2013年09月

2013年09月13日

ケンドリック・スコット・オラクル in Cotton Club

KENDRICK SCOTT ORACLE
in Cotton Club 2013.9.11.

KENDRICK SCOTT ORACLE


MEMBER
Kendrick Scott/ケンドリック・スコット (ds)
John Ellis/ジョン・エリス(ts,bcl)
Mike Moreno/マイク・モレノ (g)
Taylor Eigsti/テイラー・アイグスティ (p)
Joe Sanders/ジョー・サンダース (b)
私たち五十路のリスナーにとっても、ケンドリック・スコットの音は、新しい感覚の刺激とともに、私たち自身の音を聴く履歴で貯めてきた記憶を呼び覚ましてくれる、どこか同じ世界を共有させてくれるような、引き出しの豊さや、音の多様性を感じた!

またオラクルのメンバーそれぞれが自立して紡ぎだす音の世界を確実に持っていて、それぞれがナチュラルな佇まいで、進行する音に取立てて自己主張などぜずに、それぞれが自発的に自分の提供できる場面を見付け、自分の音を提供している・・・といった風なメンバー同士の自由でクリエイティブな関係が、ステージからなにかしら伝わってきた。

私たち世代によくある「全体がひとつになって」とか「補いあって」的な関係ではなく、もっと鷹揚な関係で繋がっているオラクルのメンバーの関係がとても羨ましく思えました!

Kendrick Scott/ケンドリック・スコット (ds)
Kendrick Scott



John Ellis/ジョン・エリス(ts,bcl)
John EllisJohn Ellis


Mike Moreno/マイク・モレノ (g)
Mike Moreno&Joe SandersMike Moreno&Joe Sanders


Joe Sanders/ジョー・サンダース (b)
Joe Sanders


ケンドリック・スコットKendrick Scott 『Conviction』【インタビュー】 抜粋
Conviction


◆僕が音楽でいちばん大事にしているのは空間。それこそ、こういった空間をバンドのメンバーと一緒に生み出していきたいんだ。勿論、技術的に優れたドラムを叩くっていうのは素晴らしいことなんだけど、別にそれが無くてもいいときがあるんだよ。実際、アルバムの最後に入っている「メモリー・オブ・エンシャントメント」では、僕はドラムを叩いてないからね。そういう“スペース”を作ることによって逆に発見もある。自分自身のことだったり、他の人たちと自分との関係性だったり。空間では色々なことを考えて学ぶことができるんだ。僕がオラクルを通してやっていきたいのは、まさにそういうことなんだよね。

◆「ジャズはもう死んだ」なんて言葉をよく耳にすることがあるんだけど、本当に腹が立つよね。それをジャズと呼ぶのか呼ばないのかって色々議論はあると思うんだけど、正直そんなことはどうでもよくて。ジャンル分けの言葉って、物事を理解する謎解きのために存在するわけであって、結局そこにあるのは人と音だけだからね。むしろ20年、30年後に振り返ったとき、今って音楽的に最も生産的な時代だったって言われるような気がするんだ。本当にたくさんの音楽が、ガチガチにカテゴライズされることなく日々作られている。

◆本来僕はかなり内向的な性格で、あまり積極的に外に出たりするタイプの人間じゃないんだけど、それでもニューヨークにはあちこちにインスピレーションの源になるものが落ちているから、暇があればMET STORE(メトロポリタン美術館内にあるミュージアム・ショップ)やMOMA(ニューヨーク近代美術館)に行ったりって。一歩外に踏み出した瞬間からそれこそ何か特別な感覚を味わえるんだ。自分にとって最高の場所だよ。

◆10年前にニューヨークに来た頃ってかなり仕事で忙しかったんだ。それはすごく恵まれていることなんだけど。で、その当時は「コミュニティに属する」っていう感覚があまりなかったんだよね。でも、今は色々な人と関わり合いを持つようになって、様々な感覚を共有できるようになった。つまりコミュニティに属するようになったんだよね。(・・略・・)例えば、15人のドラマーが同じ部屋にいても、そこで蹴落としあったり、憎しみあったりしてもいいものは生まれないわけで。クリエイティヴにやりたい場合っていうのは、やっぱり切磋琢磨する気持ちみたいなものを大事にするんじゃないかなって。パリのモンパルナスにいたピカソやマティスだってそうだったはずだよ。そこに初めて、アーティストとして、人としての成長があると思うんだ。

◆そもそも「Conviction=信念(コンヴィクション)」という言葉自体、僕にとってはささやかなる希望でもあって。それこそ日常生活の中でごく当たり前のこと、ありがたみを感じないような作業や仕事っていっぱいあるよね? でも実はそこに道があるというか、みんなそれぞれにチャンスが与えられている。こういうインタビューにしたってそう。インタビューをやってもらえているんだっていう感謝の気持ちを持った上で、それに対してどれだけ自分は精一杯のことができるかっていうね。だから、どれひとつとっても当たり前の物事なんかないんだよ。それは言わば贈り物、ささやかなる希望なんだってことを、アルバムを通して理解してもらえたらいいね。

上記:nterviewed by KUNI / Presented by:ユニバーサル ミュージックより転記掲載させていただきました。
http://www.hmv.co.jp/news/article/1304080046/



miruko1 at 17:31|PermalinkComments(0)ライブ | ジャズ

2013年09月04日

ENRICO PIERANUNZI TRIO エンリコ・ピエラヌンツィ・トリオ

エンリコ・ピエラヌンツィ・トリオ
イタリアから、欧州最高峰のジャズ・ピアニストが待望の初登場!
Cotton Club 2013. 9.2.mon [2nd.show]
Enrico Pieranunzi (p), Larry Grenadier (b), Jeff Ballard (ds)


◆Enrico Pieranunzi (エンリコ・ ピエラヌンツィ)さんは、
映画『ニュー・シネマ・パラダイス』のあの情感溢れるsoundtrackでピアノを弾いたピアニストです!!
昨晩のコットンクラブのエンリコ・ピエラヌンツィ・トリオのピアニストのエンリコ ピエラヌンツィも繊細で深い音色のピアノでした。そしてこのトリオはインテリジェンス溢れるサウンドでした。


Enrico PieranunziEnrico Pieranunzi












またベースのラリー・グレナディアさんとドラムの ジェフ・バラードさんの演奏が、私が聞きなれたJAZZとは違ったテイストで、とても好きになりました!大人のハイセンスな、それはそれはオシャレな音でした!そしてこのお二人のOfficial Siteをのぞいて見ると、どんな風にオシャレなセンスか少し伝わると思います!お二人の音楽と通じるセンス溢れるOfficial Siteです!
●ベースのラリー・グレナディア
http://larrygrenadier.com/
●ドラムの ジェフ・バラード
http://www.jeffballard.com/


Enrico Pieranunzi


◆Larry Grenadier (b)ラリー・グレナディアさんは、
見た目のオシャレもかなりこだわる方とお見受けしましたが、機材へのこだわりは並大抵ではないのだなと思いました!

通常ではベースにピックアップ・マイクを設置して演奏するのを観ていますが、
昨晩のコットンクラブでの演奏の時のラリー・グレナディアさんの場合は、ベース f 字孔あたりの表板面にピッタリと水平に固定したマイクを装着していました。マイクを水平に固定するための、マイクスタンドのような機材や、それらの機材をベースに装着するための万力のような、クリップやら、私は楽器のことはまるでわからないのですが、今までのライブ観戦で、初めて観たベースのマイク設置だったので、興味深かったのです。

今日、あのマイクについて調べたら・・・たぶんあれは「真空管マイク」というモノらしいです。

想像ですが、ラリーグレナディアさんは、かなりの機材設置にこだわりのある方なんでしょうね・・・。ピックアップ設置ではなく、真空管マイクにこだわる・・・ということはたぶん、生音(アナログ的)に近い音を体現することにこだわっていらっしゃるのだろうと思いました。昨晩、耳にしたベースの音は、音量的にもほどほどで、客席から耳を傾けて聴き耳をたてて聴きとるような、
クリアーというよりは、ボクボクした音のような、
なんとも人間臭いベースのように感じました。
私はとても好きなベースでした!


Larry Grenadier




◆Jeff Ballard (ds)ジェフ・バラード
ドラムを聴いて、リズムとかグルーブ感とかスリルとか、様々なドラマーから楽しさを体感させてもらっていますが、今回のジェフ・バラードさんのドラミングで一番に体感したことは、音色です!
ドラムのステック、ブラシのさばきによって様々な音色が生まれること。そしてジェフ・バラードさんのスティックやブラシの使い方も、ことに左手の動きを興味深く見せていただきました。

ステックって先の細いネギの頭みたいなところだけを使うのではないんですね!ジェフさんのお陰で、ステックの頭から途中&手元の部分まで何箇所も名前も付いていることを知りましたし、それぞれの部分をつかって、色んな音色を音を生みだすことができるってことを眼と耳で体感しました!
それから、写真を撮ったのに肝心なところが上手く写っていなかったけれど、マレットの先の丸い部分が、まるで綿の花のようなふわふわな感じのマレットを使っていました。あの綿帽子のようなマレットも初めて見ました!そのマレットを使った音は、想像通り、極上のやさしい音色でした!


Jeff Ballard (ds)




◆Larry Grenadier (b), Jeff Ballard (ds)参加の動画紹介


このBrad Mehldau & Peter Bernstein のLive動画のリズム隊の二人が今回初めて聴いたベースのラリーグレナディアとドラムのジェフ・バラードです!
私はブラット・メルドーさんは聞いたことがないのですが、我が家の愛聴版CDにピーター・バーンスタインさんは結構あって、好みのギタリストだし、ぜひぜひ次回このメンバーでの来日ライブがあったら聞きに行きたいの思っています!!


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◆伸ちゃんのライブレポも掲載します!!
ウチの奥さんがPM9:00からのライヴを観るために、
PM6:00から順番待ちしてくれて最前列をゲット!!
最高の良い席でした。

演奏は、やはりイタリアのピアニストということで、
僕の先入観かもしれないが、アメリカの
ピアニストとは、なんとなく違うような気がした。
とても繊細な演奏で聞き手の僕にも、
かなりの集中力が必要であった。
なので、ライヴ後は疲れた。

アート・ブレイキー&ジャズメッセンジャーズ系の
ライヴを「イェーィ!!」と言いながら、飲んだり食べたり
手拍子したりしながら聴くのは当たり前の光景だとおもうが、
エンリコ・ピエラヌンツィのライヴは、そうは出来そうもない。
かなり緊張感のあるライヴであった。
そして僕はこういうテイストのジャズも大好物である。

ベーシスト、ドラマー共に凄いテクニシャンで仰天した。
(なんたって最前列ですから、息まできこえちゃう)
この二人、
FLYという超テクニカルトリオでも活動しているそうだ。

一晩明けて、昨日の演奏の凄さが、より鮮明になってきた。
昨日は、かなり聴くことに集中していたようで
今日は旅行から帰ってきた翌日の疲れにも似た
心地良い疲労感を感じている。

次の来日はいつかな?
早くも次の来日を楽しみにしている僕であります。
Enrico Pieranunzi

miruko1 at 17:44|PermalinkComments(0)ジャズ | ライブ