2018年10月12日

きみの鳥はうたえる【映画】

ビートルズの「And Your Bird Can Sing」の歌詞。
"But you don't get me, you don't get me"
"But you can't see me, you can't see me"
"Look in my direction I'll be round, I'll be round"
"But you can't hear me, you can't hear me"

ああ、これって、まさに。
”僕”の、佐知子の、静雄の、それぞれの心に秘めた感情なんじゃないか。
映画では、ビートルズは出てこないので、タイトルである「きみの鳥はうたえる」がなかなか伝わりづらいんだけど、この曲の歌詞(といっても、訳詞なんだけど)を読むと、すっと3人の関係性が入ってくる。

どうしようもない自分をなんとかとどまらせてくれるお互いの存在。
短い夏の宴は永遠には続かない。
自分の心もわからないまま、すかしたり、押し込めたり、ごまかしながら短い饗宴に紛らせていく。
切ない刹那。

青春やなあ。

僕、佐知子、静雄のたたずまいが、あまりに自然で、函館の街の風景に溶け込み、ワンシーン、ワンシーンが印象的。
僕と佐知子の始まりのシーンなんか、ねえ、ああ青春、おじさん、戻りたいよ。
ちょっと長すぎるけど、クラブのシーンの3人の微妙な距離感、踊る佐知子に姿みたら、もう惚れてまうやろー。
あ、あとカラオケのとこね。

佐知子、というか石橋静河って、ぱっと見、普通にどこにでもいそうな特に目立たない感じなんだど、シーンシーンで、はっとさせられる。
同一人物とは思えない、美しさ、輝きを放つのだ。
ギャップってやつか。

佐藤泰志の原作ってことで、みたんだけど、これはほんといい映画だ。
「海炭市叙景」「そこのみにて光輝く」「オーバー・フェンス」と佐藤泰志原作の映画はどれも、青春のやるせなさ満ち満ちている。

最後の佐知子の表情が、焼きつく。
そして、3人の物語はどこへどう向かったのか。

小説のように、語らない余白の多い映画だけに、いろいろと想像をかきたてられる。

もう一度3人の夏に会いたくて、原作を電子書籍で買ってしまった。
佐知子の、あの最後の表情が読み解けるかもしれない。

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