2008年02月17日
[虚人世界の覗きみず] ブルーベルベット/Blue Velvet
ブルーベルベット (特別編) オリジナル無修正版僕がこの映画を出会ったのは確か中学生の時だったと思う。
深夜、美術の課題の絵を黙々と描いていたらテレビでこの映画が始まった。
恐ろしく晴れ渡った青空と切り落とされた耳の対比が美しかった。
その時僕が何の絵を描いていたのかは全然覚えていなけど、この映画の原色の美しさは今でも覚えている。
『ブルーベルベット』はデニス・ホッパーの怪演の印象の強さも手伝い、暴力とセックスの渦巻く異常な世界を描いた作品と評されることが多い気がする。
確かに道徳的な世界を描いているとはお世辞にも言えないがそれほどとち狂った状況だとも言えない。
人々の生活なんてものは奥へと入り込めば入り込むほど他人が相容れない部品で構成されているものだと僕は信じている。
それが自分のためだけのパーツであれば何の問題ない。
ただそのパーツを押し売りし始めたらその人は他人に裁かれても仕方がない。
若いジェフリー(カイル・マクラクラン)はドロシー(イザベラ・ロッセリーニ)に憧れを抱く。同世代のサンディ(ローラ・ダーン)と比べてみても、やはりドロシーはとても大人の女性に映ったのだろう。フランク(デニス・ホッパー)によって更に彼女には魅力的な陰を付され、ジェフリーの憧憬は欲情と混ざり合い激しさを増していく。
好みというものが存在する以上すべての人々にとって同じ効果を与えることなど出来ないが、少なくとも僕にはドロシーは最初魅力というものを、ある種の輝きを確実に保持していたように感じられた。
しかし、この寓話が終焉を迎える頃には彼女は完全にその輝きを失っていたのだ。
草むらから裸で走り出るドロシーはそこら辺にいる無様なおばさんでしかなかった。
そして、中学生の僕は年上の女性に惹かれるのはやめようと誓った。
おそらく。

