2007年03月15日

『善き人のためのソナタ』

善き人のためのソナタアカデミー賞外国語映画賞受賞という冠に偽りなし。
見終わった後からじわじわと感動に浸れる映画でした。
この映画を見られてよかった…
フロリアン・ヘンケルス・フォン・ドナースマルクっていうこの監督、すごいですよ。
だって大学の卒業制作でこんな心に響く映画作っちゃうんだもん。
***
ベルリンの壁崩壊直前の東ドイツ。
シュタージ(国家保安省)の真面目な局員ヴィースラーは劇作家のドライマンと
その恋人の舞台女優クリスタが反体制的であるという証拠をつかむために
24時間彼らを盗聴器で監視することになったが…
***

教科書で習ったのではなく、ニュース番組でリアルタイムで見ていたベルリンの壁崩壊。
ちょうど日本はバブルの泡に包まれてる時期でしたっけ?
そんなときに東ドイツではこんな非人間的な監視社会だったんだと思ったら
背筋が寒くなりました。

「この曲を本気で聴いた人は悪人にはなれない」
別にその曲にそういう力があるのではなくて、
美しいメロディを純粋に受け止められる心があるなら、
人間が本当に向うべき道を見極められるという意味なのかな。
芸術家たちの息遣いを盗聴器を通して知ることになったヴィースラーは
決して英雄的なワケでもなく、自分の所属する組織に反発するワケでもなく、
無表情に自分の意思で次第に彼らの最大の協力者となっていく。

ドライマン達を追う立場が、国家保安省から追い詰められるヴィースラーには
緊張して息が詰まりそうだった。
そしてもう1人追い詰められる人物、クリスタ。
自分の保身のためにヴィースラーを陥れる証言をしてしまったことに耐えられなくて、あの結末…
せめてもの救いは最後にヴィースラーがタイプライターの場所を変えたことを
教えてくれたことか・・・
終始無表情のヴィースラーだったけど、一瞬の隙に彼女にこのことを伝えたのが人間味あふれてたなぁ。

ベルリンの壁崩壊の後のエピソードがすごくよかった。
無償の善意があったことを知ったドライマンが彼に捧げる本を書き、
それを静かに「私のための本だから」と本屋で買い求めるヴィースラー。
エンドロールまでどっぷり浸りました。

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『ブラックブック』&『善き人のためのソナタ』のセバスチャン・コッホ!【映画『ブラックブック』公式ブログ〜バーホーベンはお好き?〜】at 2007年03月23日 08:07