ついに、最終選考会をむかえた「みんなの夢アワード2012」。
当日のイベントの様子や注目のプレゼン、そして、「みんなの夢アワード」の選考結果発表の様子をレポートします!

「僕がスタートラインを与えていただいたように、
皆さんにもスタートラインを」(わたなべ美樹)




立ち見が出るほどの超満員となった中野サンプラザ。
「未来の名刺」の名乗りストさん、プレゼンターの応援団をふくむたくさんのご来場者の熱気に包まれるなか、高校生や全日本ラグビー選手、そして88歳のおじいさんがそれぞれの夢を堂々と語る熱いパフォーマンスによって、「みんなの夢アワード2012」は幕を開けました。



幕開けとともに登場したのは、「みんなの夢アワード」を主催するNPO法人「みんなの夢をかなえる会」の理事長であるわたなべ美樹。

「僕がスタートラインを与えていただいたように、今度は僕が夢を持つみなさんにもスタートラインを贈りたいから」と、自身が起業した当時の支援者とのストーリーとともに、この会を企画した思いが語られました。

賞金最大2000万円


開催初年だった昨年の「みんなの夢アワード2011」での「みんなの夢アワード」受賞者は、アジア最貧国といわれるバングラデシュでDVD授業を展開して農村部の高校生たちに教育の機会を与える夢を語った税所篤快さん。税所さんには、ワタミ株式会社からの資金面でのバックアップが行われ、さらに、わたなべ美樹が実際に現地へも赴いて経営指導を行いました。

今年の受賞者への夢のサポート資金としての賞金は、なんと最大2000万円。
「僕が過去に経営に失敗して銀行にも見放されて『もうだめだ』と思ったとき、取引会社の酒屋の社長さんが風呂敷に包んで貸してくれたのが2000万だった。それから、新しく事業展開するときにも2000万円投資してもらったことがあった。だから、2000万というのは、僕にとっては意味のある数字」 。2000万円という金額設定には、わたなべ美樹のそんな思いがあったのです。



そして、今年のアワードの選考基準も昨年と同様に以下の3点。
1、夢に計画性があるか
2、みずから夢に一歩踏み出しているか
3、みんなをわくわくさせる夢であるか
この3つを踏まえて選考が行われます。

今回プレゼンをするのは、未来の名刺からエントリーされた121名の名乗りストさんたちのなかから一次選考と二次選考を通過した4名と、わたなべ美樹が昨年から陸前高田市で行っている「経営勉強会」から特別に選ばれた2名の計6名。それぞれのプレゼンにより、選考委員の選考とご来場者全員による会場投票を行い、「みんなの夢アワード」受賞者を決定します。



厳選な選考を行うのは(写真左から)関西大学政策創造学部教授の白石真澄さん、作家の本田健さん、さわかみ投信株式会社代表取締役の澤上篤人さん、ワタミ株式会社代表取締役社長の桑原豊、そして選考委員長であるみんなの夢をかなえる会理事長のわたなべ美樹の5名。

そして、いよいよ最終プレゼンがはじまりました!

「かけがえのない命の大切さを
  一人ひとりが実感して欲しい」(山本恭輔さん




黒いタートルネックのセーターにジーンズという、スティーブ・ジョブズを彷彿させる出で立ちで現れたのは、最年少13歳の山本恭輔さん。デジタルの技術が社会のどのような分野でどのように活躍しているのかを研究しているという彼が語ったのは、実際の自分の体のデータを形にした模型を出来るだけたくさんの中学生と共有するという計画。「肌が透けて体の中が見えるこの造形を見ると、肌の色など関係なく人は平等であると気づきます。これを共有することで命の尊さを学び、世界中から差別やテロや戦争が無くなって欲しい」。中学生であることを忘れてしまうような、ハイクオリティなプレゼンでした。

選考委員の本田健さんも「堂々としたプレゼンでびっくりしました。素晴らしいと思います」と賞賛!

「好きなことを、
  胸を張って好きといえる社会にしたい」(にしやまちひろさん





「“社会人×学生”で行う新しいキャリア教育を通して、本当に自分がしたいことで、将来を考えられるような社会にしたい」との夢を持つにしやまちひろさん。子供の頃にいじめを受けた経験や、それゆえにゆがんだ夢の描き方をしていたころもあったと、自身について赤裸々に語ってくれました。しかし、そんなゆがみに気づいたあと、夢が一変したのだそう。大人たちの仕事やその人たちのそれまでの人生を子どもや若者に見せられれば、「やりたいことを、胸を張って語れる社会にできる」と、あたらしいキャリア教育に必要なオリジナルの展開を紹介しました。

そんなにしやまさんの夢には、澤上篤人さんから、「良いプレゼンだった。特に面白いと思ったのは、若い人に夢を語ることで中年の方々も自分たちを見直すことが出来るだろうなという逆のメリットもあるというところ」と、この夢の実現による社会的影響への期待を込めたコメントがあがりました。

「陸前高田のヤマニ醤油を、世界のヤマニ醤油に」(新沼茂幸さん




「地元で愛された味を日本全国で、世界へ広め、復興に寄与したい」一言ひとことに、そんな思いを込めて話してくれたのは、陸前高田市の経営勉強会から参加した地元で150年愛され続けてきたヤマニ醤油の新沼茂幸さん。VTRでは、大津波で流されてしまった製造所の様子、そして、他社の蔵を借りての醤油造りの様子も紹介されました。「震災で途絶えかけたヤマニ醤油を復活させ、世界で愛されるブランドにしたい。陸前高田のヤマニ醤油を世界のヤマニ醤油にすることを目標に、醤油だけではなく、社会の御用聞きをしながら、笑顔と希望のあふれる世界を作っていきたい」と、世界への展開計画を語りました。

そして、わたなべ美樹から、「ヤマニ醤油さんが世界に出ることで被災地の方々も勇気づけられる。世界にも進出し、復興にむけて頑張って欲しい」と、エールを込めたコメントが贈られました。

「一度でも介護の現場を経験してもらったら、
  イメージはきっと変わる」(森近恵梨子さん




若者に介護ボランティアブームを巻き起こしたいと、会場中が笑顔になるほどの明るさでプレゼンをしたのは森近恵梨子さん。介護の現場での活動はもちろん、自身で発行をはじめたフリーペーパー「well-be」を通じて活動する森近さんは、「とにかく一度でも介護の現場を経験してもらったら、介護に対するイメージはきっと変わるはず。介護をすることで皆が繋がり合い、最後までいきいきと過ごせる社会にしていきたい」と、多くの若者を巻きこむ計画、そしてそこから生まれるより良い社会の可能性を語りました。

そして、白石真澄さんからは、「ぜひ一度、介護現場の取材に同行させてください。素晴らしいのですが、紙は波及力にも限界が有るので、Webも利用して両方でやるのが重要かもしれませんね」と、具体的なアドバイスがあがりました。

「震災があったからこそ与えられたチャンスを大切にしたい」(佐藤博文さん




そして、新沼さんと同じく陸前高田市から登場したのが、きのこのSATO販売株式会社の佐藤博文さん。大きく美しく美味しく、高級レストランからも支持を集めるきのこの栽培を営む佐藤さんも、大地震の被害を受けました。「震災によって私の自宅は流され、未だ見つかっていない社員も」と、その体験を語った冒頭では涙で言葉がつまってしまった佐藤さん。しかし、そんな被災地での生活のなかでも、もう一度、自らのきのこ栽培を通して雇用を生み出す計画を進めています。それが延いては復興のためのモデルになると夢を語りました。

佐藤さんの絶品椎茸を試食した審査委員の方々。本田健さんは「ハートも胃袋もがっちりとつかまれました。事業の成功は、その人の情熱とビジョン次第だと思います。佐藤さんはその点でも素晴らしいと思いました」とコメント。

「夢はいくつからでも持てるし、
  いつでも叶えられると示したい」(梶ヶ山健之さん




そして、ドラマチックなプレゼンで観客を魅了したのは、ワタミ社員としても活躍中の梶ヶ山健之さん。前職は旅行会社勤務という梶ヶ山さんの夢は、アメリカの自然あふれる田舎に買った広大な土地に夢センターをつくり、世界中から子供たちをよんで自分の夢を見つける本物の留学体験をしてもらうこと。「50を前にして怖くてたまらないことがたくさんある。でも、今やらなければいつやるんだと思ったんです。夢はいくつからでも持てるし、いつでも叶えられると示して行きます!」と、「オヤジの夢」を熱く語りました!

澤上篤人さんからは、「梶ヶ山さん自身が楽しんでいていいですね! 夢留学のプログラムには『甘えないこと、当たり前と思わないこと』を規約におり込んで欲しいです」とアドバイスが贈られました。




それぞれのカラーで思い思いに繰り広げられた6人の夢プレゼン。
会場の緊張もさめやらぬなか、さっそく選考が始まり、ご来場者のみなさん会場投票へ。

選考室には、選考委員が集まりました。プレゼンの迫力や夢の大きさは、選考委員の予想を大きく越え、選考委員の議論も白熱。それぞれの方への評価が飛び交うなか、選考基準に立ち返り、厳正な選考が進められました。

これからの夢




そして、会場投票の集計が進むなか、ステージではベストセラー作家の本田健さんとわたなべ美樹の「夢対談」が始まりました。わたなべ美樹のこれからの夢を聞き出す本田さん。「風車でワタミグループのエネルギーをまかないたい。それに、本田さんに頂いたご縁で出会ったムハンマド・ユヌスさんとは、ソーシャルビジネスをバングラデシュで展開しようと思っています」と、驚きのこれからの夢が飛び出しました。

そして、見事アワードに輝いたのは……




いよいよ緊張の結果発表。ハイレベルな戦いに、急遽、特別賞が設置されました。
その特別賞に選ばれたのは、「アメリカ自然夢センター長」梶ヶ山健之さん!



わたなべ美樹から梶ヶ山さんには、「正直、少し、どうなるかな?というところはある。けれど、寄り添って一緒に考えていきましょう。それが特別賞ですから」との言葉とともに賞が贈られました。

そして、見事、「みんなの夢アワード2012」に輝いたのは、

きのこのSATO販売株式会社、佐藤博文さん!!



受賞に驚きを隠せない佐藤さん。涙ながらにこう語ってくださいました。
「震災後は、やりたい事とやらなければいけない事があり過ぎました。あり過ぎて、どうすればいいかもわからなくなるような日々が続いていました。だから、今、こういう場で自分の夢を語ることがとにかくいい機会になると思ったんです。出場するだけでもいいと思っていたのですが……」

そして、「震災の街陸前高田ではなく、きのこの街陸前高田と呼ばれる日が来ることを描いて夢の実現を目指します」と。



一次、二次と熾烈な選考を勝ち抜いてきた今回のプレゼンターの方々。熱くて真っ直ぐな彼らの思いは、今回会場に来ていた観客のみなさんの心に深く響いたことでしょう。素敵な夢を持ち、既に歩み始めている彼らの今後の活躍をこれからも応援していきたいと思います! そして、次回の「みんなの夢アワード」は、さらに大きくなって開催される可能性も。 わくわくする夢を持った名乗リストさんたちがたくさん集まることを、楽しみにしています!