ドイツの合唱指揮者、イェルグ・シュトラウベの合唱音楽ワークショップへ。
モンテヴェルディ*注1) とシュッツ*注2)の曲を、7・8声部に分かれて総勢120名で合唱するのだが、参加者のレベルが非常に高く、曲の持つ和声や対位法の素晴らしさの中に身を置いているのがとても気持ち良かった。
単純に大勢で声を出すのって気持ちいいし。
・メジャー・コードの時の長3度(ドミソだったら「ミ」の音)を低め、マイナー・コードの短3度(「ミ♭」)は高めに歌う
・どの声部でもそのコードの基音(ドミソだったら「ド」)は大きくその他の音は小さく歌う(それによって和音が安定する)
といったような具体的な指示も勉強になったし、(12音平均率では味わえない快楽だ)
・腹から喉にかけて1本の筒があることをイメージして『喉を開く』イメージをして歌うと自然な声が出せる
・後頭部に共鳴箱(レゾナンス・ボックス)があることをイメージして歌うことによって声がよく通るようになる
・目の下の骨を振動させるイメージで歌うと音が高くなる
など「イメージ」の話も興味深かった。
「言葉」のイントネーションやニュアンスと「メロディ」とが密接に繋がっている、という話も感銘を受けた。
言葉のイントネーションとメロディがきちんと合っていれば、すんなり聞き手の心に訴えかけることができるし(意識下で歌詞を言葉に変換しなくて済むから)、
ニュアンスによって喜びや怒りなどの感情表現をコントロールすることができる。
(『何で』って歌詞があったとして、頭にアクセントを取るのと後ろにアクセントをるのでは伝わってくる感情が違う)
編曲をする人間にとって、各声部ごとのレッスンや2声部でのレッスン(バスとテノールのみ、とか)を聴くことができたのも非常に参考になった。
「こんな風に音と音が絡み合っているのか」と。
とにかく
「細部まで手を抜かずこだわる」
ことが大切なのだ、と感じた。
有意義な時間だった。
写真はワークショップが行われた東久留米にある教会(と俺の指。。)、講義が行われた講堂、の中にあるオルガン。
*注1)16世紀から17世紀にかけて活躍したルネッサンス後期・バロック初期のイタリアの音楽家。バロック音楽の基礎を作った。
*注2)17世紀に活躍したバロック音楽初期を代表するドイツの音楽家。「ドイツ音楽の父」とも呼ばれている。