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無期懲役囚、美達大和のブックレビュー

教養を深めたい、仕事に生かしたい――。
人として成長するために本を読みたいと思っても、何から読めばいいかわからないビギナーのためのブログ。
服役中の無期懲役囚・美達大和から届く書評を随時公開。
週2回をめどに更新していきます。


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『浮浪児1945』 石井光太

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『浮浪児1945』
石井光太
新潮社
1500円+税
 
サブタイトルに「戦争が生んだ子供たち」とあります。浮浪児なんて言葉は、現代では死語かもしれません。本書は著者が、元・浮浪児だった人たちの証言を集め、取材の末に刊行されました。

冒頭に空襲で親を喪(うしな)い、11歳で天涯孤独となった少年が4年後に自殺する際の遺書が載っています。

「母、母を求めて死んで行く。現在の私には死よりほか、苦しみを救ってくれるものはございません。(中略)母を求めて私の人間らしくなかった過去の生活と立派に縁を切って、人間らしい心になることができて死ねるということを、幸福に思って私は死んでいきます。(略)」

過去の生活とはヤミ屋や数々の不良行為ですが、終戦後、行政すら整っていない中で、親を亡くした子どもたちは、生きるためには何でもしなければならない時代でした。終戦後、戦災孤児は12万人以上と言われていますが、本書は焼け跡の東京に生きた子どもたちを綴っているものです。

第1章から第5章までの目次は、上野と飢餓、弱肉強食、上野の浄化作戦、孤児院、六十余年の後、となっていました。

戦災孤児が生まれた主因は、米軍の民間人をも無差別に虐殺した空襲です。昭和19年に爆撃を指揮する司令官が代わり、国際法を無視した絨毯(じゅうたん)爆撃となり、60万人以上の民間人が殺されました。

そこで生き残った子どもたちが、戦後の食糧難の中を必死で生き延びようとしたのです。大人でさえ日々、何十人と餓死していくほどの食糧難でしたから、弱い子どもたちは、毎日バタバタと死んでいきました。

生き残るには、法もモラルも超えることは必定だったのです。運悪く終戦の年に農作物も大凶作となり、政府からの正式な配給では1日に1050Kcalしか摂れず、ヤミの食糧が横行していました。当時、田舎や農家には食糧があり、都会の人は身の回りの品やお金で売ってもらったのです。

浮浪児たちは、盗みやシケモク(タバコの吸い殻)拾いや靴磨きなどでしのいだのでした。また、テキヤ、ヤクザなどの下働きをしたり、その世界に進んだ者も少なくありません。パンパンと呼ばれた売春婦に拾われた子もいたり、女の子の場合は施設に収容されずに娼婦になった子もいます。運良く施設(孤児院)に入っても職員からの常習的な暴行がありました。

大人になった元・浮浪児は、「あの頃は朝から晩まで食べ物のことしか頭になかった」と言います。朝起きると、仲間の誰かが冷たくなっているのも日常の風景でした。まさに毎日が「生」へのサバイバルだったのです。

写真も何枚か出ていますが、キャプションがなくても、子どもたちの思いが伝わってくるようでした。現代からは想像できないでしょうが、こんな状況から日本は再興しました。
本書には東京大空襲(昭和20年3月10日)の被災者の談話もありますが、火災地獄、生き地獄でした。日本人として知っておく必要があります。

関連書では、
『東京闇市興亡史』(草風社)これは戦後の人々の逞(たくま)しさや社会構造がわかり、手に入れづらければ図書館で。人間の裏表も見える良書。
『ヤミ市幻のガイドブック』(ちくま新書)コンパクトにまとめられている。
『さらば星座』(集英社文庫)戦災孤児が逞しく生きる大長編小説。主人公の少年の生き方が見事。
『ドキュメント東京大空襲』(新潮社)583枚の写真が圧巻。対日戦略もわかる。
『東京大空襲』(光人社)米軍B29から見た空襲。惨状を知り、始めて我に返る軍人も少なくなかった。
『東京大空襲と戦争孤児』(影書房)戦災孤児を扱う書の中で定番の一冊。
『戦災孤児の記録』(太平洋出版社)これも定番の一冊。
『問題児』(民生事業研究会)冒頭の子の遺書が載ってる本。子どもたちの実態。
『浮浪児の栄光戦後無宿』(辺境社)子どもたちの光と影。
『奈落』(展望社)死刑になった戦災孤児の話
『千人の孤児とともに』(PHP研究所)
『浮浪者収容記』(中公新書)以上2冊は、子供たちをヤクザや病気から守ろうとしたノンフィクション。
『戦争って何さ』(ドメス出版)常に弱者にしわ寄せがくる。
『空爆の歴史』(岩波新書)飛行機と爆弾が結びついた歴史。
『なぜ都市が空襲されたのか』(光人社NF文庫)その国の戦力を低下させ、かつ戦意を喪失させるには?勝てばどんな虐殺も国際法違反も問わない。日本人は本当に寛大で善良な民族とわかる。
『空の戦争史』(講談社現代新書)空襲の論理。
『東京大空襲』(岩波新書)忘れられぬよう運動している早乙女勝元(さおとめかつもと)氏の書。是非!
『図説東京大空襲』(河出書房新社)図で見られる。
『女の防波堤』(第二書房)戦後の女達の生き方。
『国家売春命令物語』(雄山閣出版)進駐軍による性犯罪防止目的の為に国家が作った施設。それでもGIによる性犯罪は多発し、まともに報道もされず。
『光は新宿より』(K&Kプレス)ヤミ市の帝王、尾津組長の妻の手記。人間の生命力・欲望の強さがわかる。
『敗戦と赤線』(光文社新書)売春が公認だった時代、その成立と歴史。
『1億人の昭和史④空襲・敗戦・引揚』(毎日新聞社)ヴィジュアルでわかる歴史。
『ドキュメント占領の秋』(藤原書店)日本が変わった歩み。
『戦後日本経済史』(新潮新書)戦後のシステムの成立・発展がわかる。
『日本人の底力』(PHP研究所)日本人とは特別な力を、困難の中で発揮できるのか。
『焦土からの再生』(新潮社)焼け跡からどうやって再生したか。

みなさんに読んで欲しい書は、まだまだありますが、興味あるところからどうぞ!(美)

『ヤバすぎる成功法則』 ジョーダン・ベルフォート

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『ヤバすぎる成功法則』
ジョーダン・ベルフォート
フォレスト出版
1400円+税

ヤバすぎる、というタイトルの付け方が出版の成功に繋がった本でした。

著者はウォール街で26歳で年収49億円を稼いだ後、22ヶ月の刑務所ライフをすごし、社会復帰後にモチベーション・スピーカーとして活躍中です。レオナルド・ディカプリオ主演で著者の自伝的映画『ウルフ・オブ・ウォールストリート』があります。本書は「ストレート・ライン・システムと命名したセールステクニックを紹介している書でした。

本書では、成功者の不可欠な条件として「セールス・スキル」を挙げています。そのストレート・ラインとは、話をすべき正しい相手を選んでいるかどうかを見極め、どっちつかずの態度を取っている人に「イエス」と言わせるテクニックです。

セールスのカリスマ(この言葉、近年は安売り状態だと思いますが)になるには
大きな目標設定
ポジティブに考える
理由と動機
心を開く
という4つの必須項目があります。

③はどんな理由と動機でセールスをしているかを明確にして、困難な状況やヤル気が減退した時のモチベーション・アップに使うためです。

④は何かを売るには自らの商品やサービスに力を吹き込むことを述べていました。

大事なことは人生の「BIG WHY」をはっきりさせることで、それがあれば将来へのヴィジョンが描けるのだ、とあります。仕事をする上で心の状態が重要ですが、それには次の4つを点検してみることを示唆していました。
1、確信
2、明快さ
3、自信
4、勇気

皆さんは、どうでしょうか? 著者は電話セールスからスタートしていますが、大切なのは最初の4秒であり、この間に次の3つを伝えると述べています。
・頭が切れる奴と思わせる
・熱心と思わせる
・エキスパートだと感じさせる

そして、「らしく振る舞え」とも。
セールスでしなければならないこととして
・素早いラポール(相手との心の疎通を図ること)
・大量の情報を集める
・販売をコントロールする
の3点を示しています。

他にも契約に持ち込む要素として
・顧客が商品(サービス)を気に入っていること
・セールスマンに好意を抱いて信頼していること
・販売する会社に好意を抱いて信頼していること
この3点を挙げているのです。

著者の特徴として、プレゼンテーションの発声・リズムにこだわっていますが、経験者としてよくわかります。どのように話すか、というのは非常に重要です。

本書で細かく述べられていますが、ガッツや目標の大きさの違いだと伝わってきました。ウォール街でのセールス、あるいはファンド・マネージャーをやってみたかったですね。著者の語るようにセールス、営業力は必要な要素の一つになります。

ただ、それが業種や人によって幅がある点も否定できません。著者がこのようにできたのは、一にも二にもポジティブな思考とスタンスを持っていたからです。本書では些細な点も説明されていました。

関連では、
『なぜアメリカの金融エリートの報酬は下がらないのか』(プレジデント社)
『強欲の帝国』(早川書房)ウォール街
『営業の科学』『トップセールスマンの商談がみたい』(ダイヤモンド社)
があります。

 

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『時間資本主義の到来』
松岡真宏
草思社
1400円+税

みなさんは、日頃、どんな時間の使い方をしているのでしょうか?

どんな人でも、1日は24時間と限られているのですが、その使い方で価値は変わってきます。本書は、近年の「情報通信端末の急速な発達とSNSをはじめとするソーシャルメディアやさまざまなサービス」によって、時間の意義や価値が変わってきたこと、では、どのように活用すべきかを説いている書でした。

以前と異なり、時と場所を選ばず連絡できたり、種々のサービスやアプリによって、ほんの数分から10分前後の「すきま時間」にも仕事ができるという時代の流れについて、著者は多くの提言をしています。

第1章では人類の歴史から、時間に対する意識の変遷、第2章以降より、時間価値の経済学、時間価値の最適化、時間の売買など、現代社会の実状を挙げながら、未来に向かっての展望を語っていました。

著者は、「かたまり時間」と「すきま時間」という言葉を使っていますが、この概念は私も学生時代から今も持ち続けているものです。たとえば、時間の長さを大小の箱とすると、極力、そのサイズに合った物事を詰め込むというイメージになります。こま切れにしてもいいことは小さな箱(複数でも可)に詰め、できる限りまとまった大きな箱を確保(より大きくしたり)するのです。

本書では他に、節約時間価値と創造時間価値という言い方をしていましたが、人々がディズニーランドに何度も行くのも、この両方の条件を満たすからと主張しています。
娯楽や快適に過ごせる創造時間価値に加えて、ハズれて時間をムダにすることもなく、節約時間価値があるからでした。

SNSで自分の時間(30分~5時間を)を切り売りする人々や、代わりに行列に並ぶなど、全て時間意識からきています。いつしか人々は、時間に対して「最適化」と「効率化」を強く望むように変化し、それを満たすサービス・ビジネスが利益を生むようになってきたのです。

さらにインターネットの発達と普及によって、仕事とプライベートの境界が消えつつある点も指摘していました。そのような現代において自己の時間価値をどのように高めていくのか、後半には著者の助言があります。

これが万人にヒントになるかどうかは別ですが、読み物として興味深く読めました。業種によっては、活用できないこともあるでしょうが、情報として知っておく意義はあります。

時間の価値・使い方は命と同義です。時間を上手に使おうと思いたったら、計画より先に今の使い方を1週間くらい、グラフや表にして正確に分析するところから始めてみて下さい。自分でも「えっ、こんな使い方だったのか」と驚ろく人も多いはずです。大事に使って欲しいです。

関連では、
『99・99%はスルー』(講談社ブルーバックス)IT・スマホの情報との付き合い方
『いい仕事ができる人の考え方』『望みの人生を実現する単純だけども重要なこと』(2冊ともディスカヴァー・トゥエンティワン)ほんの少しの考え方を変える、又は基本を知ると変わる
『満員電車にサヨナラする方法』(ビジネス社)クラウドソーシング他、ヒントになるかも
『どうして時間は流れるのか』(PHP新書)哲学的
があります。(美) 

「仕事について」第122話

前回までのあらすじ----------
地上げには、何パターンかのやり方があった。
キャリアが他者よりかなり浅かった私が、
ハイリスクのやり方を選んだのには、
胸に秘めていた信条があったからだ。

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れは、難しい・問題が大きいほど、
得られるものが大きいという思考でした。
得られるものとは利益よりも、
経験・知識・習熟など、将来にわたって
活用できるもの、
己の糧(かて)となるものを指しています。

社会にでる時に父から言われた
「社会は厳しい」という言葉は、
そうでもないなに変わっていましたが、
なるべく苦労や困難を体験しておこう、若いうちは
どんどん鍛えとかなきゃという発想でした。

もう一つは社員への責任ですが、
どんな失敗をしても社員が困らないように
準備をしていたので、リスクも取れたのです。
最悪の時は、物を売るセールスの仕事もある
という強みもありました。

仮に失敗するのでも若い内にたくさんしとけば、
その後の展開は楽だ
という信条もあったのです。
失敗というよりも、自分にとってうまくいかなかった
パターンが知りたい、集めたいという思考でした。

私は父の乱暴な言葉と骨の髄まで
「結果しか興味がない」という中で育ったので、
うまくいかなくても大きく落ち込むことはなく、
あれ、どこが悪かったのかなと
他人事のように捉えていたのです。

いちいちがっかりしていると、それ自体が情けないと
余計に罵声を浴びますし、
しょんぼりしている自分というのは、
小さい頃から想像もできません。
「よーし、次だ、次。次はバッチリだ!」
というのが私でした。

文通している子供たちにも言いますが、
失敗やうまくいかないことを「情緒」で
捉えてはいけません。
論理のみで「まず原因を明確にして」、
何が足りなかったのか、
どこが「どのように」ダメだったか分析して、
対策を立てるだけです。

気持ちの中では、「これでうまくいかない方法を潰せたぞ」
と全く気になりません。情緒として自分はダメだ、
とか引きずることがないのです。
引きずるのは何ひとつ良いことがないどころか、
マイナスを自分で作っていることになります。

そのような進歩のない心情を持ち続けるのは
時間とエネルギーの無駄遣いでしかありません。
その失敗のみで自分の価値が決まることもなく、重要なのは
その後にどういう行動をとるかで
未来が変わります。
何をやっても訓練です。

不確実性は決してマイナスだけではありません。
むしろモチベーションアップにつながります。
何か新しいことが覚えられるかもしれない
という期待もあり、成功するまでの
道筋の一過程と捉えているのです。

一つの仕事・案件の成就も大事ですが、
そこに到達するまでの過程に、自分を鍛えてくれる、
習熟できる楽しみがあります。
私は不確実性が人生の本質だと考えているのです。
同時にチャンスでもあります。
自分が遭遇する全ての不確実性や困難を
初めからオールクリアできるとは考えていませんし、
一回目でオールクリアなら、
「つまんないな」というのが私の考えです。

「おっ、うまくいかんぞ、俺に挑戦か」
という意気込みが好きなので、
そこから生まれる葛藤やストレス
(これはよいストレスの方です)は、
いくらでもウェルカムなのです。

私に全てをクリアする能力やノウハウがなくても、
諦めずに向かっていく、克服するまでやめない、
という確固としたヴィジョンや
方針があるので、自分を信じています。

頂(いただき)は高いほど、克服した時の眺めや
感慨は格別のものになるでしょう。
単に死なずに存在していることと、
生きることは同義ではないと考えています。
当時も今も成し遂げたい目標に対して、
全精力を投入することに変わりありません。

思い込みの強さは大切というより、
初めは唯一のものです。
モチベーションは外から与えられる
外発的なものは、すぐに弱くなります。

自らの内から湧き出る内発的なものでなければならず、
そのためには何百回となく
目標・夢を唱え、映像化し、「オレ、やれ、ガンバレ」と
己を鼓舞するしかありません。
うまくいかない時、最大の障害は自分自身のはずです。

思考や行動を規制しているもの、限界を作っているものは
何か点検して、除去するだけです。
自分の人生に責任を持つのは自分でしかありません。
「未来を予測する最善の手法は自らそれを創りだすこと」
という言葉のように、自分の未来は創れます。

話は戻りますが、先を急いでいる、だから早いうちに
多くの失敗・困難を体験しとくのだというのが、
『ハイリスクよ来い』の理由でした。(美)

みたつ・やまと●1959年生まれ。2件の殺人を犯し、長期刑務所に服役中。現在でも月100冊以上を読む本の虫で、これまでに8万冊以上を読破。初めて衝撃を受けたのは10代のときに出合ったロマン・ロラン著『ジャン・クリストフ』。塀の中にいながら、郵送によるやりとりで『人を殺すとはどういうことか』(新潮社)、『夢の国』(朝日新聞出版)などを著す。
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『女子高生サヤカが学んだ「1万人に1人」の勉強法』
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『牢獄の超人』
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『私はなぜ刑務所を出ないのか』
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『塀の中の運動会』
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『刑務所で死ぬということ』
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『人を殺すとはどういうことか(文庫)』
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『死刑絶対肯定論』
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『ドキュメント長期刑務所』
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『人を殺すとはどういうことか(単行本)』
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『夢の国』
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