『宇宙戦争』

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スクリーンにいたのは、ヒーローで勇気いっぱいな従来のトム・クルーズではない。
そこにいたのはただ飲み込まれるように、未知なる生物から逃げ続けた庶民のトム・クルーズだった。
私は、この映画の全てがそこにある気がする。ネタバレ全開です、注意。
と、言うことで公開2日目という珍しくハイスピードで見に行ってきました。

まずキャストから。
トム・クルーズの映画です(笑)彼が出てないシーンはほぼないぐらいの出ずっぱり。
ただ彼はミッション〜で見せたヒーローっぷりやラストサムライで見せたサムライっぷりとは違う
いたって普通の『庶民』を演じています。しかもアメリカの労働者階級のね。ちなみにダメ男。
こりゃ珍しい。ここは今回の評論のポイントになりますが、それは後ほど。
そしてトムの娘役にダコタ・ファニング。あぁ、やっぱり可愛いっ!
キャンキャン泣き叫ぶ姿は不愉快に思う人もいると思うけど、私はもうそれすら可愛い!(笑)
もう立派な女優としての演技ですよね、本当。
目の動きや彼女の行動は、物語に絡む部分が多かったのですがスピルバーグも相変わらず上手く
子供を使っていて、それプラスダコタちゃんの類まれな演技力で良かったと思います。
私お薦めなのは、トムの前妻役のミランダ・オットー。彼女の顔が実は結構好きなタイプ。
同性の子が好感持てるタイプの顔じゃないかなぁ。素朴な感じの飾らない綺麗さがある。

さてさて、ストーリーですがこれは宣伝の歌い文句は「家族愛」ですが、家族愛のヒューマンドラマ
ではなくパニックムービーというのが全面に出ていました。
というかパニックムービー以外の何者でもない。
流石スピルバーグ!パニックムービーのハラハラ感やお約束全開の前半の飛ばしっぷりが
とっても良かった。パニックムービーはあまり好きじゃないんですが、普通に面白く感じました。
そうだなぁ、フェリーに乗りこみ脱出する辺りまでのテンポの良さは抜群でしたね。
今まで「ジュラシックパーク」や「ジョーズ」などでスピルバーグが試してきたパニックものの
恐怖の集大成と言ってもいいんじゃないかなぁなんて思います。
手に汗握りましたね、前半は!(ここ強調させて下さい)
隣にいた友人は音響効果も重なってかなりビクビクしてたもん(笑)

ただ、その前半の流れは後半微妙に揺らぐ。
私はあのラストの落ちの予想…というか、多分あぁいう「…は?」な落ちにするしか
ないんじゃないかなぁという思いがあったので、あまり落胆はなかったのですが
家族愛モロモロ期待していった方や、もっと凄いラストが!と思ってた方は落胆したはず。
と、言うかぶっちゃけ宇宙人の形態が微妙な上にそんな簡単に!?的ニュアンスがある。
でもそれはパニックムービーにつき物、仕方のない話だ。
しかしこれは前半がハイテンポでグイグイ進むから、残念ながら余計際立ってしまうんだろうなぁ。

そして本題のトム・クルーズの「庶民」っぷり。子供に見捨てられた父親。
場面は休日離婚した妻の元から子供達が遊びに来るところから始まるが、もうこの時点で
家族愛的には疑問だ。なんせ妻にはもう旦那がいて再婚済み。
お約束とも言える「見直したわ、あなた!」的な展開が難しくなる。
うーん?と思いながら見守っていたが、やはりラストシーンでそれは色濃く出てしまっていた。
あれだけ必死に守った娘は、母親の元へ飛びつく。トムは、かなり距離が開いた場所に取り残される。
なんて寂しい姿だろうか。後からは何時の間にか生きて辿りついていた息子がフォローのように
抱きつくが、妻との差は埋まらない。ぶっちゃけこの後レイはどうするのだろうか?
報われない気しかしない、車も壊れちゃって家も多分めちゃめちゃだろうに。
レイの愛と勇気が試された後、待っているのはどんな世界なのだろうか?

はっきり言って家族愛描写は弱い。
最初なんて緊迫した状態の中、トムは10才の娘を置いて外に出ちゃうしね。
ドキドキしながらパニックムービーとして楽しみつつも、あそこらへんのシーンは
「おい!お前娘は!?」と何度もヒューマンドラマ的には突っ込ませていただいた。

この映画では、レイは家族を守ったが彼はけしてヒーローではない。
庶民と先ほどから強調しているのは結局ここに行きつく。
レイの視点でこの戦争が描かれているが、レイはこの宇宙戦争という映画においては
ただの、何億人のうちの1人の傍観者の立場なのだ。
彼が天性のキラメキでこの戦争を集結する糸口を掴んだ訳でもないし、宇宙人を全滅させた訳でもない。
かっこよく戦って家族を守るというよりは、必死に逃げて守りきった。
綺麗事なんてそこにはどこにもなくて、家族を守る為には他人を蹴散らし殺すことさえいとわない。
そんな彼はヒーローではない。ヒーローはそんなことはしない。
彼は私達の代理人なのだ。
そこにこの映画の本質があると思う。レイを通しての恐怖を私達に見せる事が目的なのだ。
「普通」の人間が、「異常」な現実に翻弄される。そんな、パニックムービーなのだ。

家族愛目当てに行くと、そのあたりに戸惑うと思う。
ヒーローなパパが、家族をかっこよく救って最後は本当のハッピーエンドではないのだから。
ただ別の言い方をすれば、人間の欲に忠実に、家族をがむしゃらに追い求めるレイという姿は
レイが家族というものを追い求める姿、なくした愛を取り戻そうと足掻く姿に見えるのかもしれない。

そういえば、民衆の誰かが落したデジタルビデオ越しに宇宙人の攻撃が映るカットがあったけれど
あのカット良かったなぁ。役者とか誰も出ていないのに凄い印象に残ってます(笑)
あと半端な日本へのアピールの目的がよくわかりませんでした(笑)

余談ですが「キング・コング」の予告見て、ロードオブザリングファンとしては
ピータージャクソンの激ヤセっぷりにある意味宇宙戦争よりもハラハラ(爆笑)
でも普通にキング・コング面白そう。あの技術は素晴らしいな。

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