(4月16日記)


本書は小説で、テーマは女性ボディビルダーでした。近年、ジムに通う女性、筋トレをする女性が増えていますが、本書は、その「ド真ん中」を描いていました。

主人公はU野という29歳のOLです。日頃からメイクやオシャレに全く関心がなく、筋トレをするためにGジムに通っています。

根が真面目でストイックなので一人でトレーニングしているわりに筋肥大が顕著でした。そんなところをボディビル界のスターともされるO島にスカウトされます。

O島の始めるジムに誘われ、大会を目指すようになるわけです。U野が出場するのは、近年、流行ってきた「フィジーク」ではなく、純然たるボディビルでした。


フィジークというのは、バリバリの筋肉美ではなく、女性特有の丸みを活かしつつ、メリハリをつけた体形、スタイルが理想とされる競技です。ネットで検索すると出てきます。

男性にもあって、バカでかい筋肉のBBではなく、上半身を極度な逆三角形、ベースは細マッチョ、下半身は鍛えない、という見た目、スタイル重視の競技で、筋肉シロートから見ると、「おお、カッコイー」ですが、筋肉プロからすると、「けっ!」です!

筋肉は上も下もグァングァン鍛えるのが王道、正しい道ですから。

おまけにフィジーク大会では女らしい丸みの他、ステージ上での所作、イブニングドレスの着方、人格・知性まで審査対象で、人格・知性は、その人の、それまでのインスタを見て判断するという、バカげたものです。

昨今の美人コンテストが、外見だけではなく、知性だ人格だというのと同じで、そんなもの短時間で見抜くだけの頭脳と洞察力のある人が、どれだけ審査員の中にいるのか、疑問です。

筋肉となれば、シンプルにどれだけ鍛えてるのか、その量、バルクと、区切り、ディフィニッションなどで決めればいいのです。筋トレにつき、本書は描写が実に巧(たく)みでした。

バーベル、ダンベルの持ち方、各種目の臨場感、筋肉痛の喜び、上手に表現されて、読んでる間にも、やりたくなります!

筋トレ、筋肉を作るには、その人の意志の強さ、自らを律する強さ、器具の扱い方の上手さなど、総合的なものが出ます。筋トレの時の態度、発達具合、脂肪の加減を見れば、99%、その人がどんな人かだけではなく、さまざまな場面にどんな行動をするか、思考も含めて的中させられます!

集中力のない人、続かない人は大きな肥大はなく、脂肪をカットして筋肉の上に血管をくっきり浮き出すことも難しいでしょう。

U野は筋トレによって自分が別の生き物になれることにやり甲斐を感じていますが、よーくわかります。U野は大会を目指しているので、筋肉を増やす時、それから減量して脂肪を減らし、筋肉をくっきりと浮き出させるまで、詳述していましたが、ここもいいです。

何度も書きましたが、私の一つの基準が腹筋の上に血管がくっきりと浮き出ているか、で、出ない、今ひとつの時は迷わず減食、減量です。塀の中でも常に主食は減食で生活しているので、63歳の今も腹は割れ、血管は浮き出ています。

ただ、他の筋肉は、ここの運動時間と自体重のみ、食事もタンパク質が少ないので、別人と化しましたが。

大会当日、主人公は有力選手がドーピングで失格し、決勝に進みます。ただ、ここからが、「えっ、そうくるのか」という結末で、本書を読んで下さい。

この著者の文章、比喩(ひゆ)、好きですね。本作品、第166回芥川賞候補作とのことでしたが、今後が楽しみです。

筋トレやってみたい、筋トレ好きの人、是非!たったの138ページです。もう少し長く書いて欲しかったですが、次に期待します。

『フィスト・ダンス』を読んでくれてる人は知っているでしょうが、筋トレやらすと、私は狂人でした。社会人になってから、ジムに行ってた時もありますが、胸と大腿部のバルク、ディフィニッションは、ジムの関係者が見ても、「おおぉぉ?そこまで」というくらいでした。

ディフィニッションは、筋肉間の区切り、凹凸(おうとつ)感のことで、実にくっきりと入ってました。これ、ハードのさらに上のスーパーハードの賜物です。

夜、寝る時、筋肉痛で眠れないというのでなくては納得できず、起きて筋トレを始める性分でした。本物の筋肉痛は錐(きり)でもみ込むような痛さで、痛(イタ)気持ちいい、はニセモノとしていました。

私が筋トレをするようになったのは、エキセントリックなオヤジがエキスパンダー、鉄亜鈴(あれい)を買ってきたことがきっかけですが、小学校3年生と記憶しています。そのエキスパンダー、初めからガシガシできたので、オヤジをはじめ、大人たちがびっくりし、それを見て調子こいたというわけです。

で、当時は滅多にないエアロバイクまで買ってきて、毎日、それでやっていると尻と腿がみるみるでかくなりました。ぐっと力を入れると、とても小学生とは思えない筋肉が腿にできていました。

それからはバーベル、鉄下駄を買ってもらってハマったというわけです。この頃、ボディビルの本は大家(たいか)の窪田登(くぼたのぼる)さんのがあるくらいで、これも買ってよくよく研究しました。

私は小さい頃から、まず基本というかベースは、きっちり身に付けますが、そこから考え続ける、試行錯誤を繰り返して自分に合った方法を見つけるのが常でした。やる!となれば四六時中、そのことについて考え、工夫します。

筋トレの魅力は、正しい努力をすれば、必ず、重量の数値が上がる、筋肉が肥大し、出力も大きくなることでした。ふと考えると、筋トレの動作自体、なんのため、というより、なんになるのか、なのですが、自己満足の極みでしょう。

鍛えるということは、一般の人からすれば信じられない、超人という域までいけます。中学の頃、マンガに描かれていることは一通り、やってみました。

みんなが、これは無理!というほど、「俺には不可能はない」とナポレオンの言葉のごとく燃えまくっていました。

『フィスト・ダンス』の幹部らも中2になる頃から、いい体つきになり、体育の先生は、こんなことは初めてとびっくりしていたものです。

筋トレは、自分で自分の肉体を創造できるところが魅力でした!というので、もう1冊紹介します。

『無敵の筋トレ食』岡田隆(たかし)(ポプラ社)です。




著者は日体大准教授で、現役ボディビルダーです。筋肉作りには「食」も大事です。本書は著者の体験・実験の結果も盛り込んであり、実用的でした。

タンパク質、脂質、炭水化物の三大栄養素の摂(と)り方と割り合い、食べるタイミング、有益有効な食品、調理など、具体的です。

野菜と同じく、重要な穀物の選び方、白米より玄米、小麦なら全粒粉という具合に述べています。

ボディビルダーなので筋肥大とダイエットの両方を学べます。そして、実用的なのは、コンビニや大手居酒屋チェーンを利用した食事ができる点です。今のコンビニ、侮(あなど)れません。役に立つ食品が並んでいます。

炭水化物と水の摂り方、従来と違う方法が述べられていました。

食材ではスーパー大麦、鶏肉、ブロッコリー、もやし、パプリカ、ギリシャヨーグルト、魚など、実例で紹介しています。

飲食店では、「やよい軒」「大戸屋」が鉄板だそうで、次にファミレスがきます。

サバやホッケの焼魚定食、鶏むね肉の料理など、具体的な名前で示していました。

食べる順では、食物繊維、タンパク質、炭水化物となります。これらの他に、ストレッチを利用して、体脂肪内の血流を改善し、脂肪の落ち方をよくする、と述べていました。

間食するなら団子など、和菓子です。もちろん、プロテインも摂ります。

近時は本当にさまざまなプロテインが出ていて、摂りやすくなりました!

巻末には著者のレシピも載っています。見るだけで筋肉が大きくなりそうでした。

塀の中に入ると、筋肥大には、いかに食事が重要か、よくわかります!

タンパク質は、意識して摂らねばならないこと、そのタイミングがどれほど大切か、痛感するばかりです!

体を創る、とは自分の意思を肉体に反映させることでもあります。

食事・休養・ライフスタイル全般にわたって常に理想の肉体造りをイメージし、模索していきます。朝から4~5個の卵の白身だけ、がなつかしいです。黄身はは4頭の猫たちの食事になります。

鶏肉、世話になりました!!プロテイン、飲みました、これも。私の頃は、今のように、美味な味の物はなく、自分でバナナとか混ぜて飲んでたものです、ココアも入れて。

社会人になってもそうですが、ボディビルダーとか、自信のある奴が、ぴっちりしたTシャツで誇示するというあれが嫌いで、目立たぬようにしていました。

「脱いだら凄いんです!」が好きでしたし、母に似て骨が細いので、おっそろしく着痩せするタイプでした。

脱ぐと男女共に驚かない人は一人もいませんでしたが、「今は昔」の話となってしまいました。

社会にいれば、バッリバリのところでしょうが、筋トレは自分の気性を表わすものでもありましたね。

さて、興味のある人は、『ボディビルディング』『アイアンマン』という雑誌も見て下さい。フィジークでは『ウーマンズシェイプ&スポーツ』もあります!


ボディビルディング 2023年 01 月号 [雑誌]
体育とスポーツ出版社
2022-11-25









Woman'sSHAPE(ウーマンズシェイプ) (Vol.24)
フィットネススポーツ
2022-07-28



今回の本は







つけたいところに最速で筋肉をつける技術
岡田 隆
サンマーク出版
2017-12-11





















人生百年の教養 (講談社現代新書)
亀山 郁夫
講談社
2022-04-13



大人のソロキャンプ入門 (SB新書)
ヒロシ
SBクリエイティブ
2022-04-05



貯金ゼロから始める「新へそくり生活」のススメ
山口 京子
プレジデント社
2022-02-16



ちょうどいい結婚のカタチ (ヨシモトブックス)
山﨑 ケイ (相席スタート)
ワニブックス
2022-02-22



告発と呼ばれるものの周辺で
小川 たまか
亜紀書房
2022-02-22






楽しみ上手は老い上手 (中公文庫 き 30-20)
岸本 葉子
中央公論新社
2022-04-20



です。


『人は人生が公平でないことを悟れるくらいに成長しなくてはならない。そして、ただ自分の置かれた状況の中で最善を尽くすべきだ』(スティーブン・ホーキング 理論物理学者)


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