2008年01月20日
ピザレリ・ライブレポ:私はラリー・フラーで!

ピザレリ・ライブレポは
多分あちこちのblogで華やかに賑わっているだろうから
・・私は視点を変えて
後任のピアニストラリー・フラーについてのレポを書いてみた。

http://www.larryfullerjazz.com/
◆前任のピアニストはレイ・ケネディ
←2005レイ・ケネディ
キラ星の如く輝くエンターテイナー・ショーで
満場を魅了する
John Pizzarelli Quartetのライブ開始を待ちながら私は
2005年に来日した時のJohn Pizzarelli Quartetで初遭遇した
その時のピアニスト-レイ・ケネディとピザレリの
ピアノとギターのバトルに魅了されたことを
昨日のことのように思い出していた・・・・。
今回はその時のレイ・ケネディに変わって
ラリー・フラー(p)が参加となった。
◆後任のピアニスト-ラリー・フラー
私は残念ながら
ラリー・フラー(ピアノ)の名前も存在も知らず
このライブで初めて彼の音に出会うことになったのだが
たぶん私だけではなく
多くのピザレリ・ファンは
リーダーのピザレリと共に
前任のピア二スト-レイ・ケネディの熱いファンでもある
(・・・と思う)
だから・・・この度のライブは
新しく加わったピアニストのラリー・フラーが
ジョンと弟マーチン(bass)と穏やかなるアンソニー(ds)の
ピザレリ・ファミリーのなかで
何か新しい展開を見せてくれるのか?
または 以前のレイ・ケネディとピザレリとの絶妙な関係を
発展的継続維持をするのか・・・・
そんなことがこのライブに望む興味でもあった。
(少しオーバーだけれど・・・正直こんな気持ちだった)
◆ラリー・フラーの第一印象は・・・
私は2ステージ目から観戦で
モーションブルー横浜の整理券番号2をgetしたので
本日のライブは音を極める席ではなく
ミーハーぶりを炸裂する
ピザレリの目の前カブリツキで観戦することに重点を置き
開演40分前にステージ正面一列目の席に着いた。
間もなくすると
食事や歓談しながらくつろぐ客席の中を通り
ステージにあがりピアノの鍵盤を
神経質そうに確かめる青年がいた
高音部の鍵盤の調子が思わしくない(?)のか
いぶかしげに小首をかしげながらしきりにチェックしている様子
その姿に見かねたモーションブルーのスタッフが
何かコンタクトを取り その後 彼はどこかへ消え
代わりに調律師が現れ僅かな開演前の時間に再度調律を始めた。
いよいよ 2ステージ開演
東京ブルーノートから引続きの
John Pizzarelli Quartetの日本最終のラスト・ステージでもある。
沸き立つ会場の拍手の中かに
ジョンと弟マーチン(bass)とアンソニー(ds)と
先程のピアノ・チェックをしていた青年が登場した。
彼が今回のピアニスト・ラリー・フラーだった。
◆ラリー・フラーのピアノは・・・
相変わらず華やかなピザレリの姿に会場は熱くなる・・・。
2曲目だったか・・・
ピザレリとピアノでのバトルのシーンがあったが
前任のレイ・ケネディとピザレリとの
コミカルで洒落た絡みのバトル再現ではなく
どこかあの二人のシーンを知っているファンには
物足りないバトルだった・・と思う。
と・・・そんなことを
ウチの伸ちゃんに私が漏らすと
「確かにラリー・フラーは
レイ・ケネディとは違うセンスのピアニストだったけれど
僕にはとてもいいピアニストだと感じる!」と伸ちゃんは答えた。
それではもう少し丁寧にピアノに耳を傾け
注意して聞き耳をたてていくと
私にも彼のピアノは
ケレン味のないピアノで すこし固めの音色だけど
確実な音を選び実直な美しさがあると思えてくる。
しかし
目の前のピザレリのギターの巧さ
甘いヴォーカル 表情の豊かさに気を奪われて
ラリー・フラーの
どちらかというとスロースターターでなかなか熱く乗ってこない
ピアノに集中してしている間に
ピザレリに気をとられてしまうのはしかたがない・・・。
◆本日ネットで検索したラリー・フラー
今朝はもう一度昨晩のラリー・フラーを思い浮かべながら
音源視聴とyutube動画を見る
ラリー・フラーを今日改めて聞きながら
ふと私はシダー・ウォルトンが浮かんだのだ。
実はシダー・ウォルトンを生で観戦したことはないが
村上春樹の『意味がなければスイングはない』
に登場するシダー・ウォルトンについて書かれてあることが
そのままラリー・フラーに置換えられるように思えたのだ。
「僕が初めてシダー・ウォルトンのピアノを耳にしたのは、1963年正月のアート・ブレーキー&ジャス・メッセンジャーズ来日公演のステージだったが、ここでもウォルトンさんは目立たなかった。なにしろ大将であるブレーキーがすざまじい音で、ここを先途とばりばり叩きまくる上に、トランペットがフレディー・ハバード、テナーサックスがウェイン・ショーター、トロンボーンがカーティス・フラーという、まことに若々しくパワフルなフロント・ラインだから、シーダーウォルトンのピアノなんてどこかにかすんでしまう。正直言って、僕も彼のそのときの演奏については、ほとんど何も覚えていない。とくにジャズ・メッセンジャーズの前任ピアニストであるボビー・ティモンズの颯爽たるファンキーなプレイに比べると、ウォルトンのピアノはどうひいき目に見ても「影が薄い」としか言いようがなかった。
:::中略::::
真摯で誠実な、気骨あるマイナー・ポエトというのが、僕がその夜シダー・ウォルトンから受けた印象だった。
:::中略::::
人の心に届く音や言葉は、その物理的な大きさで計算できるものではないのだ。
:::中略::::
シダー・ウォルトンはまさにそういうタイプのミュージシャンである。天才肌のワイルドなジャズ・ミュージシャンもたしかに魅力的だが、シダーウォルトンのような実力ある「隠し味」的な人がいてこそ、ジャズの世界にもそれなりの陰影と奥行きが生まれてくるのではないだろうか。
『意味がなければスイングはない』を
もういちど斜め読みをしながら
ネットで検索したラリー・フラーの音源や動画を眺めつつ
John Pizzarelli Quartetに新しく参加した
ピアニスト-ラリー・フラーの
まだ私達が知らない音の世界やステージでの表情を
どこかでまた彼の来日に遭遇するチャンスが私にあれば
もう一度聞いて見たいとあらためて思った。
akemin
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◆ラリー・フラートリオ視聴
Easy Walker/Larry Fuller trio

(Giovania/Margueritea) MP3
http://www.larryfullerjazz.com/audio/hymneamour.mp3
4.Ray's Idea (Ray Brown/Gil Fuller) MP3
http://www.larryfullerjazz.com/audio/raysidea.mp3
10.Candy's Blues (Larry Fuller) MP3
http://www.larryfullerjazz.com/audio/candysblues.mp3
ラリー・フラー(p)動画
◆Ray Brown's 75th Birthday Concert
Ray Brown Trio feat. Kevin Mahogany - Yardbyrd Suite
http://youtube.com/watch?v=2HrjCElyRiQ
Larry Fuller(piano) George Fludas (drums)
Ray Brown(bass) Kevin Mahogany(vocals)
シダーウォルトン(p)の動画
◆Cedar Walton Quartet - Naima pt 2
http://www.youtube.com/watch?v=T9Q5Gd7Pxq8
1976 at the Umbria Jazz Festival,
Cedar Walton( piano)George Coleman(tenor sax)
Sam Jones(bass)Billy Higgins(drums)