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無期懲役囚、美達大和のブックレビュー

教養を深めたい、仕事に生かしたい――。
人として成長するために本を読みたいと思っても、何から読めばいいかわからないビギナーのためのブログ。
服役中の無期懲役囚・美達大和から届く書評を随時公開。
週2回をめどに更新していきます。


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『エッセンシャル思考』グレッグ・マキューン、他3冊。


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『エッセンシャル思考』
グレッグ・マキューン
かんき出版
1600円+税

オビには、「最小の時間で成果を最大にする、99%のムダを捨て1%に集中する方法」とありました。そのムダを捨てるには、①「やらなくては→やると決める」、②「どれも大事→大事なものは滅多にない」、③「全部できる→なんでもできるが全部はやらない」というように変えます。

「この仕事は重要か?」

あらゆる仕事を、その基準にあてはめてみるのです。他人からの頼まれごとも、取捨選択して、自分の時間・仕事を優先します。他人の期待に合わせるのではなく、自分に正直に生きることです。たくさんのどうでもいい事より、少ない本質的な事を追求するためのノウハウが豊富でした。依頼の断り方、情報センスの磨き方、モチベーション向上の方法など、参考になります。

他にも仕事を停滞させるボトルネックへの思考、リスク管理も知っておきたいことでした。 悪い癖の直し方では、行動を起こす「トリガー」の変更を含め、訓練方法があります。仕事の仕方では他に『人生を変える80対20の法則』(阪急コミュニケーションズ)、『思考術』(大澤真幸、河出書房新社)も参考になるでしょう。



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『がんばっているのに、うまくいかないと凹(へこ)んだときに読む本』
森川陽太郎
朝日新聞出版
1300円+税

頑張っているのに、うまくいかないという人は少なくないでしょうね。どこがダメなのか、他者の眼で自分を見て、虚心に改善できればいいですが、そうはいかない人、本書を参考にしてください。

恥ずかしい、楽しい、くやしい、緊張の4つの感情がキーワードです。自分の感情を自分で否定しない事から始まります。例えば嫌いな同僚・上司を好きになろう、良い点を見つけようと努力せず、嫌いでいい、ただし感情と行動は別なんだと考えるとありました。

理由は感情を変えるのは負担になるけど、行動は変えやすいからでした。感情と行動を分け、苦手・嫌いという感情に行動まで支配されないことがポイントです。恥ずかしい(人前で)や、緊張も直すというより、受け入れるというやり方で慣れていきます。

くやしい、はしっかり味わい、次へのバネにするとありました。できる事、できない事を整理して、できないことを素直に受け入れるそうです。詳細は本書に譲りますが、発想の転換がコツでした。プロゴルファーの横峯さくらさんの夫なんですね、著者は。



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『平常心のコツ』
植西聰
自由国民社
1200円+税

いかに平常心を保つか、93の言葉がありました。

人は意見が違ってあたりまえから始まり、単純な決めつけ方をしない、現状の中でどう前向きに生きていくか、強すぎる自意識はココロの乱れの原因、失敗は成功を得るためのヒント、いやなことは他に意識を向けて忘れる、欲をゼロでなくコントロールする、比べない、人生を思い通りにしようと考えない、などなど助言が並びます。

しかし、自分でそれを心がけるようにしなければ効果はありません。考え方・視点を変えるということです。魔法というのはないものです。役に立つと思う書では、『一流コーチのことば』(プレジデント社)、『ゲーテ格言集』(新潮文庫)、小泉信三の『平成の心がけ』、ヒルティの『眠られぬ夜のために』など読んでみてください。



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『社内政治の教科書』
高城幸司
ダイヤモンド社
1500円+税

社内政治のみならず、「政治」はどこにでもありますね。私は幸か不幸か、これを考えないできました。学生時代はいつもリーダーというか、一番でしたし、勤めた2つの会社も仕事は実力主義で、私もそれ以外の事を考える必要がなかったのです。

そのぶん、下獄後、無神経というか無頓着さ(自分の)で、バカみたい苦労らしきものと失敗を重ね、「俺は利口ではないんだ」と深く自覚することになりました。著者の提示する策は、組織の中で生きるには、知っておくべきことだと言えます。

「社内政治とは影響力のゲーム」
「影響力は自己増殖性あり」
「社内政治は長期戦」
「八方美人は八方ふさがりになる」
「周囲の信頼を勝ち得てない人に影響力はない」
「相手に重要感を持たせる」
「ほめるのは具体的シーンを入れる」
「返報性の原理」
「まず、何らかの価値あるものを提供せよ」
「議論はさける」

そうですね、なるほど組織の一員というのは、なかなか気を遣うものなんだと感じます。 社内政治には栄枯盛衰があり、特定の者にすがると危険ともありました。

「立場の弱い人に親切に」
これ、社内でなくても常識ですね。上司・部下との接し方にも細かな注意がありました。 派閥についてもあれこれ助言があるのですが、基本は業務や会社に忠実に、ということでした。

ここでQ1です。
「敵が〇〇〇〇とき、敵を滅ぼしたとは言えないかね」

リンカーンの言葉でしたが4文字のうち、漢字は1字になります。さて、何でしょうか(答えは末尾にて)。政治闘争に勝つ5つの条件というのもありました。

私、学生時代に政治力で立ちまわる連中が大嫌いで、常に実力のみで決めていたのですが、振り返ると厳しすぎたかなとも思います。獄の工場では完全にこの政治力が作用し、ヤクザもカタギもそれなりに立ち回るのです。

この傾向の書では本書にもあるように、カーネギー『人を動かす』、マキャベリ『君主論』が参考になります。他では、『仕事で差がつく根回し力』(青春新書)、『社長を狙うか社畜で終わるか』(日本実業出版)、『人を動かす言葉のしくみ』(角川学芸出版)、『社長になる人の条件』(日本実業出版社)などオススメです。

Q1の答えは「友となる」でした。(美)

「仕事について」 第104話

前回までのあらすじ----------
私が起こした金融業は急成長し、
それが次の目標への欲求と活力になりました。
「仕事の報酬は仕事」という言葉通りだ。
不動産市場の活況と重なり、世の中の
すべてのものが手に入るかのようだった。

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ず、出入りしていたブローカーたちが、
「地べたありませんか。そこそこの広さなら
右から左ですよ、社長」

こんな問いかけをしてくる人が、続くようになりました。
地べたというのは、土地のことです。
それまでは、物件を持ち込んで来ても、
最初の価格ですんなり売買できることは稀でしたが、
価格を下げなくても売れるようになりました。

そのうち、銀行の支店長だけではなく、
取引のある建設業者からも、
土地など物件の問い合わせが増えて、
条件(主に価格)も、細かいことは言わず、
あれば抱えたいとなってきたのです。

従前ならば、私の会社で抱えても、
1カ月、2カ月は動かない(売買にならない)ことが
珍しくありませんでしたが、
よほどロケーション(場所)や地形(土地の形)が悪くなければ、
数日以内に動くようになりました。
私は土地・株・現金を問わず、何よりも
動かないことを嫌いますが、
それがなくなっていったのです。

土地に対する規制緩和(建蔽率や容積率など)もあり、
それまで以上に階数を増やせるようになったので、
ディベロッパー(開発業者)やマンション建築業者が、
土地を探し出した結果でした。
こうなると、どれだけの情報量があるかが勝負になり、
私のようにブローカーと大事に付き合い、
しかも報酬が他者の何倍であれば、
自然と集まってきました。

ブローカーという人達の出身は、不動産会社に勤めていた、
ゼネコン・準ゼネコンの幹部だった、
市や県などの議員秘書だった、元ヤクザなど、
さまざまですが、それぞれ、強みと用途があります。

不動産の売買では、物件説明書(物説・ぶっせつ)、
重要事項説明書(重説・じゅうせつ)、登記簿謄本のコピー、
地形を示す略図など、種々の書類があるので、
初めにファックスで送ってくるのが普通でした。
以前はそれを見てから、
「これ、実際のところ、いくらまで下がる
(安くなるかということです)の?」と
電話で話していたのですが、
ある時からファックスが送信されている間に電話があり、
「すみません、少し上乗せします」と
価格を上げてくるようになりました。

ダメと言えば、よそで買うところがあるので、
売り手は強気だったのです。
もちろん、私が売り手の時も同じでした。
乗せてくる価格にしても初期の頃は、
物件価格の数%だったのが、次第に大きくなり、
10%、20%、30%となりました。

1億円の物件であれば、以前は上乗せしても
300万円から500万円程度だったのが
(それも遠慮しながら)、ポンと1000万円を、
構わないですねと、
乗せるようになっていったのでした。

条件の良い物件では、「社長、これ2割乗っけますから」と
社員は平然と報告してきました。
具体的に述べると、以前は上乗せなど難しい時が多く、
1億円の物件を買取、誰かに売れば、
売り手と買い手それぞれ3%と6万円ずつの
612万円が手数料でした。

それが、さらに2割の上乗せとなれば、買うときは
1億円の3%と6万円、
売る時は1億2千万円の3%と6万円の
366万円+2000万円で、
合計2672万円の利益(経費を引かない粗利として)に
なります。しかも右から左ですから、
早い時は1分も経たず決まりました。
中には、あと2割3割出すから
というケースも続出したのです。

もちろん、私の会社は資金力もあり、
金融機関や他の業者やブローカーと広い付き合いがあったので、
このように簡単に見えました。
おまけに、相手の資金が不足しているが欲しいとなれば、
それを貸し付けて買ってもらうことができ、
一石二鳥で相手にも喜ばれたのです。

また、最終の買い手(エンドユーザー)であり、
それが建設業者であれば銀行などを紹介して、
融資の斡旋もしました。
都銀などは審査がうるさい頃は、
私が借りたことにして迂回融資をし、
手数料と銀行の信用を得たのです。

気配りの美達ですから、借りる業者に
銀行預金をさせることも忘れません。
それで不足すれば、私が貸せばいいのです。
そして何よりも驚いたのは、
マーボとトミーでさえ、「大和。地べたあるぜ」とか
「地主とつないでやるぜ」と言い始めました。

学生時代は地べたにしゃがみこんで道行く
ツッパリ連中に、「お兄さん、勝負しない?」と
声を掛けてた2人が
「地べた」と口にするので吹き出したくらいです。

「俺よお、大和と古い付き合いだって言ったら、
紹介してくれってな。狸じじいだけど商売になるぜ」
とマーボが言えば、
「地主から専任とってくるから頼むぜ」と
トミーも言います(専任とは不動産の売買・仲介を
私の会社だけに任せるという事です)。

トミーは商才があるのですが、
マーボは天性のヤクザの気性で欲も何もどうでもいい、
今日が楽しければいい、
「あとは大和、よろしく!」
というタイプでした。

そのマーボにまで不動産の話が行き渡ることに、
ブームを感じました。私にすれば、
まっとうな話で2人に少しでも
多くの利益を渡してやるのが使命であり
(いつも私は2人の先導と心得てました)、喜びでした。
収入を得るのは合法的に!がモットーです。

さまざまな人達との付き合いが増えましたが、
相手に対する基本は変わりません。(美)

*次回の「仕事について」は
 5月2日更新予定です。

「仕事について」 第103話

前回までのあらすじ----------
人脈や仕事の幅が広がるにつれ、飲みに出かけることが増えた。
酒量をセーブすることはなく、呑むならしっかり呑んだ。
セーブするなら初めから呑まないというのが
自分のルールだった。もう一つ決めていたルールがあった。

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の存在でした。

子供の頃から父を見ていると、浴びるように酒を呑みますが、
ほんの少し寝ただけで、明け方の取り立てに
平気な顔で出掛ける人だったのです。
部下の若い人らが眠そうにしているとぶっとばしながら、
自分は呑み過ぎたとか、
眠いと口にしたことはありません。

昔から父の周囲は、父を筆頭に野蛮人ばかり集まってくるので、
父の酒量も並ではなく、日本酒なら1人で3升や4升、
ウイスキーやブランデーもボトル3本4本は軽い方で、
父の水割りは、ほとんどが酒で、水がほんのお印程度でした。
それを父は一気に呑み干し、そのペースが最後まで続くのです。

幼児の頃から夜の巷を連れ歩いてもらいましたが、
銀色のアイスペールにボトル2本をどぼどぼと注ぎ、
一気に呑み合うというのが、普通に見られました。
自宅には取り巻き、子分みたいな食客が、
いつも寝泊まりしていたのですが、
誰もが翌日、昼過ぎまで酔いつぶれているのに、
父だけは早朝から元気一杯でした。

生命エネルギーの量が常人とは桁ハズレで、
拙者『夢の国』に書いた通り、一種の怪物と言えます。
これが私のイメージする人間像となりました。
残念ながらアルコール分解酵素は遺伝しなかったらしく、
私は父ほど酒に対する耐性が高くありません。
目一杯頑張っても2本弱というところです。

また、どんなに酔っていようと
態度も言動も普段と微塵も変わりません。
自宅の玄関に入った途端に天井が回り出したり、
地面が揺れることはあっても、
妻の前でも平気な顔で頑張ります。

父のように鉄の肝臓を持っていないので
ヘパリーゼという肝臓の薬と
ソルマックとポカリスェットは必需品でした。
私にはソルマック、非常によく効きました。

そのようなわけで、常に念頭にはタフである、
決めたことはどんな事情であろうと、
平然とやり続ける人物像を描いていたのです。
自分に何ができるか、どこまでやれるかというのは、
第一にしっかりした心構えを持つことで
大きく変わります。

その人が表れるのは、言葉よりも行動です。
行動するためには、すぐに失敗したらどうしようと
考えるのではなく、その可能性も含めて
最善から最悪のケースまで
考えておくだけで違ってきます。

不確実性はマイナスの要素ではありません。
大きな飛躍のタネが見つかるときもあるのです。
仮に問題が大きかったり、
乗り越える壁が高いと思うなら、
「よしっ」と喜ぶべきであり、
一度ではなく何度も挑む理由にもなります。

ここで重要なのは、失敗を客観的に見ることと分析して
記憶しておくことです。
一つずつ、うまくいかなかったやり方を見つけていけば、
やがて成功するしかありません。
失敗というより試行、
試してみたんだと思うことです。

生きていくうえで、失敗や試行はつきものであり、
学習の一つでしかありません。
ここから教訓を引き出せるかどうかで、
将来が大きく変わってきます。
とにかく数を重ねること、そこから打たれ強さと
解決方法を学ぶことです。そうすれば、失敗に対する
ネガティブな反応を消すことができます。
成功を阻む最大のものは自分の心です。

試験においても言えますが、満点の人以外は
いくつかわからない問題が出てきます。
しかし、ネガティブな人は
初めの方にわからない問題があると
それだけで「ダメだ」と思い込み、
他の問題を解く間にも、
その思いを引きずるのです。

ここで、わからない問題が出るのは当然、
他を頑張って解こうと気分を切り替えられるなら、
自分の力は出せます。反対に引きずるなら
本来とれるはずの点数でさえとれません。
失敗する人の一つのパターンですが、
能力は同じでも考え方でこんなに変わります。
 
「ダメだあ」と思うのは、試験が終わってからにして、
試験中は精一杯取り組む習慣が大切です。
仕事でも勉強でも目標をはっきりと決めて
努力すれば運にも恵まれず。
どんなに苦しくても自分の人生なので、
自分で引き受けるという覚悟が必要です。
変わる必要があるなら変わることで、
年齢は関係ありません。

話は戻りますが、時間の使い方は命の使い方です。
このことを、よくよく考えてみる必要があります。
私は定めた時間通りの生活を崩さず、
どこかでずれると寝る時間を削って調整していました。
幸い、子供の頃から寝なくても平気な体質なので
支障はありませんが、訓練で変えられます。

細かい時間に雑事を押しこみ、
極力まとまった時間の塊を作るようにしていました。
会社でも仕事を終え、
だらだらと残ることはありません。
社員にも早く帰れよと言っていました。

ただし、どこであろうと思いたったら、
すぐに仕事をします。仕事と私生活の区別はありません。
その時々によって自分がやりたいことを
やるようにしていました。
仮に何十時間続こうとも飽きることもなく、
自分がやりたくてやっているので、
夢中になれたのです。

一つ一つの案件について、従来のやり方を調べ、
他の方法はないのか、自分のオリジナルを作れないのかと
試行錯誤するのは、仕事というより
ゲームや趣味の領域でした。

こんなやり方を重ねていく状況下で、業績は急成長し、
それが次への欲求と活力になりました。
仕事の報酬は仕事という言葉通りであり、
不動産市場の好転と重なり、
天・地・人という条件が揃ったのです。(美)

*次回の「仕事について」は
明日更新予定です。 

みたつ・やまと●1959年生まれ。2件の殺人を犯し、長期刑務所に服役中。現在でも月100冊以上を読む本の虫で、これまでに8万冊以上を読破。初めて衝撃を受けたのは10代のときに出合ったロマン・ロラン著『ジャン・クリストフ』。塀の中にいながら、郵送によるやりとりで『人を殺すとはどういうことか』(新潮社)、『夢の国』(朝日新聞出版)などを著す。
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『女子高生サヤカが学んだ「1万人に1人」の勉強法』
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『牢獄の超人』
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『私はなぜ刑務所を出ないのか』
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『塀の中の運動会』
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『刑務所で死ぬということ』
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『人を殺すとはどういうことか(文庫)』
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『死刑絶対肯定論』
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『人を殺すとはどういうことか(単行本)』
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『夢の国』
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