2011年12月08日

作者急病のため、代理原稿です。

このたび、本誌にて好評連載中の「レフティサマー 第2部」の作者、センチメンタル岡田氏が発狂しましたので、代原として、ノスタルジック川辺の「赤木さんの冒険」を掲載したいと思います。

『赤木さんの冒険』 ノスタルジック川辺

12月にはいり、めっきり寒くなってまいりました。
ぼくは、ヒマだったので、小説を書いてみました。
よかったら、読んでみてください。

第1話 旅立ちの昼

 ある所に、赤木春治(65)という男がいた。彼は今年、長年勤めあげた郵便局を定年退職し、新しい人生をはじめようとしていた。
「いやーワシも長いこと働いてきたのう。ここはひとまず、今まで貯めてきた金をつかって、ひとつ旅行にでも出てみようかのう。でもどこに行こう。思いつかねえ。どこでもいいや。足の向くまま気の向くまま、ウヒヒッ!アナル。」このようなことをひとりごち、赤木さんは旅に出た。外は春の風が吹いている、気持ちの良い昼下がりだった。

「赤木―赤木―ワシは赤木―冬にできるのはあかぎれー」
 いきおいよく家を出た赤木さんは、そんな歌を口ずさみながら、道を歩いていた。そのうち、疲れてきたので、公園のベンチに座って休んだ。休んでいると、目の前で少女たちが遊んでいる。おそらく、小学校低学年くらいであろう。
 赤木さんはロリコンだったので、それを見て、とても興奮した。「ハアハア…幼女だ!」
 思い余って赤木さんは、その中の一人をつかまえ、公園から走り去ってしまった。
 老人に連れ去られながら、少女は毒づいた。「オイ、じじい!私をどこへ連れて行く気だ!」言われた赤木さんは、GLAYのテルっぽい顔になって、こう言った。「ここではない、どこかへ。」

 公園から結構離れた喫茶店の中に、老人と幼女はいた。
 老人と差向いに座った幼女は言った。「おいじじい、あんた自分が何してんのかわかってんのか?これは、れっきとした誘拐だぞ、誘拐。」
それに対してじじいはこう言った。「誘拐?誘拐されたのはYOUかい?なんちゃって、うほほ、ユカイ。」
 幼女は老人のその発言を聞き、怒りを通り越し、あきれた。やがてその感情は、あきれを通り越し、悲しみを帯びた。
 幼女は、とても冷たい目になり、老人を見下した。老人は、幼女にそのような目で見られることを、喜んだ。下半身も、喜んだ。赤木さんはドMだったのである。赤木さんは、ドMでロリコンな老人なのである。
 彼はとりあえずウエイトレスを呼び、幼女のためのオレンジジュースと、自分はミルクティーを注文した。

「なにはともあれ、お互い、自己紹介をしようじゃないか。ワシは、赤木春治、65歳。今年、定年退職し、ヒマになったので、自分探しの旅をはじめたんじゃ。」
「その歳で自分がないようじゃ、終わってるよ、じじい…」と、幼女のつぶやき。
「まあね。それで、旅の途中に公園で休憩していたら、あなたのようなとてもかわいらしい幼女がいたので、ワシは、矢も盾もたまらず、連れ去ってしまったというわけじゃ。」
「そうなんだ。本当に気持ちの悪いくそじじいだな。ところで、私の名前は、横山えり子。8歳よ。」案外素直に彼女は名乗った。
「8歳ってことは…小学2年!!!ハアハア…」
 顔を紅潮させ、悶えはじめた死にぞこないの翁を尻目に、ウエイトレスがオレンジジュースとミルクティーを運んできた。それを見て、気を取り直し、老人は言った。
「ジェリコ…じゃなかった、えり子、ワシと一緒に、旅に出るか?」
 少し考えて、えり子は言った。「うん、ヒマだし、いーよ。」
「よしきた!」彼らはオレンジジュースとミルクティーで乾杯した。こうして、二人の旅がはじまった。

第2話につづく


mirumenashi at 21:43トラックバック(0) 

2009年05月26日

レフティサマー 第2部

レフティサマー 第2部









                  「1824年」







                       1

村中と安田が出逢う四九年前の1824年、世界は戦争をしていた。





原因は他でもない。カミーア王国とゲーマン王国という隣接する二国の間に生じた軋轢である。



その軋轢というものの詳細を説明するとしよう。




カミーア王国の国王山田と、ゲーマン王国の国王田中は、かつてはとても仲が良かった。幼い頃からの付き合いであり、よく一緒に遊んだりもしたものであった。しかし一八二四年九月二四日、山田が田中のいたく気に入っていた格闘恋愛シュミレーションゲーム「掃き溜めメモリーズ」を借り、そのまま返さない、返す意思を表明しないなどとする行為、通称「借りパク」をしたことをきっかけに事態は急変する。




無論田中は催促をした。「おいあのゲームはやく返せよ。」しかしそれに対して山田は「え〜?もうちょっと待って。」などと言う。しかし最初のうちはまだ良かった。



次に田中が「はやく返せってあれ。」というと、山田は「え?何のことだっけ?」などとシラをきりはじめるようになった。
次に田中が「おい返せよあのゲームしらばっくれてんじゃねえぞ。」と少し強めに催促すると、田中は「ほほも〜い、ぴきょんごんも。」などと意味不明な言語を発するようになった。



これに痺れを切らした田中は、ついに憎むべき山田を軍事力で撃破するという決意を固めたのであった。





 借りパクのいざこざが始まってから2ヵ月ほどが経った1824年11月26日、田中は山田の家に行き、お茶を飲んだ後踊りを踊り、三秒間静止したのち山田の頬に平手打ちをかました。これが宣戦布告となり、その噂を聞きつけた他の国王たちもノリで首を突っ込み始め、1824年11月26日、カミーア王国とゲーマン王国、ひいては全世界を巻き込むニズッキー戦争が開戦ののろしを上げたのであった。



 借りパクをした山田もアホだが、田中もアホであった。どのようにアホだったかというと、宣戦布告をしたのはいいものの、カミーアの兵力はゲーマンのそれの三分の一程度であったのである。それを承知で戦を仕掛けてしまった田中はしかし策を考えた。



田中がスパイを送り込んで調査した結果、ゲーマンでは20歳以上の男が徴兵され、それ以外の者は志願さえしなければ徴兵免除、という制をとっていた。それに対し、田中は16歳以上の男子は志願せずとも強制的に徴兵される、という制をとった。




なぜなら、その年齢の人たちはゲーマンで徴兵される者たちよりも若いので強く、然るに、そうすればゲーマンになんとか勝てるのではないか、という至極単純な思考であった。


mirumenashi at 19:53 

2008年12月30日

日刊トイレからのお知ら石灰岩

日刊トイレをいつもご愛読しまくってる皆さんも、別にご愛読していない皆さんもいつもありふぁとう。




というわけでセンチメンタル山田氏の「レフティサマー」の第一部が終了しました。






とりあえず日刊トイレ編集部は年が明けたら年始休業に入るのでスタッフ全員が留守になります。ある者は海外旅行に行ったり、またある者はSMクラブに通ったり、まあそいつは休暇であろうがなかろうが通っているんだけど、ていうかそれ私なんだけど。





それが終わったら第二部から始まろうと思います。もっとも、私たちスタッフのやる気があればの話だけど。てか、実際経営ピンチなんだよね。最近赤字でさあ。スタッフへの給料も満足に払えないような始末だよ。そのせいであるスタッフは給料少ないんじゃあって叫んで私の指をなめてきたりしたしね。







まあそんなわけでこれからしばらくの間休載します。私も子供ができたりしていろいろと大変なのだよ。再開を楽しみにしててくれ!












P・S パンツに何かしみがついている。それは精子だったよ。



(編集長 タスマニア田辺)

mirumenashi at 23:11 

い、ん、たー、ば、る。

Captain Sunny Place (邦題「陽溜船長」)

THE IMUYAM SLEEPY 8th Album [Captain Sunny Place]

Words:Rick Smith Music:Lanny Benny






―――『は、しきりになびいていた。
1928年初夏、約2年に渡った航海も終盤にさしかかってきた。
何かあったらあの壊れた無線で連絡をくれよ。
船長はさかずきを掲げながら船員たちに
かっこ悪く生き延びることがかっこいいと思えと言った。一羽の』―――


(私、陽だまり。あなた、おおるり。
消えて、なくなり。黄昏、花火。)


―――『の瞬間から船は沈み始めた。
すがりつく船員たち。
船長は鼻毛をしきりに抜いていた。
その落ち着きように感心する船員たち。
よく見たら船長は鼻毛だけでなく口ひげまでも抜いていた。そし』―――







「で、どうなったんだ?」「結局沈んだらしいよ。」
「船長の趣味は、約束をすることだったんだって。」「守れなかったのにな。」
「たぶんそれは知ってたんだと思う。でも守れても守れなくても約束は約束だって。」
「ふーん。まあ、もう寝ようぜ。電気消すからな。」「まんこファイヤー。」「何か言ったか?」「何も。」





『夢が終わったの?君が終わったの?』
『夢が変わったの?君が変わったの?』



・・・・・・



坂道駆け上がればもうすぐ君の家が見える地点
「僕はあげた覚えもないのに君はやさしさくれて
もらってばかりじゃバチがあたるさ
だから今交わさせて 温めてたセリフとか
照れくさいからやっぱ無理かもでも・・・」


(私、陽だまり。あなた、ひまわり。
小旅行、日帰り。君を、慕えり。)




訳詞:田中スイスイスイホイホイ/アジフライ田辺

mirumenashi at 22:39 

              ☆


街路は相変わらず風が吹いている。私がその風に吹かれながら一寸黄昏ていると、村中が突然バク転をし出した。とても運動神経がよさそうだ。私は驚いた。「バク転できるんだすげえ!」







しかしその声は聞こえていないようだ。なぜなら彼女はそのバク転を連続でしていて、だんだん私から遠ざかっていっているから。その上だんだん宙に浮いていっている。つまりバク宙になっていっているということだ。







やがて完全に連続バク宙となった。彼女はだんだん遠ざかっていく。私は追いかけた。連続前方宙返りで。実は、こういうときもあろうかと思ってずっと練習していたのだ。それを生かすチャンスがやっと巡ってきたので嬉しかった。







 彼女のバク宙はだんだん威力を増してきていた。木々を風圧でなぎ倒すくらいに。私は身の危険を感じこれ以上追うのは危険だと判断した。







彼女はだんだん着地さえしなくなってきた。彼女はもはや人ではなく、すごい勢いで回転する球体と化していた。なぜ突然彼女はそのようなものへと化したのだろう。私はなぜか悲しい気分になった。彼女は遠くへ行ってしまう。彼女が遠くへ行ってしまう。













気がつくと私は叫んでいた。彼女の名前を、あらん限りの声を振り絞って叫んでいた。






往来の人々が驚いて私のほうを見た。





でも私はそんなことはどうでもよかった。



彼女に振り向いて欲しかった。





彼女は私のことをどう思っているのだろう。



彼女のその澄んだ瞳には私はどういう風に映っているのだろう。



私は今までそんなことを考えたことは無かった。人は人で自分は自分で、ただ生きていればいいと思っていた。




ひとりで生きていけると思っていた。




しかし今私はそうは思わない。でも、私はそれは完全に間違っているとも思わない。






つまり今私はこう思う。






ひとりで生きなければならないときもあれば、ひとりで生きなくてもいいときもある。






それはまるでにんにく醤油のように。つまり、にんにくも醤油もそれぞれ単体でいけるが、その二つが合わさると更に 








少年A「いや、醤油は単体でいけなくね?てか、この例え、必要?」「っせボケ黙ってろ」「はあ?意味和漢ねー視」「あ?やんのかコラ?」「あ?上等だコラ」「コラおま」「てめえコラ」「コラおまえコ






















彼女は振り向いていた。















そして笑った。











その目は少しだけ潤んでいて、私と私の後ろにある木を、黒っぽくさかさまに映していた。














その顔は、笑っているのに何か泣きそうだった。











そんな風な笑顔を私は今まで見たことが無かった。












私は村中を抱き寄せた。久しく忘れていた、人肌のぬくもりを感じた。












その時の私は微笑んでみたけれど、きっと彼女と同じような顔をしていたのだろうと思う。
















彼女は言った。「もう、ひとりはいやだ。」







私は言った。「ひとりになんかしないさ。」すると彼女は小さくうなずいた。





















しかしその数秒後、彼女は鬼気迫る表情で「お前、息くさっ」と叫んで私の顔を全力で殴った。
































レフティサマー 第一部 完







第二部に続く 

mirumenashi at 22:24 

2008年12月23日

☆☆☆

・・・その声はどこかで聞いたことのある気がする声だった。
老成しているようでありながら、どこか若い感じもする不思議な声。
ゴリラがウンコを踏んだときに出すような声。
カラスが鼻毛を踏んだときにに出すような声。

 
 ピアノの伴奏のみで歌われるその曲。


 有名なバンドなのだろうか?そういえば聞いたことがある。カミーアのバンドで、国際的に活動してるという少し有名なバンド・・・。名前は忘れてしまったが。この曲も
そのバンドのヒット曲なのだろうか。バンドといっても、ピアノの音と声だけだ。至極シンプルな二人編成。ピアノにも少し癖がある。すごくやわらかい音を出したり尖った音も出したりする。しかし歌とぶつからずに絶妙にからんでいる。なんだか面白いバンドだ。

 

 
 私はとりあえずマッサージチェアから起き出し、隣のチェアで同じように眠っていた村中を起こそうと思ってそっちのほうに目を向けると、そこにはリクライニングを全開にしていて、ほとんど水平になっている彼女の姿があった。
 


 私は彼女の肩を揺さぶった。彼女は熟睡していた。私は彼女を揺さぶり続けた。しかし全く起きなかった。私は仕方なく殴った。すると彼女は目をかっと見開き、次の瞬間私は宙に浮いていた。彼女は私に起き上がり小法師式逆水平チョップをかましたのだ。


 それをまともにくらってしまった私はよろけながらも、負けじと波乗りフィンガーホイップを仕掛けようとした。しかし彼女はそれを軽やかによけ、流れるような無駄のない動きで体をひるがえし、チキンウイングアームロックにもっていった。


 私は白目をむき泡を吹いた。「ちょやめ・・・」とうめいたが問答無用で彼女は私の腕を極めつづけた。彼女は怒っているようだ。睡眠を妨害されたことに。


 私が意識を失いかけたその時に彼女は技をはずした。危うく気絶するところだった。私はよろめきながらも体勢を立て直した。

「悪かった。寝ぼけていたんだ。」
 彼女は寝起きの悪い人なのだろう。しかしだんだん落ち着いてきた彼女は普段の調子を取り戻してきた。

 彼女は言った。「今かかってるこの曲、この歌声はどこかで聴いたことがあるな。モグラがパンツを踏んだときに出すような声。」やはり彼女も同じことを思っていたのだ、多少誤差はあったが。「だよねだよね。これ誰の曲だっけ?ここまで出かかってんだけど思い出せなくて。」「私もあとちょっとのところで思い出せない。ジ・ウンコズじゃなくて、おまんこファイターズでもなくて・・・。」「なんだっけなあ〜・・・。」

 
 私たち二人はマッサージチェアコーナーの周辺を小躍りしながら、その歌い手を思い出そうとしたが、いつの間にか曲は終わり、スピーカーは違う曲を流し始めた。
「終わったな。」と私が言った。「終わった。」と彼女が言った。「まあじゃあもういいか。」と言って私たちは歩き始めた。

 
 短い休憩だったが、それによって少しばかり体力の回復した我々はさっきよりも軽い身のこなしで白い床を一歩一歩踏みしめ、出口まで歩いた。そうして私たちはショッピングモールをあとにした。





(そしてそう遠くない未来、さっきの名前を思い出せなかったバンドと私たちが大いに関わることになるとは、まだこの時は知る由も無かった・・・。) 

mirumenashi at 01:04 

2008年12月09日

☆☆

我々は空腹だったので、とりあえず食料でも買おうか、買ってしまおうか、あわよくば。という話になった。


最寄のショッピングモールへと行き、無一文の私は村中のポケッツマネイ539ツンパを頼り、食料品売り場に入り品物を物色する我々。



私は生のモヤシをムシャムシャムシャムシャ食べるのが好きなので、モヤシを手に取った。「買うのか?」
「うんモヤシ欲しい」
「別にいいぞ」



村中はカップラーメンと林檎を一つずつとコンドームを一つ買った。
「それ、何に使うの。」
「水を入れて遊ぶんだ」
彼女にも無邪気な一面もあるのだなあと思い私は鮮やかに嘔吐した。



 それらを合計した金額を当初持ち合わせていた金額から引くと、残りは134ツンパとなった。


 我々は買い物袋をぶら下げながらモール内を適当にブラブラし始めた。するといかにも快適そうな二つ並んだ黒いマッサージチェアを見つけた。



たいそう疲弊している我々が電化製品コーナーに設置されている、二つ並んだいかにも快適そうな黒いマッサージチェアに座り、仮眠を取り、手淫などをしたいと思うのは当然のことであった。我々は手に買い物袋をぶら下げたまま、それに深々と座った。



それがどのような快適であったのかは筆舌に尽くし難い。私の体内に蓄積した疲弊が、長旅の疲れが、徐々に回復されていくのを感じた。私は大きなあくびをした。その際に少量の落涙があり、彼女はそれを指で軽くぬぐった。そうやって私たちは安らいでいた。



しばらくすると、店内に音楽がかかっていることに気がついた。ゲーマン語の曲だ。私はゲーマン語はほとんどわからないのだが、少しだけ聞き取ることが出来た。
『(女)あなたの所有している竹馬を、ばれないようにこっそりと窃盗して、焼却或いは滅却したいわ(男)しかし今は世界中の蛆虫が起きだす夜だから(男、女)便器を食べたい』


 辛うじて聞き取れた歌詞の断片から推察するに、だいたいこのような内容の歌だと思われる。私はこの歌詞にとても共感を得て、一人うなずいた。




 やがて凄まじい睡魔が私を襲った。その眠気のままに眠ってしまおうかとも思ったが、展示用のマッサージチェアで眠るのはよくないだろうとも思った。店員にも起こされるだろう。


しかし、私はかまわないと思った。少しくらいは眠らせてくれよこのウンコとも思った。これは仮眠だ。2、3分したら起きてまたどこかに行くから、今はこのまま眠らせて置いて欲しい。それくらいはいいんじゃないのか?それともだめなのか?それとも、鼻毛?


――――そんなことを開いたり閉じたりする目で考えている内に、天井のスピーカーからかかっていた音楽が途切れ、次の曲が流れ出した。




私は咄嗟に違和感を感じ、はっと椅子から頭を起こした。




・・・・・カミーア語(※)だ。どうしてウッフンでカミーア語の歌が?・・・・

mirumenashi at 01:15 

2008年12月08日

フライトまで何分かあった。


私は暇なので隣の彼に話しかけてみようなどとも思ったが、やめた。私はあの老人と離れてから、ほとんど誰とも話していないのだ。この短時間で、人との話し方を忘れてしまった所がある。


人は、どこからどこまでが知り合いで、どこからどこまでが知り合いじゃないのだろうか。

今隣にいる彼とも、私が話しかければ知り合いになれるかもしれない。もしかしたら無二の友達になれるかもしれない。彼だけでなくともそうだ。私次第で、この機内にいる全ての人と私は知り合いになれるのではないだろうか。



でも誰もそんなことはしないだろう。だってそんな奴気持ち悪いから。

だってここにいると伝えたい人への気持ちはそんな出来合いのものじゃないから。
いったい人はみんな恥ずかしがり屋で、だから求め合うのかもしれない。


そして飛行機は飛び立った。大きなその機体が雲を切っていく。夜更けの雲は黝く見えて少し綺麗だった。


暇だったので機内ラジオを聴いてみると、THE IMUYAM SLEEPYのわりと昔のナンバーがかかっていた。十年くらい前の曲。リック・スミスが一番穏やかな声で歌っていて、詞は一番病んでいた頃だ。曲名は思い出せなかった。それを聴きながら私は眠りについた。





明け方すぎに飛行機はウッフンに到着した。


タラップを降り、手続きを済ませ、空港を出た。

少し歩いていくとそこはもうウッフンの街だった。商店やビルの建ち並ぶ街並みが目の前に広がっていた。空はとても青く澄んでいて。




街路を一人歩いていると、曲がり角で村中と会った。


「ここにいたのか。」


 私は別段不思議にも思わず、彼女もまた驚いたような素振りも見せず、私たちは恰もそれが当り前の事かのように連れ立って歩き始めた。


歩きながら彼女は「久しぶりだな」と言った。確かに久しぶりだと思った。私はその時、彼女のことが好きかも知れないと思ってしまったので、口の中でひとり歯をくいしばった。すると、歯という歯の付け根という付け根から血液が噴出してぼたぼたと垂れ流れた。自分の歯はなんて弱いのだろうと思った。(私はその時思った。私と彼女がここで会うということが予め決まっていたのだというと思っているこの思いもそのときに思うと決まっていたのだというのだろうか、と。)





彼女ととりとめもない話をしながら街並みをただ歩いていった。
誰かと歩いていくというのはいい。ひとりで歩いている時よりも町を巻き込んでいるような気がするのだ。


私たちは、会っていない間にお互いに何があったのかなどとという事は何も聞かなかったし、言わなかった。何故だろう。私たちが再び出会ってそれから起こる出来事は、私たちが会っていない間に起こっていた出来事よりも素晴らしいことような、そんな気がしたからとでも言おうか。


向こう側から歩いてくる人がいる、どこへ行くんだろうかあの人は。いずれ私たちはその人とすれ違う。すれ違った。

お互い行き着く場所があるんだろう。すれ違っていくんだろう。ドイツだろうと日本だろうとウッフンだろうと、どこだろうとそれは変わらないんだろう。人と人は、すれ違っていくんだろう。









私は、彼女と同じ場所にたどり着いてみたいと思った、たとえそこがどんなに間違った場所だったとしても。


mirumenashi at 23:06 

2008年11月30日

第五羽

夕方の空気がひたすら町を切っていた。



私がつらい別れを一度に二つも経験しようがしまいが、相も変わらずに人並みは通りすがっていくのだった。




なんてひとりぼっちなんだろう。そんなことは、以前までなら平気だった。むしろ望みさえしていた。しかし今はそれがつらい。何故だろうと考えた。村中の顔が浮かんできた。




「人は変わるものらしい」と昔バスターが言っていた。
岡村は「人は変わらないんだよ」と言ったことがあった。

どっちが本当なのか私にはわからない(もしくはどちらも本当なのかもしれない)けれど、ひとつ私が思えるとすれば―――もしも変わるものだとすれば、人を変えるものはやはり人でしかないのだろうということだ。




とりあえずこの地を離れようと私は思った。



私は最寄のバス乗り場に行き、フランクフルト空港へと向かうバスに乗った。

バスは満席であった。

いくつもの知らない顔が私の周りを漂っていた。私の隣には鼻毛の飛び出た中年男性がぼんやりしていた。




もしかしたら実は、あの鼻毛の飛び出た中年男性も私と同じように今しがた辛い別れをしてきたばかりかもしれない。そんなことは誰にもわからない。ジェイソン・マクレガーのような腕利きの探偵ならば、身なりや仕草などで彼に起こった出来事などが推理できるかもしれない。でも、それ以上に大事な、その時に彼が何を思ったのかという事は誰にもわからないのだろう。



やがてバスは走り出した。窓の外で景色が流れていった。こうして通り過ぎる全てのものに誰かの想いが重なっているのだろうと思った。そして、決して私も蚊帳の外ではない。なのにどうして寂しさを感じるのだろうか?




バスは進んでいく。






バスが空港に到着したのは、私はさびしいと思えてよかったのかもしれない、と思い始めた夜更け頃の事だった。
空港は深夜であるためか人もまばらで、気だるい雰囲気に包まれていた。


私は手続きを済ませ、ウッフン(※)行きの深夜便に搭乗した。
機内に乗り込み、先頭から三列目の窓際の席に座った。いい席だ。座ると尻が痛かった。それはさっきから座り通しなせいだろう。隣の席には若い男が眠っていた。私は大きなあくびをし、座席にもう一度座りなおした。



フライトまで何分かあった。


私は暇なので隣の彼に話しかけてみようなどとも思ったが、やめた。私はあの老人と離れてから、ほとんど誰とも話していないのだ。この短時間で、人との話し方を忘れてしまった所がある。

人は、どこからどこまでが知り合いで、どこからどこまでが知り合いじゃないのだろうか。

今隣にいる彼も、私が話しかければ知り合いになれるかもしれない。もしかしたら無二の友達になれるかもしれない。彼だけでなくともそうだ。私次第で、この機内にいる全ての人と私は知り合いになれるのではないだろうか。



でも誰もそんなことはしないだろう。だってそんな奴気持ち悪いから。だってここにいると伝えたい人への気持ちはそんな出来合いのものじゃないから。いったい人はみんな恥ずかしがり屋で、だから求め合うのかもしれない。





ウッフン・・・太平洋の真ん中あたりに浮かぶゴヒョヒョ大陸という架空の大陸にあるゲーマンという架空の国にある小さな町、と作者が勝手に設定した架空の町。

mirumenashi at 12:27 

2008年11月19日

い、ん、たー、ば、る。

[Lotus Grass]

邦題「蓮華草」

W(h)ispAroma 1st Album[Tie(1897)]
Song by R・S & G・N


月夜の晩だ 楽にして
茨のような 戸を開けて
煌めく星に 似てた人
もうこの場所に 帰せずとも

密かに一羽 蛾が飛べば
吾と戯る 落雁よ
伝無き吾は 手漕ぎ舟
錨をあげて 滝へ往く

交わす痛みも 乱波ゆえ
狡し無様な 恋路なり
丸いお月と 出前飯
今夜咲きます 蓮華草

黄昏越えて 呼ばう声

mirumenashi at 00:34 
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