期待の若手映画監督たちが横浜黄金町に集結します!
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小出豊

5日目!小出豊監督!!

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(*写真はトークでの模様)

5日目!

未来の巨匠たち」も後半戦に突入です。

ご来場してくださったみなさん、どうもありがとうございます。

さて、本日は小出豊監督の特集上映でした。 

みなさん、いかがでしたでしょうか?

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(*写真は小出豊監督)

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(*写真は万田邦敏監督)
 
さて、トークの内容は小出監督セレクションによるフリッツ・ラング『条理ある疑いの彼方に』の話からスタート。

小出監督作品の中に登場する「痛み」について、処女作の『綱渡り』について、映画美学校での話、そして万田監督との関係などトーク早々から内容盛りだくさんでした。
 
また、「日常の本質」についての小出監督と万田監督の白熱した議論は両監督の作品を見ていく中で、また新たな発見があったと思います。

トークの最後は、ノワールの話。小出監督によるノワールの話は非常に興味深かったですし、いずれ実現するかもしれない未来の作品の話は是非見たいと思った方も大勢いたはずです。

是非実現していただきたいですね。


みなさん、「未来の巨匠たち」もあと残り2日となりましたが明日もまた内容盛りだくさんの企画となっております。

是非是非、劇場に足を運んで下さいね。

未来の批評キャンペーン|小出豊

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(*写真は、小出豊『こんなに暗い夜』より)

おはようございます。

昨日の桃まつり〈黄金町の宴〉に引き続き、本日は、小出 豊特集でございます。

今回も、援護射撃となるレビューが送られてきました。

『お城が見える』に関するレビューですが、小出映画の全体を見渡す、絶好のイントロダクションになっております。

みなさま、ぜひお読み下さい。

* * *


『お城が見える』について

夫は妻に暴力を振るい、妻は子に暴力を振るって殺した。夫はそれを隠すために子の死体を海に捨てた。逮捕された夫は更正プログラムとして、妻に振るった暴力を〈再現〉することを求められる。壁の中で起こったことが、キャメラというガラスの壁の前で再び演じられる。

そのさまを描く小出の手つきには、ひとつの無駄もない。無駄のないアクションが次々に生起し、細かいカット割りがそれを的確に捉えてゆく、そのスピード。次に起こることの予測もできないので、とにかく画面に集中しなければ、取り残されてしまう。おばちゃん笑顔で殴った! マネキン来た! 飛んだ!観客は目を見開いて「いま起こっていること」を把握しようと必死になる。徹底した「いま」に置かれる。

とにかく起こっていることを見ろ。小出はぶっきらぼうにそう言うかのようだ。見たいんだろ? じゃあ見ろよ、と。だが、この映画で描かれるのはそれでも〈再現〉にすぎない。ほんとうに悪いことは、それが「かつてあった」ということしか知らされない。あとは観客の想像力に任されている。世の中にあまたある壁の中では何が起こっているのか。この映画以上に悲惨なことが起こっているかもしれない。いや起こっているだろう。それも想像するしかない。

その意味で『お城が見える』という映画は、観客を信じている。一見いかにぶっきらぼうで暴力的に見えようとも、観客の想像力という一点にすべては賭けられている。だからこの映画の中には希望がないかもしれないが、この映画には希望がある。いや、それは希望というよりも、祈りといったほうがよい何かかもしれない。映画中、自らの声で「変わることの困難」を表明してみせたりもする小出は、それでも世界が少しでも救われることを祈っているし、だからこそ「お城が見える」と断言すると同時に、問いかける。「お城が見える?」と。傑作と呼ぶべきすべての映画がそうであるように、『お城が見える』は断言であり、問いだ。そして、同時に祈りでもある。

この映画の終盤に、妻に見立てたマネキンを頭から足まで、いくぶんかブレながらの移動撮影でじっくりとなめるカットがある。キャメラが足のほうまで来ると、夫は足の裏にマジックで「残念」と書いている。このカットは気になる。ここだけがどうも異質なのだ。無駄な装飾の一切ない、機能的なカットのみで構成されているこの映画の中で唯一、叙情が入ってくるカットに見える。ほかのカットでの突き放すキャメラに対し、ここでのキャメラはブレも含め、まるでマネキンを慈しんでいるかのようなのだ。

以前テレビで放映された小出豊脚本・万田邦敏監督作品『県境』を見て、思い当たったことなのだが、「DVを再現する話」である『お城が見える』は、同時に「死んだ子供が親に復讐する話」でもある。

『県境』はかつて身勝手な母親に家出された経験を持つ女の子が、家出しかえす話である。その際、女の子の家出を携帯電話を通じてナビゲートする男の子がいて、この二人の繋がりがこの作品を爽やかな恋愛ものにしているのだが(きゅんとする万田作品!)、ここに出てくる「ナビゲートする男の子」は、『お城が見える』の「スピーカーから夫に指示する声」と同じ役割を果たしている。どちらも「声」の存在なのだ。いまや「導く声」は天から降ってはこない。それは携帯電話やスピーカーといった音声機器を通じて降ってくる。その意味で小出の映画は、まぎれもない現代映画である。次作『こんなに暗い夜』でも電話が印象的に使われることになる。オムニバス『葉子の結婚』中の一篇、『月曜日』において、小出はついに劇中に「天の声」を登場させることになるが、もちろんそれが映画内で音声として響くことは決してない。今回はじめて小出作品に触れる方々には、シャープな画面連鎖だけでなく、その「声」の使用にもぜひご注目いただきたい。

本筋に戻ろう。『お城が見える』における冷徹なキャメラアイは、復讐に燃える子供の視点ではないか。冒頭部、やはり「残念」と書かれた子供の足(に見立てた人形)が海面に浮かぶカットがあるが、「残念」とは「念が残る」ことだ。夫に「残念」と書かれた妻に念が残り、その念が子に暴力を振るわせ、母に「残念」と書かれた子に念は残るが、その念の行き場はないまま子は死ぬ。その念の行き着く先こそが、この映画である(この念は次作『こんなに暗い夜』において、画面上には一度も登場しない未生の胎児として再び立ち現れることになる)。

だがそこに、マネキン=母親を慈しむような視点が唐突に入り込むことになる。父に殴られ憔悴しきって横たわる母=マネキンを、いたわるようにそっと見る子供......。しかもこの時点で、すでに子供は母親に虐待を加えられている。1カットだけ唐突にこのような視点が紛れこんでいるというその唐突さ、わかりにくさ。そこに小出の祈りが、希望がある。ほんとうに悪いことが起こっているのに、それでも......。それでも。ひとより早く老いたビリー・ホリデイが潰れた声で歌う、“But Beautiful”の“but”とは、そのようなものではなかったか。小さく、そっと呟かれる“but”、それは変わらないすべてを変えるための祈りである。

あの1カットは映画の完成度にとっては邪魔ではなかったか。しかし、あの1カットを入れざるをえないのが小出豊という映画作家なのだ。ジム・トンプスンの小説のように残酷でロマンチックな映画を撮れるのは彼しかいないと僕が信ずる所以はそこにある。

(本多夏夫)
* * *


本日は、小出作品のほか、小出監督の選ぶ「この1本」として、フリッツ・ラング監督『条理ある疑いの彼方に』も上映いたします。

また、19時10より、万田邦敏(映画監督)との対談もございます。


小出 豊(こいで・ゆたか)
映 画美学校フィクション科コース修了。万田邦敏監督に師事し、『接吻』ではスクリプターを担当した他、同監督の短編TVドラマ『県境』、『一日限りのデー ト』では脚本も担当。『お城が見える』で第4回CO2オープンコンペ部門優秀賞を受賞し、CO2助成を得て撮り上げた初長編『こんなに暗い夜』が大きな話 題となる。また映画批評紙「シネ砦」の執筆者。

『お城が見える』
ひとりの男が、妻に家庭内暴力をふるい、それがきっかけとなり妻は息子を殺害してしまう。犯 行を隠蔽しようと、男は息子の死体を海に遺棄する……。第4回CO2オープンコンペ優秀賞。監督・脚本:小出豊/撮影:山岡太郎、深田晃司、四宮秀俊、川 口力/出演:吉岡陸雄、おぞねせいこ、大谷伸
2006年/DV/11分

本日のスケジュール

14h00 『綱渡り』『お城が見える』『月曜日』
15h30 『こんなに暗い夜』
17h30 この1本! 『条理ある疑いの彼方に』(フリッツ・ラング)
19h10 トーク 小出豊×万田邦敏(映画監督)|司会:松井 宏

http://www.mirai-kyosho.kitanaka-school.net/program/index.html

蓮実重彦が小出豊を……

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季刊「真夜中」の最新号が発売され、もうすでに手に取られた方もいるかもしれませんが。。。

蓮實重彦、黒沢清、青山真治の鼎談シリーズ、

「映画長話」第7回 をぜひともお読み下さい!

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今回は「赤い映画の本、三話」ということで、

近刊の映画本から3冊が取り上げられ、話題にされているのですが、、、

なんと、ここでふいに『葉子の結婚』の話になり、

小出豊監督の話で、蓮實重彦、黒沢清両氏が盛り上がっています!

蓮實「小出さんは、教育者としての万田さんから何かを不気味に受け継いでいる」(138ページ)

http://www.littlemore.co.jp/magazines/mayonaka/backnumber/151.html



ここでも話題になっている『葉子の結婚』の一遍「月曜日」をはじめ、

小出監督の映画は、1月27日(火)に上映いたします。

そして、万田邦敏監督との対談もございます。

みなさま、スケジュールのご確認を!

14h00 『綱渡り』『お城が見える』『月曜日』
15h30 『こんなに暗い夜』
17h30 この1本! 『条理ある疑いの彼方に』(フリッツ・ラング)
19h10 トーク 小出豊×万田邦敏(映画監督)|司会:松井 宏

http://www.mirai-kyosho.kitanaka-school.net/program/index.html

未来の批評キャンペーン|小出豊(2)

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(写真は、小出豊『綱渡り』より)

小出監督の『綱渡り』に関して、ご投稿をいただきました。
* * *

小出豊『綱渡り』に寄せて

10年前に撮られたこの作品は題名が示す通り、ある地点からある地点へと移動する作品である。しかし、綱渡りの緊張感などは皆無だ。周りと上手くコミュニケーションを取れない葉一君が過ごす日常はどこにでもある日常で、学校で糸電話を作ったり、草むらに行ったり、なぞなぞに答えてみたりとどこにでもいる小学生の日常がそこにあるのだ。劇的な出来事が起きるのではなく、ほんの少し移動することで普段の日常とは異なる風景がそこに広がっていることを子供がわかっていたのかどうかはわからない。しかし、葉一君の視線は地面を見つめるのではなく窓越しに見える外へと向かっていく。

こうしたどこにでもある日常を描いているこの短編の中には様々な線がある。糸電話の糸、バスの路線、そして視線。これらの線を葉一君がいつもと違うつなぎ方をすることで、その線をたどることによって他人の声を確認し、見知らぬ風景が広がっていることを見ることに成功する。こうした日常の小さな接続する道具のつなぎ間違いの連鎖が物語を緩やかに動かし、最終的にとてつもなく大きな広がりを持つところへたどりつく。その瞬間、ある映画作家の処女長編を思い出したと同時に清々しい気分になった。再びこの作品を見て、小出監督のこの10年間の軌跡を追いつつ、前回見た時と同じように清々しい気分に浸ってみようと思う。

(吉岡香織)

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小出豊監督の映画は、1月27日(水)に上映いたします。
また、小出監督の選ぶ「この1本」として、フリッツ・ラング監督『条理ある疑いの彼方に』も上映いたします。
また、19時10より、万田邦敏(映画監督)との対談もございます。
http://www.mirai-kyosho.kitanaka-school.net/program/index.html

小出 豊(こいで・ゆたか)
映 画美学校フィクション科コース修了。万田邦敏監督に師事し、『接吻』ではスクリプターを担当した他、同監督の短編TVドラマ『県境』、『一日限りのデー ト』では脚本も担当。『お城が見える』で第4回CO2オープンコンペ部門優秀賞を受賞し、CO2助成を得て撮り上げた初長編『こんなに暗い夜』が大きな話 題となる。また映画批評紙「シネ砦」の執筆者。


『綱渡り』
外界とのコミュニケーションがうまくとれない少年の成長を描いた短篇ドラマ。高崎映画祭正式出品作品。
監督・脚本:小出豊
撮影:篠原悦子
出演:浅野翔太、松橋かずき、長谷川智也
2000年/16ミリ/33分

http://www.mirai-kyosho.kitanaka-school.net/films/koide.html

未来の批評キャンペーン|小出豊

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(*写真は、小出豊『お城が見える』より)

当ブログでは、「投稿」と「寄稿」の2本柱、

ということで上映作品のレビューを掲載する方向で動いてきたのですが、

「寄稿」ではいろいろな方にご協力いただいている反面、

実は「投稿」がまだひとつしか来なくて、正直ちょっとあきらめていました。

ブログに詳細をアップすると、すぐに投稿があったので、はじめはかなり期待していたのですが。。

ところが、朝起きてメールを開いてみると、

「未来の批評キャンペーン」の件名でメールが!!!

ついに、2本目がきました。

ちなみに、「ヨコハマ経済新聞」でも、本キャンペーンに触れていただいています。

http://www.hamakei.com/headline/4703/

みなさんも、お気軽にどしどしお送りくださいね。

* * *

『お城が見える』について

『お城が見える』は、文字通り何かが見える映画である。この映画はDV(家庭内暴力)の被害者である妻がその腹いせに子供を殺害し、その死体を遺棄した夫のDV更生プログラムの話であり、観客にはそのプログラムの様子が文字通り見えるだろう。しかし、その様子がまた怖いのだ。

夫の再現する一連の暴力は確かに怖いのだが、単に叩くあるいは打つという行為それ自体が怖いというのではなく、こうした行為の細部への演出がその行為に付加されていることが怖いのである。頭を叩くのではなく腿を打つという解説やテレビコードで妻を殴る再現をする際の、時計を外してテレビ裏にあるコードを抜くといった暴力それ自体へと至るプロセスの細部を見ることほど怖いものはない。

しかし何よりも怖いのは、夫やともに室内にいる人間には見ることのできない監察官の声により、暴力の再現という状況が作り出されていくことである。もちろん、再現することが更生プログラムの一環であること、監察官は別室で監視カメラの映像をもとにやり取りを行うことは前提として設定されているものの、スピーカーを通して聞こえる監察官の声は、徐々に声を荒げていく夫とは対照的に常に冷静さを保っており、その声に導かれ、夫の暴力が細部のプロセスとともに徐々に再現されてくる状況が見えてしまうことこそ、最も怖い。

小出監督は11分という短い時間の中で、ある家庭=城の怖さの一部を細かな演出のもとに再構成したが、次作の長編『こんなに暗い夜』の中でも、こうした演出の細かさとある状況が徐々に生起していくプロセスを見ることができる。こうした細かな演出を確認するとともに、登場人物たちがどんな状況に引き込まれていくのかを、じっと目をこらしながらもう一度見てみたい。

(森田めぐみ・学生)

* * *

小出豊監督の映画は、1月27日(水)に上映いたします。
http://www.mirai-kyosho.kitanaka-school.net/program/index.html

小出 豊(こいで・ゆたか)
映画美学校フィクション科コース修了。万田邦敏監督に師事し、『接吻』ではスクリプターを担当した他、同監督の短編TVドラマ『県境』、『一日限りのデート』では脚本も担当。『お城が見える』で第4回CO2オープンコンペ部門優秀賞を受賞し、CO2助成を得て撮り上げた初長編『こんなに暗い夜』が大きな話題となる。また映画批評紙「シネ砦」の執筆者。


『お城が見える』
ひとりの男が、妻に家庭内暴力をふるい、それがきっかけとなり妻は息子を殺害してしまう。犯行を隠蔽しようと、男は息子の死体を海に遺棄する……。第4回CO2オープンコンペ優秀賞。監督・脚本:小出豊/撮影:山岡太郎、深田晃司、四宮秀俊、川口力/出演:吉岡陸雄、おぞねせいこ、大谷伸
2006年/DV/11分

小出監督の選ぶ「この1本」として、フリッツ・ラング監督『条理ある疑いの彼方に』も上映いたします。
また、19時10より、万田邦敏(映画監督)との対談もございます。

http://www.mirai-kyosho.kitanaka-school.net/films/koide.html
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