大田区議会 令和5年第4回定例会、維新大田区議団は公務員給与、区長給料、議員報酬など引き上げ7件に反対しました。


物価高の状況や給与を引き上げようという社会的な機運も踏まえれば、引き上げという結論自体に反対するものではありません。若年層の職員に重点を置いたことも評価をいたします。しかし、今回の提案はその根拠とされている特別区人事委員会勧告があまりにも失当であり、これを根拠に引き上げるということであれば、賛成することはできません。先に行われた総務財政委員会での反対討論は以下のとおりです。

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日本維新の会大田区議団は議案第108号「大田区長等の給料等に関する条例等の一部を改正する条例」ほか6議案について、反対の立場から討論致します。

 

本議案は、令和5年特別区人事委員会勧告に示された、公民較差3,722円を解消するため、全級全号級の例月給級給与表を引き上げ、さらに特別給を0.1月分引き上げたいというものです。


私は、この勧告の基礎となる、職員と民間従業員の給与比較の方法について、常に疑問を呈してまいりました。企業規模50人以上かつ事業所規模50人以上の都内事業所を調査母集団としたということですが、経済産業省が行った令和3年経済センサスによれば、従業員規模50名以上の事業所の割合は3.3とされています。また、大田区内には3,584社の事業所がありますが、うち従業員規模50名以上は105社、僅か2.9です。


つまり特別区人事委員会勧告は、ごく一部の上澄みともいえる民間との給与比較であり、ここで行われている公民較差に正当性があるとは到底評価できません。


また、人事委員会勧告では、平成304月の給料表切替の際に特段の措置によって生じた差額支給について、着実な解消が求められますが、未だ解消されておりません。一時的、特例的な措置であり、常態的に執られるべきものではないと明記されているにもかかわらず、差額支給者の退職を座して待つかのような本区の対応は誠実なものとはいえません。


平成30年には特別区人事委員会勧告に従わず、下げるべきとされた改定を拒否したことがありました。内容次第で従わないこともあり、従う時も差額支給者の解消など都合の悪い部分には従わないというダブルスタンダードは、全くもって区民の理解を得られるものではありません。


物価高の状況や給与を引き上げようという社会的な機運も踏まえれば、引き上げという結論自体に反対するものではありません。若年層の職員に重点を置いたことも評価をいたします。しかし、今回の提案はその根拠とされている特別区人事委員会勧告があまりにも失当であり、これを根拠に引き上げるということであれば、賛成することはできません。


先にも申し上げましたが、特別区人事委員会勧告に従わなかった過去があることを踏まえても、特別区人事委員会勧告は既に本区にとっての錦の御旗ではありません。


また、特別職の国家公務員の給与を引き上げる改正給与法が成立したことを受けて、政府は24日の閣僚懇談会で、岸田総理大臣や閣僚の給与の増額分を全額、国庫に返納することを申し合わせました。しかし、先に開かれた議会運営委員会において大田区長による主体的な提案はないことがわかりました。この事を我が会派は大変残念に思っています。

 

以上の理由から、上程された7議案全てについて、日本維新の会大田区議団は反対とさせていただきます。