宮城妖怪事典(仮)

はじめまして。宮城妖怪事典(仮)の管理人でございます。

本ブログは宮城県に伝わる妖怪のうち、世間一般どころかインターネット検索でもヒットしないような超マイナーな妖怪たちを郷土資料などから発掘して紹介し、その普及を目指す、そんなブログです。


各妖怪の紹介ページは主に以下のような項目で構成しております。(まだしていないページもあります。)

・【名称】
その妖怪、怪異の固有名称。もしくは参考資料の文中にあるその妖怪を表す表現を名称として採用しています。また、そのいずれも参考資料に記載が無かったものに関しては、なるべく管理人のオリジナリティが反映されないような便宜上の名称を付けて、()付きで命名と記します。

・【出没地域】
その妖怪・怪異が出現したとされる地域です。

・【伝承地域】
その妖怪・怪異が登場する民話や伝承が伝わっていた地域です。採話地や話者の出身地などを参考にしています。

・【要約】
参考資料におけるその妖怪・怪異についての記述の要約です。

・【原文】
参考資料からそのまま引用しました。

・【コメント】
追加で調べた情報や、管理人の感想など

・【参考資料】

質問意見等がもしあれば是非コメントお願いします。出来る限りお返事させていただきます。

ブログ運営に関しては完全に素人です。どうか温かい目で見守ってください…

追記
・【原文】の項目を新たに追加、【要約】【コメント】の内容を一部書き換えました。(2020/1/29)



    宮城県の妖怪を出没地域(不明なものは伝承地域)ごとにまとめてみました。
【仙台市】
生首杉
(青葉区)

足長小僧/唸り坂獺の大入道/鳥滝不動の女郎蜘蛛/ふしぎな大名行列
(泉区)
ぬけ首のお化け/ぬす人松/普美子・竹阿
(宮城野区)
おたふくの化け物/旅人の血/宮千代・宮城野の老人
(若林区)
チャッパガニ 
(太白区)
御出山の大男/お茶孕みの子/木伐り坊・山男/ホー鳥/片目の仙人様/竜駒
【塩釜市】
こんにゃくべろ /長頭島
(寒風沢島)
小夜姫の娘たち
(野々島)
木田の大だこ
(朴島)
海坊頭
【多賀城市】
夕顔に似た化け物
【宮城郡】
「七ヶ浜町」

ジンベサマ/代ヶ崎浜の入道坊主/長根のパーヤ/のろ坊主/人取り沼
「松島町」
 ああ、ああ/烏帽子柿の化物/お大師様/蛇が崎の長左衛門キツネ/どこでそろ/夏井沢のお夏
「利府町」
がに
(鳴子町)
赤沼河童/岩倉の鬼夫婦/破軍星
(三本木町)
蚋女房/山猫嫁ご
(田尻町)
さっくべババ/津花谷地のお龍 
【古川市】
あがつあかきつつあか婆/さかさ女
【加美郡】 
「加美町」
(小野田町)
川口勘平/小田刈小太郎
(宮崎町)
狢沢のぎんぎょ
「色麻町」
サガリ
【石巻市】
田道将軍の怨霊/魔鬼女
(河北町)
(桃生町)
十兵衛蘭土/垂この毛とおぢゃん狐/取首坂/山田山の化物
(雄勝町)
石峰の天狗・天神の河童/雪婆
(金華山)

帝鮫/亡霊の水クラゲ
【東松島市】
(矢本町)
黒羽織ムジナ/火の口山のお化け
【牡鹿郡】
柿入道
「女川町」
(江島)
イヌメ/栄存法印 
【遠田郡】
「涌谷町」
願念沢のネンネン狐 

【柴田郡】 
「川崎町」
観音狐/泥牛蒡/薬罐太郎
「蔵王町」
角神/もとぶろの古イタチ
「柴田町」
海老穴の大エビ
「村田町」
奥州の蛇藤【白石市】
カラスノオギュー /カンジョババ/金成太郎/馬首牛身の魚獣/渕の主
【刈田郡】
「七ヶ宿町」

赤べこ
【角田市】
天探女/糸取りグングン/ 明松太郎
【伊具郡】
「丸森町」
「亘理町」
九枚莚/泣息屋敷
「山元町」
沼倉の娘ガエル/モグラ婆さん

【名称】食わない嫁
【出没地域】あるどころ
【伝承地域】宮城県伊具郡丸森町
【要約】
欲深い男が、口が無くてご飯を食べない嫁をもらった。しかし、なぜか米の減りが速く、ある日、留守中のとき家から「おまんじゅうぺろぺろ、おまんじゅうぺろぺろ」と声が聞こえ、見ると嫁が髪の毛を下げて頭にある大きな口で焼き飯をぺろりと食べていた。
嫁の正体は鬼で、男は追われたが鬼の嫌いな菖蒲の中に隠れたことで事なきを得た。
【原文】
食わない嫁
昔話 食わず女房−蛇女房型
語り手〇母 宮城県伊具郡丸森町 昭和三年生 四十四歳
あるどころさ、よがこい(欲深い)男が、いだんだと。まんま(ごはん)、かしんの(食わせるのを)、いだますくて(もったいなくて)、嫁ご、もらわねがったんだど(もらわなかったとさ)。ある日、
「ごはんかね(食わない)嫁ご、世話すっから、もらわねが(もらわないか)」
と、ゆわった(言われた)んだと。そすれば、男
「ごはん、かねんだったら(食わないなら)もらったっていい」
ゆったんだど。ほすて(そして)、見さ行ったんだど。行って見れば、なるほど、口、ねぇんだど。
ほすて(それで)よろこんで、もらったんだど、ほすて、まいにち、まいにち、山さ行って、かしいんだ(稼いだ)んだど。ほして
「おれ一人分なんだげんと、米ずいぶんへるなぁ」
て思っていたんだど。
ほすたれば、ある日、となりの家の人によばらっちぇ(呼ばれて)、となりの家に、行ったんだど。ほすて、休みごろぬ(午前十時や午後三時ごろの休憩時間に)なったれば、
「おまんじゅうぺろぺろ、おまんじゅうぺろぺろ」
という声が聞こえてくるんだど。
「はやく、行って見ろ」
とゆわって(言われて)、かきねのとっから(ところから)、見だれば、頭の毛、みなさげで(下げて)、おおきな、やぎめす(焼き握り飯)、頭の上から、ぺろりぺろり、食っていだんだど。ほすて、男、おどろって(驚いて) 声あげてすまったんだど。そすたれば、嫁ご、おどろって、
「おれのすがた見だがら、ころすど」
て、おっかげだんだど。男、にげながら、ふりかえって見だら、鬼だったんだど。ほすて、しょうぶ(菖蒲)のかげさ、かぐれだら、鬼、だいきれ(大嫌い)なんで、[鬼が]にげで行ったんだど。
【コメント】
宮城県内でいくつか見つかってる「おまんにじペロペロ」系統の食わず女房ですね。
呪文はおまんじゅうだけど、食べるのは焼き飯なのか…。
【参考資料】
『1976年夏 東北の昔ばなし: 聖和学園短大生のレポートから』

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