お見合いダブルヘッダーをこなしたあと帰宅すると、相談所からメールがきていました。
先ほどの代々木さんからの交際希望ともう1通。
渋谷さんとの進捗についてのお伺いでした。
あのですね、残念ながら話せることは何もないのですよ…。
部屋のクーラーをつけたわたしは、思わずため息をつきます。

渋谷さんのカミングアウトから約半月。
わたしたちに残された時間はあと2週間ほどに迫っていました。
ここからびっくりするような急展開は、わたしたちの間にあるのでしょうか…。
いえ、きっとないでしょうね。
それは、彼と対峙しているわたしが一番わかっています。

「相変わらずただのデートをするだけで、何も変わっていません。 
どうしたらいいのかわからず迷走中です…」

正直にそう書いたメッセージを送ると、このあと電話をしても良いかとの返信が。
ざわ…ざわざわ…。
何でしょうか。このなかなか穏やかでない流れは。
わたしにとって嬉しいお話じゃないのは明らかですよ。
一瞬にして速くなった鼓動をどうにかおさえて、了承した旨を伝えます。
そこから待つこと数分、電話がかかってきました。
挨拶もそこそこに、いつもよりも低いトーンでカウンセラーさんが発した言葉は
「渋谷さんあの人ねぇ、本当に結婚したいのか謎」というものでした。

結婚したいのか謎。
それは、渋谷さんのカウンセラーさんと色々お話した結果、出てきた言葉だったとか。
いやいや、ちょっと待って。
そんな言葉が出てくること自体が謎。
結婚を夢見て入会したわたしにとって、それこそがまさに寝耳に水。そのひと言です。

「結婚」相談所に入ったのだから、みんな結婚したいんじゃないの?
初期費用や月会費だって安くはないし。
相談所によっては、お見合いにもお金がかかるわけだし。
更に速くなる鼓動を抑えつつ、わたしは考えます。
渋谷さんにとっては、月会費なんて大したことがないのかもしれない。
お金を払って活動しているけど、実は結婚したくなかったりして…。
はい、妄想はそこまで。ひとまず落ち着け落ち着け。
自分にそう言い聞かせて、次の言葉を待つことに。

そのあとカウンセラーさんの口から語られたお話を聞いたわたしは
渋谷さんがなんと5年以上の長期会員だという真実を、初めて知ります。
5年以上…。
ということは、現在44歳の渋谷さんは、30代から活動しているってこと?
彼のスペックで30代なら、バツイチだったとしても申し込みは相当多いはず。
…それじゃあ、交際するのはわたしが初めてっていうのは嘘なのかしら。
もしかして交際するたびに「どうしたらいいかまだよくわからないんだ」と言って
長引かせて、3ヶ月経つとお別れというパターンを繰り返しているとか?
わーわーわー!まったくわけがわかりません…。
再びじゃんじゃかじゃんじゃか広がりはじめたマイナスな妄想はとどまるはずもなく
ぐるぐると渦まいた言葉は喉を塞いで、わたしは何も言えなくなったのでした。

「写真は最近撮り直したらしいんだけど、お見合いはしないし、面談にも来ない。
何がしたいかわからない、困った会員さんらしいんですよ」
そう話すカウンセラーさんの言葉に、はぁ、そうなんですか…と、どうにか返すわたし。
「あとね…『あの人未申告だけどカツラなのよねぇ』って言われたの。
あちらの担当さんには、登録の時からわかってたみたい」
遠慮がちに言われたその言葉に、さーっと血の気が引いていくのを感じました。

え…。うそ。カツラがバレバレってこと?
しかも5年以上ってことは、以前からずーっとその髪型なの?
初めて会ったパーティで見抜けなかったわたしは鈍いのかしら。
ん?あれ?過去にもそんなことがあったような。

あー!そういえば!あの時もそうだったなぁ…。
自問自答を続けるわたしの記憶は、はるか昔へと飛んで行ったのでした。


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