Mitsuhiro Saito Lab

合同会社あまね舎代表/ 國學院大學経済学部特任助教。M&A支援のコンサルティングファーム及び投資ファンドでの業務に従事。東京大学大学院中原研究室にて、組織開発/人材開発について研究した後、あまね舎を起業。組織の変革に取り組む。現在は、國學院大學で教育・研究活動にも従事し、アカデミックな知見と現場の実践の融合に取り組む。

國學院大学で担当している授業の一つは、アクティブラーニング型の『基礎演習』というもので、600名弱23クラスの1年生全員が受講しています。その23クラスの内、2クラスを私が担当させていただいてるので、総勢22名の先生方が関わっています。

私が、全クラスに展開するベースとなる授業案を作成しているのですが、それだけの教員が関わっていると、それぞれに想いもあり、授業案の内容や意図、育成したい学生のマインドやスキルについて、共有することも決して簡単ではありません。


今期、and seeds 代表の小畑さんにサポートしていただき、授業を通じて育成したい学生のマインドやスキルを明確化するために、ルーブリック(授業を通じて身に付けたマインドやスキルの状態を振り返るためのツール)を作成しました。

学生に身に付けて欲しいマインドやスキルを文言化できたのもよかったですが、個人的には、そのプロセスを通じて、教員間で深くコミュニケーションできたのが、楽しく、嬉しい時間でした。

22名も関わっている教員がいると、共通点というより、細かなところでの差異の方が表に出やすくなっている状況が発生していました。

多分、今思うと「あの先生と自分の考えは違うんだ!」という先入観が邪魔をしていた気がします。

でも、実際に、ルーブリックを作成する4回程度のワークショップの中で、教員の全員が参加できたわけではないですが、普段言葉にしない、教育への想いや価値観を言葉にし、表現し合うことで、「あれ、目指すところはあまり変わらないのかも?」という、意識がお互い共有できた気がします。

大げさかもしれなけど、”表面的に見えるものは違えど、深い所では繋がっている”感覚を共有できたことで、教員間での信頼感が高まりました。

◇◇

普段、忙しい業務の中だと、なかなか自分の深いところにある教育への想いや、学生にこう成長してほしい!という願いを口にすることは少ないと思います。そんなとき、普段の業務の延長ではなく、"意図的に想いだけを語る場"を創ることは、とても大切で、一見、遠回りに見えるけど、逆に、後の業務での余計なコンフリクトや手直しを減らしてくれるのではないかと思います。

加えて、今回、外部支援者としてand seeds 代表の小畑さんに入っていただけたのがとても良かったです。
学校教育やルーブリックの作成に習熟されていることはもちろんですが、コーチの資格も持たれているので、ワークショップに参加した教員たちの内面を表に出す、問いかけや仕掛けが盛り込まれていて、高い観察力もあって、短い時間でも、教員それぞれの想いをより共有しやすい時間になっていました。

内部のメンバーだけでやると、照れもありどうしても、遠慮してしまい、突っ込みきれないこともありますしね!
(私も、外部の組織のお手伝いもしますが、組織メンバーの関係性を扱うときに、俯瞰的に全体を見てくれる外部の方が居てくれると、本当に心強いです笑)

なんか最近、組織メンバーとのやりとりが、細かなところで噛み合わないなと感じるとき、一見、遠回りでも、一度立ち止まり、お互いの想いについて、共有することが重要かも知れません。

Q:お互いの"深い想い"を最後に聴いたのはいつですか?

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◇コーチング × 組織開発学ぶ 1day プログラム in 京都
 11月3日(日)13:00~18:30 募集中!

SoLジャパン主催 ロバート・フリッツ氏の特別ワークショップ「創り出したい未来を創り出すシンプルな方法」というワークショップに参加してきました。

ロバート・フリッツ氏は「学習する組織」を提唱したピーター・センゲ氏も師匠と仰ぐ人物で、"構造"が人/ 組織に与える影響に着目した「構造思考」という考え方を提唱された方です。

4時間ほどの短いワークショップだったのですが、密度が濃く、学びの多い時間でした。
企画してくださったみなさま、大変なご準備、ありがとうございました!


心に強く残ったことが二つあります。

一つ目は、フリッツ氏がおっしゃった

「問題は出そうと思えばいくらでも出てくる。問題解決にフォーカスするのは、安易な逃げ。"創り出す"ことにフォーカスする必要がある」

というメッセージです。

私たちが何ものであるのか? どういう価値を生み出したい存在であるのか? を見定め、それらの認識をメンバー間で対話し、言語化していく。

どんなに問題解決に時間をかけても、また、例え、新たな価値創造に舵を切ったとしても、自分たちがどこを目指しているのかを言語化し、共有することになしには前に進めないのだと、改めて感じました。

二つ目は、では、どうやって問題解決ではなく、創造的なアプローチを進めていくのか?

そこで、大きな力を発揮するのが、フリッツ氏が提唱された「緊張構造の原理」というものです。

「緊張構造の原理」とは、「望ましい成果」(Desired Outcome)と「今の現実」(Current Reality)を明確にし、「今の現実」から「望ましい成果」へと至るに必要なアクションアイテムを全て明らかにし、期日/ 優先順位をつけて実行に移していくというものです。

「今の現実」と「望ましい成果」が、両極にあることで、緊張構造が生じていると捉え、それを関与者の間で共有すると、とてもパワフルだ!とおっしゃっていました。

ここでポイントなのは、まず最初に「望ましい成果」を明確にすることで、問題解決ではなく、価値創造に焦点をあてた思考のフレームになっているということです。
したがって、アクションアイテムに挙げられる行動も、課題に焦点を当てるというより、前向きなアクションを表す言葉が並びます。

例えば、ある会社の組織改革プロジェクトを例に取ると下記の様になるでしょうか?

※数字は、検討のステップ
※本来は、①と②も、対話を通じてもっと具体的に言語化していくのだと思います。

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①「望ましい成果」

・組織のメンバーが一枚岩となり、忌憚なく意見を言いながら、協力し、プロジェクトを成功させたい。


③「アクション」

・改革に主体的に関与してくれるコアメンバーをピックアップし、巻き込む。(10月中旬まで)
・お互いの想いや価値観を共有する場をセッティングする。(10月末で)
・組織やチームで生み出したい価値(「望ましい成果」)を言語化する。(11月末まで)
・組織に関する現在の状況認識を具体的に共有する。(11月末まで)
・「望ましい成果」を達成するために、必要となるアクションを洗い出す。(11月末まで)
・既存な会議体と絡ませて定期的なコミュニケーションの機会を創る。(12月末まで)
・新たな取り組みによって生まれてきた変化を確認できる仕組を創る。(12月末まで)


等々

②「今の現実」

・お互い何を考えているか、プロジェクトを通じてどの様な成果を達成したいかを共有できておらず、どこか他人事になってしまっている。
  

===

という感じでしょうか?

改善の延長上で思考しても、これまでの枠組みから飛び出る様な、新たな価値は生まれてきにくいです。
また、現状の延長線上に、私たちが求めるモノがない可能性も往々にしてあります。

「緊張構造の原理」、シンプルですが(シンプルだからこそ)、使いこなせるととてもパワフルなツールだなと思いました。
"創造"に焦点を当てるということの意味が、フリッツ氏の説明を通じて、妙に腹落ちした気がしました。

あらゆる場面でイノベーションが叫ばれている中、問題解決ではなく、新たな創造によりフォーカスをする。
そのためのマインドセットと方法論について、大きな示唆をいただいた、学びの多い時間でした。

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◇コーチング × 組織開発学ぶ 1day プログラム in 京都
 11月3日(日)13:00~18:30 募集中!

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Q:あなたが/ あなたたちが、本当に生み出したい価値はどの様なものですか?
  どんな存在になりたいと、強く願っていますか?

ワークショップの準備で、この1~2ヶ月、"ニューサイエンス"と呼ばれる、比較的新しい科学のあり方を組織にどの様に応用するか?ということに関する書籍を読んでいました。要素を細かく分けるのではなく、それぞれの"繋がり"や"全体性"に着目する考え方です。

特に、マーガレット・ウィートリーの『リーダーシップとニューサイエンス』は、この手の本としては比較的読みやすく、言葉にもパワーが溢れていて、読み返していて、新たな発見が多かった1冊です。<https://amzn.to/2PWOmo3> 最近日本語訳が出版された、『対話型組織開発』<https://amzn.to/2PYXgRW>の中でも、彼女について述べられています。

◇◇

『リーダーシップとニューサイエンス』の中で、ウィートリーは、"自己組織化"と"自己準拠"という概念の重要性を強く謳っています。

自己組織化とは、生物学や化学から生まれた概念で、「生命体が相互関係で結ばれたシステムに組織化されることであり、それによってあらゆる生命体は能力を高めることができる。また、大きなシステムが自己を維持し、より成長するためには、システムを構成する個体の自由を積極的に促すことが不可欠であることも示されている」と述べています。

そして、自己組織化を促す上では、自己準拠が重要だと言われています。自己準拠とは、「自己を維持し、自己を創出する」ために、自分たちが何ものであるか? を明らかにし、共有することです。

自己準拠の基盤となる「アイデンティティ意識-価値観、伝統、歴史、経験、夢、能力、文化」さえ、しっかり共有しておければ、環境が変化しても各メンバーが自律的に行動することで、最適な変化が促されていきます。逆に、強いコントロールをせず、各メンバーにゆだねることが重要になってきます。

ものすごく簡単に言うと、到達したいゴールを明確にメンバーと共有した上で、後は、コントロールをせずに、各自を信じて、自主性に任せる、ということだと思います。

◇◇

こうした新しい組織観で、組織運営に取り組む際、マネージャーが持っている従来型の役割や権限に関する価値観を手放すことに挑戦する必要が出てきます。

ある程度、経験のあるマネージャーは、やはり自分のやり方でやりたい(笑)
その方が、先も予測できるし、自分もガバナンスを効かせやすいし。

ただ、そうした既存のスタイルを押しつけた時点で、メンバーが潜在的に持っている創造性は発揮されなくなるのかも知れません。

最近、ティールやホラクラシーと言われる新しい組織運営のあり方が注目を集めています。
新しい手法を学ぶことはもちろん重要ですが、そうしたツールを使いこなしていく上で、私たちが強くもっている"従来のやり方"やこうすべきだ!という"固定観念"も含めて、扱っていく必要があります。

組織のマネジメントに取り組む上で、ご自身には、前提となるどんな価値観が根強くあると思いますか?

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◇コーチング × 組織開発学ぶ 1day プログラム in 京都
 11月3日(日)13:00~18:30 募集中!
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