世にも奇妙な小物語

怖い話・奇妙な話・小話など集めて掲載しています。

2016年10月

俺が大学生だったころの夏休みの話。
廃墟巡りをしていた俺たちは山の高台にある廃墟の施設へ肝試しに行った。
夜9時ぐらいに友達の家に集合しそいつの車で廃墟へ向かうことになった。
車はツードアのスポーツタイプでかろうじて4人のれるほどの車だった。
野郎4人だったので正直狭い。後部座席は天井に頭が着いてしまうくらいだった。

廃墟に到着したのは10時を廻った頃。
まわりには電灯は無く町の灯りも遠い。懐中電灯を持ち立ち入り禁止と書いてある
柵を乗り越え廃墟に入っていった。
案の定、入り口の窓ガラスは割られ容易に進入することができた。
廊下を歩きながら各部屋に入りヒャーヒャーいいならが妖しい物はないかと物色してた。
そして廊下の一番奥の部屋にたどり着いた。ドアには「危険ハイルナ!」とスプレーで
殴り書きがあった。お構いなしに一人がそのドアを開けたとき入り口付近がバッ!っと
フラッシュのように光った。一斉に振り向く4人。そして振り向いたと同時に今度は
その部屋が光った。

何が起こったのかもわからずダッシュで入り口に逃げる。何かに追われるような感覚を
残しながら車に飛び乗った。4人中二人は助手席側から後部座席へ乗り込んだ。
俺も後ろの席に乗り込んだんだが先に乗り込んだ奴がじゃまで中に入れない。
俺が「早くのれよ!!!」と叫ぶが先に乗った奴は一向に奥につめない。
無理矢理乗り込んでもう一人も助手席に乗って急いでその場を後にした。

5分もして山を下り幹線道路にでた。
いくらか冷静さを取り戻して隣の奴みたらなぜか後部座席の中央に乗っている。
俺が「おまえ奥つめろよ!!」と言ったらそいつが「だって誰かいたんだよ!!」
って叫び返してきた・・・。


今からもう14年くらい前の、中学2年の時の話です。日曜日に仲の良い友人達と3人で、映画を観に行こうという話になりました。友人達を仮にAとBとします。
私の住んでる町は小さくて、映画がある町まで出るということは、田舎の中学生の私達にとって、大きなイベントでした。
土曜の夜、うきうきしながら家にいると、Bから電話がありました。
「ごめん、明日バイオリンのレッスンがあったんだった。ちょうど映画が終わるくらいの時間にレッスンも終わるから、○○町(映画館がある町の名前)の駅の改札あたりで待ち合わせしよう」
という内容でした。Bは結構なおぼっちゃんだったので、バイオリンを習っていたのです。3人そろって、楽しく大きな町で映画を観られると思っていたので、少しがっかりしましたが、映画の後に3人そろって遊べばいいやと気を取り直して、その日は床につきました。
そんなわけで翌日、僕とA、二人で映画を観に行きました。
映画を観終わって、二人で「面白かったねー」と話しながら、駅に向かおうとした時、 Aが「ねえねえ、このビルの3階まで上れば、駅へ続く歩道橋があるよ」と言いました。
そこは大きな町だったので、駅前から複数のデパート等へと続く歩道橋が、3階くらいの高さで広がっていました。
私も信号に捕まりながら歩くよりはいいなと思い、映画館の横にあるビルに入りました。そのビルは、小さな雑貨店がたくさん入っている雑居ビルでした。私達は階段を見つけ、1階から上って行きました。
3階までつくと、店側に入る扉がありませんでした。
きっとそのフロアは倉庫か何かになってて、この階段からは一般の人が入れないようになってるのだと思い、
私が「やっぱり1階に戻って、普通に歩いて行こうか」と言うと、Aは「いや上ってみよう。4階からお店側に入れるかもしれないから、そしたら別の階段から3階に降りればいいよ」と言いました。
しかし、4階に上っても扉はありませんでした。さらに5階へと進みました。しかし扉はありません。だんだん私達も意地になって、どんどん階段を上って行きました。
10階位まで上ったでしょうか。私は少しおかしなことに気づきました。外からこのビルを見たときは、10階もなかったような気がしたのです。しかしAは、「もっと行くぞ」と張り切って進んで行きます。
私達は階段をどんどん上って行きました。20階くらいまで来て、私は完全におかしいと思いました。
階段も何故か、古くさく、じめじめした感じになっていました。ゲームのバイオハザードに出てくる、苔むした嫌な階段みたいな感じです。
私はこの時点でかなり怖くなっていたので、Aに向かって「ねえ、もう引き返そうよ。絶対変だよ、これ」と言うと、先を行くAは私に背中を向けたまま、「ハハハ、変だね」と言います。
何をふざけてるんだと、少し気分を悪くした私は、「何笑ってんだよ!帰ろうって言ってるんだよ!」と、少し語気を荒めました。するとAはまた、「ハハハ、変だね」と言います。
私はそのAの言葉にさらにムッとしましたが、階段を上っていくAの姿が少しおかしいことに気づきました。
姿形はもちろんAなのですが、動作の一つ一つがおかしいのです。確かに階段を上がる動作なのですが、何かこう、人間が人形を手で動かしているような、ぎこちない動きでした。
右手、左手、右足、左足、それぞれが独立して動いているような、ともかく変な動きでした。
私は足がすくんで、その場で立ち止まりました。するとAが立ち止まり、クルッと私の方へ振り返りました。
「ハハハハハハハハハ変だね、変だね、ハハハハハハハ」
と笑うAの顔を見て、私は叫び声をあげました。動作と同じく、顔の表情もぎこちなく笑うAの顔。
何より、白目が無くなって、眼球いっぱいに広がった黒眼が、私に叫び声をあげさせました。
私は踵を返し、全速力で階段を駆け下りました。途中足がもつれて転びそうになりましたが、それでも無我夢中で駆けました。
気づくと、雑居ビルの一階にある薬屋さんにいました。どうやって階段から出たか、その時の記憶はないのですが、パニックになってた私は、後ろを振り返らずに駅まで走りました。
駅の改札につくと、Bが待ってました。Bは「遅い。映画が終わってから、1時間も経ってるぞ」と怒っていましたが、Aがいないのに気づくと、「Aはどうした?」と聞いてきました。
私はこのまま外にいると、Aが後ろからあの奇妙な動きで追ってくるような恐怖に襲われ、とりあえずBを促して、駅に中にあるファーストフード店に入りました。
とりあえず私は、起こったことをBに話しました。うまく整理できずに話したので、途中Bに「もう一度詳しく話せ」と何度も言われました。
最初Bは、私がからかっていると思っているような態度でしたが、だんだんと真剣な顔つきになってきました。
というのは、Bは霊感が少しあるやつで、私達に起きたことが、尋常では無いとピンと来たようです。
Bは「とりあえず、そのビルに行ってみよう」と言いました。私は嫌だと言いましたが、「Aをほっとけないだろ」という言葉を聞いて、「確かにそうだ。Aは何かに憑かれたのかもしれない」と思い、件のビルまで行きました。
先刻と同じように階段を上ってみると、3階にはCD屋さんへと続く扉がありました。4階に上ってみるとゲームセンターになってて、そこも普通に入れました。
階段はそこで終わり。4階建てのビルでした。私達は首を横にひねりましたが、その日はとりあえず家に帰ることにしました。
明日、もしかしたらAは、普通に学校に来るかもしれないと思ったからです。
次の日、登校すると、Aは来ていませんでした。私より10分ほどあとに来たBが、顔を青くしながら、今朝変な夢を見たと言いました。
その内容とは、Aが森の中を泣きながら裸足で歩いており、しきりに「悔しい悔しい」と呟いている、というものでした。
Bは「あれは単なる夢じゃない」と言いました。でも「どうしていいか分からない」とBは言いました。
それから数日経ってもAは帰って来ず、捜索願いが出されました。私とBも警察まで行って、その日のことを聞かれましたが、あの不思議なことは話しませんでした。
それから1ヶ月後くらいでしたか、Aが発見されました。それも死体で。
これは直接家族の方に聞いたわけではないのですが、何故か私の住んでる町から100キロ以上離れている、隣県の山の中にある神社の境内の横で、カラッカラに干涸びて死んでいたそうです。しかも、死後1ヶ月は経っていたそうです。
当時は、Aが死んでとてつもなく不快な体験でしたが、日が経つにつれて忘れて行きました。
この間Bに何年かぶりに会って、「あれ何だったんだろう」という話になって思い出した体験談です。
以上です。
あれからあの映画館に行ってませんが、こんど久しぶりに行ってみようかな。
当時、友人が死んだということがショックでして、ちょうど受験勉強を始めないといけない時期にさしかかっていたことを幸いに、
「今は勉強に集中しなきゃ」と、忘れようと努力したのです。逃避ですね。何より、あのビルのことが本当に嫌で、忘れたかったのです。
なので、少し記憶が曖昧ですが、Aがおかしかったのははっきり覚えています。
Aの死に方は、あくまで他人から聞いた話なので、真実か分かりませんが、隣県で見つかったというのは確かみたいです。
私も詳しく人に聞くのが嫌で、情報を避けていたので詳しくは知りません。
この間会ったBは、「あの夢は今でもはっきり覚えている」と言ってました。あの映画館に行こうと思ったのは、私は今東京にいて、あの町もだいぶ様変わりしたらしく、どれくらい変わったのかとなんとなく思ったからです。
今度帰省した時にでも、車で映画館の前を通ってみようという程度です。


まだ小学校に宿直制度があった時の話。
ある小学校に田中というとても真面目な教師が赴任してきた。
彼は教頭から色々と学校について説明を受けたが、どうしても納得がいかない点が一つあった。
それは、『宿直の際に理科準備室は見回らなくて良い』ということだ。
彼は本当に真面目な人物だったので、そんなことは納得がいかなかった。
そうこうしている内に、彼の宿直の番が回ってきた。
彼は木刀と懐中電灯を持って校舎を見回っていたが、特に怪しいところはなかった。
そして─彼は例の教室の前に立った。
学校が建てられた当時からまったく改装されていないその部屋は、外側から覗く
だけでも不気味な様相をかもしだしていた。
『いや、学校の為だ。ここに不貞の輩が潜んでいるかもしれん』
田中は思い切って理科準備室の扉を開けた。古くなったホルマリンの匂いが鼻をつく。
中にはアルマジロや、タカの剥製、人体模型などが並べられており、
天井から白熱灯が吊るされていた。
辺りを見回したが、誰かが潜んでいるようすもない。
『よし、これで他の先生も安心して見回りが出来─』

その時、彼の耳元で声がした。

オ ク レ─

次の日、いつまでたっても出勤しない田中先生を心配して、教頭が学校中を探し回った。
教頭は理科準備室の扉が少しあいているのを見つけて、中に入った。
そこには、変わり果てた田中先生の姿があった。
彼は内臓を全て失っていた。
教頭はため息をついて、辺りを見回した。そこには折れた木刀と、明らかに配置のおかしい
剥製たちがガラスの眼を光らせていた。


年末、某県のフェリー乗り場で、船の時間待ちをしていた。 寒空の下、ベンチに座って海を眺めてたら、駐車場で妙な動きをしている軽四に気が付いた。
区画に入れたと思えばすぐに出たり、駐車場内をグルグル回ったり。 何してんだ?とボンヤリ見てると、俺の側まで来て停まり、中年の痩せた女が出てきた。
続けて、娘と思われる小学校低学年位の女の子と、もう少し年長の女の子が出てきて、 中年女にジュースを買って貰っていた。 自販機を探してたのか、と思い、俺はそれきり興味を無くしていた。
しばらくして、パトカーが駐車場に入ってきた。 フェリーの建物に横付けして停め、中から年寄りの警察官と、若い20代前半位の警察官が降りてきた。
のんびりとした様子で、事件とかいう感じじゃなく、ゆっくりと建物に入っていった。 年末だったんで、歳末警戒とかいうやつだろう。
俺もそろそろ中に入ろうかなと思っていると、駐車場の方からタイヤが擦れるキキーという音が聞こえた。
とっさに振り返ってみると、さっきの軽四が急発進していた。 海に向かって。
スローモーションみたいに、軽四がゆっくりと岸壁から離れ、アっと思っている間に、頭から海中に飛び込んだ。
俺はしばらくの間呆然としていたが、誰かの「車が海に落ちたぞ!」という叫び声で我に返った。 辺りにいた数人と、岸壁まで駆け寄る。
軽四はケツを水面に出して、プカプカ浮いていた。 俺はどうしよう?と思ったが、何も出来る訳がなく、波間にユラユラ揺れる白い軽四を見ているだけだった。
しばらくしてフェリーの建物から、従業員と先程の警察官二人が走ってきた。 しかし、彼等にしたところで何が出来る訳でもなく、岸壁まで来て呆然と立ち尽くした。
重苦しい緊張が場を支配する。 やがて意を決したように、若い警察官が上着と拳銃などを吊したベルトを年配の警察官に渡すと、 一気に海に飛び込んだ。
海面に浮き上がった警察官は、徐々に沖に流されつつある軽四に向かって泳ぎだした。
「頑張れ!」
周囲から警察官に向かって声援が飛ぶ。
俺も我知らず叫んでいた。
その警察官はあまり泳ぎが得意ではないらしく、浮き沈みしながらも何とか軽四まで辿り着いた。 そして車体に手をかけ、リアウィンドウの上によじ登る。
軽四は警察官が乗っても、まだプカプカ浮いていた。 岸壁から大きな歓声が上がる。 警察官は窓越しに何か叫び、バックドアを開けようと取っ手を動かしていたが、ドアは開かない。
車体が浮いているからには、中はまだ空気がある筈だが……
そう思っていると、いきなり警察官が窓に拳を叩き付けた。何度も何度も。
「…はなし…やれ。……まき……に……な」
途切れ途切れに、警察官が怒鳴っているのが聞こえた。
振り上げる警察官の拳が、遠目にも赤く出血しているのが見える。 それでも拳を叩きつけるが、窓はなかなか破れない。
その時、ようやくこの状況に気付いたのか、沖で操業していた漁船が猛スピードで近づいてきた。 漁船が軽四のすぐ近くまで来て、これで助かる!
皆がそう思った瞬間、慌てたためか、なんと漁船が軽四に衝突した。 海に投げ出される警察官。
しかもバランスが崩れたためか、軽四が急速に沈みだした。 岸壁から見る大勢の人の前であっという間に軽四は波間に消えてしまった。
出てきた者はいなかった。
しばらくして、漁船に救助された警察官が岸に連れられてきた。 歩くこともできないほど憔悴した若い警察官に、皆が拍手した。俺も手が痛いくらい拍手した。
助けられなかったけど、十分頑張ったと。 すると警察官は、地面に突っ伏して大声で泣き出した。
そして、
「母親が、どうしても子供を離さんかった。子供が泣きながら手を伸ばしてたのに……」
鳴咽と一緒に洩れた言葉にゾッとした。

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