【名称】貪多利魔王
【出没地域】
宮城県黒川郡大和町升沢地区船形山
【伝承地域】同地
【要約】
『船形山手引草』に記述された、船形山(山形県と宮城県の間にまたがる山)に祀られる神の縁起に登場する魔王。
神代の頃、多くの悪魔邪神を眷属として従えていた「貪多利魔王」という魔王が金剛山(現在の船形山)を根城にして日本を魔国にしようと洪水や疫病を引き起こした。これに気づいた阿弥陀如来は魔王を退治すべく、玉で造られた鳳凰の形の船に乗って、多くの仏神や高天ヶ原の天照大神らを引き連れて金剛山へと向かった。初めに阿弥陀如来の守護神である三宝荒神が槍の石突で火炎をまき起こすと、魔王は雨や霧を呼んで消そうとしたが勢いが強すぎて消えず、さらに四方の川を塞き止められ天の川の水が流し込まれると、悪魔たちは逃げ場が無くなり山頂に取り残された。後がなくなった魔王は自ら宝剣を抜いて三宝荒神に挑んだが、眷属である「烈風魔王」「荒ラ獅子魔王」「天龍魔王」らが、次々と不動明王や毘沙門天や摩利支天らに敗れると逃げ出し、最後には千斤の神弓による無数の矢に射たれて降参した。降参した「貪多利魔王」は後に改心して、自らが裸身になってでも信心の深い行者に富貴福徳を授ける「源元貧乏神」という存在になった。
また、現在の「船形山」という名前は阿弥陀如来たちが鳳凰の形の船でやってきたことが由来であると言われている。
【コメント】
強大な力をもった魔の者が神仏にフルボッコされる神代らしい伝説です。魔王たちの名前はどれも洒落ていますが、登場する神仏に比べると話にならないくらいマイナーです笑。
【参考文献】
『船形山の民俗 吉田潤之介採訪資料』
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妖怪画提供: 大蛇堂 様