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『情報武装する政治』
西田亮介
角川書店
1600円+税
2018年3月刊

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著者は社会学者です。テーマは各政党のネット活用、若者へのアプローチ、自民党一強をメディア戦略から問い直す、ジャーナリズムの役割、機能しているのかなどでした。皆さんは国会議員のツイッターなど利用したことはありますか?一度、ずらっと見てみたいものですね。どんなことをどの程度の見識と覚悟で発信しているのかと。

冒頭では2017年10月の総選挙での内閣支持率と自民党の当選者数の分析でした。これは当初は自民党が改選前の284議席から40~50は減るという予想が大半だったのですが、終わってみるとほぼ同じで公明党と合わせて三分の二を超えました。ただし、半数以上の新聞社は投票直前には正確な数を出していて、大きくハズしたのは『新潮』を除く週刊誌でした。この時、エダノンこと枝野氏が率いる立憲民主党が大躍進しましたが、著者によればネットなどの使い方がうまかったそうです。

ここで関係ない話で申し訳ないですが、先日、週刊誌のグラビア(写真)で私服で行事に参加したエダノン、細野氏などを見て、エダノンのセンスと体型に笑ってしまいました。「ああ、エダノンよ、私服で歩くのはやめた方がいいぜ」というセンスと、うーん、どこにも緊張感がない体型で気の毒に感じたのです。細野氏は年のわりにスタイルもよく(長身!けっ!) 、ジーンズが「まあまあ」似合っていましたが。ただ、この人には男としての「芯」が全くないんですな(と、少しおじさん口調の私です)。

続く章では「ポスト・トゥルース」についてでした。これは客観的事実より、嘘でも感情に訴えかけた方が効果的、要はなんでもありという概念です。2016年のアメリカの大統領選や、日本では橋下氏の政治活動が見本となっていますが、橋下氏のは仕掛けは上手でも嘘ではありませんね。物事の核心を突いた話法です。ポスト・トゥルースなら「モリカケ」で湧くメディアと野党の方がピッタリきます。この章では選挙の候補者のイメージ戦略の効果について語られていましたが、地道に誠実に説くという人間の王道では当選しないのでしょうか。そんな政治の到来は国が滅ぶ第一歩です。

3章では既存のメディアからネットに移る中での相互の影響力についてで、これを「間メディア社会」と命名していました。その延長上に政治とメディアの関係がありますが、このメディア及びネットをどのように効果的に使うかということが説かれています。これはマーケティングなんですが、民主主義における「代議制」が選挙である以上、候補者をどのように売り込むかはマーケティングそのものです。ただ、ここで注意すべきは年代別の人口と投票率の関係で、人口が多い高年齢層が高い投票率である以上、若者層とは「市場」の大きさが違います。ここに政策が若者に冷たいという事情があるわけです。おまけにネットの利用率も高年齢層は低く、効果があるのは昔ながらの新聞とテレビということになります。テレビは圧倒的に左派有利なのに選挙で勝てないのは、よほど見捨てられている、政治の能力を評価されていない証でしょうか。

メディアのイメージ戦略では2001年からの小泉首相が革命的でした。テレビの編集に合わせた「ワンフレーズ・ポリティクス」(専門用語ではサウンド・バイト)が有名です。これは敏腕秘書の飯島勲氏の振り付けでしたが、大当たりとなっています。しかし反面、過ぎてみると小泉政治とは日本にどんな影響を与えたか覚えていない人が大半です。小泉政治は、新自由主義経済で所得格差を拡大し、社会保障と国家予算を削って不況を誘いました。失業率も大きく上がったのです(株価は下がりました)。でも、あのキャラクターなので国民からの人気はありました。

メディアで表現される印象というのは、それほど強いわけです。そのため、歴代の政治家はメディアには逆らうことなく頭を低くしてきましたが、安倍首相は「おかしいものはおかしい」と朝日に迫り、大バトルになりました。その点では大変な勇気で、本人が言う通り「闘う政治家」だったわけです。さて本書、後半は自民党のネット戦略の分析もあり、政治に関心のある人にはオススメします。本当に「武装」でした!

『良心なき知識は、人間の魂を滅ぼす』
(ラブレー フランス 小説家)

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