大阪府北部を震源とする地震でプールサイドのコンクリートブロック塀の下敷きになり小学校4年生の生徒がお亡くなりになりました。通学路となっているグリーンベルトを登校していての事故に悲しみを禁じえません。心よりご冥福をお祈り申し上げます。

今回の事故をきっかけとしてコンクリートブロック塀の構造が話題になっています。コンクリートブロック塀が安心なのか危険なのか一般市民には知るすべがなく、このような事故があると改めて不安な気持ちになる方は多くいらっしゃるかと思います。

私自身も子供の通学路にあるコンクリートブロック塀は大丈夫なのか?火災時にコンクリートブロック塀倒壊により消化困難に陥ることはないか?等の不安を以前から感じていました。

そんな折、コンクリートブロック塀の無料診断というサービスがあることを知り、自治会役員会に専門家をお招きしお話をお伺いする機会がありました。

防災まちづくりコンサルタントで一級建築士の三舩(みふね)康道さん(68)はとても気さくな方で過去の震災事例や文京区西片地区や品川区荏原4丁目地区で実施した診断結果概要を教えてくださいました。そして私たちがコンクリートブロック塀に対する不安を持っていることをお話しすると快く無料診断を引き受けて下さいました。

調査そのものは一般社団法人全国建築コンクリートブロック工業会の協力を得ました。調査箇所については自治会役員から希望者を募り調査を実施しました。

◼️調査概要

調査にはコンクリートブロック工業会の「ブロック塀の診断カルテ」を利用しました。
調査項目や総合評点は以下の通りです。

1)基本性能10項目
建築年数、高さの増積み、使用状況、塀の位置、塀の高さ、塀の厚さ、透かしブロック、鉄筋、控え壁・控え柱、かさ木

2)基本性能の評価点に、外観係数、耐力係数、保全係数をかけ合わせて総合評点を算出。

3)総合評点の結果:安全係数と今後の対応
A:70≦Q        :安全である(3-5年後にまた診断してください)
B:55≦Q<70 :一応安全である(1年後にまた診断してください)
C:40≦Q<55 :注意を要する(精密診断を行い、再度判定するか転倒防止対策等を講じてください)
D:Q<40        :危険である(早急に転倒防止対策を講じるか、撤去してください)

私の住む地区の法的条件は以下のとおりです。

【大田区山王3,4丁目地区】
・用途地域:第一種低層住居住居地域、第一種住居地域、商業地域
・建ぺい率/容積率:50/100、60/150、60/200、80/400
・まちの特徴:住商が混在し、敷地規模は大小様々だが、小さい敷地が密集している地域も多く存在

IMG_0352

◼️コンクリートブロック塀の基準

コンクリートブロック塀の施工基準は建築基準法施行令第62条の8に定められています。以下に主だったものを紹介いたします。

・高さは2.2メートル以下。
・厚さは15センチ以上(高さ2メートル以下の塀では10センチ以上)。
・壁頂と基礎には横に、壁の端部と角角部には縦に、それぞれ直径9ミリ以上の鉄筋を入れる。
・鉄筋は直径9ミリ以上の鉄筋を縦横80センチ以下の間隔で配置する。
・控え壁は3.4メートル以内ごとに。

IMG_0489


◼️分析結果


・総合評点:65.4点「一応安全である範囲」

・建築後年数:20年以上が100%

・高さ増積み:高さの増し積みはなし

・使用状況:塀単独が100%

・塀の位置:塀の下に擁壁は無い

・塀の高さ:塀の高さは2.2m以下が100%

・塀の厚さ:ブロック塀の厚さは10cm57%12cm43%15cmはなし

・透かしブロック:無し71%、有り29%(透かしブロックは鉄筋を入れにくい。)

・鉄筋:有り100%(鉄筋は全て入っている。しかし基準通り入っていないものもある。)

・控え壁・控え柱:有り14%、無し86%(控え壁、控え柱を設置しているものは14%であった。密集地区では少ない。)

・かさ木:有り29%、無し71%

・ぐらつき:動かない86%、わずかに動く0%、大きく動く14%


IMG_0491


IMG_0492


IMG_0495

◼️調査結果


大田区34丁目地区

・調査日:20171123日(木)

・調査希望住宅:4

・調査対象ブロック塀:7カ所

・平均点:65.4


この結果は先に行われた文京区西片地区や品川区荏原4丁目地区と比べても低い数値ではなく、総じて良好な環境であると評価いただきました。

 

一方、転倒防止対策が必要であると指摘頂いた箇所もありました。また、調査対象外の箇所でも目視のみでコンクリートブロック塀及び万年塀の危険箇所を複数箇所ご指摘いただきました。


昨今は住民参加のまちづくりが全国的に展開されている中で、災害に強いまちづくりを目的として、住民による「まちの点検」というイベントが行われるようになりました。是非、コンクリートブロック塀の無料診断をご活用いただき、無用に不安がる必要のないことをご理解いただければと思います。


建築学会の評価にもありますが、鉄筋で補強され、しっかりと基準通り施行されたコンクリートブロック塀は地震に強くそう簡単に倒壊するものではないそうです。

今回の大阪北部地地震で多くのコンクリートブロック塀は倒壊を免れました。コンクリートブロック塀で死亡した方が2名にとどまったということは、40年前の宮城県沖地震の教訓が活かされたとも考えるべきです。


IMG_0490