サブタイトルには、「健康長寿のための最強プログラム」とありました。皆さんには、「テロメア」という言葉を耳にしたことがありますか?

テロメアは、人の老化をコントロールするものです。平易に理解するには、染色体(せんしょくたい)を靴紐と仮定して下さい。

染色体とは、人の細胞内部にあり、遺伝情報を運んでいる部位です。テロメアは、靴紐の先端のプラスチックキャップのような働きをします。加齢と共にテロメアは短くなり、靴紐がボロボロになっていくシーンをイメージして下さい。

このテロメアの短くなる速さが、その人の老化の進行状況を決定しています。テロメアを保護するタンパク質の鞘(さや)を保つのを助けるのがテロメラーゼです。

皆さんは、アミラーゼ、ジアスターゼなど、「○○ーゼ」という語をたくさん聞いてきたでしょうが、これは酵素を表しています。でも、「ミラネーゼ」はミラノっ子、「シロガネーゼ」は白金(しろがね)に住む人です。「毛ガネーゼ」は美達さんですが、放っといてくれ!です。

本書の著者の一人、ブラックバーンは、この研究でノーベル医学生理学賞を授与しています。オビに写真がありますが、カントリーマームのお母さんみたいに素朴で温厚そうな人でした。

本書の目的は、テロメアについて正しい知識を持ち、適正な扱い方をしてもらうことです。


目次の一部を紹介すると、

より若く生きるための道
なぜ細胞の老化が早すぎると、見かけも気持ちも行動も老いるのか
長いテロメアのパワー
テロメアを補う酵素テロメラーゼ
ストレスはあなたの細胞に入り込む
テロメアを思いやる
うつ病や不安はテロメアを短くするか
細胞を守るためにできること
運動はテロメアを鍛える
テロメアの疲労と睡眠
食べ物とテロメア
社会的環境は、あなたのテロメアを変える
細胞の老化は子宮で始まる
子ども時代の重要性

となっていました。


年のとり方は個人差が大きいものです。これは遺伝の他に環境やライフスタイルに左右されますが、当人が努力することでも変えられます。

本書では老化の定義を、「細胞が機能を徐々に失い、環境的な刺激や損傷に適切に反応する能力を失うこと」としていました。

身体的には、肌の老化のシワ・シミ・たるみがあり、白髪化、骨量の低下、視力・聴力・筋力の変化など多岐(たき)にわたります。皆さんも、40代50代60代70代と、加齢が進む毎(ごと)に変化に気付かざるを得なくなるでしょう。

私は行けませんが、同窓会などに行くと、個人差の大きさに気付くはずです。また、いろいろな場面で同年代の人との違いに気付く他、比べることも増えるでしょう。

著者にはアメリカで増えてきた雑多のテロメア保護や老化防止のために売られているクリームや薬や注射に対する注意を促す目的もありました。

テロメアにとって好ましいことは、誠実であること!過度のストレスを避ける、睡眠、人との交流、平穏な環境・地域、仲の良い夫婦関係などなど、常識的なことでした。

ストレスなどがテロメアに影響すると、老化促進、健康に害を及ぼし、心血管系の疾患、アルツハイマー型認知症などにつながります。テロメアが短くなると、さまざまな炎症も起きるのです。

テロメアに良い食べ物としては、ベリー類、ケール、リンゴ、ブロッコリー、トマト、オニオンなどフラボノイド、カロテノイド、ナッツ、オメガ3脂肪酸を含むサケ、イワナ、サバ、マグロ、イワシ、全粒穀物、緑茶、それにビタミンD、極めつきはコーヒー!でした。

コーヒーの調査では、1日に4杯のコーヒーを1カ月飲み続けると、テロメアが著しく長くなり、血中の酸化ストレスが低下していたそうです。

カフェイン抜きだと、ダメということでした。逆にテロメアに悪い物は、加工肉、精製した米、砂糖などの白い物、アルコール、化学物質などです。

テロメアの短縮は、免疫機能を鈍らせ、炎症を促進します。

ストレスに対しては、前向きに対処するように努力することで耐性が高まります。他にも瞑想や気功などはストレスを軽減し、テロメアを修復するテロメラーゼを増やします。

運動で心血管系の健康を高めればテロメアにも良い効果があるそうです。

親の短くなったテロメアは、こどもに遺伝します。個人によって老化の度合いは全く異なりますが、このテロメアの作用による、そのテロメアとうまく付き合うにはこうするんだよ、というのが本書でした。

皆さんは、自分の加齢・老化については、どのように自己評価していますか?

私のことで言えば、現在、62歳になりましたが、ここ2年ぐらいで老化の進行速度が上がりました。白髪が見えたのは59歳の時でしたが、髭(ひげ)については、その数年前から見えました。

ハゲるよか、白髪の方がいいだろ、と思っていましたが、自分の白髪には、「おっ、とうとう来たか」という感想でした。本数としては一本二本三本と数えられるほどで、少し離れるとわかりませんが、私もジジイに近付いたわけです。

老化の度合いについては、間違いなく遺伝の影響が大きいです。あのオヤジは、いつも年齢より、かなり若く見られていましたが、体も動きも若々しかった人でした。

私も同年代といると、若いですが、服役しているので、次第にその効果が薄れました。食環境も要因ですが、今はこんなものと諦観しています。

塀の中では誰もが同じ服を着て、同じ坊主刈りということもあって、個人差がよくわかります。この人、随分と老(ふ)けているなというケースでは、大体が性格的に「陰」で考え方も老けていることが多いです。

あと100%ではないものの、覚醒剤を長く使っている人は、皮膚の状態が悪く、艶もなく、シワも早く現れます。

長期刑務所なので、何十年も運動を続けている人も多く、バドミントン、卓球、ソフトボールでの動きを見ると若いです。外見は、おじいちゃんなのに動きは20代30代のようだという人、少なくありません。

ついでに言えば、精神も老化とは裏腹に成長しないので、「若過ぎる」人が多いです。

それと普通の短期刑受刑者専用の刑務所と大きく異なるのは、私たちと職員の付き合いが20年30年以上となるのがザラにあるので、互いの加齢による変化も目(ま)の当たりにできます。

こういう点は、さすがに長期刑務所だなあと感心するばかりです。刑務官になりたての初々(ういうい)しい時から、昇進して幹部になるまで見ていますから、変化もよくわかります。向こうも同じです。

私なら、15年ぶりに会った職員が、「うわあっ、痩せたなあ」と驚いたり、逆に「あんまり変わんないな」「美達でも、やっぱ、年は取るんだ」と言われたりします。

定年退職の人も何人もいます。制帽の下に見える白髪の量も、その職員の加齢を物語っているなど、独自の世界です。

還暦を超えて、ふとした時にオヤジに似てきたことを感じます。

「ああ、そうか。俺もいよいよ、じじいになってきたってわけか」と呟いていますが、感慨(かんがい)もひとしおです。

皆さんも昔の写真を見ると、その違いに驚くことでしょう。

本書、テロメアについて、多くのことを示唆してくれる一冊でした。

今回の本は、


いじわるな遺伝子―SEX、お金、食べ物の誘惑に勝てないわけ
フェラン,ジェイ
日本放送出版協会
2002-01-25



ゼロコロナという病 (産経セレクト S 24)
木村 盛世
産経新聞出版
2021-07-16



です。


老いは別の視点では成熟でもあります!


『人間が唯一、偉大であるのは、自分を超えるものと闘うからである』(アルベール・カミュ 作家)


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