-

無期懲役囚、美達大和のブックレビュー

教養を深めたい、仕事に生かしたい――。
人として成長するために本を読みたいと思っても、何から読めばいいかわからないビギナーのためのブログ。
服役中の無期懲役囚・美達大和から届く書評を随時公開。


信念に生き、清廉に生きた日本人がいた!新連載『天晴れ!な日本人』 第1回 楠木正成はこちら 

11月の本81冊

安倍さんについて
『選挙前の今、政治を見る』
『宗教、主に創価学会と政治 前編』
『宗教、主に創価学会と政治 後編』
『安倍元総理亡き後の政治と日本』
『安倍さん亡き後の安倍派のゆくえ』
『安倍さんの事件と今後の政治』
『メディアの報道について』
『内閣改造とその後の展開』
『新内閣、他、政治』
『まっとうな人たちの声』
『国葬について』

政治意見投稿のご案内


連載第一弾 超一流の仕事術『仕事について』 第1回はこちら
連載第二弾 強靭な肉体を作れ!『マッスルロード』 第1回はこちら
連載第三弾 近代日本の夜明け『日本史の教養』 第1回はこちら
連載第四弾 知られざる塀の中『迷宮(ラビリンス)』 第1回はこちら
連載第五弾 憲法と国防を考える『近現代史のツボ』 第1回(日本国憲法の歴史)はこちら
連載第六弾 熱血、美達少年の青春一代記!小説『フィスト・ダンス』、第1回はこちら


他、テーマ毎の検索はカテゴリ別アーカイブをご利用ください。


>>はじめてこのブログを訪問された方へ

『我が友・スミス』石田夏穂(かほ) 他、1冊

(4月16日記)


本書は小説で、テーマは女性ボディビルダーでした。近年、ジムに通う女性、筋トレをする女性が増えていますが、本書は、その「ド真ん中」を描いていました。

主人公はU野という29歳のOLです。日頃からメイクやオシャレに全く関心がなく、筋トレをするためにGジムに通っています。

根が真面目でストイックなので一人でトレーニングしているわりに筋肥大が顕著でした。そんなところをボディビル界のスターともされるO島にスカウトされます。

O島の始めるジムに誘われ、大会を目指すようになるわけです。U野が出場するのは、近年、流行ってきた「フィジーク」ではなく、純然たるボディビルでした。


>>続きを読む

(蔵出しレビュー)『身の下相談にお答えします』上野千鶴子(うえの ちづこ)

身の下相談にお答えします (朝日文庫)
上野千鶴子
朝日新聞出版
2013-05-08



皆さんは新聞・雑誌などで人生相談の欄を見るでしょうか。

私、獄に来て何年かしてから(約10年)、目を通すようになりました。

目的は、それまでの自分の判断や思考が極端に一元的であり、硬直的かつ狭量だったので、異なる視点から考える、視る訓練をするためでした。

最初に相談者の悩みについて、私なりの回答を用意し、次に人生経験があると思われる回答者の言葉を読み、私との違いや、それはどんな価値観からくるのか、私の回答の根拠と比べてみるのです。

なんだ、と思う回答者と、うーん、これは一理も二理もあるなあ、なるほどと勉強させられる人まで千差万別ですが、いかに自分が偏った見方や価値観で生きてきたのか、思い知らされます。本書の上野さん、私が好きな人です。

好きな理由は、筋が通ったことを柔らかい表現でありながら、鋭く本質をつくことが一つの芸にまでなってるからでした。

上野さんは女性の視座に徹していて、時として男の目でしか見えない私と正反対の主張をする人ですが、なるほどなあ、と得心させられることが多いです。

一緒に食事でもしながら、質問責めにしたい人だなと思っています。

本書は朝日新聞の土曜版beの「悩みのるつぼ」をまとめたものですが、以前からこのコラムのファンでもあり、特に上野さんの回答を心待ちにしていました。

身の下とありますが、そればかりではなく、配偶者、嫁と舅(姑)、子、など多岐にわたる相談について、上野さんの回答は冴え渡っています。

最大の特徴は、その相談がどこからきてるのか、表面の言葉とは異なる、真の思いはどこにあって、その理由はなにか、それを解消するにはどうするか、という答え方にあるのです。

そして、もう一つ。

上野さん、相談者の予定調和的な表面上の幸福や満足ではない、人生を善きものにするための方向を示唆していることです。

その回答には、私も皆さんも、ハッとして役に立つ、参考になるものが入っています。たとえば、70歳代の女の人が30代半ばの男性美容師に年間250~300万円も貢ぎ、自身でも利用されていることに気付いていて、どうしたらいいかという相談がありました。(本人は50代に見られるとか)

私なら「おばさん、あんたの思うように利用されているだけだよ。手を切るに決まってるだろ。なんだったら、ボクがそいつをぶっ飛ばしてあげるよ」と言うところですが、上野さんは違います。

「相手をペットだと思えば腹も立ちません(中略)そもそもペットというのは、見て楽しみ、そばにおいて喜ぶ以上になんの役にも立たないものです。ペットに見返りを求めてもムダなだけ(略)」(かーっ、それがあったかあ)

「ペットの飼い主の条件は抑制と寛容、すなわち支配者の徳です。それが持てないなら飼い主の資格はありません」

寛容だなあ、寛容。うん、自分に欠けてるものだ、と私は納得するのでした。

気遣(づか)いのない夫に困ってる30代女性には、返品するか、再教育するかと迫りますが、「あまりずたぼろにならないうちがいいですね。腐ったリンゴは一口噛(か)めばわかるって言いますから」だよなあ、と思いつつ、世の中の妻には、腐ったリンゴをひたすら我慢してる人が多いのに驚きます。

働かない夫に困っている女性には、「もう一人の子どもと「見なして」というのと、ダメなら、いさぎよく別れるという二段構えの回答ですが、この説明が実に過不足なく的を射るものでした。(本書で確かめてください。)

母を大嫌いな娘、義父への対応、迷惑上司の処し方、介護現場の悩み、自分を愛せない、などなど50の相談への回答が載っていますが、人生に役立つ考え方が、あっちにもこっちにも出ています。

獄では別の新聞が指定になっていて、そっちの人生相談も読んでいますが、世の中にはさまざまな悩みがあり、人の悩み方もいろいろだと痛感させられます。上野さんの回答というのは、その相談に対するものと、それを悩む自身の心のあり方、思考、価値観を捉え直す助言があるのです。

そんなわけで、本書、楽しめる点でもオススメします。

私のいる獄では、通常日刊紙は丸ごと差し入れできません。検閲する係の人が少ないので、一枚ずつチェックできないからです。

ここにいる暴力団員や加害者に関する記事は見せられないのでスミ塗りしなければなりません。そのための検閲で、他の施設でも行われています。

そのため、私の家族は、わざわざ、その部分のみをハサミでチョキチョキ切って送ってくれるのです。私の関心のありそうな部分を探しては、忙しいのにもかかわらず、チョキチョキ、チョキチョキ、と一生懸命に切り取っては送ってくれます。

そんなこともあって、身を正して読むわけですが、「悩みのるつぼ」と上野さん、これからも楽しみにしています。

話は逸れますが、上野さん、「婦人公論」でも対談をやる時は、必ず家族にお願いして送ってもらっています。

考え方がとても勉強になるからですが、物事の本質を見抜くというトレーニングに絶好の書です。

人生相談というのは、読んでいると相談者自身が、すでに答えを知っている、出しているということが少なくありません。でも、誰かに胸の内を吐露(とろ)したい、賛同してもらいたいという思いもあるのでしょう。

相談者をこんなに困らせてるのか、ひどい奴だ、と思うことがありますが、しなくてすむ我慢というのもあるのです。

ほとんどは相談者を困らせる相手の問題ではなく、相談者の覚悟一つで解消できるのですが、当人にとっては経済的な面や諸々の打算もあり、決められないことも少なくありません。

他者の悩みには簡単に答えを見つけられるのに、自分のこととなると、すんなりいかないというのは、そのへんにあるようです。

人生相談。野次馬根性ではなく、もし、自分が回答者で、相談者の問題を解決するにはどうしたらいいか、と考えるのは、自分を見つめ直すトレーニングにもなります。(だからといって、すぐに変わることはないとしても)

上野さん、痩せ過ぎが心配ですが、今後もインテリジェンスとチャーミングさで活躍されることを期待しています。


記事を気に入って頂けたら、バナーもしくは「書評・レビューランキング」の文字列、どちらかのクリックをお願いします!

書評・レビューランキング

『まだ誰も見たことのない「未来」の話をしよう』オードリー・タン






(4月10日記)


著者は台湾のデジタル担当大臣です。男性から女性に性転換したトランスジェンダーでもあります。

この人が注目されたのは、コロナ禍の中で、国内のマスクの在庫を店別にタイムリーに示すアプリを作ったことで、当時は日本が遅れていることと合わせてメディアの人となりました。

本書のテーマは、「デジタルを土台とした近未来の社会のあり方、そこに生きる人々が心掛けておきたいこと、民主主義、環境問題、SDGsでした。


目次の一部を拾ってみると、

デジタルで世界はどう変わっていくか
コアバリューは人と人をつなぐこと
誰もがメディアの一員
AIと付き合っていくために
デジタルは社会をどう変えるか
これからの社会の形を考える
ソーシャルイノベーションとは何か
世界になかった概念を生み出す
協業するためのコミュニケーションスキル
世界と私たちの未来
インクルーシブな社会に必須のオープンガバメント
これからの未来を創る皆さんへ

となっています。


>>続きを読む

『雑感73』 戦後の首相たち⑦と本20冊

(8月5日記)

安倍さんの登板は、菅(すが)前首相が中心となって熱心に本人や周りに働きかけた結果でした。

第一次政権を潰瘍性大腸炎と、左メディアの強風、自身の責任ではない年金記録5000万件の不備などで、不本意に退いた安倍さん、一時は人と会うのも気が引けていましたが、菅さんはじめ、ずっと離れなかった経産省の今井尚哉(たかや)秘書官(のちに補佐官も兼務)の他、多数の官僚、政治家たちより、もう一度やって下さい、の声を受けて立ち上がったのです。特に強烈にプッシュしたのは菅さんでした。「この人しかいない!」という信念があったそうです。

幸い、持病には、「アサコール」という、よく効く薬もできていました。それで、細田派、町村信孝氏という先輩候補もいたのですが、立候補となったのでした。

強敵は、党員と国民にのみ人気のあった石破(いしば)です。この人は、外づらだけが良い人なので、近くで見ている、接している議員らには全く人望も人気もありません。

性格の本性が陰険なのに加え、「俺は他の奴らとは違うんだ」というのを鼻にかけまくるからです。そのため、何年経とうが派閥は、ぎりぎり立候補の推薦人となる20人ぽっきりで増えることはありませんでした。

実際、党員票では一位でしたが、それだけ党員には上っつらだけしか見ず、本質を見抜けないものが多いという証拠です。

純ちゃんの場合は圧倒的な党員の支持が、「選挙のカオ」として議員票につながりましたが、石破の場合は間違ってもありません。

それで決選投票で、安倍さんの勝利となったのでした。この点、菅さんにぬかりはありません。菅さんは本物の仕事師ですから。

この時、2012(平成24)年9月ですが、民主党政権が、あまりにもひど過ぎたので、次の総選挙(衆議院選挙をこう言う)になれば自民党の圧勝、安倍首相誕生が決まっていました。


>>続きを読む

11月20日付手紙より美達さんの感想「物価高と円安、政府の役割」など

草士さん、

志とは喉(のど)から手が出るくらい焦(こ)がれるもので、「なったら、できたらいいなあ」の願望とは全く違います。

学ぶ、頭でなく、己の情動が求めるものです。私、「くつろぐ」「息抜き」ってのがわかりませんでしたし、オヤジ同様ありませんでした。

安倍さんの功績、知る程に偉大さがわかります。


野見の進蔵さん、

私の誤りの訂正、ありがとうございます。ボルサリーノ、イタリア産です。皆さん、申し訳ありません。以後、十分に注意します。

それにしても、訂正と、行き届いた説明に「脱帽」です。

ステイタスでなくなったことは残念でしたが。金で買えたとしても、自分はまだ相応しくないという心の美学、生き方、多くの人にあるといいのですが。


つよぽんさん、

良い質問です。成長につき、私は中1と成人で2センチしか変わらずで、かなり早くから筋トレをしてしまったので、「第2次」性徴期が異常に早く、それと小5小6、家の事情で極度の低栄養が重なり、小さいまま、かと考えています。

怪我、故障、中2~高校まで「友人」でした。年中、体はダルかったですが、「へっちゃらだ!」でした。詳しくは、紙数の事情で省略します。


>>続きを読む

「悪代官じつは正義の味方だった』山本博文(ひろふみ)

(5月31日記)


本書は、官本(かんぽん)です。施設の貸し出し用の備え付け図書のことで、平日のみ、1日2冊まで借りられます。

読むのが速ければ毎日2冊、週に10冊借りられます。滅多に良書はありません。

この係の人に、昔、さんざん面接願いを出して、「もっとまともな本を選んで買って下さい」と言いましたが、「チョーエキのレベルが低いので、こんなもんだ」でした。

しかし、これはウソで、要は選ぶ時間が余分な業務になるので、予算を告げて書店に丸投げで選ばせています。すると、見事に売れ残った本、つまらない、くだらない本が大半になるのです。

ごくごく稀に所長がいい人ならば、「本は良いものを!」という時もあり、その時は、比較的まともな本を買いますが、そんな所長は10年か20年に1人です。

本というのは、きちっと読めば、必ずレベルは上がります。私はそうしてこれまで、ここのチョーエキをたくさん、まともな読書家に作ってきたので間違いありません!

そういうわけで、本書、まともな本でした。テーマは、「お代官さまは、実はまともだった。ハードワーカー、清貧の人」だったというものです。


>>続きを読む

『天晴!な日本人』第7回 『加藤清正 剛勇と知性と優しさを備えた逸材』(4)

如水は豊前(ぶぜん)、今の福岡県と大分県北部から、長政の功績で筑前(ちくぜん)、今の福岡県北部一帯の52万石の大大名となっています。

肥後に戻った清正は、第一に民(たみ)百姓のために国づくりを模索します。肥後は河川が多く、氾濫(はんらん)が多発していたので治水工事を優先しました。技術的・財政的にかなりの難事業ですが、領民が豊かになれば、領主も豊かになることを知っていたのです。

また、清正がただの荒武者でないのは、治水や築城につき、朝鮮での技術を具(つぶさ)に視察しただけではなく石工(いしく)や瓦工(かわらこう)、陶工(とうこう)などの職人に、「一緒に日本に参らぬか、士分(しぶん)として待遇する」と誘って連れてきたのでした。


>>続きを読む

みたつ・やまと●1959年生まれ。2件の殺人を犯し、長期刑務所に服役中。現在でも月100冊以上を読む本の虫で、これまでに8万冊以上を読破。初めて衝撃を受けたのは10代のときに出会ったロマン・ロラン著『ジャン・クリストフ』。塀の中にいながら、郵送によるやりとりで『人を殺すとはどういうことか』(新潮社)、『夢の国』(朝日新聞出版)などを著す。

記事検索
カテゴリ別アーカイブ
月別アーカイブ
美達大和著書

『塀の中の情報解析学 中国共産党大解体』
ビジネス社
amazon


『罪を償うということ』
小学館
amazon


『あなたが未来に選択肢を残すための「よりよい」生き方』
WAVE出版
amazon


『塀の中の残念なおとな図鑑』
主婦の友社
amazon


『日本と韓国・北朝鮮 未解決問題の真実』
扶桑社
amazon


『人生を変える読書 無期懲役囚の心を揺さぶった42冊』
廣済堂出版
amazon


『女子高生サヤカが学んだ「1万人に1人」の勉強法』
プレジデント社
amazon


『マッドドッグ』
河出書房新社
amazon


『人を殺すとはどういうことか(文庫)』
新潮社
amazon


『死刑絶対肯定論』
新潮社
amazon


『牢獄の超人』
中央公論新社
amazon


『私はなぜ刑務所を出ないのか』
扶桑社
amazon


『塀の中の運動会』
バジリコ
amazon


『刑務所で死ぬということ』
中央公論新社
amazon


『ドキュメント長期刑務所』
河出書房新社
amazon


『人を殺すとはどういうことか(単行本)』
新潮社
amazon


『夢の国』
朝日新聞出版
amazon


最新コメント
立体イラスト

このブログに使用している立体イラスト作品はすべて町田七音氏による作品です。
>>サイト『-七色町-』