世にも奇妙な小物語

怖い話・奇妙な話・小話など集めて掲載しています。

僕の親友の小学校時分の話。
今から二十年も前のある日。両親が共働きだった彼は、学校から帰ると一人、居間でテレビを見ていた。
しばらくすると、玄関の引き戸が開く音がするので母親が帰ってきたと思った彼は、驚かせてやろうと居間の入口の引違い襖のそばにしゃがみ、足音がよく聞こえるようにと襖に耳を押しつけて母親を待ちかまえた。
足音は玄関をあがり、板敷きの廊下を居間に向かって近づいてきて彼が身を潜める襖の前にきた。
しかし、その足音は入口まできたものの、襖を開けようとしない。おかしいと思った彼は外の様子をうかがおうと、いっそう強く襖に耳を押しつけた。 すると
……ガリ……ガリ……ガリ…。
廊下の向こう側からゆっくりと爪で襖をひっかく音がする。驚いた彼はしばらくその場で硬直したが意を決して襖を開けると、ものすごい勢いで廊下を玄関に向かって走るハイヒールの音だけがした。 そうだ。
その後彼は自宅で幾度と無く女の幽霊(?)に悩まされることになる。作り込みいっさい無しのほんとの話。



アフィリエイトで広告収入「スマプロ」

駅のホームにあるベンチに座り、電車を待っていたときだった。隣に赤ん坊を抱いた女性が座った。
子供が好きなので、ついつい子供のほうに目がいってしまう。赤ん坊を見ようとしている自分に気づき、母親の女性が話しかけてきた。
「これね、実は私のバッグなの」
そう笑いながら赤ん坊が着ている服をめくると、お腹にはジッパーがついていた。言われてみれば、赤ん坊の目玉はガラス玉のようだ。
「すごーい、本物の赤ちゃんかと思いました。よくできていますね」
感心して女性に言った。
「ええ、これ作るのけっこう難しくて時間がかかるんですよ。だけどこの質感はお店では見つからないし、リサイクルが好きだから」
彼女は笑顔でそう答え、バッグをなでた。こっちが黙ったままでいると電車がちょうど来て、彼女は電車に乗りこんだ。
「リサイクル…?」
自分も電車に乗るはずだったのだが、ベンチに座ったまま去っていく電車を見送ることしかできなかった。



アフィリエイトで広告収入「スマプロ」

このページのトップヘ