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無期懲役囚、美達大和のブックレビュー

教養を深めたい、仕事に生かしたい――。
人として成長するために本を読みたいと思っても、何から読めばいいかわからないビギナーのためのブログ。
服役中の無期懲役囚・美達大和から届く書評を随時公開。
週2回をめどに更新していきます。


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「仕事について」 第71話

前回までのあらすじ----------
丈次やその後輩たちは、よく働いてくれた。
取り立てや債券整理は徹夜で敢行することも
珍しくなかった。

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まず、取り立てとは不良債権の回収のことです。

一般的に債権は次のように分類されます。
①正常債権
②要注意先債権(破綻しそうなので、管理を要する)
③破綻懸念先債権(実質破綻先)
④破綻先債権

これは銀行の区分ですが、これによって
財務上の引当金が変わるのです。
元金の返済はできないが、
金利だけは払えるということならば、該当しませんが、
その金利の支払いも3カ月以上滞っている、
6カ月以上滞っているなどで区分されます。

私の場合は、金利が払えなくなっても、払う気がある、
努力しているとなれば、一時、猶予して、
延滞金利(当時は貸し付け金利と同じ率まで)も
取りません。これは父のやり方を
見てきたからです。

父は騙そうとする、何度も嘘を重ねる、
ヤクザ(以下、【ヤ】)とその関係者には
逡巡なく暴力を行使しますが、
何とか払おうとする人には、
甘いくらい寛大でした。

「金がないから払えないのに
延滞金利なんか取れんだろ」

父は欠点の多い人でしたが、困っている人に対しては
温かく、私のお手本でした。
相手が連絡を絶やすことなく、いつでも話ができるなら
問題にはならないのですが、
連絡をくれないというケースでは
「取り立て」となりました。

現在では、①午後9時から午前8時迄の電話・電報・訪問、
②多人数での訪問、③借り入れを他者に知らせるような
張り紙・落書きなど、
④勤務先訪問や困惑させる行為などが禁止されていますが、
私の時代はまだ、このような
規制はありませんでした。
【ヤ】でも取り立てをしてもいい時代
(現在は禁止されています)だったのです。

そのせいで、取り立てや、債権整理や占有屋排除に
出かけると、再三、【ヤ】に遭遇しました。
普通のカタギのマチ金の大半は、どこかの組織に
金を払ってバックに付いてもらっていますが、
私の会社はありません。

幼い頃から、父と付き合いのある人たちが、
家や父の事務所に遊びに来ていましたが、
私がおじちゃん、おじさんと呼んでいた人たちが
時代と共に総長・会長となっていたこと、
学生時代から町の若い【ヤ】
(俗にCHI・N・PI・RAという種族です)を
ぶっ飛ばしていたこと、そして、何よりも
父の態度を見てきたことがあり、
【ヤ】に対して特別な思いはなかったのです。
父と同じく、大半は取るに足らぬ連中、
ごく稀に性根(しょうね)のいい者がいるという意識でした。

加えて、中学時代の友人たちの親である【ヤ】も
私と父のことを知っていたこともあり、
私が何かしても、どこかでつながり、
仕方ないとなっていました。

中学時代の同級生・先輩・後輩にも、
マーボやトミーをはじめ、
(ヤ)になった者がたくさんいて、
仕事でも私生活でも困ったことは皆無でした。
(マーボ、トミーとも、父親とは
別の組織に行きましたが)

昔の人や映画では任侠(にんきょう)道(どう)というのが
重んじられていたようですが、
私の頃の(ヤ)は既に暴力団という名称に
相応(ふさわ)しいものでした。
弱者、カタギには強く、強者にはひたすら卑屈で、
徒党を組みたがる者が大半です。
それは獄の中でも変わらず、
私一人を村八分にすることさえ、
集団にならなければできません。

一人ずつ呼んで話せば、そんなことありませんと
弁解するのが関の山で、男らしいと思うのは、
二十数年で何人かしかいなかったのです。
その何人かは、私よりはるかに
器が大きい男たちでした。

債権整理というのは、借金が膨れ上がって
どうしようもなくなった時に、
債権者たちを集めて返済について
話し合うということです。
これは誰かが仕切り役にならなければ進行しませんが、
弁護士さんより、【ヤ】や私たちが
やった方が早く片付きます。

仕組みは簡単です。要は借金の総額が、
返済可能な資金より多いということなので、
その中から、各債権者へ配分して
納得してもらいます。

通常の納得とは、仮に残額があっても
放棄(泣いてもらう、とも称します)
してもらうのです。
あるいは、一定期間、返済を
猶予(ゆうよ)(モラトリアムとも言います)してもらい、
金利については
放棄してもらうことになります。

配分率はケース・バイ・ケースで、
債権額の5%、10%
ということもありました。
仮に1000万円を貸したならば、
返済は50万、100万という意味です。
それでも、全く戻らない、
長々と何年も回収に手間を取られるよりはいい、
あるいは無理を押し通して
話が崩れてしまうよりまし、
という考え方でした。

私は顧客に常に何かあれば全面的に協力するので
一日でも早く相談して下さい、
と告げていたので、「じつは……」と
打ち明けられることも多く、
すでに手を打てたのです。

債権者たちにどのように説明し、納得させるかは、
マス・セールスの延長のようなものでした。
「社長、中には【ヤ】もいて、……」となれば、
望むところであり、組織名を訊き出し、
知っているところなら、さっさと
事前に話をつけてしまいます。

大概は地元の人ですから、連絡をすれば
私のことも知っているので、会って
協力を求めるだけでした。
彼らは、財力のある相手には長く付き合いたいという
願望・欲があり、その時の多少の損をしても、
私と知己(ちき)を得ることを歓迎していたのです。

若い(まだ25、26歳前後でした)金融屋で、
ブイブイ言わせていると売れていたこともあり、
大抵は友好的でしたし、先方の若い衆には
昔の私の子分も少なくありません。

ただ、私の交渉の条件は、慣例のように
最低半額ではなく、もっと悪いものでした。
他の債権者に2割配分なら、
せいぜい3割で了承してもらいます。

「よそは2割で一杯だけど、稼業(彼らの業界のことです)だから、
顔も立てなきゃならないし、ちょっとは
色もつけなきゃならないんで、2割5分で」

相手は、通常5割はくれなきゃ、と言いますが、
私は首を横に振ります。
決裂なら、それもよし、話が大きくなって
厄介になるのはそっちだし、金も入るどころか、
ことを構えれば逆に金がかかるぞ、と
頭から強気の態度で押す一方です。

相手が【ヤ】でも礼儀や道理を弁(わきま)えていれば
私も紳士的ですが、そうでない時は
彼ら以上に好戦的な態度をすることに決めていました。
高校生の時には、町のチンピラなどと喧嘩して、
【ヤ】の事務所に拉致された仲間を取り返しに、
私やマーボやトミーたち、
腕に自信のあるメンバーで襲撃したのは
一度や二度ではありません。

彼らの戦闘力がどの程度のものか、
私は子どもの頃からよく知っていました。
大暴れした後のことは、
父やマーボとトミーの父親の出番ですが、
「学生に手を出すとは何事だ。
それも負けるとは恥だ」
ということで終わります。

日頃、弱い者いじめしかせず、不摂生の彼らは、
鬼の私に強制され、狂ったように鍛えまくっている
マーボやトミーなど主要メンバーに
勝てるはずもなく、「厄介なぼうず共だ」と
町で会っても避けるように
なっていたくらいです。

私たちからすれば、万一、やられても、
「【ヤ】の事務所を襲った」という勲章になりますし、
失うものはありません。
こんなこともあり、話がつきした。

私は、まとまらなければ、好きなようにしてくれ、
という思いでメンツさえ尊重してやれば、
彼らは損得でしかないと知っていたのです。
先方にしてみれば、ここで
2割損しても(5割が彼らの相場なので)、
まだまだ伸びる、厄介な私と知り合っておくのは
損はしないと考えます。

他にも私の知人がその組織にいれば
私や私の父のことも知っているので、問題が
大きくなるのを避けたい
ということもあったのでした。

【ヤ】というのは、表面では義理だ、筋(すじ)だ、
皮だと言いますが、それは建前です。
ほとんどの者の本音は、損か得か、
金になるかどうかでしかありません。
得だとなれば相手を大事にするのは、
一般社会以上です。

また、暴力の効用を誰よりも知っているので、
脅しや暴力が通じないとなれば、
冷えた頭で考えることもできました。
要は、自分が尊重されていると
感じる部分を作ってやり、他の手段では損をするよ、
と理解させれば、双方共に
納得の内に収まるのです。

倒産など、存続が危(あや)うい事態に陥る会社には
前兆がありますが、このような点がポイントでした。(美)

『真相』 マイク・タイソン

『真相』
マイク・タイソン
発行元 楓書店
発売元 ダイヤモンド社
2700円+税

ダウンロード (3)

「おっ、マイク、久し振りだな、何やってたんだ、おまえさん」

新聞で本書の広告を目にした時、思わず胸の奥で呟きました。そして、すぐに送ってくれるように手紙を書いたのです。

マイク・タイソン。知る人ぞ知る、悪童、ボクシング世界ヘビー級チャンピオン。1986(昭和61)年11月22日にトレヴァー・バービックを、わずか2ラウンドでKOして、ヘビー級の史上最年少(20歳)チャンプになった男です。

強かったなあ、とにかく。ほとんどの試合が1ラウンドKO勝ちでした。私、ヘビー級のチャンピオンオタクだったので、歴代チャンプの試合のビデオを集めたり、アメリカへタイトルマッチを見に行っていました。その頃は、「蝶のように舞い、蜂のように刺す」モハメッド・アリ(旧名ではカシアス・クレイ。ほら吹きクレイとも呼ばれていました)、ジョージ・フォアマンらの時代でしたが、象をも倒すというパンチ力に魅力を感じていたものです。

アリの華麗なフットワーク、フォアマンの300㎏というパンチ力。しかし、タイソンが登場した時は、「なんだ、こいつは。格が違う」というくらいに驚きました。それくらい強かったのです。但し、素行の悪さも史上最高でした。そのタイソンの自伝です。

生まれたのは1966(昭和41)年6月30日。両親ともまともではないスラムの住人という、絵に描いたような最下層の黒人(本人の言葉ではニガー)でした。7歳で犯罪グループに加わり、10歳になる頃にはギャング団の使いっ走りをしています。小心者で、いじめられるキャラでした。泥棒などで金が入ると、当時の流行である鳩を飼うのが楽しみでした。

年上の者から、金を巻き上げられたり、いじめられる日々でしたが、ある日、自分の鳩を目の前で殺され、弱虫のタイソンの闘志に火が点きました。あっ、と思った時には、相手をKOしていたのです。乱暴者のタイソンの誕生でした。

以来、年長の者とのケンカ、自分をいじめた連中への仕返しと、タイソンは強さに磨きをかけていきました。そして、少年院。そこで悪童タイソンは、元プロボクサーのカウンセラーと出逢い、正式にボクシングを始めます。きっかけは、テレビの映画で見たモハメッド・アリでした。

〝この人みたいになりたい〟

一日中、ボクシング漬けでしたが、少年院を出る時、このカウンセラーは、タイソンに一人の男を紹介してくれました。それが、名伯楽と呼ばれたカス・ダマトでした。伝説のトレーナーと畏怖された男は、たった3ラウンドのスパーリングを見ただけでストップをかけます。

「未来の世界チャンピオンだな」

これがカス・ダマトの感想でした。

「俺の言うことを素直に聞けば、史上最年少の世界ヘビー級チャンピオンにしてやる」

こんなことを言われたら、普通の子は舞い上がってしまうに違いありません。しかし、そこはタイソンです。

「おいおい、こいつ、やばい奴じゃないか? 俺の育った世界じゃ、変態行為をしようとする奴が、こういう甘い言葉を口にするんだ」

と心の内で訝(いぶか)しく思いました。その反面、それまでの人生では、人から褒められたことは一度もなく、嬉しさもあったのです。この時、13歳。本書の冒頭に13歳の時の写真がありますが、こいつは強いぞ、と一目(ひとめ)でわかります。

こうして指導を受けるのですが、カス・ダマトは技術論のみならず、精神のあり方まで教えてくれました。恐怖心の扱い方もそうですが、「自分の中に崇高な戦士がいないと、絶対にいいボクサーになれない」など、哲学的な思考を注入していきます。

アマチュアデビューから、ほとんどの試合を1ラウンドKO勝ちで勝ち続けるタイソンは、プロになってからも勢いが止まりません。しかし、あと少しでチャンピオンというところで、師のカス・ダマトの病死となります。傷心のタイソンですが、それでもタイトルマッチに勝ち、チャンピオンとなりました。以後、快進撃の裏で、次第に壊れていく自分とチームの様子が描かれます。

度重なるレイプ事件・傷害事件。そのせいで服役となり、出所後も悪行は止まりません。タイソンをカネの成る木としか見ない取り巻きたち。それこそ湯水のように誰にでもカネをばら巻くタイソン。少しも懲りることなく、あちこちでレイプや傷害事件で訴えられる種をまいています。あまりの不摂生でタイトルを失い、300億円も稼いだのに借金に追われる生活。酒と女とコカインに振り回される毎日。まさにジャンキーの破滅的生活でした。

カネ目当てで結婚したロビンとその母との確執など、私はリアルタイムで知っていただけに、バカだ、おまえは、わからんのか、相手の狙いがと思っていました。悪童どころか、クズにまで成り下がる場面もしっかり綴られています。その後はコカインを断つために施設に何度も入るのですが、ことごとく失敗でした。

意外だったのは、タイソン、小心者でよく泣くのです。試合前も突然、恐怖にかられたり、こんな男だったのかと思いました。娘の事故死で心を入れ替えようとしますが、本当のところはわかりません。本書のラストでは猛省し、生き方を改めると述べていますが、簡単ではないはずです。

1990年(平成2)年に東京ドームでバスター・ダグラスに負けた試合は、私、負けると感じていました。理由は腹のまわりがだぶついていたからです。本書にもあるように太目でした。タイソンの出てる雑誌・テレビのヴィデオ、みんな集めてましたから、この男の思考パターンも予想でき、こいつはこのままダメになる、と諦めていたものです。

パンチ力ならフォアマン以上、しかも防御が固いピーカーブースタイル(両のグローブの間から相手を見るような型です)、カス・ダマト独特の数字でコンビネーションを身につける方法でした。タイソン、ガードする際、グローブの親指を嚙(か)むくらいに堅固なディフェンスだったんです。私、カス・ダマトにも興味があったので、亡くなったとは言え、タイソンに大いに期待していました。

もし、正常な心さえあれば、10年間近くは防衛するだろうとさえ思っていたくらいでした。事件の報道を目にする度に、「何やってんだおまえは。本物のバカだ」と失意と憤りを感じていたものです。せめて、あと3年か5年、カス・ダマトが生きていてくれたらと思っていました。

本書で写真が見られますが、カス・ダマトと2人でいる時のタイソンは、甘えん坊のいい表情をしています。他に心を開いて受け容れてくれる人、いなかったですし、タイソンもそうは見なかったのでしょうね。刑務所生活のことも出ていますが、やり放題で、欲望のま生きていました。これでは改心はできません。

ヘビー級としては小柄(公称180㎝ですが、もっと小さいです)でしたが、全盛期の強さは圧倒的でした。次から次へと問題を起こしましたが、ハートが弱かったんですね。本文は652ページあり、チャンピオン陥落後の不甲斐ない生活に、本を閉じたくもなりましたが、終わりの方で少し光らしきものが見えます。

本人は、しきりに反省し、現在の暮らしを幸福と述べていました。それなら、いいけどと、自分を宥めつつ(関係はないのですが)、いい人生を送ってくれと願った次第です。タイソン以降、ヘビー級への興味がなくなりましたが、一人の男の栄光と転落、やり直しの物語として、そのモラルのなさ(特に女の人に対して)が不快という人以外は、面白く読めます。

テレビなどメディアで見るタイソンは、目の表情が示すように、本物の悪童でした。しかし、人なつっこさが伝わってきて、親近感がありました。タイソンの試合はせいぜい3ラウンドまでで決まるという予定で見ていたのですが、こんなチャンピオンはいませんでした。才能もありましたが、始めた頃のハードトレーニングと、志の賜物です。叶うなら、もう一度、見たいボクサーでした。(美)





このレビューで美達が紹介した本


『スターバックスの教え』 目黒勝道

『スターバックスの教え』
目黒勝道
朝日新聞出版
1300円+税

ダウンロード (16)

スターバックス、行ってみたいなあ、なんとかラテや、甘いフードを食べてみたい、と雑誌に名前や写真が出る度に思います。(と、言っても社会は、とっくに別の世界なので、0.3秒で消えるのですが)

本書の著者は、その「スタバ」に12年勤めていました。主に人材マネジメントを担当していたので、本書でも人の活(い)かし方がメインになっています。最強のチームを生み出すカルチャーとは、人材育成とは、チームワーク・リーダーシップとはなど、実例を挙げて平易な言葉で述べていました。

スタバではバイトでも入社後に80時間もの研修があります。その研修中も時給が払われるんですね。スタバのコア・イデオロギー(基本理念)は、「顧客に感動経験を提供」することであって、コーヒーは手段としてある、となっています。全員に渡される小冊子には、5つの行動指針が示されていました。

(1)歓迎する
(2)豊富な知識
(3)思いやり
(4)参加する
(5)多様性を受け入れる

ことある毎に、スタッフがこれを唱え、実行するようにしています。

スタッフのことをパートナーと呼びますが、互いのコミュニケーションを高めるために、

①自信を持ち、更に高めていく
②相手の話を真剣に聞き、理解する努力を怠らない
③困った時は助けを求める、

ことを奨励していました。

顧客に対しては、接する・発見する・対応するの3つです。

理念の中では、ただ、自社と顧客の関係のみならず、地域・コミュニティの一員であるという意識を持つことがユニークでした。人がすごす場としては、1に自宅、2に職場・学校があるのですが、3番目をスタバにしたいというサードプレイスの思考も身につけさせていました。

このスタバ、離職率4.8%なんですね。現代は新卒入社後30%強が退職するという中で、好成績でした。それだけ、人材育成のための時間と人とコストのロスがないということになります。仕事は金銭的報酬だけでないと言うのですが、勤めやすい企業と言えるでしょう。ミスに対して、どうしたのか、どうすれば良かったのか、また、顧客が喜んでいた時は何があったのか、良かったのか、いちいちフィードバックをして、全員がその情報を共有するそうです。他にも小さな成功体験を積んでいく、考える習慣を身につけさすとありました。

パートナーのスキルに対して報いるために社内コンテスト優勝者には海外研修や、パートナーのうち、熟練者10%にブラックエプロン(皆さんは、店で見たことありますね)支給など、インセンティブが用意されています。

顧客の要望には、まずノーを言わないことから始める教育もありました。パートナー同士で良かった点を記入したカードの交換も含め、モチベーションアップが図られています。 目標設定の5つのポイントでは、①具体的か、②測定可能か③達成可能か④現実的か⑤期限か明確かが挙げられていました。

都市伝説とも言われているそうですが、スタバでバイトをした学生は、就活にも有利とか。 それは、目標指向が高く、ゴールを具体的にイメージし、それを周りの人に伝えて達成しようとするスキルがあるからとなっていました。組織をマネジメントする、自分がリーダーである、という目的や人には参考になる書と言えます。

働きやすさと業績向上は、時としてぶつかることがあるのですが、それを解決するヒントになるはずです。最近は求人難で、バイトの時給も上がったり、正社員への登用と、雇用状況が変わってきましたが、待遇面は目に見えない部分も重要視されています。その点では、本書での育成スキルが有効に作用しそうです。

今でも普通の喫茶店、ありますよね。スタバとはどう違うのでしょうか。なんとかラテとか、写真で見ましたが、いかにもうまそうでした。チョコレートパフェはあるのでしょうか、生クリーム山盛りの。服役後、コーヒー、紅茶を嗜(たしな)むようになった私としては、どんなコーヒーがあるのか知りたいですね。

獄では、通常、月に6回のパン食の日があり、そのうち、3回は自家製のコーヒーと紅茶とココアのうち一つが出ます。コーヒーは社会でも愛飲者の同囚に言わせると、色の着いた砂糖湯とのことですが、そんなに悪くありません。他にカフェインを摂る日がないので、その日は私の頭脳、いつも以上にバリバリ働き、夜も眠れなくなります。社会にいる時、妻がブラックで飲んでいて、内心、こいつはやっぱり俺より大人だあ、とひそかに思っていたものです。

話は本書に戻りますが、サービス業に限らず、社員教育、人材育成のために、今すぐ実行できることが述べられている書でした。類書にも、スタバを扱っているものがありますが、それだけ企業としての評価が高いということですね。ポジションにかかわらず、一読を。(美)




このレビューで美達が紹介した本


みたつ・やまと●1959年生まれ。2件の殺人を犯し、長期刑務所に服役中。現在でも月100冊以上を読む本の虫で、これまでに8万冊以上を読破。初めて衝撃を受けたのは10代のときに出合ったロマン・ロラン著『ジャン・クリストフ』。塀の中にいながら、郵送によるやりとりで『人を殺すとはどういうことか』(新潮社)、『夢の国』(朝日新聞出版)などを著す。
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『女子高生サヤカが学んだ「1万人に1人」の勉強法』
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『牢獄の超人』
中央公論新社
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『私はなぜ刑務所を出ないのか』
扶桑社
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『塀の中の運動会』
バジリコ
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『刑務所で死ぬということ』
中央公論新社
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『人を殺すとはどういうことか(文庫)』
新潮社
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『死刑絶対肯定論』
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『ドキュメント長期刑務所』
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『人を殺すとはどういうことか(単行本)』
新潮社
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『夢の国』
朝日新聞出版
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