Missa Ordinarium ─ ミサ通常文のラテン語解説

ミサ通常文を、純粋にラテン語の文章として解説するページ.

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本文は完成しました. 関連情報の構築を推進しています.
── missa_ordinarium/pierres_blanches.

はじめに

[MISSAORDINARIVM] Internet blog version

このサイトは、ミサ曲(Kyrie, Gloria, Credo, Sanctus Benedictus, Agnus Dei)で使われるミサ通常文について、純粋にラテン語の文章としての解説をするものです。

ラテン語は、文法的に大変難しく、それゆえ早い時期に死語になってしまった言葉の1つです。名詞、形容詞、動詞すべてが複雑な活用を持っていて、それを知らなければラテン語の文章は理解できません。活用を覚えることがラテン語学習の9割を占めるといっても過言ではないでしょう。

しかし、ここでは活用を覚えることにはあまり意味がありません。ミサ通常文は文章が決まっており、内容はキリスト教に関することに限られています。むしろ1つ1つの文章が何を言っているか理解する方が大切です(これは全ての外国語の曲に共通のことですが)。

とは言え、ラテン語は、その文法から逃れて解説するのはほとんど不可能で、文法書的な体裁になるのは致し方ありません。ですが、このサイトに書かれた内容全てを理解しようとするのではなく、ミサ曲の文章が何を言っているのか(つまりその文の中で大切な単語は何か、どう大切なのか)を分かって頂ければ良いと考えています。

ただ、少しでもラテン語に興味を持ってもらえる人がいれば、その後の学習の助けとなるよう、ラテン語特有の文法解説にも立ち入っていますし、ミサ曲に登場する全ての単語と基本語も辞書形式で掲載しました。



CONTENTS
●ラテン語のアルファベット
●テキストによる差異

ラテン語解説
Kyrie
Gloria
Credo
Sanctus Benedictus
Agnus Dei

ミサ曲ラテン辞書
●目次

キリスト教周辺話
●目次



PC上の表記について

本サイトは、発音記号やアクセント記号、長音記号のほか、ギリシャ文字、ヘブライ文字などを多用しています。モバイルを含む閲覧環境によっては、正しく表示されない場合もあります。

以下の表記をチェックしてください。

●発音記号
 [ ʤ ] ←dの後ろに「ろ」みたいな感じの発音記号がカッコ内に表示されればOK。(dZや?が表示されたり空白だったらNG)
●アクセント記号
 [ áéíóú ] ←aeiouの5文字に上にアクセント記号が付いていればOK。(?や空白、アクセント記号のないaeiouだったらNG)
●長音記号
 [ āēīōū ] ←aeiouの5文字の上に横バーが付いていればOK。(?や空白、横バーのないaeiou、あるいは意味不明な文字列だったらNG)
●合字
 [ œ ] ←oとeが合体したような字が表示されればOK。(?や空白だったらNG)
●ギリシャ文字
 [ χ ] ←アルファベットのXのような字が表示されればOK。(?や空白や半角カタカナだったらNG)
●記号類
 [ → ¶ ] ←「右向きの矢印」と、「Pを左右逆にしたような記号」が表示されればOK。(?や空白だったらNG)



ミサ通常文のラテン語に関しては、インターネット上にも同様なサイトがありますが、ラテン語習熟者と思われるサイトにあっても、ラテン語の文法としては誤った説明も見受けられます。

本サイトに掲げる解説も、100%正しい保証はどこにもありませんが、一般にはどこが誤解されやすい、といったことも記したいと思います。

なお、本サイトの内容は、既に公開されている
 ●ミサ通常文のラテン語解説 第2版第2刷(PDF)
を、その作者自身が、改めて内容を少し練り直しながらネット上に再展開するものです。

※上記の第2版第2刷にも、一部誤記等が残っており、本サイトに再展開する際に訂正している部分があります。反対に、本サイトへの転記ミスが発生している場合もあり、随時訂正していきます。


Web版構築に伴い、従来の第2版第2刷(PDF版)は、第3版(PDF)にとりあえず改訂しました [2011/8/27]。
第3版は、

 
ミサ通常文のラテン語解説 第3版(PDF)
にあります。従来の第2版第2刷は公開を中止しました。
また、以後は、Web版構築をメインに進めていきます。なお、両者は必ずしも同じ内容ではなく、本文はWeb版の方が充実していますが、付録部分はPDF版の方が充実しています。



※本サイトは、2011年1月より、徐々に内容を書き足していきます。

※2011年2月16日に、ミサ通常文の掲載が Agnus Dei まで完了しました。
以降、補足事項などを追記していきます。

※キリスト教周辺話の掲載を開始しました。

※2016年9月25日に、発音記号表示不具合を解消しました。

※2017年8月7日に、短縮URLをp.tlからux.nugoo.glに変更しました。 

【創世記の誤訳 ~初めに?】キリスト教周辺話 第31話

●はじめに ●キリスト教周辺話目次 [第30話] [第31話] [第32話]



キリスト教周辺話  第31話
【創世記の誤訳 ~初めに?】

※本稿はヘブライ文字を多用しており、モバイルや、一部のPC環境ではきちんと表示できないかも知れません。

創世記』は旧約聖書の第1書で、冒頭が

 初めに、神が天と地を創造した

で知られるように天地創造の場面から記述されています。しかし、この冒頭の一文、実はどうも誤訳らしいということはあまり知られていません。

旧約聖書の原典はヘブライ語なので、まずはヘブライ語を見てみましょう *40 。下の枠は、『創世記』第1章の1~2節、つまり旧約聖書のほんとうに一番最初に書いてある事柄です。

בראשית  1

בְּרֵאשִׁית בָּרָא אֱלֹהִים אֵת הַשָּׁמַיִם וְאֵת הָאָרֶץ

   1

וְהָאָרֶץ הָיְתָה תֹהוּ וָבֹהוּ וְחֹשֶׁךְ עַל־פְּנֵי תְהוֹם וְרוּחַ אֱלֹהִים מְרַחֶפֶת עַל־פְּנֵי הַמָּיִם

   2

ヘブライ語は右から左に書くから、このような見慣れないレイアウトになることに注意しましょう。字の上下にある点々は、母音記号です。また、章番号と節番号は分かりやすくするために算用数字で書き入れただけで、原典にはもちろん存在しません。

さて、残念なことに私たちの大半はヘブライ文字を読めません。そこで、これらをとりあえずアルファベット表記してみましょう。ただ、当時のヘブライ語は、非常に多くの母音と微妙な違いの子音があって、とてもアルファベットでは表しきれません。これを強引にアルファベットで表現し、さらに無理やりフリガナまで付けてみると、上の2行は次のようになります。(もちろん、左から普通に読んで良い)


  1  
バレーシトゥ バーラー エローヒム エートゥ ハッシャーマイム ワエートゥ ハーアーレツ
bərē’šît bārā’ ’ĕlōhîm ’ēt haššāmayim wə’ēt hā’āreş

  2  
 
 
ワハーアーレツ ハーヤターハ トーフ ワーボーフ ワホーシェク アルパネ タホム
wəhā’āreş hāyətāh tōhû wābōhû wəhōšek ‘al-pənê təhôm
ワルアハ エローヒム マラヘペトゥ アルパネ ハンマーイム
wərûªh ’ĕlōhîm mərahepet ‘al-pənê hammāyim

といっても、さらに残念なことに、これでも到底理解できるシロモノではないので、現在入手可能な英語ラテン語日本語のテキストでこれらがどう表現されているか見てみましょう。

 GENESIS 1 (英語)GENESIS 1 (ラテン語)『創世記』 第1章
1:1In the beginning God
created the heaven
and the earth.
In principio creavit Deus
caelum et terram
初めに、神が
天と地を創造した。
1:2And the earth was
without form, and void;
and darkness was upon
the face of the deep.
And the Spirit of God
moved upon the face
of the waters.
Terra autem erat inanis
et vacua et tenebrae
super faciem abyssi
et spiritus Dei ferebatur
super aquas
地は形がなく、何も
無かった。
やみが大いなる水の
上にあり、神の霊は
水の上を動いていた。

こうして見てみると、英語・ラテン語・日本語については、ほぼ同じことを言っているようです。特に、第1章第1節、つまり最初の文についてはどれも「初めに、神が天と地を創造した。」という断定文で完結しています。

ところが、最初に書いた原典のヘブライ語はそうなっていないのです。

冒頭の「בְּרֵאשִׁית bərē’šît (レーシトゥ)」という単語が、英語は "In the beginning ..."、ラテン語も "In principio ..."、日本語も「初めに(~した)」という風に訳されているのですが、もしそうならばこの単語は、違う母音記号で「בָּרֵאשִׁית bārē’šît (バーレーシトゥ)」と書かれていなければならないそうです(最初の文字の בּ (b) の母音記号が異なる)。実際はそうでなくて、「בְּרֵאשִׁית bərē’šît (バレーシトゥ)」と書いてあるということは、文法的にはこの文が従属節、つまり物語の骨組みではなくて付随情報であり、日本語でいえば「神が天と地を創造した当初、~」という感じの読点付きの未完結な文になっていることを表しているそうです。

従って、この文は未完結のまま次の文を伴って、

 神が天と地を創造した当初は、地には形がなく何も無かった。

と訳すのが正しいそうです。旧約聖書の一番最初の一単語を、各国語ともどうも誤訳しているというのは、なかなか皮肉的です。「最初に天と地を作った」と断定しているのではなく、確かに最初に作ったのかも知れないけれども、「天地を創造した当初は、地には何も無かった」という文だと、だいぶ印象は違いますね。



*40
池田 潤 『ヘブライ語のすすめ』 ミルトス
ISBN:4-89586-019-1 (旧番号) 978-489586019-2 (新番号) (amazon .co.jp)

【無原罪懐胎と処女懐胎】キリスト教周辺話 第30話

●はじめに ●キリスト教周辺話目次 [第29話] [第30話] [第31話]



キリスト教周辺話  第30話
【無原罪懐胎と処女懐胎】

カトリックで素朴に信じられるマリア崇敬で「実はマリアはすごいんじゃないか」という発想が拡大して発した概念の1つに「無原罪懐胎」というものがあります。無原罪懐胎は、新約聖書が成立したころから強く認識されていたものではなく、かなり後世になってからの解釈のようです。1854年12月8日、第258代教皇ピウス9世は、マリアがその懐胎の瞬間から原罪のあらゆる汚れから免れていた、と宣言しました。

無原罪懐胎処女懐胎は、どちらもマリアに関わることで、名前も似ているので、混同されやすそうですが、全然違います。誰が身籠ったのか、が違います。「処女懐胎」は言わずと知れた、マリアが聖霊によって父親無しにイエスを身籠った、という教義上の内容です。一方で「無原罪懐胎」は、マリア自身が、その母アンナと父ヨアキム *39 との間の子としてアンナの胎内に宿った(母アンナが身籠った)その最初の瞬間から、生物学的に言えばマリアは生まれる前の受精卵のときから、他の人間と違って原罪を免除されていた、という解釈です。簡単に言えば、マリアは神の子イエスを産んだくらいなのだから、神に選ばれ、既に神に祝福された存在であり、原罪、つまり過去に人類の祖先が神に逆らった罪など初めから背負っているはずがない、という発想です。この意味で「神に祝福された」からこそ、「祝福されたマリア (Beata Maria)」という表現が生まれることにもなったのでしょう。
(beata は、「祝福する、幸福にする」という動詞 beo, beare の完了受動分詞で、「祝福された~、幸福な~」という意味です)

また、無原罪であるマリアは「老いることが無い」とも解釈されました。宗教絵画に描かれるマリアは常に若い女性です。イエス生誕のころのマリアは、まあ概ね20歳前後でしょうから若い女性として描かれていて不思議はありません。しかし、イエス処刑のころはイエスの方が30歳前後で、処刑されたイエスを抱きかかえるマリア(推定50歳前後)の描写としては、明らかに若過ぎるのです。老いているマリアを見たくない、という気持ちもありますが、マリアは無原罪なので、人間が神から与えられた罰の1つである「老い」も無かったのだ、という解釈があるようです。

無原罪懐胎処女懐胎を一言でまとめると、「無原罪懐胎によって母アンナから産まれたマリアが、処女懐胎によってイエスを産んだ」という図式になります。

なぜ神が選んだのがマリアだったのかは、今もって謎のままでしょう。



*39
マリアの母アンナと父ヨアキムの名は、聖書の中には現れません。

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