2019年09月22日

ディス・イズ・ザ・デイ/津村記久子【本】

開門、あわただしく座席を確保しほっと。
腹減ったあとスタグルを漁ったり、あちらこちらスタジアムイベントをのぞいたりしながら、再び座席に戻る。
まだまばらなスタンドや整備されるピッチを眺めたりしながら、なんとなく時間が過ぎてゆく。

この時間がなんとも言えず大好きだ。

退屈だと思う人もいるだろうけど、選手入場までの小一時間、できるならこの気分のままずっといたいと思う。
2時間後には、歓喜に沸くか悲嘆にくれている。
大事な試合になればなるほど、その穏やかな時間が大切に思えてくる。

僕らがスタジアムに行く理由は、様々だ。
そこにかける熱量も。

津村記久子さん著の「ディス・イズ・ザ・デイ」にやられた。
ああ、これが言いたかったんだ。
もし自分が生涯で何か本を書くとしたら、絶対これだって。

仕事や学校でうまくいかなかったり、人間関係で悩んだり。
家族のことや、恋愛、それこそ、大なり小なり、私たちのまわりにあふれている様々の日常。

そこで、ほっとできる場所や、自分がここにいていいんだという場所を、探すともなくなんとなくたどりついたのが、国内二部リーグのサッカー場だったという話。

だからここに登場する人たちは、サッカーが好きで好きでたまらないとか、いつもゴール裏でぴょんぴょん跳ねてるようなコアな人たちばかりではない。
たまたま近くでやってるからとか、何かのきっかけで訪れたとか、間違って紛れ込んじゃった感の強い人もいる。

でもそんな人たちもサッカー場の風景、空気だとか、たまたま出会った人だとか、選手の紆余曲折の経歴だとか、そういうもの全てを含んだサッカーに少しずつ引き込まれて行く。

強くなれない、いやなことばかり考えてしまう、ああ、もう自分ってだめだ。
そんな日々の思いを抱えて応援していると、二部リーグのチームや選手ってだいたい重なっちゃうんだよね。
たまたま住んでる地域や、出身地や、その他いろんなご縁で応援するようになったけど、このチームねえ、もうねえ、ええい、なんでこげえある。

でもダメなやつほど、かわいいんだ。

うまくいかない人たちが、うまくいかないチームのためにいろんなスタイルで応援している。
これほど愛すべき物語があろうか。
おじさん、最近、涙もろいのに拍車をかける。

サッカーのある日常、の幸せ。
サッカーが支えてくれる日々の生活。

こんな物語に出会えたことが幸せ。
そして、多くの方に読んでもらいたい。

サポーターって、チームや選手を支えてるってのと同時に、チームや選手に支えられてる。
サッカー場で出会ういろんなことすべてに感謝だなあ。

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