ピアノの脱力については以前にも書いたが、今日は特に親指について述べようと思う。脱力と親指の使い方とは大きな関係していると思われる。自分自身も親指の動きを強く意識するようになってから、格段と脱力がうまくできるようになった。

特に親指の重要性を実感したのは、ショパンのエチュードOp.10-1、Op.10-2を弾いていたときである。この2曲はすぐに力が入ってしまいやすい曲として有名な曲だが、自分も以前はこの2曲に大苦戦していた。曲の最後のほうに来ると、手が疲れてへとへとになってしまうことがしばしばであった。だが、親指を意識するようになってから、あっという間に楽にこの2曲を弾くことができるようになった。親指への意識の持ちかた次第でで過度な力が入ってしまうことをかなり防止することができるとここで確信することができた。

身体の横に腕を自然にだらんと垂らすと、手は自然なカーブを描いていることがわかる。つまり、これがもっとも手に力の入っていない形である。ピアノを弾くときにもこの形が基本形となる。また、前腕部、つまり肘から手にかけてもゆるやかなアーチの状態ができていることが、もっとも余計な力を使うことなく力を伝えられる形である。

話を手に戻そう。手の自然なカーブもしくはアーチを描いたとき、基本的に人差し指から小指は連動している感じがするだろう。だが、まったく別の方向を向いている指がある。それが親指である。ピアノを弾いているときに、この親指が反っていたり、過度に内側に曲がっていたりしているならば、それは「変な力が入りやすい」形になってしまっていると言ってよい。先ほど述べた、自然なカーブの形に親指をキープすることが非常に大切である。意外にそれはしっかりと意識をしていないとできていないものである。

親指を自然な形に保つと同時に、親指主導で常に動きを作ることも余計な力が入りやすく、また故障の危険も高い手の使い方である。なぜかというと、親指を主導で手を動かすと、他の指が鍵盤に対してまっすぐな角度で入れられなくなるため、常に手首を大きく動かさなければならなくなる。このような不自然な形は腕、手首への負担が大きい。少ない回数ならば問題ないが、繰り返ししていると故障のリスクが高くなる。何よりも、そのほうが無駄な動きが多く、弾くことが難しくなってしまう。したがって、親指主導ではなく、小指主導で常に鍵盤に対してまっすぐな角度で打鍵をする、ということが重要なのだ。

それがわかりやすく出るのがスケールおよびアルペジオである。スケールを弾く場合、右手は上昇する場合、親指をくぐらせるのが常識である。だが、ここで大きくくぐらせてしまうと、親指主導の動きとなってしまう。それなので、くぐらせようとする必要はないのだ。つまり次のポジションにすばやく手を移動させてしまい、常にまっすぐな角度で次のポジションに入るほうがスケールははるかに速く上昇することができる。当然ながらその場合、4→1の移動のときに微妙な隙間が生まれる。しかしながら、速い速度でペダルつきで弾けば、まったくその隙間には気がつかない。

また、スケールを下るとき、小指をやや黒鍵寄りに、親指を手前にというやや斜めのポジションで下降をすると、1→4の移動がスムーズにできる。このポジショニングで弾けば、下降のときの親指を支点としない動きが可能になり、楽に下降をすることができるようになる。ショパンの装飾音などで苦戦をしている場合は、このスケールの弾きかたを実践すると格段に弾きやすくなると感じられるのではないだろうか。もちろん、Op.10-1でもとても役立つ弾きかたである。

他の指よりも親指は独立感と力がある感じがするため、勝手に力が入りやすい指である。薬指や小指が弱いと感じてしまう人ほどその危険性が高い。親指の自然な形をとにかく「意識」し、変な力が入りやすい形になっていないかをチェックすることが、脱力の実現への大きな一歩である。

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