2010年02月02日

ちょっとしたお祭の雑感

反射のすぅーつき130cm界隈が、新作の事で騒がれている様子ですね。
気にはなったので、ひととおり経緯を見てみました。

作品内容については別に語るところじゃないので、それはさておきます。
今回ユーザー側の意見を見て、製作側でもし失敗があったとすれば、点数感覚の部分ですね。
どこで何点が取れそうで、どこで何点を落とすか、という企画段階での予測です。
サッカー等で云うところの、試合の組み立てです。

もちろん点数なんですから、100点満点を狙って行きつつ取れれば理想です。
しかしエロゲー製作で100点を狙って取るのは、凄く大きな予算をかけて、展開・人材・製作の全面で最高にリッチな状況を用意できないと、スタートもできません。
あるいは非常に強力な才能の持ち主が全てを投影できるつくりができるなら、それに近い製作ができると思います。
つまり、通常ではできないという事です。
別にエロゲーに限りませんけども。

そこで、130cmくらいの組織の能力としては、それなりに売れてそれなりに評価が付いてくるゲーム作りをするために、「点数を確実に取ってこれる」プラスポイント部分と、「ここは落としてもいい」マイナスポイント部分を何点ずつにするかという調整をやらないと、何も残らない作品になります。
何も残らないというのは、話題になるほど売れず、話題になる部分も残さない作品です。
これは本当に何も残らない。
せめて赤字だけ出ていなければ、会社の販売実績としてはプラス(主に銀行など外に見せる部分で)なので経営者的には本当のゼロじゃないけど、かけた時間と労力を考えると、製作したクリエーター的には徒労感がつきまといます。

そこでこの点数のコントロール感覚が重要になってきます。

「ここをしっかりやれば、こういう評価が返ってくる」という部分を設定し、点数を稼ぐ。
「ここはこういう批判が来ると予想しているけど、最小で抑えられるようにしておく」というダメージコントロール。
「力を入れても抜いても売り上げ・評価に関わらない」部分に必要以上の力を入れない見切り。

ゲームの幅広い要素に感覚的にこの3つを当てはめて個別に対応する作り方が、予算なり、人材なり、製作期間の余裕なりのリソースの少ない小ブランドの基本だと思います。

例えば自分が130cmで最後にやった『彼女達の流儀』なら、以下のイメージでした。

:プラスポイント
・CGは原画レベルでは自分がなんとかする。彩色ではチーフのレベルが高いので、点数を大きく取れるはず。
・少なくとも自分なら「たまらない」というエロ部分のフェチ要素を入れる。そしてその要素のパイはそこまで小さくは無い。
・絵とシナリオの両方を自分でコントロールできるから、全体の雰囲気に一本柱を通せる。

:ダメージコントロール
・シナリオゲーという評価を取れるほど、優れたシナリオは書けない。だからある程度シナリオはちゃんと書くけど、あくまでエロシーンに労力をつぎ込む。特にフェチズムは大切に。
・全てのヒロインを均等に、シナリオ的に良い作品にする能力も時間も無い。だから点数の取れるキャラの点数の取れる部分のシナリオは労力をかけて、そうでないある程度の部分は諦める。

プラスとマイナスとで、評価7割、批判3割をイメージしていました。

・CGがきれい
・フェチエロい
・雰囲気がある
・このヒロインのシナリオは結構いい
・シナリオが短い。特に個別ルート
・このヒロインのシナリオいまいち
・絵の癖が受け入れられない

以上が想定していた感想です。
大体想定していたものが多かったと思います。

こういう感想配分を予想して、限られたリソースからプラスとマイナスを組み立てる作り方は、その前の130cm作品「ネコっかわいがり」でより顕著です。
そこまでは本数が出なかった「ネコっかわいがり」が、出た数の割には多くの印象をユーザーに残したのは、ディレクターのうつろあくたさんのこのコントロールの上手さだと思います。
自分は「プリンセスブライド!」以降、ずっとうつろさんを見ていたので、その何パーセントかを真似しただけです。
やり方は違いますが、13cmにはかつて他に元長柾木さんもいて、(プリブラ以降辺りの何年かは)あのお二方がディレクターとして培ってきたものが、そのまま13cm/130cmでした。

……でした、というからには過去な訳です。

基本、小さなところなのでノウハウの継承的な教育はありません。
一緒にいて、見て、なんとなく覚えるだけです。

「ラストオーダー」で元長さんが去り、「ネコかわ」でうつろさんが去り、残ったいくらかを使った「カノギ」で自分が去り、あとは「ネコかわ」から入り、「カノギ」で片翼だった西空康誠さんだけが残っていました。
そこから「泉水いこ」さんがディレクターもされる段階で、ディレクター向けの部分の継承が弱くなったのかな、と思います。
今の内部を知らないので、想像ですけれど。

今回はイメージとして大きな痛手をこうむったわけですが、泉水いこさんの絵はプラスポイントだし、フェチ的にも点数が取れる貴重で強力な存在だから、立て直すのは全然何とかなるんじゃないですかね。
中小ブランドで「明確に点数が取れる」部分があるというのは、本当に強みですから。

  

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2009年12月26日

応援してます

翠の子VisualArt'sさんから「第一回キネティックノベル大賞」の募集が始まりました。

なんといっても『シナリオ部門』の大賞賞金が500万円です。
その数字が否応無く目を引くことは間違いないでしょう。
新しい事をやるからには、まずインパクト。
馬場社長らしい感じがしてとても頼もしいです。

キネティックノベルというと、自分的には立ち上げ初期の頃と、ポリフォニカだけになってしまった数年前辺りとで2回関わりがあります。

初期の頃はブランド内で企画会議にも加わっていました。ただし、製作のチームには入っていません。
当初は「数の限定的なエロゲーユーザー」相手の商売だけでは将来性が無いというコンセプトで、ライトノベルを読むような一般向け、そして女性や子供、主婦層(実用書的な内容も検討された)など幅広い層に「電子読み物」というジャンルで売り込んで行こうという雰囲気でした。
エロゲーのユーザーは20万だけど、ケータイ小説(当時流行し始めた頃)のように、その外には100万、200万ともっと多くのユーザーが見込める、という目論見です。
アダルトゲーム屋の癖に、と侮蔑的に思われる方も多いでしょうが、そこで培ったテキストと音楽、そして視覚的なビジュアルの3つを融合させた「電子読み物」の物造りに、可能性を信じているからです。

しかしこれはうまくいきませんでした。
周知が足りなかった事もありますし、購入時のインターネット認証の手間、それに一番ネックだったのは、価格だと思います。
読み物としてのテキストに加えて、ラノベの挿絵よりも遥かに手のかかるCG、そして音楽、スクリプト……など、作業部分が多いので、どうしても価格は文庫本レベルにはなりません。
それでもかなり抑えて、1300円(税別)というラインで揃える事になりましたが、これでも試しに買うには、まだまだ高かったんだと思います。
カタログを見た一般人の視点からは、知っているわけでもない作家の、PCでしか読めない読み物です。
まともに売れたのは、品質はもちろんとして、書き手の知名度に優れたプラネタリアンとポリフォニカだけでした。

当時ブランドでの最初の企画の会議で発言した事ですが、「売れるとしたら、既にラノベで有名な人を連れてくるしかない」という予想は、ある程度正しかったようです。
この「高くて不便な文庫本」を買ってくれるのは、好きな作品や作家に対する収集欲の強い、熱心な「ファン」が殆どだったからです。

その後、ほぼポリフォニカの存在感だけになってしまったキネティックノベルは、ひとえにocelot の桜沢大さんの頑張りで命脈と新しい作品を模索してきました。
その方向性は、必然的にライトノベルの電子版に落ち着きます。
2度目のキネティックノベルに関わる機会があったのは、この頃です。
何度か打ち合わせの席を持ちましたが、結局、そのときは企画の段階で消滅する事になり、それきりになりました。

そしてこの発表です。

賞金500万。
この数字は賞金だけでなく、キネティックノベル化の印税を併せたものとあります。
おそらく今キネティックノベル化をするとすれば定価は3800円。
印税を10%と見れば、その額は380円×販売本数ですから、逆算して目標にしている販売数は8000本以上なのは間違いないでしょう。
つまり、本数の上でポリフォニカ並みに「売れる」作品が欲しいという明確な意思です。

「面白い」と「売れる」には、近しいけれど、幾らかの差があります。
技術ではなく、艶の部分だと思います。

このコンテストで大賞受賞作が出るとすれば、そういう部分に秀でた作品な気がします。

  
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2007年11月17日

やりぬけばこそ

プリブレのラブ生エッチシーンサムネ




はむはむソフト」の「本気語り」が、いい感じにぶっちゃけすぎ。
かつてのVA系列ブランドにはありえなかった、地にまみれた必死の戦い。
可否はともかく、その熱い魂にはエールを送らざるを得ない。

ということで、援護がてら私も少しぶっちゃけ。

下地さんがブランドを立ち上げ、その処女作がスク水モノと知った時……
正直、それは冒険に過ぎるんじゃないかと思いました。
「フェチ」はパイの絶対数が少ないし。
ただでさえ、

・新規ブランド
・絵(原画)は水準以上にいいけれど、まだ知名度は高くない。
 (売り上げ貢献感覚としては、絵がいまいちなのは当然マイナス要因。
  水準でプラスマイナスゼロ。互角の戦場に立てる。
  絵買い層を持っていて、はじめてプラス要因。
  どこのブランドでも絵には気を使うので、絵だけで売りを引っ張るのは難しい)

という2点から、既存の武器が少ないチャレンジ。
これでやる以上は、少ないパイのハートをガッシリ掴む本格さをどこまでアピールできるかです。
というか、そこまでやって初めて無難なジャンルのエロゲーの戦場。

知らないブランドなら生ぬるく見守るところでしたが、下地さんやみきぽんさんら、知った人間の戦いでは目を離せませんでした。

結果からいうと、今現在予約で苦戦とはいえ、「想像していたよりもずっと善戦している」と思います。

……ごめんなさい。
当初は、今以上にヤバイと思っていました。

まず、すでに述べた理由以外に、発表から発売までの長さが気になりました。

初期のブランド発足告知からすでに7ヶ月。
4月に発表されたとき、ジャンル的にも発売は夏だと思っていました。
正直、新規ブランドの勢いとノリで攻めるなら、販促期間は長くてもダレるだけです。
実際開設当初はほとんど毎日更新されていたサイトが、1ヶ月くらいで息切れしたように見えました。

もちろん、それでも十二分なくらい更新はされていきます。
更新頻度も開発が進むにつれて復活してきました。
このサイト更新の手間、ひいては人件費はすべてスタッフの労働量を押し上げます。
さらに、外に出ることが少ないVA系では異例のゲーム発売前からのコミケ参加、ドリパなどゲームイベントへの参加。

コストはそれでいいのか?

ブランドの財政具合が心配になりました。
これらはパイの少ないところを狙うゲームに似つかわない、高コストな作戦です。
これではある程度売れても、経費が重くのしかかります。
さらに上がっていく売り上げハードル。


余談ですが、関西と関東のブランドで、頻繁につぶれて行くのは関東が多いイメージがあります。
もちろん、絶対数が違うので当然です。

でももうひとつの理由に、コスト感覚があると思います。
関西のブランドは、トップが元々一般企業から起業したような方も多く、そういうところは上が良くわからないものにお金を使っているように見えても、意外に堅実な経営をしています。
一方で、関東では同人からの参入ブランドなど、お祭り感覚の強さが見えます。
それは一見派手ですが、販促のコスト当たりの効果で考えると、明らかな「勝ち組」レベルに上がらなければ、散財のデメリットの方が勝ってしまいます。
関西ブランドがイベント参加に消極的なのも、このあたりです。

こんな作戦を取ってしまったはむはむソフト、もう後はありません。
バンザイ突撃あるのみです。


あとは彼らのサイトを見てやってください。

なんという見事なカミカゼアタック。
ふんどしすら脱ぎ捨てるような捨て身の突貫の前に、最早コストだとかそんなケツの穴の小さい言葉は似合いません。
どうしてここまで頑張れるのか?

愛か、熱情か、リビドーか。

少なくとも、それらは目にした近い将来の顧客に、確実に届いてきているように思えます。

決死の処女作の発売日は12月21日。
初回本数が決定するのは12月半ばになるので、流通の本数決定を左右する予約量が利いてくるのは、ここから2週間がヤマでしょう。

がんばれ、はむはむソフト!
とにかくがんばれ!

  
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2007年11月14日

ホームベース気味だっていいじゃない

エロゲンガーは本当に絵が下手なのか?(意見)

いろいろな絵師とその作家性 その2(こちらが記事元の方)

このあたりの記事を見かけたので、突っ込みのようなコメントだけ。
ごめんなさい、ちゃんと書くには今は時間がなくて。

「エロゲンガーの絵が似たようなものばかりで、素人目に見分けがつかない」

こういう事ですね。

それは当然かな、と思います。
だって、エロゲー会社では、原画の依頼をするときには「萌え系の企画だから、原画はみつみ系の絵で」みたいな探し方が普通ですし。
(以下、エロゲ業界の9割を占める中小ブランドの話です。大手と混同ないように)

1ブランドあたり、年に製作1〜2本です。
潤沢な資金もありません。
1本大きく外したら、赤字を回収するのに続けて2本当てるくらいのつもりでやるんですよ。
それも、次の2本を出せる力があれば、ですけどね。

当然、外したくありません。
会社にしてみれば、少しでも流通さんが安心して受注してくれる内容にしたいです。
流通さんの判断材料といえば、ネットや雑誌での評判、ブランドからの営業、もちろん直接の予約。
色々とありますが、ファーストインプレッションとしてパッケージなど<絵柄>に受ける「売れるかどうかの直感」みたいなものは、やはり大きいでしょう。

ゲンガーを選ぶ側が同じような絵柄の方に依頼するわけだから、ゲンガーにしてみたら、仕事にするには割合はさておき、一定のフォーマットは持っていないと「仕事にならない」部分はあります。

フォーマットを抑えた範囲で、どれだけ独自のものを出せるか。
あるいはフォーマット自体の性能をうまく引き出せるか。

ゲンガーの戦場というのは、エンジンが決まっているボートレースみたいな闘いだと思います。


だからゲンガーと漫画家の絵の比較なんて、意味がないんじゃないかな。
ボートレースと改造自由のカスタムカーレースですよ。

ゲンガーは、商品としての仕様を受けて、要求されたものを書きます。
その範囲で、個性を出す仕事です。

漫画家は、描きたい漫画を、個性の範囲で商品になるように編集とすり合わせて変化させ、世に出して行く仕事です。

商品に対する個性の位置が違うんだから、前面に出すものが違うのは当たり前。
それをもって市場に対するスタンスの違う仕事を卑下するような書き方は不公平。

そのように感じました。

はいて捨てるほどいる「萌え絵描き」の中で「仕事を続けられている」人が、何の「商品価値を生む特別」も持っていないなんて、あるわけがありません。

  
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2007年08月06日

もうひとつのエロゲ業界

黒理人×理人





Amazonエロゲ売上ランキング2位がホモゲーな件
アマゾンのエロゲランキング2位に18禁BL「鬼畜眼鏡」

とのこと。
別に驚くようなことは何も無いような気も。

まずエロゲーの場合、販売量におけるAmazonさんの割合は5〜10%くらいです。
もちろんこれはアファリエイトの貼られ方によっても変わるところですが、それ以上に店舗での特典が派手なゲームを好む層が購入するゲームかどうかによっても変動します。

さて、BLゲーなど女性向けのエロゲーの場合、このAmazon比率はぐっと大きくなります。
やはりエロゲーを扱っているフロアでパッケージソフトを購入するのは、女性にとっては大きな壁があるわけで……
だいたい、男性向けに比べてメーカー通販を含む通販率は3倍はあると思って良いです。

また今回の「鬼畜眼鏡」ですが、男性の方には馴染みが無いかもしれませんが、VA(ビジュアルアーツ)販売下で制作している社外ブランドの中でも最強の売り上げを誇るSprayさんの新作です。
代表作でもある「学園ヘヴン」は、ユーザーが男性向けの10%しかいないBLエロゲー業界において爆発的ヒットを飛ばして、コンシューマを含めた本数では勝てる男性向けゲームもそう多くは無いような大御所ですよ。
加えて、今回ジャンル的にもガチです。

男性の方に誤解があるところなのですが、男性にも比較的馴染みやすいような「ショタっぽいキャラクター」「可愛い絵柄」のBLは、全然主流じゃアリマセン。むしろキワ。
スーツという「制服」に長身で角ばったカラダ、そして眼鏡。主人公の性格が変身し、鬼畜に迫るというのはベタで中心のまさに王道。
企画時の仮タイトルがそのまま正式になってしまった「鬼畜眼鏡」というタイトルも素晴らしいです。

そのあたりを鑑みると――

やはり驚くような順位ではないです。
極めて順当ですよ?

  
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2007年05月29日

ひとつのネタとして。――生態のはなし1

不機嫌な従妹の原画の一部自分はインターネット環境さえあれば、仕事がほぼ家で片付きます。
加えて1日丸々休みという日はそうありません。
月に1〜2日くらい?
つまり家から出ません。

こう言うとなんですが、絵を描くよりもゲームをしている方が好きなので、時間を自由にしていいのなら、落書きを描くよりもゲームで時間を浪費します。
あー、オーディンスフィア早く進めたい……
(発売日にグウェンドリンだけ終えました。その後、触れる時間なし)

――まあ、何が言いたいかというと、ネタが無いという事です。
こういう生活なので。

仕方が無いので、時々イラストレーターとかエロゲ業界の、たいした事も無い生態などを書いてみることにします。


では生態のはなし、その1。

エロゲーはどういった人の手によってつくられているのか。
役割のおはなし。

基本的に業界マニアといいますか、ものに詳しい人向けには書きません。
世の中、オタクだからといってエロゲの事なんかあまり知らなくて普通だと思います。
自分もプリンセスブライドの原画をやることになるまで、かろうじて友達に薦められて「To Heart」をやった事があるだけで、「主題歌はKOTOKOさんが歌いますから」と言われても、意味がわかりませんでした。
それって凄いの? というレベルです。
そんなわけで、基本のおはなしです。
サブタイトルをつけるなら、「戦略的役割と戦術的役割」。

注:小規模〜中規模のブランドのおはなしです。
  大手になると、より専門的に仕事が分かれたり、またいだり、事情は
  変わります。
  ここでは、エロゲーブランドの8割を占める小組織に限定します。

● プロデューサー:
  人を集める役です。
  小規模では、たいてい資金を握っているor調達した人です。
  ディレクターだけ決めて、あとは大局的なことの可否を決めます。
  あまり開発の細かいところに口を挟み始めると、大抵いい事はありません。
  GHQにして補給部隊とも言えるので、戦略的役割になります。

● ディレクター:
  作品の監督にして実質の指揮官。
  多くの場合、作品の企画者が兼ねます。
  シナリオライターである事が多いですが、企画専門の人だったり原画家の
  場合もあります。
  すごく小さい集団では、プロデューサー=ディレクターとなります。
  資金を持っているのがクリエーター職の場合も同様です。
  やる事は映画監督みたいなものです。
  シナリオや原画、CGや音楽、宣伝や声の担当の起用と指示、連絡。
  部隊長なので、もちろん戦略的役割です。
  思い通りの作品を作るには、まめな指揮能力と何よりも資金と時間の融通
  を上から引き出す能力が必要です。
  資金源とディレクターがイコールの場合、金と時間の制約がない分やれる
  事が大きく自由になりますが、能力が伴わない場合、いつまでもゲームが
  完成しない「完成したら凄いんだZE」状態に陥ります。

● 原画家:
  CGの元になる原画を描き、作品の顔になります。
  内部に社員として在籍する場合もありますが、割合で言えば外注の方が
  一般的です。
  原画家個人にファンがつきやすく、固定した原画家がブランドの作風の一つ 
  となることは、トップブランドへの近道と言えます。
  しかし、あえてここでは戦術的役割だと考えます。
  なぜなら「絵買い」を喚起できる人気を持つ原画家は、実はあまり多くは
  ないからです。
  もちろん絵柄がいいか悪いかは如実に作品の売れ行きに関わります。
  しかしそれは作品の完成度を押し上げる方向の貢献であり、戦術的な
  貢献であり、ひいては選択したディレクターやCGを仕上げたグラフィッカー
  との共同戦果です。
  名前だけで流通やユーザーの関心を引ける少数の原画家のみ、戦略的
  役割となります。
  ゲーム開発の中では比喩でも実際でも「武器」の位置だと思います。
  当然、より有名で戦略的な武器を調達して戦いたいところですが、資金
  と部隊(ブランド)の名声が伴わなければ選択肢は限られてきます。

● グラフィッカー:
  用意された原画に色を塗って仕上げ、ゲーム中の部品を作ります。
  戦術的な役割の最たるもので、実戦部隊の中核です。
  開発のうち、もっとも資金と時間を必要とする部署です。
  グラフィッカーの全員を社内で賄うことは珍しく、規模の多寡はあっても
  傭兵(外注)を使うことが一般的です。
  通常チーフと呼ばれる先任の一人が戦隊長となり、CG全体の完成度
  の調整と傭兵への指示や調達、ゲーム内部品の管理を行います。
  傭兵を使うとどうしても仕上がりにばらつきが出るので、それをまとめる
  のが主な役割です。
  実力あるグラフィッカーは原画家を探すよりも何倍も難しく、貴重です。
  性質上、チーフ役が社内に1人さえいれば、残りは傭兵でもなんとか
  なります。
  実際、そのようなブランドも少なくありません。
  またグラフィック全体を丸受けする外注会社もあります。

● シナリオライター:
  シナリオを書きます。
  ADVやノベルが主流のエロゲーではメインライターが企画の中核に
  なることが多いです。
  ただし抜きゲージャンルの場合は、企画はプロデューサーやライター
  ではないディレクターである率が高くなります。
  また、ライターはその役割によって、シナリオライターとテキストライター
  とに分類されます。
  シナリオライターはシナリオ、つまり脚本ごと執筆する役割です。
  一方テキストライターは用意された脚本、あるいはハコと呼ばれる
  あらすじを連ねたフローチャート元に、「あらすじを開いて」文章を埋め
  ていく事が役割になります。
  例えばハコに、「AとBがお弁当を食べる。お互いの家族について話す」
  (10kb)とあれば、それを心情を交えた文章に変えながら、10kb分の
  長さの場面にします。
  グラフィッカーについで傭兵率が高い兵科です。
  傭兵を使用する場合、社員がシナリオライター、傭兵がテキストライター
  という場合が一般的です。
  またシナリオ全体を丸受けする外注会社もあります。
  本質的に戦術的役割ですが、極めて少数のカリスマライターのみ、
  戦略的な単位となります。

● 音楽:
  BGMを担当。
  一部の大手を除き、ほとんどの場合外注です。
  戦術単位。書ける事があまりない。

● 主題歌:
  歌を歌う。ラララー。
  一時期は貧者の武器として、他の要素を持たないブランドが一撃
  必殺を狙って電波ソングを乱立した。
  とはいえ、よほどの事がない限り歌だけで話題を引くことは難しく、
  基本は無ければマイナスという戦術的な武器になる。
  ただし、うまくムービーと神合体する事により、戦略単位に押し上
  がる。

● ムービー:
  デモムービーを制作。
  外注である事がほとんど。
  今でこそムービーがある事は常識ですが、広報展開をする時に、
  ムービーが無いと宣伝しにくいというのが大きな理由だったり。
  人気のムービー製作者を確保する為には、かなり早くから予定を
  とる必要があり、開発ではその予定に合わせてCGの素材を制作
  していくこととなる。
  基本戦術単位。以下主題歌の項参照。


その他スクリプターやプログラマーや広報関連になる人もいるわけですが……
長くなってしまったので割愛w;

そっち系の方で見ておられた方、あいすみません。
修羅場中で、時間が無いもので――

  
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2007年04月04日

ヒノキ……そして、ピークスさん。

LyceeバージョンUM1.0より式守伊吹(ねこみみ)以前、実家に帰省してから花粉症が酷くなったと書きました。

けれど、それは少し違うかも――です。

今まで自分はスギ花粉ばかりだと思っていたのですが、毎年周りの方よりも症状の時期がずれているのです。
だいたい3月末〜4月中旬辺りがピークでしょうか。

これは多分……ヒノキです。

今まで気づかなかったのも何なのですが……

そういうわけで、今まさに症状発症中;;


ピーク繋がりというと苦しいですが、PC-NEWSで業界(と業界マニアの間)ではお馴染みのPEAKSさんが倒産という噂。

アキバ系.comさんではコラムも3回だけですが描かせて頂きましたし、事実だとすると残念です。

特にPC-NEWS誌はエロゲー業界の中でも他ブランドの販売本数を把握する一番信頼できるソースでした。
そこでの本数を参考に作品の戦略を練ったり、例えば原画家に依頼するときには前作本数を調べて売り上げへの貢献効果を測るなど、指標であっただけに重要なアンテナを失う気持ちです。

販売ポイント集計と予約ポイント集計って、どこか引き継いでくれないものでしょうかね?  
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2006年12月12日

ゲスト作家@シリウスさん★

小夜シリウスさんのサイトにて、コミケグッズのカレンダーのゲスト作家の面子が公開されていました。

有子瑶一 さん
オダワラハコネ さん
さがのあおい さん
桜沢いずみ さん
+ 私。

豪華&女子ばかりでまぶしいですっ(´▽`)v
有子さんや桜沢さんとはこの1年、他所のゲスト(130cm@カノギ含む)でもご一緒していましたので、なんだか嬉しいですね。
見劣りしていなければ良いのですが……!

イラストを描くお仕事をしていると、見本誌に雑誌をいただいた時、自分のページと同じくらい他の作家さんのページも観察してしまいます。
わーわー、この人いつもいい仕事してるなー! とか、
うはー、久しぶりにこのお方とご一緒だー! とか、
狭い世界らしい連帯感がありますv(私だけ?)

実際、作家さんは友好関係を辿ってみると、意外なところで繋がっている事が多いです。
特に関東在住の方。
関西勢は関東勢に比べるとまとまりが弱いところがありますので、関西組は関東組が羨やましい、っていう事も結構多いです。
そもそも、関西在住組は人数も少ないですしね ^; ※

あと、エロゲ会社の単位でも関西組は横の連帯がないんですよね。
秋葉原であるような合同イベントとか、Web上の企画とか作家のコラボレーションとか、関西のブランドではめったに起こらないです。
多分、関東系は個人の強いブランドが多くて、関西系は企業的なブランドが多いせいだと思います。
関西ブランドの多くはトップがクリエーターではなく、経営者ですからね。

※ 知っている方もいるでしょうが、私も関西組。  
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2006年11月15日

エロゲの分類とか特性とか〜製作サイド的〜

エロゲの分類とか特性とか」という記事を拝見しました。
こういったエロゲ分類といったものは時折見かけますが、業界の関係者としては少し違う視点も持っていますので、今回は同分類を製作サイドの視点で補足してみようかと思います。

今回の記事はあくまで私の個人的な意見ですので、同じ業界でも立ち位置が違えば違う意見があるかと思います。
その点については反論異論、ご容赦くださいませ。
――では。

・エロゲの分類

分類についてはこちらの記事がベースになりますので、まずそちらをご覧下さい。

女性キャラ攻略系
大抵の場合、「学園モノ」とほとんど同義。最も主流であるのは、最もユーザーのパイが大きいから。ある程度以上のヒットを狙うならこのジャンルを選択するのが手堅い。ただし、必ずしも売れるわけではない。むしろ独自の「売り」を確立できなければほとんど売れない。特に重要になる要素は「ユーザーの安心するブランド力」「原画家」。そのゲームが主流だと思わせる広報力も重要。勝利を約束された剣になるのは王者が振るった時のみなので、王者でない者が手を出す場合には、相応の高い企画力が必要になる。

目的達成系

「女性キャラ攻略系」と同様の要素を持ちながら、ヒットには高度なシナリオを要する。一般に見栄えのする原画家・CGを用意する事に比べ、ユーザーに評価されるだけのライターを 用意する事は極めて難しい為、「女性キャラ攻略系」に比べて投機的な部分がある。

感動モノ系
かつてのブームを過ぎ、エロ重視の流れを経たものの、固定ユーザーの数はあなどれない。
製作側としては、基本的に「目標達成系」と同じ。ライターの確保問題が全て。上記2ジャンルに比べれば、「シナリオ」の比重が「原画家」を大きく上回るのが特徴。

鬼畜系
決して広くは無いパイを以下に占有できるかというジャンル。固定ユーザーの確保が全て。ブランドのイメージに依存するため、新規ブランドは手を出しにくい、そして手を出してもあまりおいしくない保守的なジャンル。一方で地位を確立できさえすれば、安定した本数を期待できる。コスト管理が肝となるため、プロデューサーの手腕が問われる。

テーブルゲーム系
一部の麻雀に定評があるブランドを除き、企画ものである場合がほとんど。あるいはファンディスクの一要素。主力商品として作られることは少ない。手前味噌であるが、「プリンセスブレイブ」(130cm) においては「麻雀のスクリプトが手に入るんだけど、麻雀作らないか? キャラはプリブラにしよう」という企画順序だった。 ※1

エロエロ系
かつての安牌ジャンルも、今ではブランド戦略が最も重要なジャンルの一つとなった。最も重要な要素はプロデューサー/ディレクター。マニュアル的なシナリオ構築体制と固定した絵師を確保することができれば、高サイクルの安牌として通用する。一方でマンネリによる安牌ラインの引き下がりとどう闘っていくかが課題。この1年の流れを受け、今後業界の中でどういう変化を見せるのか最も興味深いジャンル。

ギャグ系
企画もの。企画が全てであり、周到に用意するよりは勢いでやるしかないのではないだろうか。狙って作れるならたいしたもの。



全体として、数年前に比べて本数に対するブランド力の影響の度合いがとても大きくなっています。
勝つところが勝つ様にして勝っているわけで当たり前なのですが、手持ちの武器が少ない新興ブランドにとっては厳しい時代と言えるでしょう。

原画家のレベルに落としてみると、やはりこちらでも格差のようなものが広がっています。
流通がゲームを評価する際、ブランド力以外では原画家という要素で「売れる/売れない」の見なしが決してしまう為、「流通の原画家評価」が各ブランドの原画家選択に与える影響は大きいように思えます。
「前作の実績」、「雑誌等への露出」が重視される訳ですね。
同人での活動は流通評価のレベルではそれほど影響しないようにも思えます。


……まあ、ガンバレ自分、という事です・゚・(ノД`)・゚・


※1 自分は横で見ていただけ。企画は130cm、ディレクターはうつろあくた。

  
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