桝井監督の作品は25日(月)、片桐監督、矢部監督作品は26日(火)に上映致します。

こちらも是非ご来場ください!!

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さて明日、日曜日は加藤直輝監督特集です。

みなさま、お友達をお誘い合わせのうえ、加藤映画を堪能してください。

1月24日(日)加藤直輝

14h00 『a perfect pain』『FRAGMENTS Tokyo murder case』

15h50 『Nice View』『りんごの皮がむけるまで』

17h40 『A Bao A Qu』

19h20 トーク 加藤直輝×藤井仁子(映画研究者)


チケット料金

1回・当日券 800円 
1日券 1500円 
3日券 3000円 
フリーパス 6000円

※トークショーには同日の入場券または半券でご参加いただけます

プログラム詳細はこちら
http://www.mirai-kyosho.kitanaka-school.net/program/index.html

作品紹介はこちら
http://www.mirai-kyosho.kitanaka-school.net/films/kato.html

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上映中も「未来の批評キャンペーン」は会期中、会期後も引き続き行いますですので、こちらのほうもよろしくお願いします。

また、会場ではアンケートも実施しておりますので、こちらの方もご協力のほどよろしくお願いします。

 

未来の批評キャンペーン|瀬田なつき

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(*写真は、瀬田なつき『あとのまつり』より)

今日は、いつになく問い合わせをいただき、事務局が慌ただしい雰囲気になってきています。

またまた、投稿をいただきました。

瀬田なつき監督の『あとのまつり』について。

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瀬田なつき『あとのまつり』

昨年「桃まつりpresents Kiss!」シリーズの1本として上映された『あとのまつり』が再び上映されるとのこと、とても嬉しく思い、投稿させていただきます。

『あとのまつり』は、真面目に出鱈目を見せる映画、だと思います。ファンタジーやおとぎ話というよりも出鱈目と言いたい。「出鱈目」という言葉の語源は、さいころを振って出た目のままにする、というものだそうですが、『あとのまつり』という映画にはどこか即興的な側面が不意打ちで現れて、その不意打ちによって時間が前に進んでいるような、そんな不思議な感覚を覚えるのです。本当に即興で撮られているシーンがあるかどうかはわからないけれど、この先少女がどこに行って何をするのかわからない、けれど、その小鹿のような身軽な足取りに着いていきたくなるような、そんなシーンが随所に散りばめられています。

私はこの映画を見た時に、ジャック・リヴェットの『セリーヌとジュリーは舟でゆく』(1974年)という映画を思い出しました。『セリーヌとジュリー』は本当に即興の積み重ねでできているし、女優たちがリヴェットと一緒に台詞を考えていったそうだし、何しろ3時間以上もある映画だから、20分もない『あとのまつり』と比較することは無理があるかもしれません。でも、ひとり(『セリーヌとジュリー』はふたり)の女の子が世界を変える、あるいは、物語は終わりから始まる、という出鱈目であると同時に真実でもあるテーマを共有しているのではないでしょうか。

もっとこんな映画、「はじめまして」と言いたくなる映画に出会いたいものです。

(白水冬実・大学生)

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瀬田なつき『あとのまつり』は、1月23日(土)15時50より、上映いたします。
その他の上映作品は、『とどまるか なくなるか』(2002年)、『港の話』(2006年)、『むずめごころ』(2007年)、『彼方からの手紙』(2007年)です。
また、瀬田監督の選ぶ「この1本」は、クレール・ドゥニ『ネネットとボニ』(19時10分より上映)です
http://www.mirai-kyosho.kitanaka-school.net/program/index.html

瀬田なつき(せた・なつき)
1979 年大阪生まれ。2005年、横浜国立大学大学院を修了。在学中より、映画美学校フィクション科コースに通う。2008年、東京藝術大学大学院映像研究科 (映画専攻・監督領域2期生)を修了。井口奈己『人のセックスを笑うな』(2007年)では、メイキングを担当した(※瀬田監督と井口監督の対談は、1月 23日(土)17時50分より


『あとのまつり』
その街では忘れてしまうことが日常と なっていた。だから13歳のノリコたちは、忘れられることも忘れることも恐れないように、挨拶は「はじめまして」にしている。ある日、彼女は友達のトモオ とふたりで、自分たちのことを書いた手紙を風船に託す。遠くの誰かに、ふたりがこの世界にいたことを知ってもらうために。だがやがてノリコたちにも忘却が 訪れる……。
監督・脚本・編集:瀬田なつき
撮影:佐々木靖之
出演:中山絵梨奈、福田佑亮、太賀
2009年/HD/19分

http://www.mirai-kyosho.kitanaka-school.net/films/seta.html

瀬田なつき『あとのまつり』|小林宏彰

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(*写真は、瀬田なつき『あとのまつり』より)

CINRA.NETで活躍する小林宏彰さんにご寄稿いただきました!

今回は、瀬田なつき監督についてのご寄稿ですが、小林さんはCINRA.NETで、「未来の巨匠たち」で上映する他の監督さんについても執筆しています。

佐藤 央
http://www.cinra.net/artistfile/2009/01/19/230000.php

小出 豊
http://www.cinra.net/artistfile/2009/03/11/000000.php

三宅 唱
http://www.cinra.net/artistfile/2009/07/02/000000.php

ちなみに、CINRA.NETでは、上記3監督の『不安』、『お城が見える』、『マイムレッスン』を、見ることができます!

オンラインで気軽に見てみて、ほかの作品に興味を持った方。

またまた、「やっぱりこれは大きいスクリーンで見たい!」と思った方。

ぜひぜひ、横浜・黄金町まで足をお運び下さい!

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瀬田なつき『あとのまつり』について

瀬田なつきは、柴幸男と似ている。

柴幸男という作家をご存知だろうか。彼は1982年生まれの、演劇界で活躍する若手の演出家だ。2010年1月18日現在選考中の第54回岸田國士戯曲賞(演劇界の芥川賞と言われる)でも、最終候補作に『わが星』という作品がノミネートされている、注目の作家である。この『わが星』は、口口口(クチロロ)という、あのいとうせいこう氏も参加するラップグループが音楽を担当したことでも話題となった、ラップと演劇を融合させた画期的な作品だ。

さて、そんな柴幸男と瀬田なつきを比較してみることで、彼らの作品の面白さに迫ってみるのが本稿のねらいである。早速だが、僕の感じる彼らの共通点とは、大きく分けて2つある。まずひとつは、「役者の演技についての考え方」だ。では、それはどういうことか。

かつて、黒沢清は「映画で人が歌う時」と題された文章でこう言った。「映画に登場する人間には三種類の状態がある。ひとつは演技している状態、もうひとつは演技していない状態、そして歌っている状態だ」(『映画はおそろしい』青土社、91ページ)。黒沢はなぜわざわざこんなことを言ったかというと、それは映画において登場人物が「歌うこと」に対する違和感、ヘンな感じをマーキングしようとしたからである。人間が歌うということは、我々の生きる日常世界においてはまず容易に起こりえない事態であり、それは非日常な状態なのだ。そして、『あとのまつり』におけるトモオとノリコの存在の仕方は、瀬田自身も語るように、明らかにそうした非日常性をともなった「ミュージカル的」なものである。

そして、次に柴幸男だ。彼の『わが星』は、登場人物たちがダンスをし、ラップのリズムで歌うのが特徴である。なぜ、そのような演出をするのか。柴いわく、「演劇として本当に何が面白いかというのを」考えた結果、日常的な動きをリアルにトレースするという方向ではなく、「日常では大声で叫ばないけど舞台で大声で叫ぶのって面白いよね、とか、飛び跳ねる人間の身体や能力みたいなものって可能性があるよね、とか」そうした演劇の持つ原初的な喜びを選び取ったからだというのだ(『HARAJUKU PERFORMANCE + (PLUS) 鼎談』より抜粋 http://www.cinra.net/interview/2009/12/09/000000.php?page=3 )。こうして、柴の作品もラップと演劇を融合させた非日常的なものとなる。

そんな彼らの作品は、面白いか面白くないかで言えば、明らかに面白い。映画と演劇という活躍するフィールドの違いはあれど、作品に登場する「人間」をどう行動させれば面白いかという感性は、とても似通っているのではないだろうか。

彼らの2つ目の共通点は、クチロロの歌詞を借りて言えば「日常 to the galaxxxy」感である。『あとのまつり』は、「建設現場のような荒地のような、もの凄く中途半端な感じ」(「nobody」誌ウェブサイト掲載「瀬田なつきインタヴュー」より抜粋 http://www.nobodymag.com/momo/2009/index.html )のする、ガラーンとした土地で撮られた。また、街の人たちはすぐに記憶を失くしてしまうため「はじめまして」という挨拶が日常化している。以上のことから映画で描かれる小さな世界は、まるで外側に広がりのない小宇宙のような感触を観客に与える。そして、それによりトオルとノリコの瑞々しい行動にともなう儚さというか、輝きがよりいっそう強調されることになる(青春映画!)。それは、世間や社会といったものの手触りが脱色された世界なのだ。

また『わが星』は、先の10月に三鷹市芸術文化センターの「星のホール」で上演されたのだが、円形の舞台を使用し(正確には少々異なるが)、それを地球に見立てていた。物語は地球と月、さらには宇宙全体にまでスケールを広げていくが、扱われるテーマは人間なら誰もが持つような当たり前の感情だ。柴には、そうした感情を語るのに対世間や対社会ではなく、星や宇宙といったさらに大きなものとの繋がりで考えたい。その方が面白い、という感覚があるように思える。

以上見てきたように、瀬田なつきと柴幸男という優れた作家は、日常世界において当然視されている身体表現や言葉遣いを一度疑い、独特の世界観を構築してきたと言える。その際ポイントになるのが、「ミュージカル」的であることと、「日常 to the galaxxxy」的であることだった。これまでの清新な作品世界を支持しつつ、今後の彼らの歩みを心して見守っていきたいものだ。


小林宏彰(こばやし・ひろあき)
1983年生まれ。慶應義塾大学文学部仏文学専攻卒業。高校演劇、コンテンポラリーダンス、出版社勤務、映画宣伝などを経て、現在総合カルチャーサイトCINRA.NET(http://www.cinra.net/)エディター。ライター、インタビュー仕事など多数。2009年に笠井潔らとの共著『社会は存在しない セカイ系文化論』(限界小説研究会・編)を南雲堂より刊行、ゼロ年代の舞台芸術(とくに快快というグループ)について論じた。「桃まつり presents うそ」にも現場スタッフとして参加。つねにユーモアを忘れない気軽さが身上。

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瀬田なつき『あとのまつり』は、1月23日(土)15時50より、上映いたします。
その他の上映作品は、『とどまるか なくなるか』(2002年)、『港の話』(2006年)、『むずめごころ』(2007年)、『彼方からの手紙』(2007年)です。
http://www.mirai-kyosho.kitanaka-school.net/program/index.html

瀬田なつき(せた・なつき)
1979 年大阪生まれ。2005年、横浜国立大学大学院を修了。在学中より、映画美学校フィクション科コースに通う。2008年、東京藝術大学大学院映像研究科 (映画専攻・監督領域2期生)を修了。井口奈己『人のセックスを笑うな』(2007年)では、メイキングを担当した(※瀬田監督と井口監督の対談は、1月23日(土)17時50分より)


『あとのまつり』
その街では忘れてしまうことが日常と なっていた。だから13歳のノリコたちは、忘れられることも忘れることも恐れないように、挨拶は「はじめまして」にしている。ある日、彼女は友達のトモオ とふたりで、自分たちのことを書いた手紙を風船に託す。遠くの誰かに、ふたりがこの世界にいたことを知ってもらうために。だがやがてノリコたちにも忘却が 訪れる……。
監督・脚本・編集:瀬田なつき
撮影:佐々木靖之
出演:中山絵梨奈、福田佑亮、太賀
2009年/HD/19分

http://www.mirai-kyosho.kitanaka-school.net/films/seta.html

瀬田なつき『彼方からの手紙』|松井一生

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(写真は、瀬田なつき『彼方からの手紙』より)

若き自主映画作家・松井一生さんより、瀬田なつき『彼方からの手紙』について、ご寄稿いただきました。

濱口竜介『PASSION』に続いて、こちらも読み応え十分です!

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瀬田なつき『彼方からの手紙』について

本作『彼方からの手紙』の物語をいざ誰かに伝えようとすれば、たちまち人は困惑する。聞く者も伝える者も、そういえば物語のなかの者たちだって、みな同じように“現在”を探すことになるのだが、観賞中にはそんなこと考えている暇、まったくなかったのだから仕方ない。まるで小さな商店に、置かれたネックレスの連なりのよう、その煌びやかでもどこか儚げで、アンバランスでありながら共鳴する映像たちに魅了されるだけの贅沢な時間。映画を「観る」「聴く」という当たり前の行動が当たり前ではなくなりかけている現在にて、その体験の素晴らしさを、柔らかい感触を、思い出させてくれる素敵な仕掛けが用意されている。

東京タワー、エレベーターの数字、暗い朝も明るい夜も、観覧車もギターの音色も、そもそも瀬田なつきに撮ってもらおうと、ずっとそこで待ち構えていたかのような運命の出会いの連続。夢の内部を自由に散歩する天才映画作家・瀬田なつきの次回作を、僕もまた待ち侘びている。

松井一生(まつい・いっせい)
1987年生まれ。慶應義塾大学文学部在学中。卒業後も、引き続き自主映画制作に携わる予定。

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瀬田なつき『彼方からの手紙』は、1月23日(土)14時より、上映いたします。
その他の上映作品は、『とどまるか なくなるか』(2002年)、『港の話』(2006年)、『むずめごころ』(2007年)、『あとのまつり』(2009年)です。
http://www.mirai-kyosho.kitanaka-school.net/program/index.html

瀬田なつき(せた・なつき)
1979年大阪生まれ。2005年、横浜国立大学大学院を修了。在学中より、映画美学校フィクション科コースに通う。2008年、東京藝術大学大学院映像研究科(映画専攻・監督領域2期生)を修了。井口奈己『人のセックスを笑うな』(2007年)では、メイキングを担当した。

『彼方からの手紙』
吉永が働く不動産屋に訪れた少女。吉永は彼女の頼みで、彼女がかつて住んでいた家を一緒に訪れる。空き家には、まだ人の気配があり、そこにあったビデオテープに映っていたものを見た彼は奇想天外な出来事に飲まれていく。やがて吉永と彼女は再び日常に戻っていくのだが……。ポップでカラフル、若干切ない“彼方”へのロードムーヴィ。東京国際映画祭チェアマン特別奨励賞。
監督・脚本・編集:瀬田なつき
撮影:佐々木靖之
出演:スズキジュンペイ、朝倉あき、三村恭代
2007年/HD/85分
http://www.mirai-kyosho.kitanaka-school.net/films/seta.html
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