2007年05月15日 23:19

例大祭の本の宣伝

概要書けと言われたので書いてみました。
1回やってみたかったので、予告編ぽく。
格好付けすぎで本編が負けているのは秘密です。

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 ――彼女は、彼女の昔を知らない。



 もちろん、彼女の昔を知ったとしても、それは今の彼女と何の繋がりもない。
 そんなことは分かっているけれど。
 でも、知りたくなってしまったら。
 例えば旧い言い伝えや、昔の記録を探してしまうもの。



『――なぜなら、そのランプは、壁への設置具が壊れていないのに床へと落ちていたのです。ランプが外れて床へ落ちて砕けたのではなく、ランプが砕けたから床に落ちたような、そんな奇妙なことが起こったとしか考えられません――』



『――際限なくふくれあがった彼女の能力は彼女自身を壊してしまう恐れもある。勿論そうはならない可能性もあるが、その場合はむしろ、その力の大きさが彼女自身を生きづらくするだろう。それを避ける方法は今のところ一つしか思い付かない――』



『――その時、満足そうに頷く彼女の目の前で、ぴくりと少女が身体を震わせました。興味深げに顔を覗き込む吸血鬼の顔を瞳に写して、少女はぽつりと、枯れ果てたような声で呟きました――』

『「お、ねえ、さま……?」』



 それは、失われてしまった、ささやかな出来事。
 けれども、紛れもなく、今の彼女を形作るかけらのひとつ。



 『Pieces of the Sister.』
 2007.05.20 博麗神社例大祭にて頒布予定。



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