小保方晴子さんが論文を「コピペ」した可能性が話題になっています。

 小保方晴子のSTAP細胞論文の疑惑:他研究者の論文からの文章剽窃(盗用) 1件目
 
もと低レベル企業研究者、しかも英文論文の発表実績ゼロの私から見ても、さすがに「これはないだろう」と思います。
一文程度なら
「ま、ネイティブじゃないんだしね」
と大目に見てもらえる可能性もあるかもしれませんが、ほぼセンテンスまるごとコピペってのは、ちょっとね……。

でも私が気になるのは、論文の公開や特許の申請に至るまでのチェック体制です。
多重に設けられているはずのチェック体制が、全部機能しなかったわけですよね。
「なんでこんなことが?」
と思いますよ。

まず、いまどきの一流科学論文誌の編集者や査読者は、コピペなど問題になりうる記述をチェックするためのツールを使用しているのが通例であるはずなんです。日本の「コピペルナー」のようなツールを。
「センテンスまるごとコピペ」なんてことがあれば、まずそれで発見されるのではと思います。「l」が「1」に化けてたからチェックできなかったとか? まさかねぇ。

それに、論文が投稿され発表されるのと並行して、所属機関でもチェックはしているはずです。
私が電機メーカーで低レベル研究者やっていた時には、少なくとも上司はチェックしていました。また、対外投稿はタテマエ上、届け出て許可を受けて可能になることになっていました。実際には投稿と同時に届け出る人の方が多かったりしました。届け出の直接の提出先は上司なので、内容のチェックと同時に上司に出すということになるわけなんですが、直属の上司だけではなく部門長も「何をどこに出した」程度は見るわけなんです。今だったら社内コンプライアンス部門にも見せることになったかもしれません。
理研のチェック体制がどうなっているのかは全然知りません。もしかすると、個々の研究者の良心を信頼して、内容に関するチェックは一切していないのかもしれません。それにしても論文誌の編集部の方で最低限のコピペチェックはしているはずなんですよ。だから
「なんでこんなことが?」
と思うわけです。

さらに謎なのは、特許です。
特許申請書は弁理士も見ているはずなんです。
弁理士は、その技術や研究内容が理解できるとは限りません。私も自分の特許関連業務(他社特許への異議申立て)で、内容がちんぷんかんぷんの社内知財部門担当者と弁理士に
「離散化とは……」
から説明したことがありますよ。計算機シミュレーションの特許でしたから、計算機シミュレーションのイロハのイから説明したというわけです。
ちなみに、異議申し立てした特許そのものは既存の技術のパクり特許だったので、簡単に潰せたんですけど(経緯は簡単にここにまとめてあります)、成立していたら日本国内のCFD(数値流体解析)関係者が全員面倒くさいことに巻き込まれるところでした。というわけで、他社の関係者も資料集めなどに協力してくれたという経緯があります。1996年の話ですけど。いやまあ驚きましたよ。1980年代に確立しているはずの計算手法が「新規特許でござーい」と特許公報に載ってたんだから。
話が逸れましたけど、特許出願に関しては、弁理士・機関内(社内・学内)知財部門の担当者が、少なくとも内容に接しているはずです。で、専門家ではないなりに、「どういう問題をどう解決する特許なのか」に関する説明は受けているはずなんです。そのときに、「コピペで文字化けして訳ワカなことに」的なことがあれば、「なにこれ?」と突っ込むはずです。それがなかったから、そのまま申請しちゃったわけですよね?

小保方さん個人が多忙すぎて「ついついコピペしちゃいました」という可能性は、ありうることかなあ? と思います。良いか悪いかといえば、そりゃ良くはありませんけど。
ただ、組織として、機関として、多重に設けられているはずのチェックがどれもこれも機能しなかった可能性については、「なにそれ?」と口あんぐり、です。
なんでこんなことが?