世にも奇妙な小物語

怖い話・奇妙な話・小話など集めて掲載しています。

幼少時代から22歳頃まで住んでいた家での話。

道路を挟んだ目の前が広い空き地で、草も生やしっ放しの状態だった。

当然ながら近所に住む子供達の絶好の遊び場。

また、ノラ猫にとっても非常に住みやすかったらしく、徐々に数が増えていった。

借家でペット禁止だった為、猫が好きな俺には都合が良い。

家族も同じで夜中にこっそり夕飯の残りをあげたりしていた。

祖母に手を引かれ幼稚園から帰ってくると、玄関先で待っていてくれたりしたのを覚えている。

懐かしいな…

一番のお気に入りだったネコ坊はVIP待遇。

おかずが魚だったりすると、わざと多めに残したりしてまであげた。

他の奴に食べられない様に玄関の中まで入れてやって優先して食べさせたくらい。

そんなある日ネコ坊が突然いなくなった。

一ヶ月経っても見当たらないので、残念だけど死んでしまったんだろうという話になり、俺は泣いた。

猫は死に目を見せないって本当だね。

それからしばらく経って空き地は駐車場になってしまった。

住処を奪われノラ猫は一気に減った。

中には車の下で寝ていて轢かれてしまった猫もいた。

猫達と目が合うと、俺に助けてと言っている様な気がして辛かった。

子供心に人間としての後ろめたさを感じ、猫と触れ合う時間は激減した。

そしてそれは始まった。

当時、俺は母の部屋で一緒に寝ていた。

母のベッドの横にピッタリと布団を敷いて、毛布を頭から被って寝る。

その頃から怖い話は大好きだったけど、怖がりだったのでそれが安心して眠る為の最善策だった。

ある夜。

気配を感じ目を覚ますと、部屋の奥の鏡台の手前にあるすりガラスに黒い影が見えた。

すぐにわかった。

何がってネコ坊だって事。

すりガラス越しに見える黒い影の足元だけが白っぽかった。

ネコ坊は黒猫なんだけど、足が真っ白でまるで白い靴下を履いている様だった。

ネコ坊はそのまま静かにそこにいるだけだった。

「幽霊になっちゃったんだ」

そう思うと涙がぽろぽろとこぼれた。

心の何処かでまだ生きていると信じていたから。

いつの間にか寝てしまったらしく、気がついたら朝。

以来、数週間に一回くらいのペースでネコ坊は現れた。

ただし、必ずすりガラス越しに。

今でも白い靴下を履いた猫を見ると鮮明に思い出す。

俺達一家が今の家に引っ越してもう6年が経つが、この家に移り住んで本当に良かったなぁと思う。

うん、本当に。

なんでいきなりこんな事書いているかというと…って話。

先日食事中にふと前の家の話題になった。

二階建ての一軒家だが相当なボロで、思春期の俺にはかなりのコンプレックスだった。

そして何か常に気持ち悪い雰囲気があったのを覚えている。

ボロいからってだけじゃない、何かがある様な。

「一階のトイレ周辺が特に怖かったな~」

夜中にトイレに行くのが嫌で嫌で仕方なくて、洗面所やゴミ箱で小を済ませた事もあった。

祖母がピクリと反応した。

「女の人が、ずーっと立ってたんだよねぇ」

…!?

どういう事か聞いてみた。

そして衝撃の事実が明かされた(汗)

前の家は俺が生まれてから約二十年間住んでいたのだが、昔からずっと一階のトイレの前に白いワンピースを着た若い女が立っていたんだそうだ。

昼でも夜でも関係無く、トイレの前に立ち、玄関の方を悲しそうに見つめていたらしい。

ただそこから動く事はないそうで、何も危害は加えられなかったから我慢できたと言っていた。

俺達が怖がるから黙ってた…と。

確かに住んでる時に言われてたら無理だっただろう。

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