世にも奇妙な小物語

怖い話・奇妙な話・小話など集めて掲載しています。

友達のから聞いた話
友達はの会社の総務部に勤めている。
さほど大きい会社ではないので、部といっても部長を含め3人しかおらず
新人採用の面接なども総務が行っていた。

一昨年の新人採用の面接での事。
その日最後の新人面接は短大出たての女性だった。
リクルートスーツを着た初々しい感じの子だったそうだ。
入り口ではきはきと挨拶して、折りたたみ椅子に腰をかけた。

その時友達は彼女の太腿から、何か赤っぽいものがのびている事に気付いた。

まさか? 生理?

友達はとっさにそう思った。彼女もその視線に気付いたのか、ちらと膝元を見やったが、
とくに気にする様子もなく、すぐに顔をあげた。
部長も気付いているのかないのか、型どおりの質問を始めた。
友達も気付かないふりをして、書類に目をむけたのだが、どうしても気になる。
ちらりと目をむけてみると、それは濃いピンク色をした紐のようなもので、
彼女の足元に絡み付いている。
くるぶしの後ろあたりに、小さな塊が二つ、かすかにうごめいて見える。

胎児・・・?

そう思ったとたん、二つの塊がこちらに顔を向けた。
ビーダマのような目がはっきりと友達を見た。

気が付くと、面接は終わっていた。
挨拶をして扉から出る彼女の足元を再び見つめてみたが、
そこには何もなかった。

「面接中に妙なところジロジロ見てるんじゃない」

当然友達は部長に叱られたが、今見たものが生々しく、
目の錯覚とも幻覚とも思えなかった。
友達がそれを説明しようかどうか躊躇していると、部長がぼそりと言った。

「成績も態度も申し分ないんだが、あの子は見合わせた方がいいな・・・」

え? と思って友達が部長を見直すと

「お前も見たんだろ」

そう言って部長は手を縮め、胎児の格好をして見せた。

俺が子供の頃よくおかんから聞いた話。二十年前に起こった出来事。
俺がまだ立って歩けなくて、ハイハイで歩いてたから1、2歳(?)のときらしい。
うちの実家は二階建てで、一階は四部屋あって、二階に一部屋しかなかった。
もともと、うちはおとん(←もう死んじゃった)、おかん、姉ちゃん、俺の四人家族で、
当時、俺とねーちゃんはまだ小さかったからほとんど1階の部屋だけで事足りてたそうだ。
だから、階段上がるのめんどくさいし、トイレも水道もないからってことで二階使うことは
ほとんど無かったんやて。だから、たまに掃除するくらいで数年間、荷物き状態でだったらしい。

ある日、昼間におかんが二階を掃除に行ったんや。
そん時、俺がまだ幼児さんだったから、一階に置いとくのもなんやちゅうことで二階に連れてったんや。
二階には暗くて湿っぽかったから、久しぶりに、ベランダと窓開けたんやて。
そんで、おもむろに掃除機やら雑巾がけなんかをし始めた。
しばらくに集中して俺のこと放置してたらしい。
しかし、部屋の隅の方を掃除機かけてたら急にゾクっとしたらしい。

で、ぱっと振り返った。
それは俺がハイハイで二階の窓を乗り越えて今にも外に落っこちるとこだった。
ハイハイで落ちるわけだから、落ちたとき頭が下に向き足が上になる。(マイケルどころの騒ぎじゃねえ。)
100パー俺は死ぬ。しかも、幼児さんだ。死ぬ。
おかんはギャーと叫び声を上げて、慌てて窓に駆け寄り、間一髪俺の片足をつかんだ。俺は何とか助かった。
おかんも窓から半身乗り出し、体まっさかさま宙ぶらりんの俺の足首をぎり片手でつかんでる状態だった。
その状態でもぶたったまげだが、おかんは逆さまの俺を見てさらにぶったまげた。
なんと、逆さまの俺を引っ張って落とそうとする般若のような形相の女いたからだ。
すごい力で引っ張ってくる。挙句の果ては、俺の体をよじ登り、
おかんの腕をつかんでおかんもろとも引きずり落とそうとする勢いだ。
一瞬の出来事だったがおかんはすごく長く感じた。

おかんが「あかん、助けてー。」って叫ぼうとしたそのときだ。
「もう大丈夫だよ。」って声が背後から聞こえた。
その声は、俺が生まれたちょうどその年に死んだ父方のじいちゃんだった。
(そのせいでよく、俺はじいちゃんの生まれ変わりじゃねーかって子供のころ親戚に言われてた。)
その声が聞こえると、下から俺を引っ張る力が急に弱まり女も苦悶の表情をしながら消えたそうだ。
でも、消えかかる瞬間、「次は…落とすからな。」って声がおかんにははっきり聞こえた。

それから、うちの家族は二階のそこの窓は絶対開けなくなった。
おかんに「何で窓全開で掃除なんかするんだよ。」って言ったら、
「全開なんかにしてねーよ。最初開けて、すぐ半分以下ぐらいにしたわ。」って言ってた。
でも、俺が落ちかかったときは窓は明らかにその状態より開いてたんだと。
あと、俺がハイハイで窓に向かう気配や、窓が開くならその気配に気づきそうなもんだが
おかんは全く気づかなかったそうだ。当時の掃除機は旧式でめちゃくちゃ音がうるさかったんやて。

以上が、俺が中学ぐらいまで過保護で育てられるきっかけになった事件だ(別の意味で恐ろしい)。
うちにまつわる話はまだあるがそれは別の機会に。

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