カート・ローゼンウィンケル・トリオ/ライブレポ2011.9.28.wedニッキ・パロット・カルテット&スコット・ハミルトンTokyo TUC2011.11.5.

2011年10月21日

『Music of Masters』スタフォード・ハンター・ウィズ・井上智

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◆ジャズのスタンダードと呼ばれる曲の多くは、
もともとジャズ用に書き下ろされたものではないことが多い。映画やミュージカルのために作られたものが大部分であるそうだ。

たとえば、♪Stella By Starlight/ステラ・バイ・スターライト/星影のステラ などは、ジャズ・ ジャイアンツと呼ばれるビッグ・ネームの演奏者から、アマチュアプレーヤーまで、こぞって演奏されているが、1944年のアメリカ映画「The Uninvited (邦題:「呪いの家」)」のテーマ曲で、原作はドロシー・マカードルの小説「Uneasy Freehold」で、ホラー・ラブストーリーなのだ。この映画は、幽霊をシリアスに取り扱った最初のハリウッド映画だとされている。

しかし、そんなことはこの曲を演奏する多くの人たちの演奏に、何らかの影響も与えていないと私は思っている。演奏者に演奏され、楽曲が堂々と一人歩きをはじめているのだ。

しかし、この度、2011年10月17日の東京TUCで行われた『ミュージック・オブ・マスターズ』(Whats New)の発売記念ライブの初日で聞いた、なんとも斬新なアレンジが施された♪On Green Dolphin Street を聞いて、最初に同曲が発表され、この曲が使われた1947年に製作されたアメリカ映画 『 Green Dolphin Street(邦題:大地は怒る)」 』を知ることで、2011年3月11日を経験した、日本人の私には、なんとも不思議な縁のような、なんとも奇妙な遭遇のような、出会いのようなイメージがぐるぐると広がってしまった!

◆映画について先に説明をすると、
『 Green Dolphin Street(邦題:大地は怒る)」 』は、英仏海峡のチャネル諸島にある、大型船グリーンドルフィン号が着く港町に住む、美人姉妹と一人の男性の恋愛ドラマなのだが、重要なのは、劇中に起る1855年ニュージーランドの大地震の惨事なのだ。映画はとてもリアルで迫力あるシーンで、地震、地割れ、山津波などが描き出されている。ちなみに同作は、1947年アカデミー視覚効果賞を(大地震と津波のシーン)受賞している。この映画をご覧になりたい方は、youtubeで14回に分けてみることができる。

映画『GreenDolphinStreet(大地は怒る)』の本編を見ることができます
http://www.youtube.com/watch?v=_Cqt1ENdlc4&list=PLC56D5D40BBB9A107&feature=plpp

大地震と津波のシーンは
GreenDolphinStreetI
GreenDolphinStreetJ ・・・です。

◆♪On Green Dolphin Street の名演を
Miles DavisやJohn Coltrane Quartet 、Dexter Gordon、Hank Jones 、ERIC DOLPHY等を、youtubeでも聴く事ができるが、先日の『ミュージック・オブ・マスターズ』(Whats New)の発売記念ライブの初日で聞いた、スタッフォード・ハンター (Tb)、増原巌 (B)、横山和明 (Ds)のトリオで演奏された♪On Green Dolphin Street は、かなり斬新なアレンジだった。
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◆『Music of Masters』スタフォード・ハンター・ウィズ・井上智
2011年5月10,11日に録音されたアルバムにも収録されていて、8曲目に収録された「 Walk with You」 (井上智さんの作品で、2011年3月11日の東日本大震災で力を落とされた方々への再生への祈りを送る曲)と、9曲目に収録された 「Green Dolphin Street 」のスタッフォード・ハンター (Tb)、増原巌 (B)、横山和明 (Ds)のトリオでの演奏の斬新なアレンジが思わぬイメージを広げてしまった!

◆先に彼らのアルバムの♪On Green Dolphin Street についていうと
ベースソロで4小節(?!)くらいだったか、力なく立ちあがった人のような、呆然と登場した人・・・というか?!何か探しモノでもしているような、なんとも楽曲の冒頭には御目に掛かることはめずらしい感じの、楽曲のはじまり方なのだ。(芝居ではよくある冒頭だけれど・・・)つぎに、ドラムが入り、トロンボーンが入り、あれよあれよという間に、リズム隊が気持ちを煽るような演奏に変化してきて、トロンボーンが右往左往しているような人々を描写したようなメロディーを吹き、象の嘶きのような音も時々に出し、グルーブしまくる・・・・のだけど、聞いている私にはいったいこれは何の曲だか分からない。彼らのアルバムに収録された♪On Green Dolphin Street の演奏時間は6分59秒だけれど、テーマが聴こえてくるのが、最終盤の5分14秒からで、1コーラスだけテーマを演奏して曲が終わる。テーマが聴こえてくるまで、たぶん初めてこの曲を聴いた方だったら、♪On Green Dolphin Street が5分14秒に聴こえてきて、意外に思うだろうと想像する。

◆アルバムにも収録された、Walk with YouとGreen Dolphin Streetについて
私は、この二曲を何度も聞き返しながら、あることがひらめいた。
『Music of Masters』スタフォード・ハンター・ウィズ・井上智の2011年5月10,11日に録音されたアルバムの8曲目に収録された「 Walk with You」 (井上智さんの作品で2011年3月11日の東日本大震災で力を落とされた方々への再生への祈りを送る曲)と、9曲目に収録された Green Dolphin Street のスタッフォード・ハンター (Tb)、増原巌 (B)、横山和明 (Ds)のトリオでの演奏の斬新なアレンジが施された、彼らのGreen Dolphin Streetを繰返し聴いていると、一番はじめに使われた映画『GreenDolphinStreet(大地は怒る)』の大地震と津波のシーンとが、リアルに被ってしまってしまった。だから、冒頭のベースソロは、瓦礫の中に呆然と立ちすくむ等身大の人のように聴こえてきた。次に入るドラムのタムやスネアは段々に増える人および群集、シンバルは瓦礫で格闘する重機や、人々のエネルギーが増してくるような描写を表現しているようで、そしてトロンボーンは、初めは先の見えないように人々が右往左往する動向から、徐々に進み行く方向を見出していく群衆を導くベクトルか、時間の経過を表現し、最終盤の5分14秒に♪On Green Dolphin Streetのテーマがやっと聴こえてきた時、リスナーの私も音の世界で立ち上がってきた、「被災地の復興に立ち上がった人々」にエールを送りたい・・・ような高揚感をおぼえたのだった!

◆『Music of Masters』への思い
このように私のイメージがひろがった要因は、先に紹介した井上智さんの楽曲「 Walk with You」から送られてくる、「被災地には出向いてはいないけれど、共に手を携えて復興を祈り続けている・・・」というような、ほのかな暖かさで、思いを繋いでいるような、曲と演奏の力だと思う。

2011年5月に録音されたこれらの曲を含んだ『Music of Masters』は、2011年3月11日から何年か先に、必ず復興する日本の、東北へのメモリアル作品となることを私は確信した!

◆私はMP3ダウンロードよりアルバム派!
単曲でMP3ダウンロードよりアルバムの曲順を眺めながら聴くのが好き!
さらにアルバムジャケットが好き!
そんな私が久々にカッコイイ・ジャケットだなぁと感心しているのが、この『Music of Masters』スタフォード・ハンター・ウィズ・井上智

ジャケットフロントの二人が人文字の「N」に見えて!
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もしかしたらこれは「ニッポン、がんばれ2011年!」「N」かも???
そんなはずないかぁ?!

ページを開くと中面の写真がコレ
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スタフォードはもともとモデルや俳優もやっているそうだから姿も美しくcool。
しかし!井上さんが、こんなに絵になる男だとは!
二人の表情といい、ポーズのsituationといい実に味わいのある、面白いPhoto(ジャケット)ですね!!

akemin記

miruko1 at 17:26│Comments(0)ジャズ | ライブ

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