足立獣医科医院のブログ

京都府城陽市の動物病院のブログです。病気の情報、日々の診察、日々の生活、そしてちょっとした遊び心の写真を載せていきます!もちろん色々な相談があればできる範囲で考えを述べさせてもらいます。

前回の記事では「酵素」が蛋白質からできているからいくら食べ物を生で食べても胃酸、もしくは腸液(アルカリ性)で構造が変化(タンパク変性)が起きるので生食で酵素が得られて健康にいいというのが残念ながら意味がない理屈だということを書きました。
で、今日は酵素からもう少し獣医療らしく「ホルモン」のお話。
ホルモンには蛋白質からできているたんぱく質系ホルモン、構造にステロイド環というものを持っているステロイド系ホルモン、アミノ酸誘導体からなうホルモンなどに分けられます。
ここで勘のいい人は気づくかもしれませんが、今日はたんぱく質系ホルモンのお話。
前回もきましたが、蛋白質とういのは熱やpHの変化に弱くて、その構造が壊れやすいもの多いわけです。
そしてその構造が壊れてしまうと元には戻りません(不可逆的変性)。
卵の白身が一番わかりやすい身の回りにある例かな????
熱を加えると透明な白身が白く固まってしまいますよね。
これが熱変性。
でも冷やしても元には戻らない。
これが不可逆的変性。
でも元はアミノ酸だし、最終的には消化によってアミノ酸に分解して吸収するから栄養的には理屈上はどちらで食べても同じ。

でも「機能」を考えるを機能を持った蛋白質は熱を加えたり、酸やアルカリにすると構造が壊れて働きが失われるわけです。
そしてそれは酵素だけじゃなく、ホルモンも同じ。
食べたものは当然胃に到達するし、酸にさらされてしまいます。
ということはタンパク質系のホルモン製剤を飲んでも意味はないということになります。
代表的なものがインスリンですね。
飲み薬がないのはインスリンがタンパク質系のホルモンだから。
飲み薬がないということは注射をするしかないわけです。
だから糖尿病患者の人たちは自分でインスリンを注射するわけです。

獣医療で動物が自分で注射をできないので飼い主さんにしてもらうわけです。
かなり例外的な治療です。
多くの病気では基本的には飼い主さんに注射をしてもらうことはまずなくて、飲み薬なんかを使ってもらうことになるのですが、糖尿病はそうはいきません。
胃酸で構造が変化してしまってインスリンとしての機能がなくなってしまうわけです。

逆にタンパク質系のホルモンじゃなければホルモン製剤は飲み薬でいいわけです。
経口避妊薬のピルなんかはそうですよね。
性ホルモンは基本的にはステロイド系のホルモンなので胃酸や腸液の影響を受けないわけです。

ということでタンパク質という物質の性質の一部はわかっていただけたでしょうか?
そしてそれがわかれば「酵素が含まれているから」という理由での生食は基本的には意味がないこともお分かり頂けると思います。

糖尿病と診断された動物の飼い主さんが「注射なんて自分でできない!飲み薬はないんですか?」という言葉にも「ありません。頑張って一緒に注射の練習をしましょう。」というしかない理由もお分かりいただけたんじゃないかなと思います。

P3111651
昔に記事にした子。
他の病院で糖尿病と診断された子猫。
重度の糖尿病性ケトアシドーシスだった。
諦めてくださいと言われた子。
そして「俺がなんとかする!」などと息巻いて、でも助けられなかった子。







P8163287もう流行りでもなんでもなく、過去のことかもしれないけれど・・・・
聞きなれない言葉を聞いたので(笑)
ローフードって始めて聞いた流行に敏感な私(嘘)

知らなかったけど数年前に流行ったの?
今でも?
よくわからんけど・・・

加熱しないと有効な酵素が取れるらしいけどさ・・・・
確かに酵素はタンパク質だから熱には弱い。
いわゆる熱変性ってやつですよね。
高校の生物で習ったの覚えてます?(笑)
だから加熱しないで生で食べる????????

突っ込みどころ満載だけど、今日はひとつだけにしとこ。
確かに蛋白質は熱で変性(構造が変化すること)してその機能が失われてしまうんだけど。
でもね、pHの変化にも弱いんだよね・・・・
酵素の種類によってどのpH(酸とかアルカリとかね)ではよくて、どのpHには弱いかってのも決まってます。

どういうことかっていうと、酸性に偏ると変性してしまう酵素もあればアルカリ性に偏ると変性してしまう酵素もあります。
だから食べても胃酸で壊れてしまう酵素、腸液(アルカリ性)で壊れてしまう酵素も多々あるわけです。
ということは酸やアルカリにさらされてしまう消化管での摂取は加熱するのと同じくらい酵素が壊れる(変性する)わけです。
熱だけに注目してpHには注目していないというちょっとお間抜けな理屈なわけですよね・・・・

人間でも動物でも同じことが言えるわけで。
寄生虫や栄養素の観点から加熱したほうがいいものもあれば、生の方がいいものもあるし、どちらでもいいものも。

動物に与えるフードも手作りから既製品までいろいろあるけれど、変な理論にはひっかからないでください。

これが100%正しいというものはないのかもしれないけれど、動物にもしっかりとした食事を!

相変わらず計画がなかなか進まない、進めてもらえない日々ですが・・・・
それでも毎日奔走しています。
今日も午前中は計画が進み始めた時のことを踏まえて(希望的観測)、ずっとデスクワーク(?)。
目もショボショボです(笑)
cafestreet
でも日曜の午後くらいは少し息を抜こうかと。
ということでお気に入りのカフェでコーヒーでも。
ビールとフルーツも冷やしているんですが、ここはビールはグッと我慢(笑)。
こじんまりどころか狭い狭いカフェで少しリフレッシュ。

また明日から奔走だ・・・・

もう少し計画のメドが立つというか、進み始めたら内容はしっかり書こうと思います。










みなさまお久しぶりです。
何名かの方にどうしているのかというコメントをいただいております・・・・
京都を離れたことまでは書きましたが、「どこに」ということは書いていませんでした。
どこにたどり着いたかというと・・・・
海軍壕
沖縄です。
今まで記事ではぼかしていたのですが、最初の大学というのが実は琉球大学で生物学を学んでいました。
就職も沖縄でという過去でした。
ということで個人的には沖縄に行くというよりも「帰ってきた」という方がしっくりくる土地なんです。
写真は住むことになった場所の近くの高台。
内地(本土)では気温も37℃前後と猛暑の日が続いているようですが、沖縄は平均して32℃前後。
で、沖縄で何をするかというと・・・・
それはまた今後の記事で追々と。
勿体つけるようですが、そのやるべきこと、やりたいことがどうも計画通り行っていない(涙)
さすが沖縄(笑)
それを進めるために奔走している日々です。
ちゃんとメドがつけばちゃんと報告させていただきます。
沖縄気質も相まって計画通りいっていなかったことと、実はネット環境が整わなかったので中々アップできませんでした。
まあ、少しずつでも以前のようにアップできれば思っていますので、今後ともよろしくお願いします。

タイミングを逸してしまいましたが・・・・
動物の寿命も一昔前よりも長くなり、その一方で慢性疾患や腫瘍なんて病気が増えていることはご存知だと思います。
そしてその腫瘍、特に悪性腫瘍=ガンに関しても増えていることは事実だと思います。
で、以前に人間の方での最新医療である免疫療法について質問があり、その質問に答える形で記事を書きました。
その記事はコチラ→新しい治療とは? ~コメントとちょっとだけお勉強~

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まさにそのあたりの、特に免疫チェックポイント阻害薬や分子標的薬の話がエコノミストという雑誌で特集されていました。

ただね、リスクがないというのはちょっと言いすぎ。
確かに副作用はかなり低いとは思うけど。
そして従来の治療を否定するような言葉もどうかなと思うけど。
あまりこういった言葉には踊らされないで読んでみてもいいのかなと。
ちょっと小難しいけど。
ただ、やはりこういった治療の問題はやはり費用。
人間では国の医療費を圧迫するし、もし動物でも使えるようになるとすると飼い主さんの選択肢は増えるけれど、獣医療もどんどん高額化してくる。
でもそれは実は多くの獣医師も飼い主さんも望んでいないのではないかなとも思うわけです。
そしてペット保険というのもあるけれどあまりにも高額な獣医療が増えてくるとその保険の存在が危ぶまれる可能性もあるし、今はそれほど高くはない保険の掛け金も高騰する可能性もあるんだよなあ・・・・
となると本末転倒。
安くで提供できるのが一番ではあるんだけれど、開発する製薬会社もかなりのリスクを背負って巨額の金額を投資して開発するわけで、やはりある程度は高額になってしまうのも仕方がないのかもしれない。
でもやっぱり選択肢は増えてほしいし、従来の治療では治せなかったものが治せるというのは魅力。
この雑誌でも医療の高額化については書いてあるので読んでみてもいいのかも。
でも、実はこの雑誌は先週でたので今週号はまた別の特集。
もしかしたらもう店頭にはないかも・・・・

今日は写真がなく・・・
昨日はレーザー治療の講習会の講師を頼まれまして、その講習会に行ってきました。
その時の写真があればいいんですが、無い!
今までは講習会やセミナーというと受ける側が多かったんですが、昨日は教える側。
レーザー自体は中々治療のメインにはなりにくいのですが、それでも使えることはままあって。
逆に使えない事も多々あって。
その両方をわかってもらえたらなぁというのがテーマで講演をしてきました。
利点欠点を分かって導入するかしないかを判断してもらえたり、すでに持っている先生にはもっと有効に使えるんじゃないかなんてことを話してきました。
絶対にあったほうがいいっていうものではないし、絶対にいらないってモノでもない。
まあうまく伝えられたかどうかはわからないけどレーザー治療について講師という形で色々と話ししてきた昨晩でした!

帰国しました

ブログ再開とコメントの返信はもうしばらくお待ちください

もうシーズンは終わったのですが・・・
私自身はフィラリア検査のついでと言っちゃあなんですが、どうせ採血するんなら一般血液検査を受ける事を勧めています。
もちろん強制ではないですし、受ける方、受けない方は半々以下かもしれないけど。
断る方の理由は「元気だから」
まあこれは確かにねえ・・・・・・
でも「健康ですから」
これはわからない。
元気=健康とは限らない訳です。
で、元気であろうと健康(そうに見えようと)であろうと、実際にはどうなんでしょう?
今日はいつもフィラリア検査の時に血液検査を受けてくれていたこの病気が見つかった例です。
生化学
血液検査をしてみると総コレステロールが450オーバー。
去年はそんなことなかったし、基準値以内。
ALPが高値。
去年はそんなことなかったし、基準値以内。










高脂血症
遠心をかけても高脂血症は間違いない。
で、飼い主さんに聞くのが「水飲む量が多くなってません?」
この飼い主さんは2匹飼っているのですが、この子だけ確かに飲む量は多いとの事。

たぶん・・・・・

ということで更なる検査を勧めることに。






ACTH
その検査はACTH刺激試験。
見事にコルチゾールのPreが高値。
これはまずは採血(pre)。
コートロシンという試薬を注射。
その1時間後に再び採血(post)

で、postで血中コルチゾールが20を越えていれば副腎皮質機能亢進症。
いわゆるクッシング症候群。

後々多臓器不全などもきたす結構怖い病気。
いわゆる内分泌疾患で副腎皮質ホルモンであるコルチゾールが他の子よりもドパドパ分泌される病気です。
ホルモンの病気ですから基本は完治は不可能。
まあ手術っていう手段もありますが、獣医領域ではちょっと非現実的。
それよりもホルモンを抑えるお薬を一生にはなりますが、飲み続ける事で寿命まで問題なく過ごす事ができることが多い病気です。

見た目も元気。
食欲もある。
特に問題があるようには思えない。
でも実際にはこういった病気が「ついでの検査」であっても見つかる訳です。
是非、定期的に検査を受けさせて上げて欲しいなと思います。

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気温、湿度とともに上がってきた訳ですが、それは皮膚疾患の季節でもある・・・はず?
「はず」とした理由はもう少し後にすることにして・・・
治療前
いわゆるホットスポットと呼ばれる一部に強い皮膚炎が生じた状態。
もちろん痒いから舐める。
舐めるから細菌感染を起こす。
感染を起こせばさらに痒くなる。
という悪循環。



 





治療後
個人的にはこの「舐める」という行動が一番の問題だと思っている訳です。
舐めることでさらに感染が強くなり治らない。
もちろんそうではない皮膚疾患も多くあることも事実ですが。
じゃあどうやったら舐めなくなるのか?
もちろんエリザベスカラーも一助でしょう。
でもね、やっぱり痒い事は事実。
痒いっていうのはかなりQOLが下がると思っています。
その痒さをコントロールしないままの治療って個人的には「???」な訳です。
原因はわからなくなるのですが、もし繰り返すようなら、逆に繰り返せばまた一つ原因に近づいていったりするのであくまでも個人的にではありますが、やはりステロイドを私は多くの場合に使います。
舐める行動=感染を助長することを止める事で治りはやっぱり早い。
未だに獣医師の中にはステロイドは感染に禁忌=膿皮症には禁忌としている方もいますが、感染が起きていても高用量である一定期間続けなければ感染を助長する事はないと思っています。
実際にステロイドを使いながらでも治るわけですから(もちろん全ての皮膚疾患ではありません)。
それを無理にステロイドを忌避している一部の獣医師、皮膚科獣医師にはちょっと疑問。
QOLを下げないためにも、そして舐めるという行動を止めることでもステロイドは重要な薬の一つなんだと思っています。

で、最初の「はず」なんですが。
どうもここ2〜3年、皮膚疾患が減っている。
もちろんいいこと。
知り合いの先生何人かにも聞いたのですがやはり減っているとのこと。
ある先生は「う〜〜〜ん・・・・フードがよくなったのかなぁ???」と。
もしそうなら一昔前の皮膚疾患は食物アレルギーが非常に多かった?
でも検査もあまりなかったから何とも言えないけれど。
確かに皮膚疾患って色々なことが原因で起るからフードだけってことはないのかもしれないけど。
例えば空気清浄機が普及したのも最近だしね。
ある子はスキンケアだけですっかりきれいになった子もいるし。

まあ、皮膚疾患というか痒みってかなりQOLを低下させると思っているから、もしフードだったとしても痒みから開放されるもしくは痒みを体験しない子が増えてきたのはいいことだね。

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先日の記事にあるコメントをいただきました。
ちょっと私のエゴであったり、傲慢さかもしれませんが、私の考えを書いていこうかと思います。
その記事はコチラ→力量不足 〜必要な能力〜

そしていただいたコメントを

人それぞれだとお思いますが、自然死を望むのも愛情だと思いますよ。
犬は人間とは違います。
前向きに闘病して長生きして、未来に何かをやり遂げたいと思って生きてはいないでしょう。
動物は「今」を生きているのですから。
擬人化し過ぎるのはエゴであって愛情じゃない。飼い主と獣医の自己満足かも知れません。
欧米に比べて日本では寝たきり老人が多いことからも分かるように、ペットへの考え方も同じで「天寿」を受け入れないからなのでしょうね。
ただ、苦痛だけは取り除いてあげるべきですが。それが安楽死という選択であっても。


ここで大きく問題になるのが「自然死」と「放置」の違い。
獣医療は確かに人間の医療に比べると大きく遅れているのが現状です。
それがある意味幸いしてか動物にいろいろな管をつなげて何ヶ月も意識が無いまま延命するという技術はありません。
少なくとも私には。
となると私が行う治療の一部は延命ではなく、やはりQOLの低下を防ぐということになります。
そして私が経験した治療拒否の多くはどちらかといえば放置と個人的には感じてしまいます。
理由は提示した治療があくまでも完治ではなく、そして延命でもなくその病気とうまく付き合っていくためのもの。
多くの慢性疾患の場合、それは人間でもそうですが、その病気とうまく付き合うことがある意味現代医療の限界だからです。

そこで自然死とは何ぞやとなるわけですが、正直わかりません。
が、多くの慢性疾患は放置すれば最後は苦しみながら死んでいくことが多い。
例えば記事の僧帽弁閉鎖不全症。
慢性心不全に分類される病気です。
人間であれば開心術で弁形成を行うか、場合によっては心臓移植もあるのかもしれません。
でも動物でそれは技術、費用、ドナーなどの問題で非現実的です。
でも放っておくと最後は肺水腫。
陸上にいながら溺れ死ぬわけです。
これほどつらい死に方はなかなか無いでしょう。
きっと。
この肺水腫ができるだけ起こらないようにして、寿命を迎えるか、心臓そのものが持たなくなって亡くなるか、を目指すのが内科治療。
内科治療も行わず、一切の治療を行わずに肺水腫で亡くなることが私にはどうしても自然死とは思えないわけです。
獣医師のエゴ、傲慢かもしれませんが。
できるだけそいったことを取り除いて最後はやっぱり寿命で、もしくは心機能が持たなくて心停止で亡くなるというほうがよっぽど自然死に近いと思うわけです。

慢性腎臓病。
脱水し、尿毒症になって嘔吐、痙攣を起こしながら死んでいくのが自然死とは思えないんです。
確かに最後は尿毒症で亡くなることも少なくないですが、一切の治療を行わなかった子と、治療を継続していた子ではその亡くなり方が違うと感じるのは私だけではないと思うんです。
人間であれば人工透析、腎移植などもありますし、獣医療でも無くはないんです。
でもそれを私が、いやほとんどの獣医師が第一選択としないのはその負担よりも今のところ一般的に行われる治療のほうが負担も少なく、それほど苦しまなくてもいいと経験的にわかっているからじゃないでしょうか?
少なくとも放置よりも治療を継続した方が楽に亡くなっていると感じます。
その方が自然死に近いのでは?と思うわけです。

そしてそれは糖尿病やクッシングなどのホルモン疾患も同じことが言えると思います。

「自然に任せる」というのは都合のいい言葉で聞こえはいいのですが、実際には「放置」であることが多いのでは?
自分が、自分の配偶者が、子供が、親が病気になったときに本人の意思とは別に「治療をしません」「自然に任せます」なんてことまずいいませんよね?
子供が心疾患なら手術や移植を望んでいるのが現状ですよね。
糖尿病であればインスリンを子供にも使いますよね。
子供が糖尿病性ケトアシドーシスになっても「これが自然」なんて言える親はいないと思います。

で、もうひとつ問題となるのが
擬人化し過ぎるのはエゴであって愛情じゃない。飼い主と獣医の自己満足かも知れません。

確かに私も過度な擬人化は好きではありません。
が、私が言っているのは擬人化ではなく、「人道的」なものです。
動物を飼う以上、責任は生じます。
それが放置であるならばその責任は放棄されたことになるわけです。
動物も獣医療を受ける、そして苦しみを軽減してもらう権利があるわけです。

欧米に比べて日本では寝たきり老人が多いことからも分かるように、ペットへの考え方も同じで「天寿」を受け入れないからなのでしょうね。

ここは獣医療が誤解されていることなんですが、欧米の場合ペットの天寿なんてものは考えていません。
獣医ドリトルという漫画、ドラマがありましたが、そこで女性弁護士のマーモセットが白内障にかかり、日本の獣医師は信用できない、レベルが低いということで欧米の専門家に尋ねてもすべて安楽死という答えしかなく、その女性弁護士が憤りを感じたというのがありました。
欧米では人を噛むと安楽死、慢性疾患で安楽死、治療にリスクがあると安楽死です。
その理由は効率化と訴訟リスクの回避です。
日本の獣医師のほうがよほど天寿というものを考え、動物に寄り添っていると個人的には思っています。
そしてそれは日本人の死生観が大きくかかわっていると思いますが、その辺は長くなるのでまたいつか。

ですから安楽死に関しても欧米人と日本人では大きく考え方が違うと個人的には思っています。

「自然」という言葉に日本人は弱い部分もありますが、記事で書いたようなことであればそれは自然ではなくやはり「放置」と思うわけです。
獣医療が自然に背いているのであれば、自然をそれほど重要視するのであれば人間はやはりペットは飼うべきではないのでは?と思うわけです。
家畜と野生動物だけでいいわけです。
家畜は病気になれば廃棄されます。
野生動物の多くは獣医療の恩恵を受けません。

苦しむだけの治療は確かにすべきではない、もしくはかなり慎重にならなくてはならないと思います。
が、多くの治療はその苦しみを緩和する、もしくは可能であれば開放してあげるためのものです。
個人的に感じるのは治療を拒否する方の多くはおそらく治療費の問題じゃないかと。
それを「自然に任せる」という言葉に置き換え、自己弁護しているのではと感じることが往々にしてあります。
多くの場合において獣医師はいくつかの治療方法を提示するわけです。
リスクはあって完治を望む方法か、完治は望めないがリスクが少なかったり苦しみを緩和できる方法か。
もちろんリスクを犯すしかない場合もあります。

でもそういったことをすべて吹っ飛ばして「自然」という言葉で目を背けるのであればやはりそれは「放置」ではないかなと思うわけです。
明らかに多くの場合で治療によって元気に平均寿命を全うすることが多い病気において飼い主さんがある程度の医療的介入をしてあげてQOLをできるだけ低下させずにその時を迎えさせてあげることが動物を飼う上での飼い主としての責任ではないでしょうか?

ミルコ02
この子は肥大型心筋症で亡くなりました。
薬の種類と量を決定するまでは何度か苦しみました。
でも最後は薬で胸水がたまることもなく、肺水腫になることもなく、私が眠っている間に亡くなりました。
私が眠る前もいつも通り元気にしていました。
彼を治療したことは飼い主としての私、獣医師としての私のエゴだったのでしょうか???
胸水がたまって呼吸困難で亡くなったほうが自然でよかったのでしょうか・・・・・

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本日午前に帰国!
で、午後から再び出国笑
本当はタイから直行してもいいんだけど航空券の手配が面倒くさくて・・・
でも帰国しても関空→伊丹→羽田というわけのわからんことになってるし・・・

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次の帰国が本当の帰国だと思います 笑

タイは今日が最終日
朝からスパークリングワイン
何やってんだか笑
次の移動先は・・・
中々ハードスケジュールらしい
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満喫など色々な言葉をいただいてはいますが、今回は実は自由な時間はほとんど無く・・・
会わないといけない人がいたり行かなければいけない所があったりと・・・
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タイのワンコ
バンコクの中心は昔ほど犬は見かけなくなったけど中心を離れたらちょいちょい見るし、バンコク市内でも全く見ないわけじゃない。
ネコは中心地でも結構見るんだけどね

6、7年振りくらいか?
よく思い返してみれば結構来てなかったんだな
毎年のように必ず立ち寄ってたのに
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バンコクの猫

昨日の続き。
手術をしたくないと主張された巨大結腸症の猫の飼い主さん。
その後もサプリやフードの相談はされましたが、私の答えは「手術のみ」です。
もちろんね、病気や症例によっては手術を回避できるものもあります。
もしくは手術をしない方が残りの余命のQOLが下がらないものもあります。
その時はそうと私は言います。
何でもかんでも手術って言っているわけではないんですよね。
でもこの子に関してはQOLも場合によっては命の危険も今後は十分ありうる。
それは手術でしか回避ができないことは明白なんです。
いくら電話をもらっても私の答えが変わらないからかしばらく連絡が途絶えました。
で、忘れかけていたある日、電話が。
「手術して下さい」
ちょっと言葉は悪いですが、心の中では「ほら、そうなるでしょ・・・・」
しかも多くの場合は手術は早い方がいい。
それは私が手術をしやすいというのもあるけれど、放っておけば放っておくほどダメになる部分が多くなってしまうわけです。
毛刈り
で、手術です。
実際に見ると便の形にお腹が膨らんでいるのがわかるんですが、写真だと・・・・(汗)

人間の目ってすごいよなと思う(写真の撮り方が下手かもだけど)。






結腸
これが結腸。
この巨大化した、伸びきった結腸の大部分を切除するわけです。(結腸亜全摘)










結腸切除
これが切除した部分。
もちろん切除していない部分をつなぎ合わせるのですが、それでもやはり径の大きさが違ってしまう訳です。
これが手術が早ければ早いほどその径の違いは小さい=手術が容易、成功率が高いとなるから早い方がいいわけです。
しかもこの子は血管が通常解剖と違っていました。
その血管を残さないといけないから普段なら切り取れる部分が切り取れなかったんです。
となると径の違いが大きくなるし、再発率も高くなる。
だからもう手術絶対適応だと思ったら「手術のみ」という答えになるわけです。
しかも出来るだけ早く。

本来ならばもっと早くに手術を受け入れていればこの子も苦しむ期間は少なかったはずですし、手術ももっと短時間に終わる事ができたはずなんですが・・・・

そう、フードを変えようが、サプリを与えようが、浣腸をしようが、一度なったら戻らない、手術しか無いのが巨大結腸症です。
確かに猫は犬に比べると元々便秘気味な動物ですが、「単なる便秘」として軽く見ていると大変なことになるので注意を!

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昨日で当院での私の診察は終わりましたが、まだ紹介していない症例もありますのでどんどん続けていきます。
「猫の便秘」
軽く考える方も少なくないのですが、便秘の行き着く先は「巨大結腸症」
行き着く先というのは結局はもう「臓器がダメになっている」ことです。
便秘が酷くなると便が骨盤を通らないというくらいまで腸が「伸びきって」しまいます。
ラテラル像
この子もそう。
飼い主さんには最初から手術を提案しました。
絶対内科的には治せないから。
でも拒否されました。
浣腸でとかフードを換えてとかおっしゃっていましたが、私の答えは「無理」です。
ゴムでもなんでも伸びきったらもう終わり。
腸は臓器の中では弾力性というか伸張性のある臓器です。
ある程度は伸びても元には戻る。
でもそれには限界があります。
「ネットで◯◯というフードがいいって書いてありました」
ということでそのフードの説明書を見せて説明です。
「禁忌:巨大結腸症」
なんでネットの方が信じられるんだろ・・・・・
でも今までも浣腸でなんとかなってきたからということで手術は拒否。
もちろん心の中では「いやいや、無理だから・・・・・」

この病気の怖い所は単に便秘ではないということ。
もちろんもうこれだけ便が大きくなっていれば絶対に骨盤は通らないから便は出ない。
どんどん便は貯まっていく一方だし、どんどん腸は伸びきっていく。
出ない訳だから嘔吐も出てくる。
伸びきった腸は元には戻らないから便だけを出しても同じ事の繰り返し。
ずっと苦しい思いをするわけです。

そして便の中にはたくさんの細菌がいるわけです。
細菌はエンドトキシンという毒素を作り出す。
その毒素がどんどん腸の中に作られていく。
そしていつの間にか菌がお腹の中にも侵入していく。
その結果敗血症、エンドトキシンショックで亡くなる。
という実は怖い病気。

まだまだ手術=かわいそうという考えがあるんだと思います。
でも繰り返す苦しみをずっと味わせて死んでいく方がかわいそうなわけです。
もちろん全ての手術がそうではありませんが、少なくとも巨大結腸症を内科的に、もしくは非外科的に対応するのは無理ですし、結果として動物に苦しみを与えてしまう事になるわけです。
個々の状態や疾病にもよりますが、手術絶対適応という病気はある訳です。
そのうちに一つがこの巨大結腸症。

そしてこの子がどうなったか、それはまた明日。

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聴診器さて、今日で当院での私の診察は終了。
この数日は色々な方がお酒(笑)を筆頭に色々と持ってきて下さったり、動物を連れてきて下さったりと。
遠方からも最後に診てもらいたいということで来院して下さった方も。
本当にありがたいというのと同時に継続して診てあげられないことには申し訳なく思います。




そして先日は私が辞めた後も父が引き継ぐと書きましたが、実は諸々の事情により、今月いっぱいで閉院とすることになりました。
継続治療が必要な子達は受け入れますが、新規の患者さんは他の病院を紹介という形になります。

私自身が今後どうするかはもう少し経ってからブログで書きますね。

短期的にはちょっと済ませてしまわないといけない用事もあるのでそちらが先。
思わぬ仕事の依頼もあったりとちょっと1ヶ月ばかりはバタバタしそうです。

ただ、何人かの方には聞かれましたが、臨床医は辞めません。
近いうちに臨床医には戻ります。
京都には戻って来る事は無いとは思いますが・・・・

ですので今まで診させて下さった方には申し訳ないですが、この病院ではないところで臨床医としてはまだがんばります。

色々後ろ髪を引かれるような言葉をいただきましたが、やはり決めた事は決めた事。
何年も思い続けた方向に進もうと思います。

まだまだ紹介していない症例、知ってもらいたい事はたくさんあるのでブログは明日からも続きます。
(毎日というのはしばらくはできないかもしれませんが)
で、今後の方向性も、そしてその進み具合等もちゃんと報告させていただきます。

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明日、緊急症例がこなければ今日の乳腺腫瘍が当院で行なう最後の手術でした。
犬の乳腺腫瘍って結構第3乳腺に発生している事が少なくないような気がする。
第3乳腺じゃなければ領域乳腺切除で済むし、第3乳腺であれば片側乳腺全切除で済む訳です。
(詳しくはコチラの記事→一口に手術と言っても・・・ 〜乳腺腫瘍〜
で、今日のワンコは・・・・
第一乳腺と第二乳腺!
ということは第1〜3乳腺の切除でなんとかいけそう!
切除
で、切除は問題なく終わり!
















縫合
で、縫合も終わりで無事終了。

麻酔からの覚醒も問題無し。

最後の手術がケチがついたら嫌だもんね。



次の手術は・・・・
結構先になるか、近々になるか、わからん(笑)
でもまだ書いていない手術症例はあるのでブログはまだまだ続きます!

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口の中の「デキモノ」はいつもヒヤヒヤさせられます。
腫瘍、単なるデキモノ、その差は極端。
腫瘍でも扁平上皮癌やメラノーマなんて最悪。
その一方で良性のものも少なくはない。
でも悪性のものはかなりヤバいのが口腔内。
歯肉過形成
で、こんなのを見るとね・・・・
でも見た目はそんなには悪くはなさそう。
でも油断は禁物。
飼い主さんとお話しした結果、まずは鎮静下でのレーザーによる腫瘤の切除。
そして組織病理検査。
その結果如何によっては拡大手術という手順を踏む事になりました。
レーザーなら、そしてこの状態なら全身麻酔ではなく、レーザーでの切除が可能かなと。




歯肉切除
手術時間はほんの1分ほど。
2つの腫瘤を切除しました。
で、ドキドキの病理検査の結果は・・・

「歯肉炎による過形成」

過形成っていうのはマメやペンだこのようなもの。
刺激が慢性的に起って腫れ上がってしまうもの。
ということで良性の腫瘍でもなく、歯肉炎が慢性的に続いてこういった腫瘤ができたわけです。
ホッと一安心。
でも歯肉炎もなんとかせねばならぬ・・・
そして歯肉炎もほっておくと顎の骨の融解、骨折になる場合もあれば、こんなデキモノができることもあるわけです。

いずれにせよ口腔内だからといってほっておくのは論外。
でも未だ口腔内に無関心と言うか、悪性腫瘍じゃなければほっておいても大丈夫という獣医師も少なからずいるし、飼い主さんもそういった考えを持っている方もいる。

場所は関係なく、しっかり悪いものは悪いとしてケアして上げる必要があるわけです。

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医療の基本って言うのは診断→治療です。
本来ならばちゃんと診断を下して(原因を追及して)、それに適した治療をしなくてはいけないのですが・・・・
でもそれができないことも実はあります。
治療を先行して、原因を探る診断的治療というやつです。
で、今回も実は原因を確定する事ができませんでした。
あるニャンコ。
食欲が落ちてる。
なんとなく元気がない。
これだけの情報ではさすがに・・・・・
体温は40.3℃。
結構高いな・・・・
この子は前から外に行くのは知っている子。
猫でしかも外に行く子でまず疑うのは・・・・・
とうことで全身を触りまくるけど、見つからん!
で、血液検査。
数値は特に問題ない。
でもこの子は普段から白血球が少ない子。
で、白血球数は基準値内だけど普段から少ないこの子にしては高い。
桿状好中球
で、血液の塗抹検査。
桿状好中球っていう若い好中球(白血球の1種)が多い。
桿状好中球は感染や炎症で白血球が上がる時に増えてくる若い好中球。
これが多いってことはやっぱり強い感染か炎症があることが考えられます。








となると外に行く子で発熱があって、桿状好中球が増えているとなるとどっか咬まれているかなんかかなと・・・・
もちろん咬傷を見つける事ができればいいのですが、見つけられませんでした。
きちんと基本通りとするならば、ちゃんと咬傷を見つける、もしくは咬傷ではないということを証明して治療を開始するかさらなる検査に進むかということになるんですが・・・
この子は長毛、しかも結構気が荒い。
となると触診や視診で見つけられない咬傷を見つける、もしくは否定するためには麻酔をかけて、全身の毛を刈って咬傷を見つける、もしくは否定する必要があります。
が、そんなのは臨床現場では現実的ではありません。
それでも原因を探れと言う獣医師や飼い主さん、もしくは医療関係者の方はいるかもしれませんが、町医者獣医療に従事している側からすれば正直現実離れしているやり方です。
ケガを見つけるために全身の毛刈りなんて許可がおりることなんてまずありません。
少なくともこの地域では・・・・
となるとまずは命に関わるもの、もしくは可能性が一番高いものから目をつけて治療を開始する方が現実的。
理想、理屈と現場は違っていたりする訳です。
とうことでまずは2、3日の抗生剤投与で熱が下がるか、食欲が出てくるかを見る事に。
これで改善できなければ炎症疾患ということも考える訳です。

分葉核好中球
で、2日後の検診。
熱は平熱まで下がりました。
食欲も徐々に出てきました。
桿状好中球も見られず、ほとんどが分葉核好中球。
抗生剤で改善したということは感染症があったと考えるのが一番自然。
これで全く改善しなければ他の炎症性疾患なんかを徹底的に精査するわけです。
この子が咬傷だったかどうかは最後までわかりませんでした。
でも咬傷だったかどうかは実は飼い主さんにとって、そしてこの子にとっては最重要事項ではないわけです。
まずは元気になること、ご飯を食べてくれることが飼い主さんにとってもこの子にとっても大事な事。
そしてその原因がなんらかの感染であったことは可能性として高かった訳です。
多くの場合はそれでいいわけです。

もちろん(結果論として)絶対に原因を突き止めないといけない病気もたくさんあります。
でないと全く治療ができない、投与できない薬もたくさんありますから。
でもそうでないものも多々ある事もまた事実。
今回は診断的治療で事なきを得ましたが、リスクもあることはまたそれも事実。
でも治療を先行させないといけないとリスクがあることもまた事実。
原因の追求か治療か、どちらを先行させるかは時と場合によるんですが、その判断は実は難しい。
でもそれをやっていかないといけないのが一般臨床の獣医師。
原因の追及を第一に考えるのは大学病院などの2次診療施設。

その役割の違いを知っていただければと思います。

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land047-2沖縄

うっとおしい天気が続いています・・・・
明け方まで大雨だったと思ったらいきなり晴れたり。

沖縄は今日は慰霊の日。
学校、官庁はお休み。
で、沖縄は今年はとっくに梅雨が明けている訳だけど、一番多い梅雨明けが6月23日。
多分慰霊の日に合わせてるんだろうなと思う。
でもさすがにその日が遠過ぎるとその前に梅雨明け宣言をしなくてはいけない状況なんだと思う。
それが去年、今年。
気候が変わりつつある近年、そしておそらく近未来においてはもう23日にこだわれないのかもしれない。
いずれにせよ早くこっちも梅雨が明けてくれんかな・・・・



ま、慰霊の日は本来は梅雨とは関係ないんだけどね。


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時々ブログのアクセス解析なるものを見るのですが・・・・・
その検索キーワードに「標高4500mの病院」というものがありました。
で、私もそのキーワードで検索してみると・・・
出てきました、このブログ(笑)
決してこの病院は標高4500mにはありません!(笑)
調べてみると城陽市は430m!
夕日










 

僻を書こう!(笑)
えっと・・・・
世の動物病院は色々な機器を導入して云々・・・・なんてことは今や当たり前。
もちろん便利な機器はあるし、必要な機器もたくさんある。
欲しいものもたくさんあるけれど、必須かと言われるとどうだろ????なんてものもあるわけです。
もちろん僻です(笑)
例えばオペで使うもの。
炭酸ガスとか超音波メスとか・・・・
あれば楽だなあとは思うけど、楽なだけ(僻)
だって手術の基本主義にはやっぱり止血、結紮なんていうのがあるわけで・・・・
結紮(糸で結ぶ事)をしっかりすれば出血しないし、出血しても適切に処置すれば止血はできるし(僻)
となればまずはしっかりと結紮、止血の技術を学ばないといけないし、体得しないといけない。
ほとんど全ての手術に炭酸ガスとか超音波メスがないと手を出せない手術なんて無いし(僻)
あると便利だけど無くても基本手技があればなんとかなる。
診断も検査機器が無くてはならないものも多々あるけれど、やはり5感(6感)をフルに使う必要があるわけです(人の5感、獣医師の5感参照)。

もちろん安全のためにそういった機器を使うというのは当然あり。
でも若い勤務医までそういったものに頼るのは将来的な不安はあるかなあ・・・・
もし自分が独立したり、そういった機器がない病院に勤務したらどうなるんだろと老婆心。
でもなかったら無かったで工夫するのが人間だろうけど、でもそうじゃない人もいるんだよね・・・
エチオピア023
エチオピア
ガスなんて通っていない場所なんて途上国ではザラ。
そんな所では木炭を使う訳です。
そして木炭を作る人達の村があって、そこまで買いにいったり、幹線道路で売っていたり。
それも国によって違うけどどうやらエチオピアではいい商売というか需要は高いらしい。
となるとその木炭も結構なお値段で売れるらしい。

ガスは便利だし、もちろん私もガスのない生活は基本考えられない。
でもこれでも炭をおこすのは得意(笑)
だからといってずっと木炭生活ができるかというと・・・
そういった所に住めばできるんだろうけど・・・
無いなら無いでなんとかできるんだろうけど、でもなあ・・・
最初の記事と言っていることとは矛盾するけど(笑)
でも何でもかんでも機器を導入する資金力はない。
となるとあるもの、基本手技でやっていくしかないし、それで今のところ困った事も事故った事もない。
無いなら無いで基本手技でカバーできるし、どうしてもできないなら有るところにお願いすればいい。

ちょっと僻(ちょっとじゃないけど笑)が入った今日の記事でした。

便利なんだろうな~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!!!

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一時、股関節関係が続きました。
で、今回は他院でレッグペルテスと診断されたワンコ。
レッグペルテスは虚血性大腿骨頭壊死というのが日本語名。
名前の通り大腿骨頭が何故か虚血(血液が十分に供給されない)となり、壊死してしまうという病気。
圧倒的に小型犬に多いし、今回も小型犬。
診断は他院で行なわれたけれど、紹介で当院でオペすることに。
レッグペルテス
小型犬であること、右足の筋肉が落ちている事、そしてレントゲンでも骨頚が太くなっていること(矢印部分)、骨頭の変形からして間違いなさそう。
いずれにせよ股関節疾患で歩けないんだから手術となるわけです。
で、股関節疾患でのオペは基本は2つ。
1つは人工関節置換術。
利点は早く歩けるようになる、うまくいけば機能の95〜100%を取り戻す事ができる。
欠点はなんと言っても高価。
もう一つは大腿骨頭切除術。
利点は安い事。
欠点はある程度の期間のリハビリが必要である事、元々の機能の85%くらいとなること。
でも日常生活には支障がないくらいには回復できます。
多くの場合は手術費用が一番の問題。
どちらの手術も痛みは取り除いて上げられます。
股関節疾患等のはかなりの痛みを伴います。
ということはまずは痛みの緩和。
そして歩行できるようにしてあげるという2つを目的に行ないます。

骨頭

で、今回は骨頭切除を選択。
予算の関係で。
といっても人工関節全置換術は私はできないんですけどね(笑)
人工関節を希望される方には専門の病院を紹介しています(笑)








骨頭切除
切除後。
まあこれで歩けるようにはなります。
関節が無くても周りの筋肉などの組織が関節を覆ってくれるので歩ける訳です。
で、痛かった股関節が無い事で歩けるようになります。
結構最後は歩くのを見る限りは一般の方はわからないくらいに。
でも専門家が見ればわかりますけど(汗)
 




でも多くの飼い主さんは痛みが無くなって、そして普通に歩いてくれればOKという人が圧倒的に多い。
となると無理に高額の人工関節にする必要は必ずしもありません。
もちろん100%の機能回復を望むのであれば人工関節です。

股関節疾患はオペが必要なことが多い疾患。
でもどこまでを望むかは飼い主さん次第。
費用が厳しければせめて骨頭切除だけでもしてあげる必要があります。

レッグペルテスは原因がよくわかっていません。
小型犬に多いという事は何らかの遺伝的素因があるとは思いますが。
一方、大型犬は股関節形成不全が多い。
これも多分遺伝的素因。
どちらもオペ適応の疾患です。
そしてまだ幼若犬の時に発症する事がほとんど。
ということで本来であれば最初のワクチンの時から股関節のレントゲンを定期的に3歳くらいまで撮るのがいいんですけどね。
なかなかそこまでは難しかったりしますが。
でもやっぱり歩き方や、左右の筋肉量というのは気にして欲しいなとは思います。

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私は基本的には自然が好き。
自然科学も好き。
その中でやっぱり生き物が好きで最初の大学は獣医学ではなく生物学を選んだ。
当時は獣医療になんて全く興味はなくて、犬や猫は飼っていたけどペットじゃなくて生き物の道に進んだし、それがベストだったと今でも言える。
だから獣医師だけど生物屋も名乗っている訳です。
でもいつしかどんどん興味は広がって、教育学、政治学、経済学、などなど。
どんどん興味は膨らんでいって文化学や人類学などにまで波及する事に。
もうハチャメチャ。
で結局文化って最初は、そして最終的にも自然との融合に進むのかなって・・・・
だから自然の中の苔も好きだし、日本建築が木造であったり、苔むした寺院が美しいと思ったり。
でもそれが狙ったものであったり偶然の産物であったりと。
カンボジア020
カンボジア タプローム

アンコール遺跡は建築そのものもそうだけど、長年忘れ去られていたアンコール文化、クメール文化の結果苔むしたり、写真のように大木に覆われたり。
もちろん忘れ去られていたから事の偶然の産物ではあるけれど、結果として自然との融合がこのタプロームを有名にした訳です。

自分自身自然科学に身を置いた立場だったし、今もその立場にいます。
でもどちらかといえば自然科学に身を置いた人間は極端な自然主義者にはならないと思っています。
中には科学万能主義の人達は一昔前にはいたけれど今は少数のような気がします。
むしろ自然科学の世界に身を置いたことの無い人の方が極端な自然主義に走る傾向ある気がする。
医学を否定してみたり、化学物質を全否定してみたり。
でも現代人が科学を否定して生きていく事は絶対にできない。
平安時代の水準に科学を戻したら平均寿命は30歳。
それを受け入れることができるのか????
子供が病気になっても薬を否定できるのか????

何事も極端に走ると・・・
科学は大きな恩恵を人類に与えた。
科学は大きな負の遺産を人類に与えた。
どちらも事実。
でもそれを出来る限り融合できればもっともっといい世界が出来るんじゃないかと思う。
そしてそれを「今は」獣医療を通じて色々な人に伝えられたらいいなと思っている訳です。
だから「自然科学」っていい学問、分類、考え方、接し方だなぁと思う訳です。

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いつかは老いる。
残念だけど今のところ普遍の事実。
そして動物病院にも老いた子達はやってきます。
いや、若いうちから診ていても、その子達は老いていきます。
ある大型犬。
随分年をとった。
いや、犬種からすると驚異的な長生き。
もう後ろ足もダメになって寝たきり。
徐々にご飯の量も減ってきた。
その飼い主さんが来院の度に色々話してくる。
その話のうちの一つが動物の老人ホーム的な施設。
年間100万くらいで入居できてその費用の中には一定の医療費も含まれている。
そういった施設を利用するのがいいのかどうかは私にはわからない。
そういった施設の話をするくらいだから考えているのかな?と思ったけどそうではないらしい。
いい子に当たったとも言っていたな。
矢継ぎ早に色々な話を振ってくる。
多分、もうこの子がそれほど長くはないということは感じているんだろうし、私もそう思う。
でもまだ少ないながらもご飯は食べてくれる。
自力では無理だけど。
水も飲もうとするけれど、上手く飲めなくてこぼしてしまうので点滴に通ってくれている。
ついでに高栄養食も食べさせてあげる。
大した量ではないけれど。

もう私も徹底的な検査も治療も提案はしない。
血液検査とかはしたけど特に多きな異常はないし、それ以上の検査に大きな意味を見いだせない。
こういった子達って多くは徐々にご飯の量が少なくなっていって、そして静かに眠るように亡くなる事が多いし、多くの飼い主さんがそれを望んでいる事が多いように思う。
もちろん徹底的に原因を精査して欲しい、最後まで徹底的に治療をしてほしいと言われる事もあるけど、そしてもちろんその場合は徹底的にするけど、でも少数。

年齢的に、そして経過を考えれば老衰と位置づけてもきっと問題ないと思う。
まあ中にはそれはお前の怠慢だと言われるかもしれないけれど、考えは人それぞれ。
怠慢でも、面倒な訳でもない。
生き物が死ぬ時ってこうなんだろうなという思いと経験から。

そしてこの飼い主さん、確か元からよく話す人ではあるけれど、でもかなり矢継ぎ早に話すようになった。
きっと覚悟はしているけれど不安とも闘っているんだろうな。
覚悟はしているけれど、頭ではわかっているけれど、まだ完全に遠くない将来にやってくるその刻をまだ受け入れられていないんだろうな。
当たり前。
簡単に受け入れられる訳が無い。
ずっと一緒にいたんだからね。
ずっと大切にしてきたんだからね。
でも病院に来て、不安になって、話さないと不安を抑えきれないんだろうな。

強い飼い主さんだ・・・・

P2152718
中高齢であろうが若齢であろうが、そしてそれが遠くない未来であろうが、遠い未来であろうが・・・・


考えると不安にはなるけれど、今はいっぱい構ってやろう。
いっぱい構ってもらおう。


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相変わらず犬の子宮蓄膿症のオペが多い当院です・・・・
なんで避妊手術を嫌がるんだろうとオペの度に思う訳です。
が、経験しないと他人事なんだろうなぁ・・・・
子宮蓄膿症
で、あるワンコ。
犬種はポメラニアン。
どうやら最近少しだけポメラニアンが流行ってるらしい。
まあ流行で飼ってもダメなんだけど。
でもこの子はもちろん高齢。
流行で飼っていた訳ではないんだけどね。







摘出
摘出。
摘出した子宮は400g。
実に体重の10%。
人間では考えられないよね。
人間だったらとっくに死んでるレベル。
こんなになるまでなかなか症状を出してくれない。
いや、出してるかもしれないけど(出してるんだけど)人間ほどではない。





膿

で、切開すると膿がドパーーーーっと・・・・
これで飼い主さんは絶句するわけです。
そこで始めて事の重大さを認識する訳です。
もちろん診断がついた時点で包み隠さず話しますよ。
命の危険を。
もちろんその時点で認識はしてもらえるんだけど、実際の子宮を見てさらに絶句するわけです。




先代が子宮蓄膿症だった方は避妊手術を受けてもらえるんですが、そうでない方は・・・・
「かわいそう」「自然のままで」。
確かに人間では若いうちに子宮も卵巣も取るなんてことはしないわけです。
でも初期症状は人間は自分で訴える事ができる。
子宮癌や子宮内膜症の検査も定期的に受ける事ができる。
多くの場合で初期に発見ということもできるし、費用も健康保険と高額医療費控除を受ける事ができる。
そういった背景がほぼない獣医療では・・・・
やっぱり避妊手術は必須とまでは言わないまでも自然がとかかわいそうとかではなく、その後の方のかわいそうもちゃんと認識してほしいわけです。
ネットには色々な情報が錯綜しています。
そして多くの飼い主さんが色々な情報をネットで集めています。
でも何もしないという選択の方が都合がいいわけです。
でもそんな都合のいい情報だけを信じて動物にとって都合が悪い事には目をつぶってしまう。
多くの獣医師が啓蒙している事はちゃんと経験に基づいているということなんです。
必要がなかったり、どっちでもいいものはちゃんと言いますよ。
もう一度考えて欲しいし、みなさんも周りの人に啓蒙して欲しいなと思います。

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