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無期懲役囚、美達大和のブックレビュー

教養を深めたい、仕事に生かしたい――。
人として成長するために本を読みたいと思っても、何から読めばいいかわからないビギナーのためのブログ。
服役中の無期懲役囚・美達大和から届く書評を随時公開。

熱血、美達少年の青春一代記!拳が舞ったあの時代!小説『フィスト・ダンス』、第1回はこちら

東京新聞掲載、『塀の中の残念なおとな図鑑』を評した東えりかさんの書評記事はこちら
JBpress掲載、美達大和の書籍数冊を評した勢古浩爾さんの書評記事はこちら

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連載第一弾 超一流の仕事術『仕事について』 第1回はこちら
連載第二弾 強靭な肉体を作れ!『マッスルロード』 第1回はこちら
連載第三弾 近代日本の夜明け『日本史の教養』 第1回はこちら
連載第四弾 知られざる塀の中『迷宮(ラビリンス)』 第1回はこちら
連載第五弾 憲法と国防を考える『近現代史のツボ』 第1回(日本国憲法の歴史)はこちら

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『ハイヒールは、いらない~レディ・レッスンseason2』ケリー・ウィリアムズ・ブラウン

ハイヒールは、いらない~レディ・レッスンseason2
ケリー・ウィリアムズ・ブラウン 著 鹿田 昌美 訳
大和書房
2018-11-23


(5月3日記)


本書のテーマは、「自分は自分、周囲に流されずに、より善く生きる」です。

オビには

「着飾らなくても魅力的な人のルール」
「他人からの承認を必要としない」
「誰にも媚びないけど人に好かれる」
「いつも安定して人に親切にできる」
「他人にどう思われるか気にしない」
「意地悪をサラリと流せる」
「SNSで炎上しない」

などの文言が並んでいました。

著者は、作家・コラムニスト・コピーライターで、前作の『レディ・レッスン、ポジティブガールの教科書』(大和書房)を上梓しています。

著者は、初めに「いつもいい気分でいるための戦略」として、「親切」と「良いマナー」がデフォルト、初期設定になると示唆していました。心がけるべきことです。

著者の唱えるマナーには、「心からの思いやり」「親切」「敬意」が必須条件でした。

本書は女性に対して書かれていますが、そっくりそのまま男性も応用でき、その暁にはレディに伍(ご)していけるジェントルマンに近付くことでしょう。

目次の一部を覗(のぞ)くと

魅力的な人の秘密
どんな自分でありたいか?を忘れないで!
私ではなく私たちの単位で考えましょう
他人にどう思われるか考えるのは時間のムダ
誰かに腹が立ったときには
絶対に炎上しないSNSのルール
ネット中毒から抜け出すために
炎上チェックリスト
発言は永遠に残るので、それに耐えうる内容しか書かない
インターネットに人生をコントロールさせない
変な人を優雅に撃退する方法
最悪の状況でも忘れてはいけないこと
自分を親友みたいに扱う
友人に言わない批判は自分にも言わないこと
自虐的な思考から逃げる方法
後悔についてのワーク
世界一安らぐ部屋をつくる
あなたが持ちすぎている物について
ニオイと香りの問題について
食事に役立つ10のヒント
今日を最高の一日にするために
もっと自由にオシャレを楽しむ
笑顔という最強の武器について
公共交通機関を乗り切るレディのルール
自分の人生を生きるということ

となっています。

素敵なレディとは、生まれつきの素質ではなく、「スキル」と述べられていました。

全く、同感です!

そうした人は、動作や行動が優れていて、さりげなく見えます。

皆さんにとって、人生で出会う人は次のような確率になるとありましたが、ちょっと考えてみて下さい。

(1)皆さんのことが心から大好きで理想の「配偶者・友人・同僚・店員」らしく振る舞ってくれる人、0.1%
(2)心から大好きなんだけど、時々、失望させる人、12.4%
(3)まあまあ好きで、またある時は、それ以外の感情を抱いてしまう人、12.5%
(4)互いに知ってる程度、興味のない人、78.7%
(5)冷たい人、6.2%

さあ、どうでしたか?

著者はこの数字を踏まえて、他人には深刻にならず、親切に、自分がどうありたいかを大事に!とアドバイスしています。

「誰にでも」「どんな時でも」親切に穏やかにするというのは難しいことですが、努力する価値はありますね。

私は、この人は誠実さがない、ルーズ、自分のことしかない人と判断すると、早目に離れるようにしています。

特に仕事について、そういう相手であれば、即時、離れると決めているのですが、これは私の仕事に支障をきたしたり、やったことを無にしたりしないための他に、私が本気で怒らないようにとの措置です。

その代わり、誠実、相手のことも考えているとなれば、仕事ができない、ミスをすることは全く問題にしないで付き合っていきます。

本書では、SNSなどネットとの付き合い方に多く触れていましたが、十代の若者たちの中には、これで毎日の幸不幸が大きく左右される人が多いようで残念です。

炎上チェックリストには、

言いたいことを明確に書いた?
発信する先は合っている?
今、必要がある?
さまざまな反応に対する心の準備はできている?

とありました。

さらに、Eメール、フェイスブック、インスタグラム、ツイッターごとに注意点を並べています。

変な人を優雅に撃退する方法は、アメリカという、自分の主張を明確に述べる風土があるので使えるという方法が多いものの、参考にはなるでしょう。

マナーや大人の振る舞いで大切なことは、何かあった時に、どのように対応するかに表われます。状況に振り回されることなく、自身の平静な心を拠(よ)りどころにする、とも述べていました。

安らぐ部屋づくりでは、

花を飾る
家具を厳選する
量販店のインテリアグッズは飾らない
雰囲気は照明でつくる

など挙げています。

著者は毎日の暮らしにおいて、

「何かにリアクションする前にひと呼吸」
「他の人がどう振る舞おうと、礼儀正しく」
「仕事を生産的に」
「周囲の人に親切に」

を唱えていました。

著者のオシャレについての助言は、流行に左右されない良質な物、組み合わせられる色を選ぶことが主体としています。

本書は、いかに己を穏やかに、気持ちよくさせて生きるかという方針が貫かれていましたが、『幸福論』で知られるアランは、自分を機嫌よくするのは大人としての義務、嗜(たしな)みと語っています。

まだまだ未熟な私でさえ、何があっても、いつでも機嫌よく!!を鉄則としてきました。

私は度々、部下の幹部社員に言った言葉があります。

「自分の部下に顔色を窺(うかが)わせるような上司にはなるな。自分が上にいるからといって、そういうことをする奴は卑劣な奴だ」

と。

大事なことです。

いつでも、何があっても、私は機嫌がいい、安定している、が矜持(きょうじ)の一つにもなっています。

なので部下たちも私に冗談を言うのがあたり前で、外部の人からは「明るく伸び伸びした会社ですね」と言われていたものです。

同囚の中にも少数ですが、情緒が安定している人がいます。

そういう人は自分というものを持っています。観察していると「和して同ぜず」で、表面上は周りと協調という形であっても、大事なところは自分流を守っているのです。この「和して同ぜず」の精神が肝要です。

また、何でも寛容というのは、実は相手より自分の保身、ことなかれ主義なのではないかとも感じられます。相手に異議を唱えるエネルギーも惜しいというのもありそうですが、他者のそのような行いについて、自身に支障や害が及ばない限りはいいのかな、とも考えるようになりました。

人間関係は、通常、その人の平生の幸不幸をを左右しますが、私の失敗人生から言えることは、中庸が大事ということでした。極端に走らず、節度を保った対応です。状況や相手にもよりますが、その辺を熟考し、生活するように心がけて下さい。

私なんぞが、偉そうに言えることではないと自省を兼ねて、お伝えしました。

関連では、


好きな場所へ自由に行きたい
岡本 敬子
光文社
2020-10-21



女のお悩み動物園
ジェーン スー
小学館
2020-11-06



一流女性のあたりまえ
諏内 えみ
扶桑社
2020-10-09



男との付き合い方がわからない
水谷緑
大和書房
2020-07-22



一緒にいると楽しい人、疲れる人
有川 真由美
PHP研究所
2017-04-28



わがままこそ最高の美徳
ヘルマン ヘッセ
草思社
2009-09-25



があります。


『誰もがアートスターになれるわけではないけれど、善人にはだれだってなれる』(本書より)


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読者ブックレビュー 『予測不能の時代~データが明かす新たな生き方、企業、そして幸せ』矢野和男



コロナウイルス感染拡大による社会生活の変化に伴い、最近、よく耳にするようになった「ウェルビーイング(well-being)」なる言葉ですが、ウェルビーイングとは、個人またはグループが、身体的、精神的、社会的に「良好な状態」にあることを指す概念であり、幸福、幸せと捉えても間違いではないのでしょう。

本書は、日立製作所フェロー、工学博士でもある矢野和男氏が、氏のウェルビーイングの研究にまつわる内容と考察をまとめたものとなっております。

氏の前著『データの見えざる手』ではビッグデータより、人の幸福度から運までを、定量化、計測し、法則の発見まで行う手法には驚嘆し、衝撃を受けたのですが、本書では最近、スマートフォンの普及により、さらにビッグデータの収集が容易になったことから、前著ほどの新しさはなかったものの、提示する理論の説得力が増しておりました。

幸せや運が定量化できるものなのかよ?と、最初は疑いをもちながら読み始めたのですが、記されていたデータの数々を見るにつけ、考えが変容していったことは今でも忘れられません。

著者は、開発したウェアラブルセンサと呼ばれる、人が身につけられるデバイスの存在により、今まで1000万人以上の身体活動、位置情報、行動様式のデータ収集を行い、解析を行ってきたヒューマンビッグデータの世界的な研究者でもあるのです。

本書では研究の結果から、幸せな組織に共通する4つの特徴として、下記の「FINE」を挙げておりました。

・F(Flat)フラット=均等 人と人のつながりが特定の人に偏らず均等であること
・I(Improvised)インプロバイズド=即興的 5分から10分の短い会話が高頻度で行われていこと
・N(Non-verbal)ノンバーバル=非言語的 会話中に身体が同調してよく動くこと
・E(Equal)イコール=平等 発言権が平等であること

また、幸せはスキルであると論じ、幸せを高める能力として、「HERO」の重要性も説いておりました。

・H(Hope)ホープ 自ら進む道を見つける力
・E(Efficacy)エフィカシー 現実を受け止めて行動を起こす力
・R(Resilience)レジリエンス 困難に立ち向かう力
・O(Optimism)オプティニズム 前向きな物語を生み出す力

こうしてきくと、幸せを考える上で、ごくあたり前の特徴や能力と思えますが、膨大なデータや人の行動集積から導きだされたとなると、その重要性をあらためて問い直し、向き合わねばと考えました。

本書では、著者がどの様なきっかけでビッグデータを解析し、ウェルビーイングの研究に携わるようになったのかも記されておりますが、その経緯は意外なものでもありました。

著者は勤めていた日立製作所において、20年間近く半導体の研究開発に携わり、電子メモリの室温動作に世界で初めて成功するなど、技術者としてもビジネスマンとしてもその分野を牽引し、充実感をもって仕事に取り組んでいたとのことでした。

しかし、日立製作所の半導体事業からの撤退が急遽(きゅうきょ)決まり、20年間、心血を注いできた分野のスキルや知見があっという間に無に還ってしまった経験から、大きな変化にどう立ち向かうかを考えるようになり、どのような変化が起きても揺らぐことのない対象を研究すべく、今度はディスプレイやハードディスク等の電子機器ではなく、「幸せ」そのものを研究対象に据え、「幸せ」のためのテクノロジー開発に着手し始めたそうです。

もともとは半導体の研究者だったわけですから、「幸せ」を対象に研究を始めた当初、「宗教をはじめたのか?」等、言われることも度々だったそうです。

本書の中で、事業部もなく、人もなく、実績もない、ないもの尽くしの状況からのスタートといっておりましたが、それから僅かな期間で実績と成果を積み上げていった筆者の手法と考え方は非常に学ぶところが多いものでした。

詳しくは本書にて確認いただければとおもうのですが、著者は自身の取った手法を「実験と学習のサイクル」と呼んでおりました。

まず、1カ月くらいで短期に実行が出来、結果が具体的に見られる小さなプロジェクトを設定し、その結果が出た時に、次にやるべきことを考えるという、従来、多くの企業や研究機関で取り入れられている「PDCA」や「業務の平準化」とは大きく異なる、まさにいきあたりばったりの手法でした。

先行きの見えない状況、変化の多い環境ではこの「実験と学習のサイクル」の活用は非常に有効だったようで、最終的にはこの研究、無意識の身体運動から幸福感を定量化する技術を開発し、事業化、法人化にまで至ります。

本書、他にも現在、世界中でますます拡がる格差の本質についても言及しており、ピケティ(21世紀の資本論)、スティグリッツ(世界の99%を貧困にする経済)とはまた別の切り口で格差社会の本質が語られておりました。

著者曰く、格差という経済・社会現象の根源を考えると、そこには宇宙や物質の根源の理解に不可欠な物理学の理解が必須であり、経済学にこそ物理学の知識が必須であるとしています。

格差は量子効果(質量や電荷、エネルギー等の効果が連続的でなく、ランダムに現れる現象)によるものだと説き、さらには物理学だけでなく、統計学や確率論の分野も取り払い、分野の垣根を超え、統合してことにあたっていかねばならないと述べていました。

巻末には易(古代中国より伝わる森羅万象の変化法則)の先鋭性や武道への感動が語られており、自分の好むものと通じるところもあり、ちょっと嬉しかったです。

未知への対応力が退化してきた現代、多くの人にとって有用な視点が本書には散りばめられております。前著、『データの見えざる手』も大変お勧めです!


『幸せとは状態でない。幸せとは行為である』
(ジョン・ルイス 米・公民権運動活動家)


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近現代史のツボ 第151回 ニュース番組に変動が起こる

変わって首相となったのが岸信介でした。岸も積極的にテレビやラジオを活用しますが、現代と違うのは、テレビ業界の都合が主ではなく、あくまで政治家の思考や言動が主としての関係だったのです。

主というのは、企画や番組内で語ることは政治家や党関係者が企画・提案し、司会者などテレビ局側が要求する、誘導的あるいは攻撃的な質問をすることは「許されていません」という意味でした。

その後1957年に、田中角栄がテレビ放送局の免許を管轄する郵政大臣(今は総務大臣の管轄)として、34局の民放テレビ局に免許を与え、郵政族として業界に睨みをきかすようになりました。そのため、政治や国際外交などの報道で偏った番組が放送されると、自民党、時には社会党がテレビ局に抗議をして、謝罪や放送継続中止をさせることもあったのです。


1970年代までのニュース番組は主に民法が担っていましたが、1974年4月にNHKでは、磯村尚徳氏(いそむらひさのり)氏を起用した『ニュースセンター9時』という40分間のワイドニュース番組を始め、まだ日本人に馴染みのなかったニュースキャスター制を採用しています。

ニュースキャスターの歴史では、第二次世界大戦中にアメリカCBSのエド・マローが有名です。マローはディレクター出身でしたが、大戦中にロンドンに派遣され、毎日、戦況を電話でCBSに送り、名キャスターと賞賛されるようになりました。

それ以降では、何と言ってもCBSのウォルター・クロンカイトという名キャスターの存在が日本の放送関係者の理想でした(『メディア 影の権力者たち』より)。

そうして1980年代に入り、1985年10月に久米宏をメインキャスターとした報道の番組の『ニュースステーション』が始まったのです。

それまで久米宏は歌謡番組の『ザ・ベストテン』やバラエティの『ぴったしカンカン』の司会者として滑舌の良さで知られていましたが、ニュースキャスターのイメージとは程遠いものでした。私は年代的にリアルタイムで知っていましたが、「ええっ、ニュースをやるの!?」という第一印象しかありません。

テレビ番組といえばドキュメンタリー、ニュース、クイズしか見なかった私は、ニュースステーションを見るようになりましたが、「悦(え)っちゃん」こと、サブキャスターの小宮悦子の膝から下の美しい脚を見るのも楽しみでした。

このニュースステーションが高視聴率を取ったことから、以後、各局でニュース番組が続々と誕生したのです。

私が他番組とは比較にならないほどに好きだったのは、日本テレビの『今日の出来事』で、キャスターの櫻井よしこさんの凛とした気品と芯のある風情の大ファンで、 毎回その時間にはテレビの前で姿勢を正し、妻の手前、表情を引き締め、胸を高鳴らせながら見ていたものでした。あれから幾星霜、ジャーナリストとして現在のような保守論壇で大活躍するキャラクターだったとは思わず、改めて惚れ直し、喜び驚いています。

さらにテレビが政治に大きな転機を与えることになったのは、1987年4月スタートのテレビ朝日の深夜討論番組の『朝まで生テレビ』、1989年4月スタートのテレビ朝日の『サンデープロジェクト』、同年7月スタートのテレビ朝日の『どうする!?TVタックル』の登場でした。

『朝まで生テレビ』と『サンデープロジェクト』の司会は田原総一朗氏ですが、氏の欧米並の攻撃的で畳み掛けるスタイルの質問・追求によって、時の宮沢首相など多くの政治家が後に刑事責任を問われるような、重大な局面を迎えざるを得なくなったのでした。

田原氏の手法は、強引にイエスかノーを迫るという二者択一式から相手を感情的にさせることで、映像に劇場型のような面白さを引き出すものでした。

またビートたけしが仕切る『TVタックル』は、この番組に出演すると選挙に勝てるとされ、番組の企画通りに発言やパフォーマンスをする政治家が増えています(『テレビが政治をダメにした』より)。その影響で芸能プロダクションに所属する政治家も増えるようになったのです。

この前後から、政治家に対してテレビ局が優位となり、絵になる(映像として面白い)政治家が実力と関係なく注目されるようになりました。

また、テレビは何事も単純で白黒はっきりさせることを求められるため、政治における種々の課題や政策も、二項対立で白か黒か、善か悪かが判断しやすいように作られるようになったのでした。

このように政治がバラエティ化しましたが、『テレビが政治をダメにした』の著者であり参議院議員としてテレビ出演の経験を持つ鈴木寛(すずきかん)氏によれば、テレビ局は番組を面白くするために出演者の話の順番も編集で変えてしまうそうです(『テレビが政治をダメにした』33P)。

同書では、NHKの『日曜討論』においても、以前は党が出演者を決めていたのに、近年は番組として視聴率が取れる政治家をNHKが選ぶようになったと述べていました。

こうしてテレビは政治家にとって無視できない存在となったのです。


<視聴率とは?>

テレビ局にとっては何よりも大事なのが視聴率です。この数字によって経営と社員の高収入を支える広告料収入が決まります。

(注 各テレビ局の平均給与はだいたいが1400万円前後で高給取り。プロデューサーになれば2000万円超が常識。他国に比べて信じられないくらいに安い電波使用料のおかげでもある。2015年度の電波使用料は、

NTTドコモ  約201億円
KDDI     約31億円
ソフトバンク 約165億円に対し、

NHK      約21億円
日本テレビ   約5億円
TBS、フジテレビ、テレビ朝日、テレビ東京 約4億円。)

(注 平均給与。フジテレビ1510万円、日本テレビ1425万円、TBS 1377万円、テレビ朝日1303万円、テレビ東京1287万円(2012年)。この年のサラリーマン全体の平均年収は408万円。)

視聴率の調査は1954年の面接による調査が嚆矢でした。その後、1961年にアメリカの大手調査会社「ニールセン」、1962年に電通、博報堂、民放テレビ局が出資して設立した「ビデオリサーチ社」が機械式の視聴率調査をスタートさせました。

無差別に抽出した標本世帯(視聴率調査対象世帯)のテレビに機器を取り付け、秒単位でどのチャンネルの番組を見ているか自動的に集計します。その標本世帯の数は全世帯数に比べると、各地域(関東地区・関西地区・各県に割り当て)で数百世帯という規模でしかありません。そのため、誤差もあります。

視聴率は1%が大体100万人強と計算されるので、20%なら2000万人もの人が見ていることになるのです。出版の世界では数万部売れただけでベストセラーと銘打つことになりますが、それから考えるとテレビの広報への影響力がいかに大きいか伝わるでしょう。

NHK以外のテレビ番組にはCMを流すスポンサーが付きますが、このCMの放映料は各時間帯と各局の番組視聴率によって大きく変わるのです。ゴールデンタイム(午後7時~10時)、プライムタイム(午後7時~11時)になると、15秒スポットのCMで2000万円から3000万円前後にもなります。

そのためにテレビ局は、視聴率を上げるためなら自分の親でも売るとさえ言われるほど何でもありの世界となっているのです。そのためモラルや、放送法で謳う公正・中立などは全く顧みられなくなっています。


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みたつ・やまと●1959年生まれ。2件の殺人を犯し、長期刑務所に服役中。現在でも月100冊以上を読む本の虫で、これまでに8万冊以上を読破。初めて衝撃を受けたのは10代のときに出会ったロマン・ロラン著『ジャン・クリストフ』(青空文庫にて無料で読めます)。塀の中にいながら、郵送によるやりとりで『人を殺すとはどういうことか』(新潮社)、『夢の国』(朝日新聞出版)などを著す。
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『罪を償うということ』
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『あなたが未来に選択肢を残すための「よりよい」生き方』
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『マッドドッグ』
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『人を殺すとはどういうことか(文庫)』
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『死刑絶対肯定論』
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『牢獄の超人』
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『私はなぜ刑務所を出ないのか』
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『塀の中の運動会』
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『刑務所で死ぬということ』
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『ドキュメント長期刑務所』
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『人を殺すとはどういうことか(単行本)』
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『夢の国』
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