不動産など譲渡所得の対象となる財産を譲渡した場合、譲渡益に対し
所得税・住民税が課税されます。

この際の譲渡益は、譲渡価額から取得価額を差し引いて計算します。

取得価額は、購入したものであれば、購入価額となりますが、相続や
贈与で取得したものについては、被相続人等の取得価額を引き継ぎます。

そのため、相続した財産を譲渡すると、財産の時価に対し相続税が課税
された上に、譲渡益に対し所得税・住民税が課税され、二重課税となります。

この二重課税を緩和するため、相続税の取得費加算の特例が設けられています。

この特例は、相続開始から3年10か月以内に相続財産を譲渡した場合は、
相続税のうち譲渡する財産に係る部分を譲渡所得算定の際の取得費に
加算できるというもので、相続財産を譲渡した場合の税負担を軽減する
効果があります。

また、土地については他の財産より有利な規定となっており、他の財産の場合
は譲渡した財産に係る部分の相続税しか取得費に加算できないのに対し、
土地の場合は、譲渡していない土地を含む相続した全ての土地に係る相続税が
取得費加算の対象となります。

そのため、資産に占める土地の割合が高い資産家の場合、相続後に土地を譲渡
しても譲渡所得がゼロになるケースもあります。

ところで、平成26年度税制改正により、相続税の取得費加算の特例が縮小
される予定です。

今回改正されるのは、譲渡財産が土地の場合は、譲渡していない土地に係る
相続税も取得費加算の対象となる部分です。

元々この土地に関する特例は、平成5年度の税制改正により設けられたもので、
当時は土地の譲渡所得に係る税率が37%と高く、地価が高いことを考慮し、
税負担を軽減することを意図されていました。

しかしながら、現行税制では土地の譲渡所得に係る税率は20%であり、地価も
下がっています。
そのため、この特例の必要性が低下していると会計検査院の指摘があり、今回の
改正に至ったようです。

従来、土地を多く持つ資産家の相続が発生した場合、土地を譲渡して納税する方が
物納をするより有利な場合が多く見受けられました。

物納をする場合の収納価額は相続税評価額であり、物納を行っても譲渡益に課税
されません。
一方、土地の相続税評価額は公示地価の80%程度に設定されているため、譲渡の
税負担が少なく、公示地価程度で売却できれば、通常は物納より有利となります。

本改正は平成27年1月1日以後に開始する相続又は遺贈により取得した資産を譲渡
する場合について適用されます。

そのため、平成27年以降、相続された土地を譲渡する場合、物納との有利不利を
よく見極めた上で実行する必要があると思います。