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無期懲役囚、美達大和のブックレビュー

教養を深めたい、仕事に生かしたい――。
人として成長するために本を読みたいと思っても、何から読めばいいかわからないビギナーのためのブログ。
服役中の無期懲役囚・美達大和から届く書評を随時公開。
週2回をめどに更新していきます。


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私は、達観したわけではありません。

 レビューを初めから読んでくれているそうで、ありがたいです。どうか、ゆっくり自分のペースで読んでください。

 獄の人となってから、以前なら考えもしなかったテーマについて考えるようになり、幸福とか、満足というのもその一つでした。気付いてみると、「なーんだ、遠くにあるのでなく、既にそこにあったのか」というものでしたが、気付くには多くを望まないこと、その境遇でよしとすることが必要だったのです。
 
 時折り、このような生活で、俺はなんで「よし」としているのだろうかと考えることもありますが、物理的欲望が消えると、あとは自分の考え方、感じ方の問題でしかないのだなと知りました。毎日、読んで書いての繰り返しですが、幸せとか不幸とは関係なく、それが自分の生活なのだと考えています。

 ただ、これがそのまま達観したとかは思っていません。ここでは、時間が定められているから仕方なく従っているだけで、社会で自由だったなら、また何十時間でも目標を達成するまで続けるでしょうし、次々と目標を作り、「まだだ」の連続となるのは疑問の余地がありません。自由な中で己を抑えることができたら、あるいは欲張らずに地道にと考えられたら、自分は本当に変わったと言えるでしょう。

 全国的に秋が深くなりつつありますが、みなさん、読書にスポーツに励んでください!
(2017年9月18日)

『虹色のチョーク』 小松成美

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『虹色のチョーク』
小松成美
幻冬舎
1300円+税
2017年5月刊

「自分が必要とされるというのはどういうことか」

 という命題について、平易ながらも、心の通った答えが本書でした。

 社員の7割が知的障がい者という、チョーク製造工場が日本理化学工業株式会社でした。私がこの会社のことを知ったのは、10年以上も前になります。ここの大山泰弘(やすひろ)会長(当時は社長)の『働く幸せ』という言葉と、障がい者に合った会社の経営方針に感銘を受けました。

 この会社は、日本のチョークのシェア50%を占めるメーカーですが、その製造はほとんどが、知的障がいを含む、障がい者によって行われています。知的障がいゆえに、通常の技術指導では理解できず、この会社独特の工夫と方法によって克服していました。

 私がみなさんに是非とも知って考えてもらいたいのは、その指導や製造での工夫をする経営者や幹部の、障がい者に対する慈愛のこもった思いです。それまで、社会や家で「お荷物」のようだった障がい者が、働く場と自分で工夫する必要を与えられて生き生きと働いています。チョークのことは初めて知りましたが、JIS規格が厳しい商品でした。それを彼らは熟練の技と目で作り続けます。

 法律である『身体障害者雇用促進法』が『障害者の雇用の促進等に関する法律』と改称され、適用対象が知的障がい者にも及ぶようになったのは1987(昭和62)年でした。従業員50人以上の企業は2%の障がい者を雇うことが義務付けられ、障がい者の雇用は徐々に増えています。それでも、この基準を満たしている企業は4割です。特に知的障がい者の雇用は難しく進んでいません。

「人は仕事をすることで人の役に立ちます。褒(ほ)められて必要とされるからこそ、生きている喜びを感じることができる。家や施設で保護されているだけでは、こうした喜びを感じることはできません」

 大山会長は明確に言っていました。

 さらに大山会長が提唱しているのは、「皆働(かいどう)社会」であり、障がい者も働く社会を経営理念としています。現在は息子の隆久(たかひさ)氏が社長ですが、この人も「障がいがありながらも懸命に働く社員から、他には代えがたい幸福を授けられます。それは本当です。人が人を気に掛け、力になりたいと素直に思えます。また、人間に役割はあっても優劣などないと気が付けます」と語っていました。

 知的障がい者には、集中力と持続力という武器があり、それが製造ラインにおいて力を発揮するのです。他の書で知ったのですが、このような人たちは責任感も強く、病気などで欠勤する時は自分がいないとみんなに迷惑がかかると、電話口で泣くこともあるようでした。それを知った私の方が泣けてきます(鬼の目に涙かって? 放っといてくれ!)。

 この会社では、働く人たちのために、いろいろな制度を作って称(たた)えていました。その一つひとつに経営者の障がい者に対する情愛が見えます。本書では、ここで働く何人かの人のプロフィールとエピソードも出ていましたが、自分が必要とされるというのが、生きる上でいかに大切か痛感しました。

 この、誰かに必要とされる感覚が受刑者の大半にはないのが、更生しない理由の一つになっています。この喜びや心情を知らないのは不幸であり、不運です。社会全体が障がいを持っている人のことも考えて、暮らしやすく、それぞれの人が人生を充実させることができたら、どんなにいいだろうと夢想しています。

 社会にいるみなさんは、障がいを持つ人たちを理解し、何かできることがあれば、実行されるようにと望むばかりです。振り返ると、学生時代の先生たち、黒板の字が下手な人っていませんでしたね。点線・破線を自在に書く先生もいて、「よっ、点線名人!」とか心の中で言ってたのがなつかしいです。本書、是非、一読を!

『人間の究極の幸せは、人に愛されること、人にほめられること、人の役に立つこと、人から必要とされることの四つ。働くことによって愛以外の三つの幸せは得られるのだ。私はその愛までも得られると思う』
(大山泰弘)


このレビューで美達が紹介した本

食事中に、突然クスリを飲みだした友人の話。

 政治や駅前演説での感想、とても面白く読んでいました。そのような気持ちで十分ではないでしょうか。私も猫を4頭飼っていたので、猫の可愛いさは 知っていますよ。

 今、メディアは大きく偏向してきました。惑わされずに、事実を土台に考えてください。
 
 受刑者の懲罰は残念ですが、しっかり省察して今後に活かしてもらいましょう!
 
 官支給の服など、一切無料です。ちり紙の支給は月に600枚で、自分で買うなら800枚までです。不足すると申し出て1日15枚くれます。

 マーボの話はつきません。ある日、食事中に「おっ、そーだ!」と薬を飲みました。「そんなの、終わってからにすりゃいいだろ」とトミーが言うと「バーカ。これはメシの間なんだ。」と薬袋を見せました。服用時間に「食間」とありました。本当にこいつは、と思った次第です。ただ、トミーは「本当だ」とマーボと同じ思考でしたが。マーボとトミー、不明の人は「仕事について」を読んでみてください。中学、高校、社会人と付き合いが続きましたが、以前と変わらず大人になったような2人でした。
 
 みなさんの所はまだ秋は遠いのでしょうか。読書とスポーツと食欲の秋とも言いますが、健康第一ですごしてください。
(2017年9月3日)


 誕生日祝いどうもです。自分の年齢を本当に忘れていました。あれ、俺、いくつだっけと数秒間、考えてしまったのです。
 
 そう、父はいつも言ってました、「くたばったらずーっと休めるんだ」と。あと、「頭は枕にのせるためにあるんじゃないぞ」とも。

 いい季節になってきました。
 
 そうだ、桐生選手、9秒98オメデトウです。みなさんも祝ってやってください。
 
 では、ご自愛を!
(2017年9月11日)

みたつ・やまと●1959年生まれ。2件の殺人を犯し、長期刑務所に服役中。現在でも月100冊以上を読む本の虫で、これまでに8万冊以上を読破。初めて衝撃を受けたのは10代のときに出合ったロマン・ロラン著『ジャン・クリストフ』。塀の中にいながら、郵送によるやりとりで『人を殺すとはどういうことか』(新潮社)、『夢の国』(朝日新聞出版)などを著す。
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『人生を変える読書 無期懲役囚の心を揺さぶった42冊』
廣済堂出版
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『女子高生サヤカが学んだ「1万人に1人」の勉強法』
プレジデント社
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『牢獄の超人』
中央公論新社
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『私はなぜ刑務所を出ないのか』
扶桑社
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『塀の中の運動会』
バジリコ
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『刑務所で死ぬということ』
中央公論新社
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『人を殺すとはどういうことか(文庫)』
新潮社
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『死刑絶対肯定論』
新潮社
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『ドキュメント長期刑務所』
河出書房新社
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『人を殺すとはどういうことか(単行本)』
新潮社
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『夢の国』
朝日新聞出版
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